その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

トリノ王立歌劇場で「イドメネオ」を観る

2010-01-26 08:37:08 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 ミラノからトリノへ移動し(距離にして150キロ、電車で2時間、€9)、トリノ王立歌劇場でモーツアルトの『イドメネオ』を観ました。(イドメネオについてのWiki解説はこちら

 トリノ王立歌劇場は外面は昔のオペラハウスさながらの古いものですが、内部は近代的なオペラハウスです。球体を基調としたホールデザインや赤の色調でまとめた色具合など、イタリアらしい個性あふれる魅力的な劇場です。




 過去を遡るとプッチーニの『ラボエーム』や『マレンレスコー』の初演を行い、トスカーニが音楽監督も勤めた歴史的な劇場です。現在の音楽監督はジャナンドレア・ノセダ。たしか、N響でも振っていたような気がします。パンフレットを見ていたら、2月の公演はなんとベンジャミン・ブリテンの『ペーター グリムス』を佐渡裕が振ることになっていました。今年、日本公演を行う予定のようです。

 聴衆の皆さんは、スカラ座と違い、殆どの方が地元の方にお見受けされました。東洋人や写真をとってる人は私ぐらいのもので、他には誰も見かけませんでした。クロークに毛皮のコートを着たおば様達がたくさんいらしたのでちょっと引きましたが、土曜日のせいか男性のスーツ・タイ着用率は昨夜より低く7割ぐらいといったところでしょうか?ロビーやホワイエのスペースがふんだんにとってあるので、ゆったりとした空間で、皆さんおしゃべりに花を咲かせています。とっても賑やかで、華やかなな雰囲気で一杯です。


 この日も席は一等席。ただ値段のほうは昨夜のスカラ座に比べると何と3分の一です。なんでこうも違うのだろう???

 さて、公演のほうはどうだったかというと、昨夜と逆で、期待以上にレベルの高いものでとっても楽しめました。

 歌手陣はイダマンテ役のLucia Cirillo、イリア役のYolanda Auyanetが出色の出来でした。ともに非常に通りの良い、清らかな声でホールの隅々までに響き渡る声で、かつ表現豊かな歌を聴かせてくれました。演技のほうもとっても上手です。イダマンテのLucia Cirilloは細身の小柄な人ですが良くあれだけの声がでるものと感心します。


Yolanda Auyanetの外見は役柄とはちょっとイメージが違うものの、風格を感じさせる歌唱と演技でした。タイトルロールのJosé Ferreroのテノールは、やや低めの安定感のあるテノールで私は好みでした。歌唱はとってもよかったものの、演技はちょっと一本調子だったかなあという感じでした。エレットラのソプラノ、アルバーチョのテノールはとびきり印象的というほどではありませんでしたが、安定した出来だったと思います。


 あと、オーケストラもとっても良かったです。指揮のTomáš Netopilは見たところとっても若い人でしたが、モーツアルトの美しいハーモニーを聴かせてくれました。ホールの響きの素晴らしさとあいまって、うっとりする音楽つくりだったと思います。


 面白かったのは、演出です。ボローニャの歌劇場との共同制作の新演出とのことですが、舞台を現代に置き換え、所々映像も交えたプロダクションはとっても楽しめました。

 会場の反応は、私が期待したほどの熱烈大拍手ではありませんでした。好意的な拍手だったとは思うのですが、意外と大人しい印象です。イタリアだからといって、なんでもブラボー連続というわけではないようですね。

 夜8時から始まった公演が終わったのは11時10分過ぎ。吐く息が白い夜の寒さの中、大満足で会場を後にしました。


Teatro Regio, 23 Gennaio 2010

Locandina
Dramma per musica in tre atti
Libretto di Giambattista Varesco
dall'omonima tragédie lyrique di Antoine Danchet

Musica di Wolfgang Amadeus Mozart

Personaggi Interpreti

Idomeneo tenore José Ferrero
Idamante mezzosoprano Lucia Cirillo
Ilia soprano Yolanda Auyanet
Elettra soprano Patrizia Biccirè
Arbace tenore Alessandro Liberatore
Il Gran Sacerdote di Nettuno tenore Dominic Armstrong
La voce basso Lucas Harbour
Prima Cretese soprano Lourdes Rodrigues Martins
Seconda Cretese contralto Daniela Valdenassi
Primo Troiano tenore Sabino Gaita
Secondo Troiano basso Vladimir Jurlin

Maestro al fortepiano Carlo Caputo

Direttore d’orchestra Tomáš Netopil
Regia Davide Livermore
Scene Santi Centineo
Costumi Giusi Giustino
Luci Andrea Anfossi
Assistente alla regia Alessandra Premoli
Assistente alle scene Monica Manganelli
Assistente ai costumi Clara Mennon
Altro assistente alla regia Gualtiero Ristori
Maestro del coro Roberto Gabbiani

Orchestra e Coro del Teatro Regio

Nuovo allestimento
in coproduzione con Teatro Comunale di Bologna
e Teatro Carlo Felice di Genova

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする