「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

プーチンの”巌流島”戦術 領土返還の原則を曲げるな

2016-12-16 06:06:07 | 2012・1・1
ロシアのプーチン大統領が昨夕、日露首脳会談出席のため2時間遅れで来日した。プーチンの約束時間破りは常套だとのことだが、まさか会談場所の長門が、同じ山口県の宮本武蔵ゆかりの巌流島に近いのを知り、その故事にならい、日本側をいらだたせる心理作戦に出たわけでもあるまい。話し合いは安倍.プーチン両首脳だけの会談含め、双方で数時間に渡って行われたが、新聞の見出しは”日露共同経済活動で合意”で北方領土返還問題がどうなったか判らない。

原則論にこだわるが、国後、択捉、歯舞、色丹四島はわが国固有の領土である。史上他国の領土になったことはない。戦前、学校の卒業式で歌われた「蛍の光」の四番には「千島の奥も沖縄も 八州(やしま)の内の護りなり。至らん国に勲(いさお)しく 努める我が兄(せ)つつがじく」とある通りだ。千島は明治8年(1875年)ロシアとの間のサンクトぺルグ条約で当時の樺太(サハリン)と交換して領土となったのである。

これに対して、プーチン大統領は北方領土は、第二次世界大戦の”戦利品”的な認識でこれを主張している。しかし、ソ連(当時)は昭和20年8月6日、日本の敗戦を見越して、一方的に日ソ中立条約を破棄して、敗戦2日後に旧満州に侵入、ついで樺太、千島列島にも上陸してきて9月1日までに占領している。まさに”火事場泥棒”的な行為である。

戦前から戦中にかけて女の子の間で歌われた毬つき歌に”いちれつ談判破裂して、長門の浦を船出したという里謡がある。日露戦争が始まった時の歌である。安倍.プーチン会談は今日も会場を東京に移し、成果を共同声明の形で発表するようだが、領土返還についての成果はないようだ。ロシア側は問題を先送りして、自国に有利になる作戦である。長門の浦を船出しては困るが、ロシア側のペースにはまって”佐々木小次郎”になっても困る。