娘婿が先日横須賀の佐島港に上がったばかりのひこイワシを買ってきてそのお裾分けを貰った。早速しょうがで甘辛く煮て食べたが、新鮮で絶品である(写真)、東京では、イワシというと一般にはひこイワシのことをいう。戦前、江戸前(東京湾)で新鮮な魚が沢山とれた頃、朝早く、江戸の街には”イワシ子やイワシ子”と行商人が売り歩いた。その独特の売り回しの言葉は何故か今でも僕はいえる。
僕は恥ずかしながら最近までマイワシとひこイワシとの区別を知らなかった。30年ほど前札幌に在住、よく薄野の居酒屋で゛七つ星”という背に七つ”星””がついた焼き魚を食べたが、これはマイワシで、子供の頃、母親がよく料理してくれた東京湾で獲れたひこイワシと同じで形が大きいぐらいにしか思わなかった。
安ウイスキーがサラリマンの間で全盛の頃、僕は格好をつけて、輸入品のアンチョビの缶詰を食べた。このアンチョビがひこイワシであることも、これまた僕は最近まで知らなかった。老妻がイワシ子は「し」と「ひ」の判別がつかない江戸っ子が「ひこイワシ」を「イワシ子」となまったのではないかと珍説を述べていたが、これはどうも。ひこイワシは美味なわりに、あまり東京では食卓に上がらない。何故なのだろうか。見栄えが悪いからだろうか。もったいない。