「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

70年前と今の大学生の読書量

2018-02-28 05:49:10 | 2012・1・1
全国大学協連という団体が1万人の大学生を対象に調査したところ、1日の読書量がゼロという学生が半分以上だったとう。また1日の平均読書時間は23.6%にすぎなかったそうだ。日本人全体の”活字ばなれ”が進んでおり、あまり驚くべき数字ではないのかもしれない。内閣府の調査では、中学生の一日のネット利用が2時間29分という時代である。

70年前、昭和24年の「学生日記」(旺文社)が何故か1冊だけ手元にある。大学の予科から本科に移行した年だが、各月の末尾にその月読んだ本の名前が書いてある。その2月を見ると、次の4冊であった。▽永井隆「長崎の鐘」(原爆を被曝した長崎大学教授の手記)▽花山信勝「平和の発見」(東京裁判巣鴨刑務所被告の教晦師)▽倉田百三「出家とその弟子」▽トルストイ「アンナカレ二―ナ」。

今思うと、長編の「アンナカレニ―ナ」を1か月でよく読破出来たと思う。70年後の今、その筋さえ忘れてしまったが、当時を思い出すと、今の生活環境と全く違う。スマホやPCもはおろか、テレビもない。ラジオもNHKと進駐軍放送「WVTR」しか聴けない時代であった。ある意味では時間に恵まれた時代だったのかもしれない。

毎日が日曜日、時間はもて余すほどある80老人だが、大学生だけではない。今年になって既に50日になるが、僕も1冊も本を読んでいない。時代が急速に変化してきているのだ。活字離れした世界がどう変化してゆくのだろうかー。