その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

オペラ・ホーランド・パーク/ コジ・ファン・トゥッテ

2012-06-29 00:16:43 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 ロンドンの夏の風物詩でもある野外オペラのオペラ・ホーランド・パークに、モーチュアルトのコシ・ファン・ティッテを見に行きました。

(天気が良ければ、もっと気持ちいんですが・・・)






(開演前)


 今年のロンドンの夏を象徴するような、ひどい荒れ模様の天気でした。開幕前から凄い風がテント小屋に吹き荒れ、テントの中も寒い寒い。準備のいい人は、コートを着て、ブランケットを膝にかけ、防寒ばっちり。私は、Tubeの駅で配布している無料夕刊紙を体に巻きつけ、少しでも体が冷えるのを避けようと涙ぐましい努力です。休憩時間で、もう帰るべきかどうかを真剣に悩んだぐらいです。そして、休憩後は嵐のような雨で、テントに打ち付ける雨音がうるさいぐらい。こんなコンディションの中で歌う歌手さんや、演奏するオーケストラの皆さんには「お気の毒さまです」ぐらいしかかける言葉がありません。

 そんな最悪のコンディションでしたが、オペラのほうはとても楽しく、熱い公演でした。歌手は女性陣の活躍が目立ちました。特に、フィオルディリージ役のElizabeth Llewellynが張りのある力のこもったソプラノで良かった。ドラベッラ役のJoana Searaも声が美しい。ロイヤルオペラでは(他も普通そうだと思うのですが)、女中のデスピーナ役はおばさんなのでそのイメージが強かったのですが、今回は若いお手伝いさん風。Joana Searaの歌唱はもう一つパンチにかけるものでしたが、若き日の沢口靖子風のチャーミングな感じで、演技もなかなか。楽しませてもらいました。

 演奏のほうは、かなりスローペースの演奏。指揮者のThomas Kempは私には初めての人だと思いますが、派手なところは無く堅実な指揮ぶりが印象的です。演出は極めてオーソドックス。ロイヤル・オペラの現代演出版に慣れてしまったので、レトロな雰囲気が漂うこんな演出もいいものと見直しました。

 「帰らなくてよかった」と心底思える公演で拍手。

(中央がElizabeth Llewellyn)


(指揮者のThomas Kemp)


(デスピーナ役のJoana Seara)




Opera Holland park
Così fan tutte

Wolfgang Amadeus Mozart
June 8, 13, 16, 18, 21, 24, (matinee 2pm), 28, July 4, 7 at 7.15pm

First performed at the Burgtheater in Vienna on 26 January 1790

Libretto by Lorenzo Da Ponte

Sung in Italian with English surtitles
New production


Conductor Thomas Kemp
Director Harry Fehr
Designer Alex Eales
Lighting Designer Colin Grenfell

Fiordiligi Elizabeth Llewellyn
Dorabella Julia Riley
Ferrando Andrew Staples
Guglielmo Dawid Kimberg
Despina Joana Seara
Alfonso Nicholas Garrett

With the City of London Sinfonia and the Opera Holland Park Chorus
コメント
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