FT-70はミリタリー仕様のゼネカバHFトランシーバーで、少し昔の無線機です。
ほんの一時だけCQ誌に広告が出ていたように記憶していますが、身近な範囲で誰かが持っていたという話は聞きません。
ハムバンド以外のHF全域で送信できる、軍用っぽい無線機でした。
先日このFT-70のオプションのアンテナとチューナーがオークションに出品されていました。
滅多に見かけることのない一品。結構無理してなんとかゲットしました。
しっかりとした三脚に長いエレメント。チューナーはハイインピーダンス対応型で、電圧給電に近い使い方もOK。
エレメントはどこどこの周波数に同調している、というタイプではなく、とにかくチューナーで乗せてしまおうというものです。
今日はいつもの城山湖でチューニング実験を試してみました。
エレメントはネジで延長していくタイプ。古いものですし固着しないように以前紹介した「ナスカルブ」という潤滑油を差してつないでいきました。半永久的に潤滑効果のあるスグレモノなんです。
下の方の2本は太く、ネジはカメラの三脚と同じサイズのインチネジとなっています。アメリカの頑丈なモービルホイップのエレメントと同じですね。
最後にトライポッドにエレメントをネジ止めします。同軸ケーブルを取り付けるMコネは付いておらず、電線が取り付けられるようになっています。こことチューナーを電線で結びます。電線もエレメントの一部となる形です。
つまりこのアンテナはロングワイヤーアンテナそのもの、という訳です。
チューナーにはアース線の端子もついていて、チューナー本体が給電部となります。
チューニングつまみは3つ、真ん中がコイルのタップを切り替えるロータリースイッチ。両側がバリコンです。
まずは真ん中のロータリースイッチで運用するバンドの含まれる位置に合わせ、リグの受信音を聞き、シグナルメーターを見ながら、二つのバリコンを動かしてシグナルやノイズが一番高くなる位置を探ります。最後に電波を出しながらSWR最下点を探ります。
アースはもっと強化する余地があるのでこれが結果の全てではありませんが、3.5MHzはSWRが2程度、7~28MHzはすべて1.0まで落ちました。また50MHzでも1.0まで落ちています。
長さが5mくらいありますから、14MHzとの相性は大変良いですね。WWコンテストが強力に聞こえていました。7MHzも大変強力ですし、28MHzは電圧給電に近い動作をしていると思われ、どのバンドもいい感じでした。
恐らくきちんと同調を取ったアンテナには敵いませんが、長さなりのゲインはあるようですし、チューナー必携ですがマルチバンドという点ではとても便利な、まさに城山湖運用にぴったりの野戦アンテナです。
チューナーはAH-4などの屋外型オートアンテナチューナーも使えると思いますが、一般的にオートチューナーはハイインピーダンスに対応していませんのでうまくいかないバンドもあるかも知れません。その時はエレメントを短くするとか、オフセット給電としてアース側の電線の長さを変えることでも対処できると思います。