台風一過、東京は朝から雲一つない青空だ。朝食前に近所の散歩道になっている呑川緑道へ出かけたら台風に“耐えた”ミニザクロを見つけた。呑川は世田谷から目黒、大田区を経て東京湾に入る小川だが、昭和40年代の初め暗渠にされ緑道となった。それまではちょっとした台風でも洪水になった。
戦前、僕が住んでいた五反田の母方の実家には大きなザクロの木があり、よく食べたものだ。周囲からザクロの味は”死人の味”がするなどと言われたが、独特の甘い酸っぱい味はそんなこととお構いなく美味しかった。後年、昭和37年旅をしてレバノンのベイルートの街角でザクロをつぶしてジュースにして売っていた。二日酔いもあってその味のおいしかったこと。後で知ったのだが、ザクロの学名Punicaはレバノンの旧名フェニキアからきているとのこと。本場の味だったのだ
園芸にあまり関心がない僕だが、ザクロにミニザクロという園芸種があることを初めて知った。盆栽の一種なのだろうか。加齢のせいだろうか、さすがに食べてみたいという好奇心はなくなったが、ついでに緑道で見かけた他の秋の草をカメラにおさめてきた。