「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

中間選挙の結果と国防相の辞任

2006-11-09 06:24:07 | Weblog
米国の中間選挙は予想どおり野党民主党の勝利で終った。下院選挙では
12年ぶりに過半数を上回る議員数を獲得した。選挙の争点はイラク戦争の
処理だったが、早速ブッシュ大統領は人気の悪かったラムズフェルド国防
相を辞任させ、政策の軌道修正を示唆した。

2003年、米国の軍事介入で始まったイラク戦争は、開戦後44日で米
国側が勝利したが、3年過ぎた今でもくすぶり続け毎日のように犠牲者
が出ている。今年の5月に樹立された新政府もきちんと運営されていると
は思えない。米国民の審判は当然である。

軍事介入の口実ともなった大量の秘密兵器はイラク国内にはなかった。
9・11テロの温床でもなかった。どうも1979年のイラン、イラク戦争以来
の誤ったラムズフェルトの情報にブッシュが踊らされたのではないだろうか。

イラクは複雑な国である。宗教的にはスン二、シーアの対立、少数民族
クルドの問題など、1958年の王制打倒クーデータ以来この国をウォッチ
してきたが、曲がりなりにも23年間も政権の座にあったのはサダム・フセ
インだけである。独裁政権のそしりはあり、クエート侵攻という失政はあっ
が、それなりに安定していた。

ラムズフェルトの石油利権がからむ情報でブッシュが踊り、小泉元総理
まで踊らされた。国税を使って自衛隊まで派遣したが、結果としてアラブ
に印象づけたのは、日本は米国の”傀儡”にすぎないということだった。
アラブは従来、わが国を欧米とは異なる先進国としてみてきただけに残念
である。