《社説①・12.06》:企業団体献金の禁止 あきれた首相の消極姿勢
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.06》:企業団体献金の禁止 あきれた首相の消極姿勢
自民党派閥の裏金問題で失われた国民の信頼を取り戻す覚悟はあるのか。石破茂首相の姿勢に疑念が拭えない。
自民が衆院選で大敗した後、国会で初めて予算委員会が開かれた。焦点は政治資金規正法の扱いである。
立憲民主党の野田佳彦代表は、「平成の政治改革」に立ち返って、企業・団体献金の禁止を求めた。改革では国民の税金を原資とする政党交付金を導入し、企業・団体献金を禁止することになった。
1994年に政治家個人向けが禁じられた。政党向けは5年後に検討されることになっていたが棚上げされたままで、政党交付金との「二重取り」が続いている。
にもかかわらず、首相は「政党交付金を導入する代わりに、企業・団体献金が廃止の方向となった事実はない」と強弁した。
さらに、「政党が過度に公的な資金に依存するのは正しいのだろうか」とも述べ、民間団体からの献金を正当化しようとした。
政治資金収支報告書で公開すれば透明性を確保できるとも説明するが、資金力のある企業や団体の意向によって、政策がゆがめられる懸念は消えていない。
改革に後ろ向きな対応は、これにとどまらない。
政党から政治家個人に支出され、使途公開の義務がない「政策活動費」についても踏み込み不足だ。自民案は廃止をうたいつつ、外交上の秘密など配慮が必要とされる費用を「要配慮支出」として認めている。事実上、不透明な資金の枠組みが温存されかねない。
政治とカネの問題を巡り、衆院の過半数を占める勢力がない「宙づり国会」で、野党が結集する動きもある。立憲、日本維新の会、国民民主など野党7党は政活費を全面廃止する法案を提出した。
注目されるのは、国民民主の動向だ。少数与党である自公政権と政策ごとに協力する「部分連合」の協議を進めている。キャスチングボートを握る立場を生かし、企業・団体献金の禁止でも影響力を発揮すべきだ。
政治資金規正法の抜本改革は衆院選で示された民意だ。先送りは許されない。与野党は今国会で、国民の納得が得られる結論を出さなければならない。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月06日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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