その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ゲルギエフ/ ロンドン交響楽団/ チャイコフスキー交響曲第3番ほか

2011-05-15 23:29:27 | コンサート (in 欧州)
 久しぶりのLSO。今日はゲルギエフの指揮で、ショスタコーヴィチの協奏曲2つとチャイコフスキー交響曲というプログラム。どの曲も実演はもちろんのこと、CDでも聴いたことがない(はず)。開演前にvoyager2artさんにばったりお会いした。

 前半の1曲目はピアノとトランペットの協奏曲、2曲目はピアノの協奏曲2番。ピアニストのYefim Bronfman(イェフィム・ブロンフマン)さんは若き日にソビエトからイスラエルへ亡命したとパンフに記載があったが、世界的にも有名なピアニストらしい。プログラムの写真は顔しか写ってないが、登場するとずいぶんと肥えた大きな人で少し驚いた。ただピアノはその大柄な体格とはまるで似つかわない繊細で、軽快で、優美なピアノ演奏だった。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲ってどんなものか、ちょっと構えてたのだけど、聴きやすい曲だったので良かった。 第2楽章なんて本当に美しいメロディでびっくり。

 チャイコフスキー交響曲第3番も初めて聴く曲だが、チャイコフスキーらしいバレエ音楽のような耳に優しい聴きやすい曲で楽しめた。第2、3楽章のファゴットの音色がとても美しい。最後は大円段で盛り上がってフィニッシュ。ゲルギーも終始ノリノリの指揮ぶりで、3階席からはゲルギーの手のヒラヒラがひときわ目立ち、蝶でも舞ってるかのごとくだった。

 今日は仕事の関係で日中は1日部屋に居たので、体力も温存され、ベストコンディションでコンサートに臨めた。今夜は最安8ポンドの3階席だったが、あまりそのデメリットを感じないほど、よく聴こえたし、自分としても集中できた。いつもこうありたいものだ。

 ここ2回、マゼールさんのマーラーが続いたので、久しぶりに、スタンダードな形式のクラシックコンサートを楽しんだ。

(ピアノのYefim BronfmanとトランペットのPhilip Cobb)


(終演後)



 --------------------------
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
Music by Shostakovich and Tchaikovsky
12 May 2011 / 19:30
Barbican Hall

Shostakovich Concerto for Trumpet, Piano and Strings
Shostakovich Piano Concerto No 2
Tchaikovsky Symphony No 3 ('Polish')

Valery Gergiev conductor
Philip Cobb trumpet
Yefim Bronfman piano
London Symphony Orchestra

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イングランド北部の旅(その1) セトル・カーライル鉄道に乗ってヨークシャデイルズを縦断する

2011-05-15 01:10:34 | 旅行 海外
 4月末から5月頭のロイヤルウエディング連休では、我ながら、結構精力的に動いていて、1泊2日の北イングランドの旅行にも出かけました。天気にも恵まれ、印象的な旅行になりましたので、ご紹介します。今回の目玉は、ハドリニアヌス帝が築いたローマ帝国の北限ハドリニアヌスの城壁を見に行くことですが、このほかにもセトル・カーライル鉄道の乗車というのもありました。

 初日は、8:10キングスクロス発の長距離列車でイングランド北部のヨークシャー・デイルズ国立公園へ向かいます。ヨークシャー・デイルズは、「激しい自然と独特の文化で知られ・・・その面積は1769平方キロ(大阪府よりやや狭い)広さ」(地球の歩き方 イギリス)の20を超える谷(デイル)から成り立つエリアです。そして、セトル・カーライル鉄道とは、そのヨークシャー・デイルズをほぼ南端に沿って縦断する鉄道です(ヨークシャのセトルとカンブリアのカーライルを結ぶので、この名前がついています)。全長116キロの間に22の陸橋と14のトンネルがあり、イングランドでも有数の高地(とはいっても海抜350メートルぐらいですが)で、絶景が楽しめるローカル線と言われています。さしずめイングランドの小海線って感じでしょうか。

 北イングランド有数の商業都市リーズで乗り換え、いよいよセトル・カーライル鉄道のスタートです。車両は、ローカル線らしく外装はぼろいですが、車内は清潔で快適でした。



 列車は、眩いばかりの陽の光と緑のなかを快適に進みます。ローカル線と言っても結構スピードも速いです。しばらく乗ると、平地から低い山のような、広く広がる草原地帯の丘陵地帯に入ります。羊が見えますが、特に生まれたばかりのような小さな子羊を多く見かけます。ポーランドの車窓とちがい動物のいる風景は心がなごみます。

(車窓から)
  

(セトル駅)


途中、70歳は優に過ぎていると思われるおばあさんが、セトルカーライル鉄道のパンフレットの販売に来ました。イラストや写真を交えたとてもきれいなパンフレットでした。3ポンドということだったので、迷うことなく買いました。

(パンフレット売りのお婆さんと買ったパンフ)
 

 車窓から見える風景は素晴らしいです。草地が進むにしたがって荒涼とした大自然が迫ってくる。家々も見えなくなり、ただただ荒野だけが広がる。 こうした風景はイギリスでも余り見た覚えがありません。

 1時間半ほど乗って、リブルヘッドという大荒野のど真ん中にポッツリと立つ駅で途中下車下車しました。この先にある24本の柱で支えられるリブルヘッド陸橋を見るためです。駅舎は本当に小さいのだが、駅舎内はセトルカーライル鉄道の歴史を展示してあるミニ博物館になっています。

 

 外はすごい風です。宮沢賢治が「風の又三郎」でどんな擬音語を使って風を表現したかは忘れましたが、「風の又三郎」を思い出しました。ゴオー、ザーとでも言うようなどこからというより空気全体が風という感じです。体のバランスをとるのが難しいくらい。

(風は写真に写らないので残念。唯一見つけた風が分かるもの。でもこれでは伝えきってません)


 駅員さんに教えられた通り道を進むと、すぐに陸橋が見えてきました。何もない荒野の谷を結ぶ陸橋は何とも美しい。感動的でさえあります。高さは30メートルらしいのですが、こんな風の中、どうやってこんな橋をかけたのでしょうか。エンジニアの執念を感じます。

   

 この原野の中、この国立公園をWALKINGで楽しむ人たちをちらほら見かけます。日本には決してない風景だと思います。次の列車までまるまる2時間あったので、私もこの風景を1時間ほど歩いて満喫しました。



 しかしこんな民家は見渡す限りゼロで、WALKINGを楽しむような人しかいないところにもパブだけはあるからイギリスは不思議。丁度、昼時でもあったので中に入ってビールとミートパイを頂いた。中はハイカーばっかりで満員でした。

  

 再び、列車に乗って終点のカーライルまで1時間ちょっとの車窓を楽しみます。カーライルが近づくに従って家が現れ、人界に降りてきた感じがします。期待通りの2時間半の鉄道の旅でした。

 

 ちょっと私の写真ではヨークシャ・デイルズの広大さを写し切れていないのが残念です。

※セトル・カーライル鉄道のホームページはこちら→

 (2011年4月30日 旅行)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする