★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

夏の記憶

2023年07月10日 21時06分29秒 | 徒然(つれづれ)
 小学生の私は、夏の友と漢字の書き取りを済ますと、急いで海水パンツに着替える。
 庭に出るとヒマワリ畑の向こうに海が見える。

 家のすぐそばは国鉄の単線の線路だ。
 そこを走るのはもちろん汽車だ。
 警報機も遮断機もない踏切を渡り、海まで小走りに駆ける。

 歩いて3分、走れば1分、小走りだと2分で浜に着く。
 すでに5、6人の先客がいる。

 午前10時の真夏の太陽が、海面にスパンコールの輝きを撒き散らしている。
 遠くを白い石炭船がゆっくり滑っていく。
 正面の島の上には入道雲ができかけている。

 準備体操もそこそこに、砂浜を駆けて海に飛び込む。
 ほてった身体が一瞬キュンと硬直し、すぐに海水になじむ。
 がむしゃらに水をかき、足がつくギリギリのところまで泳ぐ。

 振り返れば、我が家の屋根が見える。
 その向こうは小高い山だ。
 昼からはあの山に、昆虫採集に行くのだ。

 8月1日、まだまだ続く夏休みに心はとろけそうだ。


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数学を諦めて

2023年07月10日 08時23分05秒 | 徒然(つれづれ)
 中学生の頃、SF小説にハマっていた私は、それに関連する天文学とか物理学、考古学などに興味があった。
 将来は天文学者や物理学者になるのもいいなあ、と思ったりもした。

 高校に入ってもその思いは頭のどこかにあったが、同じクラスの秀才に、天文学や物理学をやるためには、数学ができないとダメだと言われた。
 なるほど、テレビや映画で見る天文学者や物理学者は、黒板一杯に難しい数式を書いている。

 そこで、数学にも力を入れるようになった。
 数Ⅰはなんとかクリアしたものの、数ⅡBになると急に難しくなり、私の理解の範疇ではついていけなくなった。

 一応努力はしたが、理解不能な部分は、その理由も、質問の仕方さえわからなかった。
 まるでチンプンカンプンなのだ。
 これはどう考えても数学をマスターするのは無理だと自覚した。

 そんなわけで、高校2年の夏休み前に数学とはキッパリと決別した。
 未来の天文学者か物理学者が、そのとき消えたのだ。


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