木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

炭山の状況

2012-08-17 22:41:58 | 炭山災害
被災から4日目。
京滋バイパス笠取インターで下り二尾を経由して炭山へ通勤。

続いていた停電は昨夜より、高圧電源車からの送電が始まりって解消され、今日の夕方からは通常の送電に切り替わりました。


炭山入り口の倒木も撤去され通れるようになりました。
村内は工事車両や救援の車でごった返していました。

下炭山の町内会長でもある笹谷さんから被災後の状況をお聞きしました。
炭山に重機をおいておられるYさんは、当日の朝全身泥だらけになりながら山を越えて炭山に来て、重機で村内の道を開ける先頭に立ち、夕方また山を越えて帰って行かれたそうです。
工房の近くのWさんはご自分の家も被害を受けながらもそれを置いて、持っておられる重機で村内の道の確保や土砂の撤去に走りまわっておられました。
土砂崩れが家をおそう寸前に助け出されたり、埋まった家から近所の人の手で救出された話。
その他、町内会の結束と皆さんの奮闘ぶりに、またまた頭が下がる思いでした。

私も一応町内会員ではあるのですが・・・何もできていません・・・
そんな私にまで、お昼のカレーを配って下さったり・・・感謝、感謝です。


ボランテイアで建築会社や個人所有の小型重機が入り、積もっていた土砂も少しずつ撤去されています。
少しずつ復旧は進んでいますが、大変な事態が続いていることには変わりがありません。
水道もタンクへの給水が始まりましたが、漏水箇所もあり、点検をしながらですので、完全復旧の目途は立っていません。


さらに、

土砂崩れの箇所は、不気味に山肌をのぞかせています。


裏の崩れた箇所に行ってみました。

平らだった道は流れ下った水で大きく掘れていました。



その上には大量の倒木。



そして大量の土砂。



倒木で見えませんがすぐ下が民家です。

良くここで止まってくれたと思うと共に、もしまた大雨が降ったらこれが下の家を押し流し、志津川をせき止め大水害に・・・なんてこともおこりかねません。
ここばかりでなく、いたる箇所に大小の崩れた後があるのです。一刻も早い対策が求められます。


この崩落を流れ下った水や土砂が、

一番下にあった、stadio木壺の工房の周りを埋め、スレートのフェンスを突き破って志津川に流れ込んだのです。


ここの土砂の撤去の見通しはまだ立っていません。
取りあえず、昨日掘った入り口の周りに土嚢を積み、水の流れる溝を掘るお手伝い。



入り口の前をブルーシートで被い、今夜予想される雨の応急対策をしました。

夜になり、雨が降り出しました、大雨にならないことを祈るばかりです。


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炭山 被災状況

2012-08-16 22:01:59 | 炭山災害
孤立していた炭山地域。志津川経由のルートが時間限定、軽のみ制限付きながら通れるとの情報を聞き、「stadio木壺」の柳原さんと炭山へ向かいました。


通れるとはいいながら道路は何カ所かが半分落ち、



いたるところに山からの土砂や倒木の山が・・・



その間を軽自動車がやっと通れる程度の道が確保できているといった状態でした。



炭山に入ってみると至る所に豪雨の爪痕が残っていました。


まず、暁陶房の笹谷さん宅に行ってみました。
なんと、奥さん、息子さんとも食中毒で昨夜は病院で点滴を受けられたとのこと。
工房の隣のKさんのご主人、お世話になっているOさんも・・・。
特にOさんは重症で入院中とのこと。
被災し、電気も水道も止まり、孤立している中で、支援食料のおにぎりが原因とみられる食中毒とは・・・。
もう言葉がありませんでした。


朝倉木工さんも食中毒で病院へ行って点滴をされたそうです。
幸いお子さんや奥さんはおにぎりを食べなかったので難を逃れと聞きほっとしました。
この環境の中では大変なので奥さんと子どもさんは、ご主人の実家に避難されたそうです。
急ぎの仕事が入っている中で、この停電がいつまで続くのか心配されていました。我々小さな工房に取ってはまさに死活問題なのです。



区長さんの会合に参加される笹谷さんを送って上炭山へ
途中、両側から山が迫り狭くなっている箇所には特に大きな土砂崩れが。



それが志津川をせき止め、道路が川になってしまいました。



この崩落で2軒の家が押しつぶされたりの被害を受けたそうです。
家にいた方は幸い助け出されましたが、そのうち一軒の山本工房さんは機械などがほとんど押し流されるという大きな被害を受けられました。



いつも通っている二尾木幡線を木幡側に登ってみると、峠を越えたところで大きな土砂崩れ。



ヘアピンカーブの上と下の2カ所に渡って土砂や倒木が完全に道路をふさいでいました。



登り口も崩れ、電柱がなぎ倒されていました。


私の工房は幸い被害はありませんでしたが、

工房の裏を見ると、いつも見慣れた風景が一変。



裏山が大きく崩れていました。
すぐ下には2軒のお家がありましたが、土砂は2軒のお家の間を流れ下ったのでかろうじて浸水は免れたようです。



しかしその土砂は更に下に流れ下り、「一木一優」の仲間、「stadio木壺」の柳原さんの工房の周りを埋めていました。
こう見ると、何事もなかったようですが、入り口は50cm以上の土砂で埋まっていたのです。



このままでは工房に入ることもできませんので、急遽駆けつけた柳原さんのお父さんと3人で、掘り出しに掛かりました。



炎天下、スコップで掘り土砂を除けること1時間以上、やっと元の地面にたどり着き。



何とか中に入れることができました。
工房の陶芸の部屋は泥水が入っていましたが、木工の部屋はサッシが水を防ぎ、かろうじて床上の浸水はまねがれました。
ただ、土砂は床より高く積もっており、また雨が降れば浸水は避けられない状態です。
重機での土砂の除去が早急に必要です。


そうこうしていると、志津川経由のルートが閉鎖されるという情報が入り、引き上げることにしました。



途中まで来ると、二尾木幡線の二尾方面が開通し、危険な志津川経由のルートは閉鎖されていました。
そこで二尾へ出て、開通した京滋バイパスを通って家に帰ってきました。



途中、崩れた箇所がいくつもあり、稲穂が揺れていたはずの棚田は一面土砂に埋まっていました。

大きな災害に遭い、電気も水道も止まり、孤立状態が続いた上に、食中毒の被害まで被った炭山の皆さんですが、その中でも力を合わせて地域内の道路確保のために土砂を取り除いたり、助け合ったりするだけでなく、地域外に住む我々のために峠の上まで登って工房の安否の電話を掛けてくれたり・・・その優しさに本当に頭の下がる思いがしました。
ここに工房を持てて本当によかったと改めて思いました。
炭山の皆さん、ありがとうございました。復旧まで頑張りましょう。

また、本当に多くの皆さんから、心配の電話やメール、ブログ及びfacebookへのコメント、励ましのお言葉をいただきました。
元気で頑張っております(年も考えながらですが)、本当にありがとうございました。
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炭山 孤立!!

2012-08-15 15:47:58 | 炭山災害
天気も回復したので、取りあえず行けるところまで行ってみようと家を出ました。
山城自動車教習所の先で道路は通行止めになっていました。
バイクで行けるところまで行き、後は徒歩で。

昨日はここいっぱいに濁流が流れてました。



最初の道路の陥没箇所。
ガードレールに引っかかっている流木で、水量のすごさがわかります。



道路の約半分が落ちてしまっています。



その先の道路の陥没箇所。ここは数年前に改修した所です。



上流側から見たところ。



更に登っていくと、道路に土砂がいっぱい。
あふれた水で道路が川のようになっていたのでしょう。



その先は更にひどい状態になっていました。



道路全体が1~2mの土砂で覆い尽くされています。



それはもう想像を絶するものでした



正面に削られた山肌が見えるます。あそこら辺一体が崩落したものと思われます。



ここより先は道路全体が土砂に埋まり、通常の装備ではとても行ける状態ではありません。
この先まで行った人の情報では、一山崩れてなくなっているとの事でしたが、おそらくこの先、峠の上まで谷全体が土砂に埋まっていると言う状況ではないかと思われます。
道路の陥没を補修し、この大量の土砂を取り除くことを考えると、復旧までに1ヶ月以上はかかるのではないかと思われます。

炭山地域の情報です。
炭山へ通じる4本の道路がすべて寸断され、現在全くの孤立状態。
炭山には約120世帯330人の人が住んでいるのですが、電気、水道もストップ。消防ヘリによる水と食料の搬入が行われているようです。
携帯は中継局が停電のため通じませんが、朝倉木工さんと連絡が取れました。
それに寄りますと、この道路の峠の手前までは炭山からは登れ、そこまで来るとかろうじて下からの電波を拾いつながるようです。(ただ、停電していますので、携帯への充電ができる状態ではないと思います。)
炭山の内部もかなりの土砂崩れや家屋の倒壊や浸水があったようですが、幸いけが人等は出ていないようです。
炭山内部でも道が寸断され、上炭山と下炭山の行き来ができるよう復旧作業に皆さん取りかかっているようです。
なお、道路は府の土木事務所に聞いたところ、二尾地域から炭山へ抜ける道(二尾木幡線)が1番開通の目途が立ちやすく、そちらからの開通を目指して作業が行われているとの事でした。
何れにしましても大変な事態が起こっています。
炭山地域の皆さんの無事と、一日も早く道路が開通することを祈るのみです。

京都府の災害関連情報
最新版(15日15時現在)
それによりますと、府道二尾木幡線は二尾方面から笠取第二小学校まで到達したようです。
電気についてですが、その道路画復旧次第、二尾方面からの復旧に当たるそうです。(関電からの情報)
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大変な事態!

2012-08-14 11:52:42 | 炭山災害
昨夜の猛烈な雨、宇治市各地で浸水、土砂崩れなどが起こっていますが、工房のある炭山も大変な事態になっているようです。
朝いつものように出勤したのですが、山手に入る途中から、道路に沢山の土砂が出ていました。

しばらく行くと、道路の横の、いつもは水も少ない小さな川が、

濁流と化していました。



こんな状態は初めてです。


車を止めてしばらく歩いて登っていくと、

道路が半分崩れ落ち、とても車が通れる状態ではありません。

バイクで下りてきた郵便配達員さんに様子を聞くと、土砂が崩れ、倒れた電柱が道をふさぎ、歩いてでも通れる状態ではなかったとの事。
炭山へのもう一つのルート、志津川も通行止め。炭山は孤立状態になっています。

炭山の状態が心配になり、暁工房の笹谷さんに連絡し、様子を聞いてみました。
炭山を流れる志津川の氾濫には至らなかったようですが、周りの山から大量の水が流れ出て、その水による浸水や山崩れがいろいろな場所でおこっているようです。
笹谷さんの工房も大きな被害はなかったようですが、入り口まで水が来て、前に止めてあった車は点検が必要な状態。
陶芸の窯に浸水して使えなくなってしまった工房が何件もあったようです。

幸い、小生の工房への浸水は免れたようですが、川向かいの工房は少し水が入ったらしいとの事でした。
炭山の少し下流の志津川地域では、行方不明者が出ています。
宇治市では、数時間に300mm以上の雨が降ったようですが、山手の炭山地域の降水量はもっと多かったと思われます。
1時間に100mmを越える雨のすごさは想像を絶するものがあります。
しばらく大変な状態が続きそうです。
仕事も休業を余儀なくされそうです。19日納品予定だったのですが・・・

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アームチェア その2

2012-08-11 22:33:20 | 木工

墨付けの終わった部材は、まず仕口の刻みをしてしまいます。



それから、墨に沿ってバンドソーで各部品に切り出します。



仕口でポイントとなるのは2カ所。
座板と後脚の接合部。



それと座板と前脚の接合部。
いずれもゴムハンマーで叩いて入る位の固めに調整します。



座板は、裏と表は仕上げ削りが住んでいますから側面を削り出します。
各面によりアールの大きさも傾きも異なりますので、それがスムーズにつながるように削り出します。



平の小鉋で削り出し、豆鉋で仕上げます。



完了です。



膝の裏が当たらないよう、座板の前部を削って座板の仕上げ削りが完了です。

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アームチェア

2012-08-08 22:08:58 | 木工
アームチェア4脚の注文をいただきました。
今回はウォールナットを使いました。


木取りをして荒削り。
幅54cmの座板はプレーナーに入りませんのでルーターで荒削りをしました。



部材の墨付け。前脚。



後脚。材を無駄なく使うため、曲線で構成される後脚や背は一枚の板から並べて木取ります。
脚の輪郭だけでなく、この段階ですべてのほぞやほぞ穴などの仕口の墨を付けておきます。
組み合わせはダボなど使わず、すべてほぞで組むので、正確な墨付けが必要です。
自作のノギス付き毛引きがないとちょっと困難な作業です。



座面の座掘り。
ルーターでテンプレートを使って粗彫りしてから四方反りの小がんなで削り出します。



座掘りは1番深いところで16mmあります。



この手の椅子を作り始めた当初は1番厄介な作業でしたが、すっかり慣れ、良く切れる鉋でサクサク削るのは楽しい作業になりました。
鉋は千代鶴貞秀作の小鉋を極浅い四方反りに仕込みました。
一度研げば、これ一丁で荒削りから仕上げまで、刃の出の調子を変えながら一気に削れます。
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桑抽斗 続き

2012-08-04 22:57:10 | 木工
桑抽斗の制作

前板には杢の綺麗な部分を選びました。



側板、先板、底板には桐を使いました。



各板の刻みが完了。側板と先板は三枚組みにしました。



つまみは黒柿で作りました。やや丸みを付けて、持ちやすいように内側を削りました。



接合には糊と木釘を使います。木釘は卯木を削り、糠で炒ります。



糊を付けて左手でしっかり固定しながら右手で錐をもんで下穴をあけ、
先に糊を少し付けた木釘を打ち込みます。



打った木釘の頭は釘挽鋸で切ります。



底板も木釘で打ち付けます。



糊が乾いてから、仕上げ削りをします。



組立が完了しました。


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