conparu blog

ささやかな身の回りの日常を書き綴ります。
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一冊の本

2023-09-19 23:35:53 | 随想

混沌とした世情には混沌なるが故に、ある方向性が発出してくるものか、大国の一つが暴虐の限りを尽くしていると思えば、中小国が国際条約に反する核実験を強行して、自国の存立の基盤を確かなものにしようと、それなりの経緯を辿った自己擁護なのだが、大国の劣化現象とか、弱小国の酸欠状態が臨界に至らしめたとかがあって、すべては『足掻き』による溺れ寸前の水難者ごとき様相にある。温暖化による異常熱波や自然発火による山火事は、自然界の逆襲の表れであろうし、人間の自虐性を問う自然界の諫めとして現れている。

人心が乱れるときには精神論とか宗教性の論説が出回るけれど、最近手に取った本に『歎異抄をひらく』がある。歎異抄は司馬遼太郎が『無人島に1冊の本を持って行くなら歎異抄だ』と言ったくらいだから、かなり重いテーマを扱っているのだろう位の気持ちで読んでみた。高森顕徹著『歎異抄をひらく』を一言で言えば平明で分かりやすい(感じのする)原文付きの解説である。ベストセラー本で原本は唯円という親鸞聖人の御弟子が、聖人の教えを正しく伝えていない一部の宗門の異なるを嘆き、その誤りを正したものであるが、最後の18章には六波羅蜜の行である布施について、胸のすくような名文が載っている。つまり、布施は額の問題じゃないよ、真心があれば、弥陀の本願を一心に求めていれば、一紙半銭さえも納められずとも、仏の本意に叶うのだよ、と。どこかの寺門では高額な寄付を強要するところもある当世のこと、不信心極まりなしはどこじゃ。

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