路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:相次ぐ法案ミス 官僚機構の構造問題だ

2021-03-31 05:05:55 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・公取委・主任の大臣・事務次官・官房・

【社説①】:相次ぐ法案ミス 官僚機構の構造問題だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:相次ぐ法案ミス 官僚機構の構造問題だ

 政府が今国会に提出した法案のうち23法案、1条約に誤記や脱字などのミスが見つかった。

 ミスは政府提出法案の4割で発覚し、13府省庁にまたがる。法治国家としてあってはならない異例の事態である。

 各省庁とも新型コロナウイルスの感染拡大で対応に追われる中、長時間労働による注意力の欠如や、若手の退職者増加などによる人材不足が指摘される。

 首相官邸が省庁幹部の人事権を握るようになり、時の政権に官僚が振り回され、士気低下を招いている面もあろう。霞が関全体の構造的な問題と捉える必要がある。

 政府は早急に原因を究明し、再発防止策を講じなければ、国の土台が揺らぐ。

 菅義偉首相肝いりのデジタル改革関連法案も関係資料に「地縁団体」を「地緑団体」と誤記するなど計45カ所でミスがあった。

 同法案を担当する内閣官房の準備室では昨年10月の残業が平均で108時間に上り、過労死ラインの目安とされる月80時間を超えていたことが明らかになっている。

 新型コロナでは内閣官房の感染症対策推進室の残業が1月に平均124時間に達し、西村康稔経済再生担当相が謝罪した。ミスは2月に施行されたコロナ対応の改正特措法でも見つかった。

 政権が成果を急ぐあまり、突貫作業で法案を作成した結果、ミスにつながったのではないか。

 国家公務員の採用試験の受験申込者数は昨年、過去最少になった。深夜残業や長時間労働の影響とみられている。有能な人材を確保するためには改善が急務だ。

 国会答弁の作成作業も長時間労働の一因とされる。政府に憲法上課された重要な義務であるが、議員が質問内容を通告する時間を早めたり、対面でなくメールで伝えたりする工夫があってもいい。

 安倍晋三前首相の「1強政治」の下、官僚は森友・加計、桜を見る会の問題などで不本意な国会答弁や説明を強いられてきた。菅首相は政権の意向に反する官僚は「異動してもらう」と明言する。

 行き過ぎた官邸主導が官僚のやる気をそいでいないか。官僚が国の行政を担う気概を持って働く環境の整備が求められる。

 かつて法律が誤ったまま成立し、その後、官報に正誤表を載せて訂正したこともあった。

 国会審議を経ない法文修正は憲法違反との指摘もある。立法府にもチェックする重い責任があることを忘れてはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年03月31日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:高校教科書検定 学び深める態勢が急務

2021-03-31 05:05:50 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説②】:高校教科書検定 学び深める態勢が急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:高校教科書検定 学び深める態勢が急務 

 文部科学省はきのう、2022年度から主に高校1年生が使う教科書の検定結果を公表した。

 22年度から施行される新学習指導要領による初の高校教科書である。新たな必修科目として「歴史総合」「公共」などが登場した。

 指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」をめざし、生徒が自ら考え、課題を解決する力を養う。そんな内容を広く盛り込んだ。実用性も強く打ち出した。

 時代の変化に対応する能力を育む狙いは重要だろう。だが内容が大きく変わっただけでなく、量の増加も目立っている。

 コロナ禍もあって教育現場の負担が増し、新教科に対応できる教員の不足も懸念される。深い学びを真に実現するには、学校の実情に即した態勢の整備が急務だ。

 目を引くのは地理歴史、公民分野での新しい科目である。

 歴史総合は世界史と日本史を統合し、横断的に近現代史を学ぶ。「地理総合」は地理としてはほぼ半世紀ぶりの必修化となり、地球規模の課題や防災も扱う。

 公共は18歳選挙権を念頭に主権者教育の要素を取り入れた。

 いずれも資料や図を多く使い、答えを見いだすまでの思考力を重視する工夫を凝らした。意欲的な試みであることは間違いない。

 だが量の増加は気がかりだ。例えば、地理総合では平均ページ数が現行の「地理A」より2割弱も増えている。

 生徒が内容を十分理解するには指導法の確立や入念な準備が必要になる。教員の働き方改革を含め国や自治体の支援は欠かせない。

 教員の確保も課題となろう。長く選択科目だった地理や、プログラミングを教える「情報1」は専門知識のある教員の絶対数が少ない。早急な対応が求められる。

 見過ごせないのは、北方領土や竹島など領土問題や安全保障政策を巡る記述で、政府の見解を正確に記すよう強く求めた姿勢だ。

 主体的・対話的な学びを重視するなら、現状をつぶさに見せたり多様な見方を示したりすることで生徒の自発的な思考を促すのも大切ではないか。

 歴史総合の教科書12点すべてがアイヌ民族を取り上げたことは特筆すべきだ。

 先住民族としての歴史や文化への理解を深め、民族共生の理念を具現化するために、学校教育が果たす役割は極めて大きい。

 ただアイヌ民族が受けた苦難の歴史の記述は十分とは言い難い。今後に課題を残したと言えよう。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年03月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:教科書と雑念

2021-03-31 05:05:45 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【卓上四季】:教科書と雑念

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:教科書と雑念

 洋画家小出楢重は算術が大の苦手だった。誰が解いても同じ答えとなるところがつまらないという。「5+5を羽左衛門(うざえもん)がやると100となったり、延若(えんじゃく)がやると55となったり、天勝(てんかつ)がやると消え失(う)せたりするようなことを面白がる性分なのである」と親しんだ歌舞伎や奇術に例えた(「雑念」小出楢重全文集)▼大工の賃金や買い物の計算問題には「大工が何時間働こうと知ったことではない」「釣り銭とか、けちなことはどうでもいい」というのだから、教師も苦労したことだろう▼小出の悩みは雑念だった。幼い時分から祭礼のおはやしが大好きだったせいか、問題への関心が薄れると芦辺踊りや都踊りが「チャンチキチン」と始まったそうだ▼文部科学省はきのう来春から使用される高校教科書の検定結果を公表した。10年ぶりに改定された学習指導要領に基づく初の検定となる▼新たな要領は「主体的・対話的で深い学び」を掲げ、社会参画の知識などを学ぶ「公共」などが必修に加わった。道徳や政府見解を強調するあまり、国の教育への介入を許した戦前の轍(てつ)を踏むようなことがあっては主体的思考も育つまい▼小出少年の算術嫌いは授業にも一因があった。「先生は、左様な囃子(はやし)が始まっているとは知らないから、無遠慮にも次の問題をといって難題を吹きかけるのであった」という。教師の力量が問われるのは世を問わないようだ。2021・3・31

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2021年03月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:ミャンマー情勢 弾圧阻止へ国際圧力を

2021-03-31 05:05:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:ミャンマー情勢 弾圧阻止へ国際圧力を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ミャンマー情勢 弾圧阻止へ国際圧力を 

 抗議デモの鎮圧どころか、虐殺としか言いようがない。

 国軍がクーデターを起こしたミャンマーで治安部隊が、抗議する市民らを無差別に攻撃している。

 国軍記念日の27日には銃撃などで少なくとも114人が殺害された。1日の死者としては最悪で、クーデター後の犠牲者は累計で400人を超えた。多数の子どもや丸腰の市民も含まれている。

 国際社会は国軍の残虐行為をこれ以上許してはならない。厳しい制裁を視野に、結束して圧力を強める必要がある。

 国軍記念日は国軍が威勢を誇示する最重要行事で、弾圧を強化し抗議活動を封じようとしてきた。

 にもかかわらず、公務員らは職務を放棄する「不服従運動」を続けた。記念日の後も反発は収まっていない。経済、社会活動は停滞し始めているが、市民が軍政の復活を拒否しているのは明らかだ。

 国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官は式典で、デモを非難してクーデターを正当化する従来の主張を繰り返した。だが、公正な選挙結果を暴力で覆すことに正当性などあるはずがない。

 軍が実権を握った統治は、民主主義を踏みにじり暴力に頼る恐怖政治そのものである。

 国軍は半世紀にわたりミャンマーを統治したが、10年前に民政移管を決めた。自分たちが政治の中心にいなければならないという時代錯誤の考えは捨て去るべきだ。

 国連のグテレス事務総長は国軍を非難する声明を出した。米英は国軍トップや関連企業に段階的に制裁を発動するなど、国際社会の圧力は強まっている。

 だが、一枚岩の対応にはなっていない。中国とロシアが圧力強化に消極的だからだ。

 国連安全保障理事会は暴力を非難する議長声明を出したものの、中ロが難色を示しているため、さらなる措置は打ち出せていない。

 国軍記念日の式典も日本など多くの国は欠席したが、「内政不干渉」を掲げる中ロは出席した。

 これでは罪のない市民に対する暴力を容認していることになり、両国の責任は免れまい。

 ミャンマー最大の支援国である日本の対応も問われている。欧米の制裁とは一線を画し、国軍とのパイプを生かして働き掛けるとしてきた。だが、暴力はやまず、役割を果たしているとは言えない。

 ミャンマー市民の間では失望が広がっている。支援を止め、制裁に踏み切ることも検討する時期にきているのではないか。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年03月30日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:生活保護費判決 生存権軽視容認できぬ

2021-03-31 05:05:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:生活保護費判決 生存権軽視容認できぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:生活保護費判決 生存権軽視容認できぬ 

 国が生活保護基準額を大幅に引き下げたのは生存権を侵害し違憲だと、道内の受給者が訴えた裁判で、札幌地裁はきのう、請求を棄却する判決を言い渡した。

 厚生労働相に広い裁量を認めた上で、判断や手続きに裁量権の逸脱や乱用はなく、引き下げは違憲ではないとした。

 だが、引き下げの算定方法は受給者に明らかに不利だった。困窮の度合いを増している原告の厳しい生活実態に向き合ったとは言えず、容認できない判断だ。

 国の決定は憲法25条が保障する最低限度の生活を営む権利を軽視したと指摘せざるを得ない。

 生活保護の意義を踏まえ、国はあり方の見直しを検討すべきだ。

 国は2013~15年、生活保護費のうち衣食や光熱費などの生活扶助の基準額を、平均6・5%、最大10%引き下げた。年間の削減総額は670億円にのぼった。

 道内の受給者約130人が、国の決定に沿って扶助額を引き下げた札幌や苫小牧など居住する市と道を訴えていた。

 厚労省は引き下げにあたり、基準額に主に物価下落を反映させる手法を採用した。ただ、専門家の部会で検討しておらず、原告側は不当だと主張した。

 だが判決は「物価を考慮するかは厚労相に委ねられ、専門家が検討しなくても裁量権の逸脱や乱用にはならない」と指摘した。

 その上で「厚労相には国の財政事情を含めた判断が求められる。原告の生活は最低限度を下回っているとは認められない」として原告側の訴えを全面的に退けた。

 厚労省は原油が高騰した年を物価下落の起点とし、受給世帯が頻繁には購入しないパソコンなどの価格下落を反映させていた。

 これでは受給者が物価下落の恩恵を受けないまま、生活扶助費だけが減らされる不利益を受けることになろう。なぜこのような算定基準を採用したのか、厚労省から納得のいく説明はない。

 大幅引き下げありきの恣意(しい)的な政策決定との疑いが消えない。

 12年にはお笑い芸人の親族の生活保護受給が報じられ問題視された。同年末の衆院選で政権復帰した自民党は、生活保護1割カットを公約に掲げていた。

 当時の安倍晋三政権の公約の実現に向け、厚労省は不自然な手法を持ち出したのではないか。

 生活保護は公助の要だ。コロナ禍でその重要性は増している。困窮する人たちをスムーズに受給につなげる取り組みこそ重要だ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年03月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:「人間裁判」の訴え

2021-03-31 05:05:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【卓上四季】:「人間裁判」の訴え

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:「人間裁判」の訴え

 1日の食費は犬のえさ代にも満たなかった。支給される生活扶助費は月600円。買える肌着は2年に1着で血たんを拭くちり紙さえ買えない。1959年国立岡山療養所の病室で行われた臨床尋問で、結核患者朝日茂さんは生活保護打ち切りの不当性を訴えた(「人間裁判」大月書店)▼病気で働けなかった朝日さん。地元の社会福祉事務所は兄を見つけ出して仕送りをさせ、支給を打ち切る。月1500円のうち、本人に600円を渡し、残りは医療費の自己負担として取り上げた▼後に「人間裁判」と呼ばれる「朝日訴訟」は、生活保護の支給基準や運用が憲法25条が定める生存権を侵害していないかが焦点となった▼二審は逆転で原告敗訴となったが、人として最低限度の生活の具体的保障は国の義務と明示した東京地裁判決は、その後の社会保障運動を切り開く礎となる▼安倍晋三政権下で始まった生活保護費引き下げの取り消しを求めた訴訟で札幌地裁はきのう、請求棄却の判決を出した。大阪地裁に続く原告勝訴とはならなかったが、全国で約30件ある同種訴訟を通じて行政の裁量権の在り方を考え続けたい▼朝日さんは臨床尋問で「私はこのときとばかり、全身全霊をうちこんで訴えた」と自著に記した。「憲法は絵に描いた餅ではない」とは、その話を聞いた当時の浅沼武裁判長の言葉だ。耳を澄ませば聞こえる社会の悲鳴がある。2021・3・30

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2021年03月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【いずみ】:個性

2021-03-31 05:05:25 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【いずみ】:個性

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【いずみ】:個性 

 自分の命よりもはるかに大切な存在を知ったあの日から6年。子猿のようにかわいかった息子も4月から小学生になる。

 人生で、ある程度のことは人並みにこなしてきたつもりだった私と夫。しかし息子の子育てにあたっては、いくつもの壁にぶち当たり、悩むことも多かった。始まりは1歳半の乳幼児健診。息子は言葉がほとんど出ていなかった。

 自分の関わり方が悪かったのか、何か足りなかったのではないか…。自分を責め眠れない日もあった。息子の言葉を伸ばすために夫婦で奔走し、いろいろな方のアドバイスを求め、クリスマスには、息子に言葉を授けてほしいと願った年も。結局、3歳ごろから少しずつ言葉が出るようになり、今では「お父さん臭いね!」と、夫を動揺させることもできるようになった。

 それでも息子には、いまだに人より苦手なことが多く、興味のないことにはなかなか取り組めなかったりする。でも好きなことには一直線で、大好きな魚や乗り物、家電について、こんなにも目を輝かせて語れる子はいないだろう。これも息子の個性。個性を伸ばしてあげられる親でいたい。

 もしかしたら息子の人生は、壁にぶち当たることが多いかもしれない。でも壁は、必ずしも自分一人で乗り越えられなくてもいい。困った時は誰かに助けを求めることができる人になってほしい。それもあなたの大事な「個性」だから。

 ■梨木有紀(なしき・ゆき 33歳・看護師)=空知管内新十津川町

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【いずみ】  2021年03月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【週刊コラム】:日本の原発政策に見る無責任体質<政治をあきらめない>

2021-03-31 05:05:10 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【週刊コラム】:日本の原発政策に見る無責任体質<政治をあきらめない>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【週刊コラム】:日本の原発政策に見る無責任体質<政治をあきらめない>

 「3・11」から10年を迎えて、福島第1原子力発電所事故を振り返る多くの報道、検証が新聞、テレビで行われた。私は最近テレビをあまり見ない。特に、NHKのニュースは政府広報の色彩が強まったように感じて、見たくないと感じていた。

  • (写真はイメージですbyiStock)
 

 ■教訓学ばぬ政策決定者

 しかし、原発事故の検証についてはNHKの底力を感じた。NHK取材班が著した『福島第一原発事故の真実』(講談社)という分厚い本を読むと、東日本壊滅を免れたのはいくつかの思わぬ幸運が重なったおかげだったことを思い知らされた。そして、あの事故から日本の政策決定者は教訓を学ぼうとしていないことも痛感させられた。言い換えれば、日本の政治や行政における無責任の体質はどんな大きな犠牲を払っても改まらないということである。

 責任とは、最近の国会審議でも最も軽んじられている言葉である。たとえば、3月5日の参院予算委員会で、菅義偉首相は、首相の長男による総務官僚への接待に関する野党議員の追及に対して、「政治責任の定義というのはないんじゃないでしょうか」と述べた。責任の意味も分からずに国の最高指導者を務めるとは、摩訶(まか)不思議な話である。責任とはある意味で誰にもわかりやすい言葉である

 ■おてんとうさまは見ている

 日本では昔から、「おてんとさまは見ている」とか「罰(ばち)が当たる」という言葉が人間の行動を律してきた。おてんとさまとは当然の基準や規律であり、それを破れば罰を受ける。自分の私利私欲を超えた規則に従って行動すること、それを果たさなかったときに何らかの制裁を受けるという二つの要素が責任の中身である。政治家が責任を軽んずれば、その下で働く官僚も無責任になる。

 津波で原発が電源喪失状態に陥りメルトダウンしたことは、不可抗力の天変地異のせいではない。大きな津波に備えて防波堤を造り、非常用電源を高い場所に移すべきだという地震学者の警告は事故の前に存在した。つまり、安全のためにはそのような基準の対策を行うことが事業者の責任だったわけである。その責任を果たさずに事故を招いたのだから、損害を被った罪のない人々に対して補償をすることが事業者、あるいはそれを監督する政府の責任となる。

 ■自分勝手な政策とがめた裁判所

 原発事故後に福島県から千葉県などに避難した住民が国と東京電力に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、2月19日の東京高等裁判所は、国の賠償責任を認めなかった一審の千葉地方裁判所判決を変更し、国と東電双方の責任を認めた。高裁判決は、国が規制しなかったことと事故との間に「責任を認めるに足りる因果関係がある」として「規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上、違法だ」と認定した。

 また、3月18日、水戸地方裁判所は東海第2原発の再稼働について、避難計画の不備を理由に差し止める判決を出した。判決は「原発から30キロ圏内に住む住民が避難できる避難計画と体制が整っていなければ、重大事故に対して安全を確保できる防護レベルが達成されているとはいえない」と指摘した。

 いずれの場合も、国や電力会社はおてんとさま(=普遍的な基準)ではなく、自分にとって都合の良い曲がった物差しをもとに政策を進めていたことを、裁判所がとがめたという形である。裁判所が責任確保の歯止めになっていることは救いである。裁判所の手を煩わせる前に、政府も企業もおてんとさまに恥じない行動をすることが求められる。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【週刊コラム】  2021年03月27日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【東京五輪】:聖火リレー、群馬ランナーは3・11被災者「励み」

2021-03-31 02:18:30 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【東京五輪】:聖火リレー、群馬ランナーは3・11被災者「励み」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪】:聖火リレー、群馬ランナーは3・11被災者「励み」 

 東京オリンピック(五輪)の聖火リレーは30日、3県目の群馬県でスタートした。

 桐生市では、11年東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県南相馬市から群馬県沼田市に移住した木幡隆直さん(47=会社員)が走った。トーチを左右に持ち替えながら手を振り続け「緊張でドキドキしましたが、知っている人も知らない人も沿道から手を振って応援してくれた。励みになり、元気になりました」。

 10年前、次男悠紀さん(13)を幼稚園に迎えた直後に車内で揺れを感じた。妻亜希子さんの実家がある沼田に両親を含めた家族6人で避難した。13年に自宅を新築し、永住を決意。南相馬に戻った両親を含む被災者に向けても「復興の意味もあるし、放射能被害でまだ避難している人のためにも明るく笑顔で走ろうと思いました」と語った。31日には、悠紀さんも沼田市を走る予定で、親子で聖火ランナーを務める。

 ◆30日の聖火リレー

 群馬県館林市を出発し、桐生市、伊勢崎市などを経て前橋市に入った。太田市ではラグビー日本代表の堀江翔太がランナーを務め、ゴールの前橋市では、アルペンスキー元選手として1956年のコッティナダンペッツオ五輪で銀メダルを獲得した国際オリンピック委員会(IOC)元副会長の猪谷千春さんが走った。31日も群馬県内を巡り、スキーノルディック複合元日本代表荻原次晴さんが草津町、タレントの井森美幸が富岡市、中山秀征が高崎市をそれぞれ走る。

 ■聖火リレー・群馬のまとめはこちら>>

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東京オリンピック2020・パラリンピック・聖火リレー】  2021年03月31日  02:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:厚労省職員の宴会 立場忘れた非常識に驚く

2021-03-31 02:15:00 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

《社説①》:厚労省職員の宴会 立場忘れた非常識に驚く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:厚労省職員の宴会 立場忘れた非常識に驚く

 厚生労働省の職員23人が東京・銀座の居酒屋に集まり、深夜まで送別会を開いていた。新型コロナウイルスの感染対策を担う組織の一員として、著しく自覚を欠いた行動だ。

 「東洋経済オンライン」の報道で明るみに出た。緊急事態宣言が解除された直後、東京都が飲食店に午後9時までの営業時間短縮を要請している中でのことだった。

 店が午後11時まで開いていることをわざわざ確認して、予約したという。全員が店を出たのは日付が変わる直前だった。

 政府は感染対策として、宣言解除後も大人数での飲食や歓送迎会を控えることを国民に呼び掛けている。長時間の飲食は避け、アクリル板を設置した店を選ぶことを促していた。今回の送別会は、政府が求める感染対策にことごとく反していた。

 23人は感染対策が特に重要な高齢者施設を所管する老健局の所属だ。課長をはじめ課員の約半数が参加していたという。不適切だと分かっていたはずなのに、なぜ制止する声が上がらなかったのか。

 政府は、海外のロックダウン(都市封鎖)のような手法ではなく、国民や事業者に外出自粛や営業時間の短縮を要請することで、感染拡大を抑制してきた。

 国民は長期にわたり我慢を強いられている。生活の制約を求める側が自らの行動を律しないようでは、要請を真摯(しんし)に受け止めてもらえなくなる恐れがある。

 感染拡大の「第4波」への懸念が広がっている中で、これでは対策の徹底に支障を来しかねない。

 昨年12月には、菅義偉首相自らが自民党の二階俊博幹事長らと計8人で会食した。その後も、自民党や公明党の国会議員による銀座のクラブ訪問などが相次いで発覚した。いずれも厳しい批判を浴びたが、厚労省の職員には人ごとだったのだろうか。

 新型コロナ対策で厚労省は失態が続いている。国民の協力を得られるよう体制を立て直すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年03月31日  02:14:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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《社説②》:テラハは「倫理上問題」 悲劇くり返さない対策を

2021-03-31 02:14:55 | 【自殺・自殺願望・過労、職責による自殺・集団自殺、社会から孤独・孤立の現状】:

《社説②》:テラハは「倫理上問題」 悲劇くり返さない対策を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:テラハは「倫理上問題」 悲劇くり返さない対策を

 こんな痛ましい出来事を繰り返してはならない。

 フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが亡くなったことについて、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は「放送倫理上の問題があった」と判断した。

 番組が放送に先行してネット配信された後、番組内での木村さんの言動を巡ってSNS(ネット交流サービス)上で誹謗(ひぼう)中傷する投稿が相次いだ。亡くなった後、自殺をうかがわせる遺書が見つかっていた。

 自傷行為に及んでいたにもかかわらず、地上波で同じ番組の放送が決まった経緯が問題視された。

 人権委は出演者が人格攻撃を受けやすいリアリティー番組の特性を挙げ、フジテレビには「精神的な健康状態に対する配慮が欠けていた」と指摘した。

 最も重い「人権侵害」は認定しなかった。木村さんの自傷行為後、フジテレビ側がLINEでのやりとりや自宅訪問などの対応を取っていたことを考慮したからだ。

 人権委に先立ち、フジテレビは社内検証の結果として、演出面での強要やSNS上の炎上の意図はなかったと結論付ける報告書を公表している。

 若い命が奪われたことに改めて向き合う必要がある。厳しい少数意見が付いたことも含め、委員会決定を重く受け止めるべきだ。再発防止策を徹底するのは当然だ。

 リアリティー番組に限らず、放送を見ながらSNS上で視聴者が感想や意見を交わすのは、ネット時代ならではの楽しみ方だろう。一方で、ネットの匿名性ゆえ、容易に個人攻撃を招きやすいことも忘れてはならない。

 木村さんに対する誹謗中傷の投稿をした人たちの責任は重い。自分の投稿が他人を傷つけることはないか、手を止めて考える必要もあるだろう。

 委員会決定は通常、対象となった放送局への要望などが記されるが、今回は「悲劇が二度と起こらないよう、自主的な取り組みを進めるよう期待する」と放送界全体に注文をつけた。

 番組を制作する側は、出演者の安全や安心が最優先であることを忘れてはならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年03月31日  02:14:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:「足袋を脱ぐ足のほてりや花疲れ」は…

2021-03-31 02:14:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【余禄】:「足袋を脱ぐ足のほてりや花疲れ」は…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:「足袋を脱ぐ足のほてりや花疲れ」は…

 「足袋(たび)を脱ぐ足のほてりや花疲れ」は鈴木真砂女(すずき・まさじょ)の句。宴会は禁止という花見で、すっかり歩き疲れた方もおられよう。だがこの「花疲れ」、満開の群桜(ぐんおう)を目の当たりにして圧倒された心のけだるさをも表す▲逼塞(ひっそく)していた人の心身を目覚めさせ、また疲れさせもする春である。今はそんな季節と人の心身の奏でるリズムをかき乱すように割り込むもう一つのサイクルがある。いうまでもなく新型コロナの感染者の増減の「波」のことである▲「第4波に入った」――第3波を抑えた緊急事態宣言が解除されたばかりだが、大阪府の吉村洋文(よしむら・ひろふみ)知事や沖縄県の玉城(たまき)デニー知事からはこんな声が上がっている。宮城県、愛媛県、兵庫県の知事も感染拡大への危機感をあらわにした▲吉村知事は先月の法改正で新設されたマンボウこと「まん延防止等重点措置」を政府に要請する構えだ。緊急事態宣言に至らぬ段階で市町村単位に発動するこのマンボウをめぐる国と自治体の動きが今後の第4波対策の焦点となる▲そのおりもおり、厚生労働省の職員23人が深夜まで送別会をしていたと首相が陳謝する一幕があった。これがコロナ対策の本陣とは情けないかぎりだが、ことほどさように春のいつものリズムに流されがちな宣言解除後の日々である▲花見や歓送迎会はじめ、春の心の弾みをかき乱すコロナの「波」へのうらみは募る。だがその「波」の正体は、少し前の人々の動きそのものにほかならない。この1年間で学んできた苦々しい真実である。

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【焦点】:テラハ問題でBPO SNS対応、甘さ指摘

2021-03-31 02:14:45 | 【自殺・自殺願望・過労、職責による自殺・集団自殺、社会から孤独・孤立の現状】:

【焦点】:テラハ問題でBPO SNS対応、甘さ指摘

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【焦点】:テラハ問題でBPO SNS対応、甘さ指摘

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は30日、フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた木村花さんがSNS(ネット交流サービス)で中傷を受けた末に死去した問題について、フジ側の人権侵害までは踏み込まなかった。

フジテレビ番組「テラスハウス」に出演していた木村花さん=番組公式ホームページから

 一方で、出演者の人格がさらされるリアリティー番組の特質を強調し、フジ側の認識や出演者ケアなど体制の甘さを指摘した。

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【クローズアップ】:22年度から使用、高校教科書 国語「現代社会のよう」 論理的思考養成に重点

2021-03-31 02:14:40 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【クローズアップ】:22年度から使用、高校教科書 国語「現代社会のよう」 論理的思考養成に重点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【クローズアップ】:22年度から使用、高校教科書 国語「現代社会のよう」 論理的思考養成に重点

 2022年度から高校で新学習指導要領が実施される。国語と地理歴史・公民は科目編成が大きく変わり、実社会とのつながりを意識した学習を重視する構成が目立つ。授業はどう変わるのか。検定に合格した教科書から狙いや課題を探った。【大久保昂、千脇康平、田中理知】

 
 
「現代の国語」の教科書に掲載された法令文とその活用法の主な例

     「現代の国語」の教科書に掲載された法令文とその活用法の主な例

 「まるで『現代社会』のような内容ですね」

 今回合格した桐原書店の「現代の国語」の教科書に対し社内ではこんな声が漏れたという。これまでの国語の教科書とはまるで様子が違っていたからだ。ページを開くと、法律などに目を通して出入国手続きを考える▽二つの求人票を読んでどちらの企業に就職したいか議論する――といった実用的な内容が目につく。

 現行の指導要領で、国語の唯一の必修科目である「国語総合」(4単位)は「現代の国語」(2単位)と「言語文化」(2単位)という二つの必修科目に分けられる。

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【水説】:町で聖火は楽じゃない=古賀攻

2021-03-31 02:14:37 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【水説】:町で聖火は楽じゃない=古賀攻

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【水説】:町で聖火は楽じゃない=古賀攻

 <sui-setsu>

 3県目に入った聖火リレーは商業五輪を地で行っている。スポンサー企業の派手なコンボイ車列が大音量を響かせて通り過ぎた後に、ふとリレー走者が現れる。

 主客が入れ替わったようなその映像を見て、米ロック歌手ブルース・スプリングスティーンの初期の代表曲「町で聖者は楽じゃない(It′s hard to be a saint in the city)」が頭に浮かんだ。

 猥雑(わいざつ)さにあふれた都会を駆け抜ける歌のモチーフと、聖火リレーの姿が重なる。舞台は理念の花園ではなく、生臭い現実世界。聖者も聖火も楽じゃない。

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