「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「養老院」はなくなったがー

2006-06-29 05:58:19 | Weblog
「養老院」というと、暗い、貧しい、汚いといったマイナス・イメージだ。
事実、僕の脳裏には昭和30年代のはじめ取材のため訪れた東京・板橋の
養老院の孤独な老人たちの姿が残っている。汚い畳の大部屋で内職の袋
かけをしていた姿である。横浜の聖母の園・養老院の火事で100人ちかい
老女が亡くなった惨事は昭和30年2月であった。建物が旧海軍の木造二階
建ての老朽施設だっただけにあっという間に全焼してしまった。

半世紀を経た今この「養老院」のイメージは払底された。全国各地の老人
施設は格段と改善された。とくに有料の老人ホームの中には高級ホテル
より立派なものもある。友人が外国旅行の間、母親のために借りた施設も
"絢爛豪華”だった。ただ値段のほうも五つ星なみだったという。

好いことずくめのようだが、現実はそうではない。昨夜のNHKテレビに
よれば、身内の老人介護をめぐって、最近だけで10件もの刑事事件が
発生している。まさに悲劇である。先日、僕の先輩の一人が青あざの
腕をみせて「妻の認知症介護の勲章です」と笑っていった。笑っている
程度ならいいのだがー。高齢社会の到来で、75歳の僕のまわりにも
確実に老老介護が始まってきた。