conparu blog

ささやかな身の回りの日常を書き綴ります。
[ブックマーク『conparuの白い航跡』もよろしく]

珍しい花

2009-11-24 22:07:00 | 日記
「珍しい花だな」
「皇帝ダリアって言うのよ」
大輪の切花が飾ってあるテーブルを前に、それぞれの想いが一点に注がれている。
卓上が一変してしまった珍客の存在は、我が家から歩いて10分ほどの民家の庭に咲いていたものだ。

その家の庭からは、空に向かって長い茎を伸ばし、道行く人を見下ろしていた花があった。その花の下を通るたびに妻の好奇の目は、よく天を仰いで見上げていた。数弁の薄紫色の花は妻の目を虜にして離さなかったのである。

このような状況を家の中から見ていた人がいたようで、何度目かの逢瀬を果たしている時に、女主人が出てきて高所の花を切ってくれたのだそうだ。

「いいんですよ、どうせこのまま腐らせてしまうのですから」女主人はそう言いながら、いささか萎れはじめた皇帝ダリアを差し出してくれた。

コメント