木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

炭山被災 11日目 窯元さんの状況

2012-08-24 23:51:08 | 炭山災害


「明日への一歩炭山通信」第6号


京都陶磁器協同組合連合会から私のブログを教えてもらったという、朝日新聞の記者さんが見え、現場を見ていただくよう案内させてもらいました。

まず、裏の崩落現場に登ってみました。

倒木によってせき止められた上部には大量の土砂がたまっています。



地盤は崩れやすくなっており、もしまた大雨が降り、これが流れ落ちるような事になると、その土砂が志津川をせき止め、さらに大きな二次災害を引き起こすような事態になりかねません。
せき止めている倒木もやがては腐るのですから、このままではこの土砂が流れ出す事態は必ず起こるように思えます。


調査に来ていた宇治市の関係者も、「もし大雨や、雨が長く続くような場合には、ご近所声を掛け合って安全な場所に避難してください。」と言っておられました。
台風シーズンを控え、どうなるのでしょう。

床下浸水した「studio木壺」さんは、床が低く、床下にたまった泥を撤去しようとすると、床を全面剥がさねばなりません。大型木工機械が運び出せない状況のなかでは、撤去を断念せざるを得ない状況になっています。


記者さんを対策本部へ案内し、副本部長の笹谷さんに炭山工芸村の窯元さんを案内してもらいました。


最初におじゃましたK陶房さん。窯の下まで水に浸かり、窯を少し上げて乾かしておられました。



裏は、一面泥水が走り、おびただしい量の泥が残りました。ようやくそれが撤去されたところでした。


Kさんの案内で山手一番奥のOさんのお宅に行ってみました。

裏の小さな谷筋を流れ下った土石流で、家の中のものはすべて押し出され、



まさに想像を絶する光景でした。
幸い、住人のOさんは、尋常で無い物音に目を覚まし裸足で家を飛び出し、間一髪事なきを得たそうです。



家の裏に回ると、土砂は屋根にまで達していました。



さらにその土砂は下に流れ下り。



この2件のお宅の床下や工房に流れ込みました。



床下の泥は、ボランティアさんの協力で取り除かれつつありますが、



まだまだ大変な状態が続いています。



ここでは学生のボランティアさんが大活躍でした。





工房の中に流れ込んだ土砂に汚れた製品や道具、資材の片付けはまだまだこれからです。
窯に水が入り、使えるまでに時間がかかりそうな窯元さんもおられます。

案内していただいたKさんは、一番はじめに京都市内から工房を炭山に移された方と聞きました。
いわば炭山の陶芸村の先駆者。当時のお話しも少しお聞きしました。
近年の不況の中で仕事が減り、窯元さんにとって厳しい状態が続いています。
その中でこの被災。
何とかまた活気を取り戻し、みんなが元気になることを願うばかりです。
そのためにも多くの皆さんに、この陶芸の里炭山を知って欲しいと思います。
もちろん少ないですが木工の工房もあることもです。



こちらは下の川沿いにあるTさんの工房。
道路を流れ下った水が、滝のように川に流れ込み、その勢いで対岸の石垣を崩し、ここにあった窯の小屋が崩れ落ちてしまいました。
写真にある大きなコンクリートの板は、窯小屋のコンクリートの床です。この上にあった2つの窯と建物はすべて流されてしまいました。
仕事ができなくなり、Tさんはこれからどうしていったら良いのかと途方に暮れておられました。




炭山陶芸の建物がボランティアセンターになっています。



その前まで来ると、ボランティアの青年達が今日の活動を終えて戻ってきました。
この青年は京都だけでなく東京からも駆けつけた学生さん達。



全身泥だらけになりながらも明るく頑張ってくれる姿に、炭山の皆さんもとても励まされています。
本当にお疲れ様でした。


復旧は進んではいますが、まだまだ残っているところも多く(ボランティア要請があった25カ所のうち、9カ所はまだ未派遣)、この土日が復旧の大きな山場になります。
渡辺区長さんは、「皆さんの協力を是非ともお願いしたい」と呼びかけておられました。


コメント (2)
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