祇園祭の季節だ

　梅雨も明けて、京都は夏のビッグイベント、祇園祭の宵山で盛り上がっているようだ。
　京都で大学生活を送った私は、1回生の時にフォークソング同好会の連中に誘われて、宵山に出かけた。

　夕方６時過ぎに、大学前から乗った市電を四条烏丸で降りると、あたりはすでに人で溢れていた。
　田舎の夏祭り程度と考えていたのが甘かった。

　車両の通行が止められていた四条通を、祇園の八坂神社を目指して歩いていたが、河原町を過ぎるあたりから、大群衆は遅々として動かなくなった。
　日本が誇る祇園祭のもの凄さを身をもって実感した。

　木屋町あたりで我慢の限界に達し、八坂神社に行くのを諦めて、木屋町の行きつけの居酒屋へと方向転換した。
　その時以来、祇園祭はテレビのニュースで見るだけになった。

　今年の宵山も相も変わらずの大群衆で、あの当時と何も変わっていないようだ。
　京都の大学に入って、初めての祇園祭に行くであろう地方出身の学生も、あの時の私と同じ気分になるに違いない。

　故郷は遠きにありて思うもの、祇園祭はテレビの前にありて思うものだ。
　

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