【社説②・12.12】:防衛協力 日本が米韓との連携主導せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.12】:防衛協力 日本が米韓との連携主導せよ
日米韓の安全保障協力はようやく軌道に乗り始めたが、韓国政治は動揺を深めている。米国も政権移行によって外交方針が揺らぐ恐れがある。
3か国の結束を堅持するには、日本が主導的な役割を果たさなければならない。
オースティン米国防長官が来日し、中谷防衛相と会談した。韓国政界の混乱を踏まえ、日米韓の防衛協力のあり方を協議した。
韓国の尹錫悦大統領は就任から2年半の間に、日韓関係を大きく改善させた。日米韓3か国でも、北朝鮮のミサイル発射情報を即時に共有する仕組みが実現し、サイバー分野などを含む領域横断の共同訓練も始まった。
その尹氏が退陣に追い込まれ、反日的な政権に代わるような事態となれば、こうした防衛協力の停滞は必至となる。
オースティン氏は会談で「日韓に対する米国の拡大抑止のコミットメント(関与)は揺るぎない」と述べ、核を含む戦力で米国が同盟国を守る考えを示した。
日米の会談で韓国も拡大抑止の対象だと強調したのは、韓国を3か国の防衛協力の枠組みにつなぎ止める狙いがあったのではないか。オースティン氏は今回、日韓両国を訪問する予定だったが、韓国訪問は見送った。
他方、同盟重視の米国の外交政策にも危うさがある。
来月、大統領に返り咲くトランプ氏は、国際秩序を支えることよりも自国の利益を優先しがちだとされる。日米韓の安全保障協力は瀬戸際にあると言えるだろう。
ロシアと北朝鮮は軍事協力を深めている。中国は日本の領空・領海を侵犯し、台湾周辺では、大規模な軍事演習を繰り返している。台湾有事となれば、日本も無傷ではいられない。
アジア太平洋地域の平和と安定に、日米韓3か国の協力は不可欠だ。日本は次期米政権に対し、アジアの協力を取り込むことが米国の利益につながっている、と粘り強く説いていく必要がある。
米国では先月、輸送機オスプレイのエンジンが故障し、墜落寸前になったという。米軍はオスプレイの運用を一時停止した。陸上自衛隊も、米国から購入した17機の運用を見合わせている。中谷氏は会談で、情報提供を求めた。
オスプレイに限らず、日本は米国から多くの装備品を輸入している。その信頼性が損なわれれば、同盟に支障が出かねない。米国は装備品の問題について、情報を開示していくことが大切だ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月12日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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