以前にも話題にした50MHz帯用短縮ダイポール。
なぜ短縮が必要なの?みたいな大きさではありますが、フルサイズダイポールだと3mにもなり、ベランダから突き出して常設するには気が引ける、かなり大型のアンテナになってしまうのです。
そこでベースローディングのエレメントを2本使った案を考えたりしていたのですが、ネットで面白いアンテナを見つけたので、お願いして作っていただきました。(馬場OM、ありがとうございます)
こちらの作品集の中にある、50MHz帯短縮ダイポールです。
仕組みは、2本のエレメントのど真ん中にコイルを設置し、両方のエレメントはそのまま接続。直流的には導通があります。そのコイルの中央付近にピックアップコイルで給電。エレメントと同軸ケーブルには直流的には導通がありません。
基本的にモノバンドですが、コイルの大きさでいろんなバンドの短縮アンテナが設計できます。短縮率も50パーセント程度までならフルサイズと違和感無く使えるので、50MHz帯では全長1.5m程度となり、俄然使い勝手が良くなります。
7MHz帯のDPが全長約20mにもなるのが結構大変な場合が多いと思いますが、10m程度に短縮したものも紹介されており、10mなら4m程度のポールとの相性も良いので、お勧めだと思いますがいかがでしょうか。
それではこのアンテナの実験です。
Eスポで賑わう50MHz帯を受信してみました。
比較は普段HF帯では大活躍してくれているモービルホイップ、ATAS100です。
アンテナに50センチほどのポールを付けて、ベランダから手持ちで展開し、FT817で受信します。
ロッドアンテナをいっぱいに伸ばしてみたところSWRが高い。アンテナアナライザで測ってみるとバンドから2~3MHzほど下に合っています(建物の影響もあります)。そこでロッドアンテナのエレメントを10センチほど縮めたところ、50.2MHz付近に合いました。SWRはすっと落ちて、1近くまで落ちました。FT-817で送信してみてもSWRのドットは付きません。
さて、受信です。弱めのオープンですが、6エリアがよく聞こえます。時にSが9以上振ります。なかなか良い感じです。
ATAS100のほうで受信してみたら、オープンしていることがわかる程度でSはたいして振りません。ムム・・
ダイポールの完全勝利です。短縮率で言えばATAS-100のほうはほぼフルサイズなので有利なのですが、団地の手すりに取り付けたホイップ(水平出し)と、単体でバランスの取れたダイポールでは、短縮でもダイポールのほうが有利のようです。ダイポール恐るべし。
手持ちで振り回していて不思議に感じたのは、ダイポールが建物から最も離れ最良と思われる位置、つまりエレメントが建物と平行になったとき、なぜかシグナル、ノイズレベルが僅かに下がるのです。少し斜めに向けたほうがいい感じ。シグナルは飛んできた方向に対してサイドになったからかも、という可能性もあるのですがノイズレベルまで下がります。
波長が6mありますから50センチ程度ではもともと建物に近すぎなのですが、ド平行だと建物の影響が大きいようなのです。浮遊容量が生じて同調点が動くのか、建物が反射器になって指向性を生じたからか、打ち上げ(この場合水平の指向性)が変わったからかよくわかりませんが、これは面白い現象を経験しました。
エレメントは根元が回転するロッドアンテナなので、ベランダから水平に出すときは軽くV型にするのも良いかもしれません。
このアンテナ、コンテストのときなどに釣り用の竿掛けに引っ掛けて使ってみようと思います。