その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

LSO ゲルギエフ指揮 『エレクトラ』

2010-01-15 07:25:27 | オペラ、バレエ (in 欧州)
※今日は朝から雨。これでやっと、積もった雪も一掃されました。無くなったら無くなったで、少しさびしいですね。

 さて、一昨日にバービカンホールへロンドン交響楽団演奏のR・シュトラウスの「エレクトラ」を聴いてきました。コンサート形式のオペラです。

 お話(愛する父親が、母親とその愛人の共謀により殺され、その復讐を図る娘の話)も音楽もおどろおどろしいものなのでとても新年早々から聴きたくなるような曲ではありません。しかし、LSOと独唱者のパワーが炸裂した、衝撃的なコンサートでした。2時間近くの演奏時間を、全く休む間もなく、大声で叫びながら全力疾走で走り尽くすようなコンサートです。

 まず、独唱のエレクトラ役のJeanne-Michle Charbonnet とその妹Chrysothemis役のAngela Denoke が素晴らしかったです。席が幅広のバービカンホールの壁際だったせいかもしれませんが、Jeanne-Michle Charbonnetの声量は、100名を超えるLSOの爆音にややかき消され感がありました。しかし、コンサート形式にもかかわらず、表情や全身を使っての演技がまさに怪演とも言えるほど、印象的でした。すさまじい迫力と存在感で多少の声の通りの悪さなどは吹き飛んでします。それを、2時間近く出ずっぱり、歌いつづめですから、すごいエネルギーとパワーにただひたすら脱帽です。

 逆にAngela Denoke は淡々と歌う一方で、その声量や声の通りはJeanne-Michle Charbonnet を凌ぐものでした。本当に美しいソプラノでした。

 あと何といってもゲルギエフとLSOの演奏を賞賛せずにはいられません。この大規模オケが鳴らしまくる楽曲を、個の力と全体のバランスを両立させ、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。足を運ぶたびに毎回思いますが、このオケの実力は本当に素晴らしいと思います。

 新年早々のプログラムとしては滅茶苦茶ヘビーでしたが、聴く方も全力でぶつかる爽快感が残るコンサートでした。

※緑のドレスがJeanne-Michle Charbonnet。黒がAngela Denoke。



Jeanne-Michle Charbonnet


London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
UBS Soundscapes: Strauss Elektra
12 - 14 January 2010 / 19:30
Barbican Hall
Strauss Elektra

London Symphony Orchestra
Valery Gergiev conductor
Jeanne-Michle Charbonnet Elektra
Angela Denoke Chrysothemis
Felicity Palmer Clytemnestra
Matthias Goerne Orestes
コメント (8)
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