「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

バリ島からの報告(1)神になった旧日本兵

2006-11-29 06:10:12 | Weblog
11月20日、僕はバリ島の英雄墓地マルガラナで毎年催されている
独立戦争犠牲者慰霊祭(Hari Puputan Marrgarana)へ日本バリ会の
代表と一緒に参加した。この慰霊祭は昭和21年11月20日、インド
ネシア独立軍(司令官グラ・ライ中佐)が、オランダ軍の激しい攻撃に
あい、百数十人の部下と共に粛々とププタン(玉砕)した日を記念して
行われるもので今年で60回目を数える。

このププタンには、敗戦後日本の海軍第3警備隊を離脱してインドネ
シア独立軍に参加した荒木武友・上等兵曹(現地名 Made Sukri)=
長崎県=と松井久年・兵曹長(Wayan Sukura)の二人が参加しており、
英雄墓地の一角にバリの人たちと一緒にあつく葬られている。

僕が参加した日は、早朝から南の太陽が照りつけ暑かったが、旧都
シンガラジャに通ずる街道に面したマルガラナの会場は、全島から集
まった遺族、戦友など関係者など三千人で埋め尽くし、日本からも岩田
義正デンパサール総領事ほかかって収容所で松井兵曹長と一緒だった
稲川義郎氏(80)らも列席した。
慰霊祭は一時間以上にわたってバリ・ヒンズーの儀式にのっとって厳粛
に華やかに展開された。異邦人の僕の目には絵巻物の一巻として目に
映った。


60年前のこの日、この地で他国の独立のために尊い命を散華させた同
胞がいたのが、まるで夢のようた。僕はヒンズー様式の彼らのお墓に日本
から持参したお線香をたき、霊の安かれを祈った。墓には彼らと生前面識が
あったのだろうか老女たちが、綺麗な花やお供えものをしてくれていた。

(続は彼らのために慰霊塔と像を造ってくれた村びとたちの話)