「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          ”バブル”を知らない新成人に期待

2012-01-09 07:12:05 | Weblog
1991年(平成3年)生まれの孫の一人が今日成人式を迎えた。男性なので服を新調し記念撮影したぐらいで済んだが、女性の場合は大変のようだ。成人式用の晴れ着を造り、付属品まで買い、美容院へ行ってネールペインティングまでしようものならそれこそ”一財産”とんでしまうとか。それに伴う祖父母の出費も増えるが、幸いわが家は男なので少なくて済んだ。しかし、はでやかな孫娘の晴れ着姿は拝めなかった。

今年成人を迎えた世代は”バブル”期を知らない若者たちだ。1991年は”バブル”がはじけた年で、以来日本の経済は低迷を続け、リーマン・ショックから最近の歴史的円高まで一向に景気は浮上してこない。彼らはこの時代に育ってきた。でも、見た目には、それを感じさせない。散歩がてら出かけた成人式の会場周辺は新成人のはじけるような元気な笑い声が満ちていた。

「成人の日」は1948年に制定公布された「祝日法」によりものだが、51年に成人を迎えた僕には成人式を祝った記憶がない。友人に聞いてみたが同じである。僕らの成人式を迎えるまでの20年は、満州事変から敗戦までの15年があり、平和だったのは戦後のわずか6年間にすぎない。1951年はサンフランシスコ平和条約が締結された年で、すでに戦争は遠い過去の存在になっていたが、まだ成人式を祝うほどの世相ではなかったかもしれない。

今年の新成人も97年の阪神、昨年の東日本大震災と二つの自然災害を経験しているが、戦争という国家的な悲劇は体験していない。また”バブル”期という、ある意味では国をあげて”浮かれほけていた”時代を知らない。現在は日本の”逆境期”かもしれないが、こういった時期にはかえって”バブル”期を知らない世代のほうがよいかもしれない。期待する。