「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

参宮旅行だった修学旅行

2006-06-04 05:28:11 | Weblog
中三の孫がけさ二泊三日の修学旅行へ旅立った。京都,奈良へ往復新幹線、
名跡めぐりはタクシー使用可という豪華版である。今どき当たり前の話かも
しれないが、われわれ旧世代には、ただ驚きだ。

戦前東京では小学六年のときに伊勢、奈良、京都へ修学旅行へ出かけたもの
だが、戦争が始まり一時中止になっていた。ところが昭和17年だけ幸運な
ことに復活、われわれはこの恩恵に浴した。この年は緒戦の勝利で国中が喜びに
沸立っていた。多分銃後の小国民にもこの喜びを分け与えようという政府の
”親心”だったのだろう。

しかし修学旅行ではなく「参宮旅行」であった。伊勢と奈良にそれぞれ一泊、
往復列車泊という旅であった。伊勢では内外宮、奈良では春日大社、橿原神宮
京都では平安神宮を参拝するなど文字通りの「参宮旅行」であった。でも、
こんな国策の旅であっても、旅館での枕ぶつけ、京都駅前で食べた昼食の
コロッケの美味だったことなど想い出は一杯。これが修学旅行なのだろう。

ちなみに現在東京ー新大阪間は「のぞみ」で2時間30分前後、戦前の特急
「つばめ」は8時間。われわれの「参宮旅行」はもちろん東海道線の電化以前
SLの旅だった。