つい2週間前に、ロイヤル・コンセルトヘボウを振ったハイティンク大先生がLSOを振るということでこれまた楽しみだった演奏会です。期待どおりの二重丸でした。
特に素晴らしかったのは、マリア・ジョアン・ピレシュによるモーツァルトのピアノ協奏曲20番。一つ一つの音の輪郭が明確な上に、連続性があり、とっても優美。完全に自分の曲として自信を持って弾いている感じで、安心して音楽に浸っていられます。
久しぶりに聴く第2楽章は映画「アマデウス」のエンディングで使われた曲。聴きながら、高校時代、クラブ活動の帰りに地元の名画座に、黒の詰襟を来たまま男友達と2人で見に行った思い出が蘇ってきました。最終日の最終回にかけこんだためか、20名もいないのではと思われるホール内に流れるこのエンディングテーマ。クレジットのすべてが流れ、音楽が終わるまで、誰一人として席を立たないし、扉から新たに入ってくる人も居ない。こんなに最後の最後まで映画を味わいつくしたのは初めてだったし、音楽と言えば、聖子、明菜だった私にクラシック音楽って悪くないなと思った初めての瞬間だったのです。
そんな高校時代の思い出にも浸りながら、このモーツァルトがずーっとこのままいつまでも続いてほしいと思って聴いていました。ピレシュはとっても小柄ですが、その小柄な体が叩くピアノの音は主張はあるけども、とっても自然体。体に染み入るような音です。ただただ美しく、一つの完成された演奏だと思いました。
前回のブルックナーの時もハイティンクの指揮は、堅牢で重厚な演奏だったのですが、今回も最初から最後までこのスタイルでした。一曲目のパーセルも2曲目のモーツァルトもスケールの大きい交響学的な演奏だったので、もっと小規模な室内楽的な演奏なのかと勝手に思っていた私には意外でした。
休憩後のシューベルトの交響曲第9番は、有名な曲のはずなのに、CDも持っていないし、実演もはじめてなので、恥ずかしながらはじめて聴く曲でした。でも、隙がない演奏であることは私にも分かります。弦の重厚な演奏、美しい木管の調べ音が印象的です。悪く言えば癖が無さすぎて、教科書的な印象を感じないわけでもありませんが、この堂々としていて、重心が低く、安定的なびくともしない演奏は、教科書的というよりも王道を行くといったほうが相応しいと思います。ハイティンクの指揮と高い技術を持つLSOの素晴らしいコラボでした。
スタングオベーションはないものの会場は大きく暖かい拍手に包まれました。演奏を終えた奏者の安堵と満足感の表情に加え、奏者のハイティンクに向ける眼差しや奏者からの拍手からも、ハイティンクがいかに奏者からも慕われ、敬われていることがわかります。
それにしてもハイティンク大先生は俳優の晩年の志村喬(故人)に似ているなあ~
(マリア・ジョアン・ピレシュ)
(シューベルト終演後のハイティンク大先生)
(楽員から讃えられる大先生)
London Symphony Orchestra / Bernard Haitink
Music by Purcell, Mozart and Schubert
10 June 2012 / 19:30
Barbican Hall
Purcell Chacony in G minor
Mozart Piano Concerto No 20
Schubert Symphony No 9 (‘The Great’)
Bernard Haitink conductor
Maria João Pires piano
London Symphony Orchestra
特に素晴らしかったのは、マリア・ジョアン・ピレシュによるモーツァルトのピアノ協奏曲20番。一つ一つの音の輪郭が明確な上に、連続性があり、とっても優美。完全に自分の曲として自信を持って弾いている感じで、安心して音楽に浸っていられます。
久しぶりに聴く第2楽章は映画「アマデウス」のエンディングで使われた曲。聴きながら、高校時代、クラブ活動の帰りに地元の名画座に、黒の詰襟を来たまま男友達と2人で見に行った思い出が蘇ってきました。最終日の最終回にかけこんだためか、20名もいないのではと思われるホール内に流れるこのエンディングテーマ。クレジットのすべてが流れ、音楽が終わるまで、誰一人として席を立たないし、扉から新たに入ってくる人も居ない。こんなに最後の最後まで映画を味わいつくしたのは初めてだったし、音楽と言えば、聖子、明菜だった私にクラシック音楽って悪くないなと思った初めての瞬間だったのです。
そんな高校時代の思い出にも浸りながら、このモーツァルトがずーっとこのままいつまでも続いてほしいと思って聴いていました。ピレシュはとっても小柄ですが、その小柄な体が叩くピアノの音は主張はあるけども、とっても自然体。体に染み入るような音です。ただただ美しく、一つの完成された演奏だと思いました。
前回のブルックナーの時もハイティンクの指揮は、堅牢で重厚な演奏だったのですが、今回も最初から最後までこのスタイルでした。一曲目のパーセルも2曲目のモーツァルトもスケールの大きい交響学的な演奏だったので、もっと小規模な室内楽的な演奏なのかと勝手に思っていた私には意外でした。
休憩後のシューベルトの交響曲第9番は、有名な曲のはずなのに、CDも持っていないし、実演もはじめてなので、恥ずかしながらはじめて聴く曲でした。でも、隙がない演奏であることは私にも分かります。弦の重厚な演奏、美しい木管の調べ音が印象的です。悪く言えば癖が無さすぎて、教科書的な印象を感じないわけでもありませんが、この堂々としていて、重心が低く、安定的なびくともしない演奏は、教科書的というよりも王道を行くといったほうが相応しいと思います。ハイティンクの指揮と高い技術を持つLSOの素晴らしいコラボでした。
スタングオベーションはないものの会場は大きく暖かい拍手に包まれました。演奏を終えた奏者の安堵と満足感の表情に加え、奏者のハイティンクに向ける眼差しや奏者からの拍手からも、ハイティンクがいかに奏者からも慕われ、敬われていることがわかります。
それにしてもハイティンク大先生は俳優の晩年の志村喬(故人)に似ているなあ~
(マリア・ジョアン・ピレシュ)
(シューベルト終演後のハイティンク大先生)
(楽員から讃えられる大先生)
London Symphony Orchestra / Bernard Haitink
Music by Purcell, Mozart and Schubert
10 June 2012 / 19:30
Barbican Hall
Purcell Chacony in G minor
Mozart Piano Concerto No 20
Schubert Symphony No 9 (‘The Great’)
Bernard Haitink conductor
Maria João Pires piano
London Symphony Orchestra