「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          野田総理の“隗より始めよ”施政演説

2012-01-25 07:26:58 | Weblog
昨日テレビで野田佳彦総理の通常国会開始にあたっての施政演説を聞いた。1時間近くに及ぶ堂々としたもので感心した。ご本人が書いたものかどうか知らないが、とにかく美辞麗句を駆使し、外国語を多用した演説で”学のない”者にとっては、ただ驚きの一字であった。その一例。”隗より始めよ”という中国の故事からの引用。野田総理は”(これは)政治と行政を担う者が国民の皆様に示さなければならない矜持です”といった。が、僕を含めて果たして国民の何人がこの故事の意味が理解できただろうか。

まず”隗より始めよ”(漢時代の書 戦国策の燕策)の意味。三省堂編「慣用句ことわざ辞典」は”人にこのようにしろというよりも、言い出した自分がまず始めなさい”という意味だと説明している。おそらく野田総理は消費税増税を国民に強いる前に、政府や国会議員が議員手数を削減したり、公務員の給料を下げるべきだ、という意味で引用したのであろう。しかし、本来の意味は、この「慣用句ことわざ」辞典によれば
”戦国時代に燕の国王が、賢者を国に招こうとした時、その臣の郭隗が”王がまことに賢者を招こうとするなら、まずこの隗(自分)を優遇してごらんなさい”ということだそうだ。なにか自信満々の総理を示唆するようにも取れる。

昨日の総理の施政演説をはじめ玄葉外相の外交演説、安住財政相の財政演説、古川経済相の経済演説どれをとっても立派なものだ。野田総理は1957年生まれだが、あとの三人は1960年代の生まれで若さに満ち清新な印象を受けた。しかし、俗っぽい言葉で恐縮だが、若さがゆえにすこし肩に力が入りすぎていたのでは。美辞麗句の優等生演説よりは、いま国民が期待しているのは、まさに政局より大局である。党内に政局好きの御大がいては大局といっても野党はうかうか話にはのれないのでは。