「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

中曽根元総理 靖国見送り「負の遺産」

2019-12-01 05:19:33 | 2012・1・1
中曽根康弘元総理が101歳の天寿を全うされ亡くなられた。30日付の産経新聞の見出しを拾ってみると”戦後政治の総決算”冷戦下の日米関係の礎”と高く評価しているが一方、三段ながら”靖国参拝見送りは負の遺産”としている。中曽根氏は昭和60年(1985年)8月15日、終戦記念日に靖国神社を参拝しているが、中国など近隣諸国の大反発にあい翌年から中止している。

何故、中止したのか。外交的配慮とされているが、当時の富田朝彦宮内庁長官からの進言があったのではないか。富田長官は後年(2007年)昭和天皇の発言などを長官時代にメモにしていたことが日経新聞に公表され話題になった人物だ。富田長官は戦争中海軍の現役主計将校を育てる「短現」の中曽根氏の3年後輩であり、後藤田正晴官房長官のあさま山荘事件のさい直接の部下だった。

宮内庁は機構上内閣官房下にあり、富田長官から昭和天皇の考え方は後藤田長官に伝えられることは当然である。多分、昭和天皇が靖国神社が”A級戦犯合祀”に反対でご親拝をやめたというメモにあるようなことも伝えられていたに違いない。

天皇陛下の靖国神社ご親拝は昭和50年を最後に44年間中止され、平成31年間一度も行われていない。「富田メモ」の信ぴょう性は別として靖国神社と天皇陛下との関係を考えればご親拝を復活すべきである。その意味では、中曽根氏は負の遺産を残してしまった。