「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

季節感喪失 菊の香高くない「文化の日」

2020-11-03 05:42:40 | 2012・1・1

11月3日は「文化の日」の国民の祝日である。戦前昭和の時代には明治天皇の誕生日で、「明治節」と呼ばれ、「四方拝」(1月元旦)「紀元節」(2月11日)「天長節」(4月29日)とともに国の四つの大きな祝日「四大節」であった。僕ら昭和1ケタ銃後の小国民世代はこの日には授業がなく学校の式典に参加、紅白の饅頭をお祝いに貰った。

それぞれの「四大節」には子供心にも季節感があった。”秋の空澄み、菊の香高き........"は明治節讃歌第三節の出だしだが、今でもこの歌を口ずさむと、当時の東京の秋の情景が目に浮かんでる。僕は歌詞の”菊の香高きが、耳から入ってきた言葉のため意味が解らず”菊の肩掛け”と誤解していた。当時日本の女性はまだ和服姿が大半で、肩掛けは外出の際、背中にかける布である。

11月3日は「明治節」の昔から”晴れ”の特異日とわれており、今日も東京首都圏の空は澄んでいる。しかし、戦前に比べて季節の進み方がのろいような気がする。「明治節」には”菊の香が高かったが、「文化の日」には香がしてこない。それとも今年はコロナ禍で季節感が喪失したためかもしれない。