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Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女

2019年12月11日 23時55分35秒 | 洋画2012年

 ◇ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女(2012年 アメリカ 118分)

 原題/Game Change

 監督/ジェイ・ローチ 音楽/セオドア・シャピロ

 出演/ジュリアン・ムーア ウディ・ハレルソン エド・ハリス サラ・ポールソン

 

 ◇日本ではまず作れない

 2008年のアメリカ合衆国大統領選挙で、共和党の副大統領候補となったのはアラスカ州知事のサラ・ペイリンなんだけど、彼女の選挙戦をそのままドラマにしちゃうのは、さすがアメリカとしかいいようがない。くわえて、ジュリアン・ムーアのびっくりするくらいのメイクアップもさすがだ。よくもまあここまで似せたもんだっておもうわ。

 ところが、このサラ・ペイリンなんだけど、実は女優で脚本家のティナ・フェイに似てるっていわれれて、ティナは自分の番組でペイリンに扮して人気を博し、さらにその番組にペイリン本人も出演して喝采を浴びたっていうんだから、もうなにがなんだかわからない。

 とはいえ、大統領選挙では、オバマとバイデンに負けちゃったけどね。

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ウォールフラワー

2019年09月27日 18時17分26秒 | 洋画2012年

 △ウォールフラワー(2012年 アメリカ 103分)

 原題/The Perks of Being a Wallflower

 原作・監督・脚本/スティーヴン・チョボスキー 音楽/マイケル・ブルック

 出演/ローガン・ラーマン エマ・ワトソン エズラ・ミラー メイ・ホイットマン

 

 △小説家志望の高校生の恋

 アメリカではものすごく売れた原作だそうで、その作者がもうおもいきり楽曲を使いまくって仕上げたって感じだけど、サイモン&ガーファンクルも、ビートルズも、ピンク・フロイドも、まったくすっかり耳に入ってこなかったのはなんでなんだろう?

 それにしてもエマ・ワトソンやローガン・ラーマンがひとりずつトラックに乗って風を感じるんだけど、ちょいと耐えられない。タイタニックかよ、と。けど、タイタニックよりも両手を広げてる時間は長かった。

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王になった男

2018年07月16日 23時47分37秒 | 洋画2012年

 ◇王になった男(2012年 韓国 131分)

 原題/광해, 왕이 된 남자

 監督/チュ・チャンミン 音楽/キム・ジュンソン モグ

 出演/イ・ビョンホン リュ・スンリョン ハン・ヒョジュ シム・ウンギョン

 

 ◇1616年、李氏朝鮮

 李氏朝鮮の第15代国王の光海の物語らしい。

 始まったときにおもいだしたのはやっぱり『影武者』で、そりゃまあたしかに王の影武者の物語ならそういう始まり方なんだろうけど、とにかくおもいだした。

 ただ、歴史的な事実として影武者がいたかいなかったかはまったく知らないものの、なるほど暴君があるときいきなり人が変わったように善政を布いちゃうのはこういう背景があったのねっていう物語にはなってた。

 ハン・ヒョジュは綺麗で、王の妃にはしっくりくるし、シム・ウンギョンも田舎からやってきた純朴な侍女はよく似合ってたような気がする。

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31年目の夫婦げんか

2018年04月02日 21時24分24秒 | 洋画2012年

 ◎31年目の夫婦げんか(2012年 アメリカ 100分)

 原題/Hope Springs

 監督/デヴィッド・フランケル 音楽/セオドア・シャピロ

 出演/メリル・ストリープ トミー・リー・ジョーンズ スティーヴ・カレル

 

 ◎そうか31年目って何婚でもないのか

 とにかく、なんていうか、端的にいってしまえば「観ちゃいられない映画」だった。

 いやまあ、31年目を迎えたアメリカの夫婦というのはこういうもので、愛のあるセックスをどのように求めるのか、あるいはするのか、それによって家庭が、家族がどのように変化していくのかってことをカウンセリングしていくんだねっていう物語だった。

 まあそれはそれでいいんだけれども、とにかく、あいかわらずメリル・ストリーブは上手い。なにをやらせても上手にこなしちゃう。でも、この作品で上出来なのはスティーヴ・カレルだね。コメディアンなのか役者なのかよくわからないけど、とにかく、こんなカウンセラーっているんだろうし、もしいたらやっぱりそうとうな凄腕なんだろうなって気がした。つまり、それだけ見事に役に嵌まってたってことだ。

 でも、これはアメリカだから成り立つのかもしれないね。日本だったら、とてもこんなふうな展開にはならないだろうし、日本の夫婦というやつは空気のようになっていくのが理想だとおもってるのかもしれない。だから『人生フルーツ』になっちゃうんだろ、たぶん、おそらく。

 ただまあ、こういう映画を撮れちゃうアメリカってたいしたもんだわ。

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幸せのバランス

2017年10月17日 00時01分34秒 | 洋画2012年

 ☆幸せのバランス(2012年 イタリア、フランス 107分)

 原題 Gli equilibristi

 監督 イバーノ・デ・マッテオ

 出演 バレリオ・マスタンドレア、バルボラ・ボブローバ、ロザベル・ラウレンティ・セラーズ

 

 ☆家族すら養えないようなおまえなんか寄生虫だ!

 ちなみにこの原題は「綱渡り」って意味らしいんだけど、タイトルバックにFrancesco Cerasiの割と好い音楽が流れるのっけから、市役所の倉庫の片隅で立ったままエッチしているバレリオ・マスタンドレアとその同僚にして愛人Grazia Schiavoのカットになる。けど、これが綱渡りってわけじゃない。なら、なんなんだって話で、この不倫がひきがねになった転落の物語のように見えるんだけど、実はそうじゃないんじゃないか。

 だって、その不倫の要因になってるのは、妻バルボラ・ボブローバとの不仲にあるわけで、どうしようもなく心が離れてしまったのには、まあ子育ての問題があったり、たとえば娘ロザベル・ラウレンティ・セラーズの奔放な音楽活動と高校生とはおもえないような化粧、衣裳、男友達みたいなところや、息子の歯の矯正とかひとりで寝られない弱虫さもあったりしてもう臨界点に達しつつも、娘がなんでか知らないけど父親が好きで父親に甘え父親を頼りにすることへの母親の嫉妬みたいな複雑な感情もあったりしたことで、もはや夫婦仲は修復不可能に近くなってる。

 こうなると、妻のヒステリーは夫にとって最悪の代物で、感情が昂ぶり、神経症になりかけたりして、実際このバレリオ・マスタンドレアはかなりの鬱状態になり、それで家を出ていく。市役所も辞め、愛人のところへ転がり込むことすらできず、市場の肉体労働もしてみるが働くのを拒まれ、そこへもって「おまえなんか寄生虫だ!」と心臓を突き刺すような自分でも気が狂いそうになるほどわかってる台詞をぶつけられたら、もうだめだ。ゆいいつ残った財産の車に寝泊まりし、どんどん肉体的にも精神的にも堕落し荒廃し破壊されていく。これが綱渡りなんだな。つらいね、こういうのは。

 人間って、ちいさな切っ掛けで人生の歯車が狂うんだよね、たぶん。いちど歯車が狂うと、その狂いはどんどんと大きくなっていって、もう自分では直せないくらいになってっちゃう。このバレリオ・マスタンドレアの人生もそうで、なにが悪いってわけじゃないんだけど、どんどんダメな人間に堕ちてっちゃう。頭も働かなくなって、ものを考えることを放棄しちゃう。こうなると身体にも異常が出てきて、目がうつろになって、歩き方すらぎこちなくなって、食欲もなくなり、身なりも整えられなくなり、もう生ける屍状態になってっちゃう。でも、妻は心配しないんだな。このあたり、現実味あるわ。

 ただまあ、子は鎹とはよくいったもので、お父さん大好き娘ロザベル・ラウレンティ・セラーズがあとをつけるんだな。それで炊き出しを受けてる父親の姿に涙し、母親を説得して連れ出し、救い出そうとするんだね。好い娘だな。ラストカット、この娘の電話に「もしもし」と出たときおもわず目頭が熱くなっちゃったよ。いやまじで。

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ダイダロス 希望の大地

2017年09月15日 20時59分13秒 | 洋画2012年

 ◇ダイダロス 希望の大地(2012年 カザフスタン 133分)

 原題 Myn Bala : Warriors of the Steppe

 監督 エイケン・サタイヴ

 出演 クラレイ・アナルベコヴァ、アリーヤ・アニュアルベック、アリーヤ・テレバリソヴァ

 

 ◇Myn Balaは、1000人の騎士っていう意味ね

 で、まあ1000人じゃなくてわずか100人の手勢で、ジュンガルの派遣してきた植民地総督とでもいう立場の司令官の本陣へ吶喊していくのがクライマックスになるんだけど、この戦い、史実の上ではなんていう名前がつけられてるのか、ぼくは知らない。

 映画では物語の時代は18世紀の初めとされてるから、たぶん、カザフ・ハン国が東部、中部、西部に分裂して遊牧民オイラト(モンゴル族ね)が築いたジュンガル帝国の襲来と占領を受けていた頃にあたるんだろうけど、実はカザフはこの頃すでに100年以上もジュンガルに苦しめられてて、もうぼろぼろのありさまだった。だから、史実をいえばロシア帝国に庇護をもとめてジュンガルの侵略から守ってもらったんだそうだ。だから、この映画みたいなカザフの人々が(カザクっていうのは放浪の民とか独立不羈って意味ね)自分たちのちからジュンガルを撤退させたかどうか、ともかく僕はよく知らない。なもので、どこまでが史実なんだろう?

 ちなみに、邦題のダイダロスだけど、これはないだろ。

 ダイダロスってのはギリシャ神話に出てくる発明家で、カザフスタンとは縁もゆかりもない。いや、だいいち、物語にダイダロスとか出てきた記憶はない。なんでこんな題名をつけたのか、まじ、理解に苦しむわ。

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ジャッキー・コーガン

2017年08月22日 21時22分15秒 | 洋画2012年

 ▽ジャッキー・コーガン(2012年 アメリカ 97分)

 原題 Killing Them Softly

 監督・脚本 アンドリュー・ドミニク

 出演 ブラッド・ピット、レイ・リオッタ、リチャード・ジェンキンス

 

 ▽アメリカは国家じゃない、ビジネスだ

 ちょっとしょぼすぎないか?

 ていうか、ラストの台詞も含めて、なんだか空回りしちゃってるような印象が。

 憐れなくらい過疎化したルイジアナ州ニューオーリンズの賭場が2008年の大統領選の真っ最中に強盗に遭い、その犯人を懲らしめるために雇われたブラッド・ピットの話なんだけど、まるで出てこない。途中でマックウィーンの『華麗なる賭け』の「風のささやき」が掛かるけど、自虐や皮肉や滑稽を通り越して無残だ。映画が始まって45分、ブラッド・ピットが登場したのは殺しを請け負う車の中だけで、時間にしたら5分もないんじゃないかしら。たしかにそれから後半はブラピ中心に物語は運ぶし、車をならべてレイ・リオッタを射ち殺す超スローはスタイリッシュだったけど、ちょっとな~。

 ていうか、もともと150分あったものをむりやり97分にしたみたいだから、どうしても話は小さくなってるんだろうし、そもそもサム・シェパードが出てるはずが「いったいどこにいたんだよ?!」てな状態になってる。批評家たちの評判はすごくいいらしいんだけど、う~む、ぼくは批評家にはなれないな。

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マリー・アントワネットに別れをつげて

2017年07月29日 01時55分07秒 | 洋画2012年

 ◇マリー・アントワネットに別れをつげて(2012年 フランス、スペイン 100分)

 原題 Les Adieux à la reine

 監督 ブノワ・ジャコ

 出演 レア・セドゥ、ダイアン・クルーガー、ヴィルジニー・ルドワイヤン

 

 ◇1789年7月14日、バスティーユ襲撃、フランス革命

 ほんとにこのフランス革命は、とにかく日本人は好きだ。

 ていうより、世界中が好きなんだろう、たぶん。それほど、マリー・アントワネットは世の女性たちを惹きつけるものがあるんだろうけど、フランス革命当時、彼女はもちろん誰からも愛されていたわけじゃない。そういうことを考えるとなんだか人望とか人気とかいったいなんだろうって気にもなるけど、そうか、それは性別の違いはあるけど、織田信長もそうかもしれないね。

 ま、そんなことより、身寄りのない孤児だった王妃の朗読係っていう発想はええよ。それが王妃の親友が召使に変装してそれを逃がすために自分は親友の身代わりになって共に逃げるなんて、いやよく考えてる。物語の設定としては実におもしろい。でも、予算の都合なのか、それとも室内劇に徹しようとしたのか、革命の迫力はほとんど感じられなかったのは残念だな。

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ボーン・レガシー

2017年07月25日 20時43分19秒 | 洋画2012年

 ◇ボーン・レガシー(2012年 アメリカ 135分)

 原題 The Bourne Legacy

 原案・監督 トニー・ギルロイ

 出演 ジェレミー・レナー、レイチェル・ワイズ、エドワード・ノートン、スコット・グレン

 

 ◇マット・デイモンは写真だけの出演

 つまりこの作品は一連のボーン物とは関連してても関係してないわけね。

 なんだ、そうか。と、途中になって理解した。だから監督も違うのか~と。

 けど、なんとなく雰囲気は似てるし、ポール・グリーングラスの演出のような迫力のあるカーチェイスだったし。ただ、人間性のかけらもない機械のような暗殺者っていう触れ込みのCIA工作員だけど、オートバイのチェイスだけで案外簡単に始末されちゃったね。

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ザ・ワーズ 盗まれた人生

2016年05月20日 23時01分00秒 | 洋画2012年

 ◇ザ・ワーズ 盗まれた人生(2012年 アメリカ 96分)

 原題 The Words

 監督・脚本 ブライアン・クラグマン、リー・スターンサール

 

 ◇平行して語られる三つの物語

 全体の構成は嫌いじゃないし、どちらかといえば好みなんだけど、ちょっと物足らなさを感じちゃうのは、微妙に外された感があるかもしれない。まあ、なんというか、書こうとしても書けないのが原稿なんだっていうのはよくわかるんだけど、実際、原稿の盗作ってのはなかなかないような気もする。だって、人には文体ってのがあって、それがあってこその作家で、もしも盗作したとしても文章は全部書き直さないではいられないっておもうんだけどな。

 ま、それはそれとして、この映画の中に三つある物語は、すべて、頭の中の多重構造になってるんだけど、それを辿っていくとなんともあっけなくデニス・クエイドで止まっちゃうのがなんだかね。デニス・クエイドの物語が実はブラッドレイ・クーパーの後の世界だとしたらそれもまた興醒めだし、やっぱり全体の鍵を握っているのはジェレミー・アイアンズであってほしいよね。だって、自分の過去の悲恋を原稿にしたのが、ブラッドレイ・クーパーに盗作されちゃうという悲劇を背負っているのはジェレミー・アイアンズだけなわけで、彼の過去の物語がベン・バーンズの物語になってるんだけど、つまり、老いてしまったジェレミー・アイアンズはこの映画の中では単なる繋ぎに終始してしまっているからだ。狂言回しといってもいいんだけど、そのあたりがなんだか物足りないんだな、きっと。

 でも、この作品、なんだか雰囲気が好いんだよね。

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最高の人生のはじめ方

2015年10月25日 02時04分33秒 | 洋画2012年

 ◇最高の人生のはじめ方(2012年 アメリカ 109分)

 原題 The Magic of Belle Isle

 監督 ロブ・ライナー

 

 ◇あまりにも安易な邦題のつけ方

 そういいたくもなるだろう。

 ロブ・ライナーの監督作品でも、こんな3作品がある。

 最高の人生の見つけ方 The Bucket List (2007)

 最高の人生のはじめ方 The Magic of Belle Isle (2012)

 最高の人生のつくり方 And So It Goes (2014)

 モーガン・フリーマンの出演作品だと、こんな作品が並ぶ。

 素敵な人生のはじめ方 10 Items or Less (2006)

 最高の人生の見つけ方 The Bucket List (2007)

 最高の人生のはじめ方 The Magic of Belle Isle (2012)

 ま、もとはといえば、こんなのがあった。

 最後の恋のはじめ方 Hitch (2005)

 ね、ほんと「好い加減にしてくれよ!」といいたくなっちゃうのは無理もないっておもわない?ちょっとどころか、かなり安易っていうか、適当すぎるんじゃないか?ぱっとこの一覧を見せられて、それぞれの作品について違いをいえる?とか訊かれたら、答えられる人間がいったいどれくらいいるんだろう?

 実をいうと、ウィル・スミスの出演した『最後の恋のはじめ方』はちょっと擱いとくけど、その前にならべた6本の映画はよく見ると4本しかない。ぱっと見ただけだとそれに気づかなかったりするのは、それだけ題名が似たり寄ったりだからだ。で、なんでこんなことになったのかといえば、最初はモーガン・フリーマンだった。そのあと、ロブ・ライナーと組んだことで題名が連鎖し、ついにはロブ・ライナー単独の作品まで似たような題名がつけられる始末になったっていうのが事の顛末だ。信じられないような安直さじゃんね。

 ま、それはともかく、作家という職業ももう嫌っていうくらいハリウッドの映画では主役になる。今回もそうで、モーガン・フリーマンは過去に栄光を手に入れた作家だ。で、人生の転機をはかろうとして別荘地にやってきたものの作品は書けず、ていうかもはや過去の人になっちゃってるんだけど、そのとき隣りの別荘にいる母子と出会って癒されてゆくというのが大筋だ。まあ、あまりにも決まり決まった展開だから、どうということはないんだけど、ヴァージニア・マドセン、魅力的な人だったのになんだかふくよかになっちゃって。作家の時の流れよりもそっちの方が気になっちゃったわ。

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ハンガー・ゲーム

2015年10月07日 21時00分06秒 | 洋画2012年

 ◇ハンガー・ゲーム(2012年 アメリカ 142分)

 原題 The Hunger Games

 監督 ゲイリー・ロス

 

 ◇文明崩壊後の北米国家パネム

 統制下にある独裁国家における制裁と叛乱というのはよくある設定で、そこが農業や商業や工業といった専門的な部門ごとに集団化された地区に分かれているというのもよくある話だ。いや実際のところ『ダイバージェント』もそんなような感じだしね。ただ、この映画がなんだか『バトル・ランナー』をおもいださせるのは、やっぱり、国民が狩猟もしくは決闘のゲームに熱中しているという点だ。もっともそういう近未来物もやっぱり多いんだけどね。けど、ちょっとちがう。

 なにがちがうのかというと、もともとこのパネムには13の地区があって、どうやらその第13地区が75年前に叛乱をひきおこしたみたいなんだよね。で、その制裁のために狩猟格闘サバイバルゲームが始められ、それが「刈り入れの日」ってわけだ。抽選で選ばれるけれども、志願があれば優先するっていう至極簡単な選抜方法というのもわかりやすい。

 そう、この映画は実にわかりやすいんだ。

 なんとなくお多福をおもわせるジェニファー・ローレンスははっきりいってしまうとぼくの好みではないんだけれど、どうもこのところハリウッドのこうした連続物のヒロインは好みでないことが多いものだから、いまひとつ、気を入れて観る気にならない。そんなことはいえた義理じゃないけど、でも仕方ない。

 で、味噌になってるのは、ゲームに一緒に参加する同じ地区の男ジョシュ・ハッチャーソンがジェニファーに横恋慕していて、その慕情めいたものが味噌なんだよね。だって、ジェニファーは故郷につきあってる奴リアム・ヘムズワースがいたりするからだ。まあ、この恋慕のおかげでゲームの中継に熱中する観客すなわち国民の支持を得、本来は最後に残ったふたりが決闘しなければならないところを助けられるわけだから、そのあたり筋がきちんと練られてる。

 そういうところからいうと、最初から3部作として練られてはいたものの独立した物語としての体裁は整えられてるんだよね。

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96時間リベンジ

2015年09月07日 17時13分41秒 | 洋画2012年

 ◎96時間リベンジ(2012年 フランス 91分)

 原題 Taken 2

 監督 オリヴィエ・メガトン

 

 ◎わたしと母さんはこれから拉致される

 そもそも96時間という題名の意味は、誘拐されてから96時間経った場合は生きている可能性が限りなく低下するということから来ていて、被害者の生死の猶予時間のことらしい。

 もっともこれは邦題で、もともとリュック・ベッソンはそれを主題にするつもりはさらさらなかっただろうから、期せずして人目を引くタイトルになっちゃったんだけど、続編の場合、たしかに苦しい。前作は、娘が拉致されてそれを救出するまでのタイムリミットがあったからタイトルとうまく噛み合っていたものの、今回は、誘拐されるのは自分と元妻で、ここにタイムリミットはないし、さらに娘はまたもや狙われる。だからタイトルと内容とはまるで関係ない。けどまあ、仕方ない。

 あれこれこじつけられた内容はともあれ、さすがに元CIA工作員だけあって、イスタンブール市内を拉致されていく際の道順はほぼ耳で的確に捉えていたんだろうけど、それをさらに確信するために娘に爆弾を投擲させてその爆発音の大きさによって自分のいる場所と娘の疾走する場所を把握していくところは、かなり楽しめた。

 前作から4年経ってる分、ちょっとリーアムも老けたけど、それもまた味があるし、じいちゃん寸前のおじさんがなんともかっこよく見えるんだから、たいしたもんだ。

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インベーダーミッション

2015年05月01日 01時27分11秒 | 洋画2012年

 ◎インベーダーミッション(2012年 スペイン 99分)

 原題 INVASOR

 staff 原作/フェルナンド・マリアス  監督/ダニエル・カルパルソロ 脚本/ホルヘ・アレニラス、ハビエル・グジョン 撮影/ダニエル・アラニョ  美術/ファン・ペドロ・デ・ガスパル 音楽/ルーカス・ヴィダール

 cast アルベルト・アンマン アントニオ・デ・ラ・トレ インマ・クエスタ カラ・エレハルデ ルイス・ザヘラ ベルナベ・フェルナンデス ソフィア・オリア フラン・ペレテイロ

 

 ◎イラクに侵攻したのは誰だ?

 原題のINVASORは、英語だとinvaderになる。そう、つまり、侵略者とか侵入者って意味だ。

 イラク戦争において、イラクを侵略したのはいったい誰だったんだ?てな主題になるんだろうけど、たしかに医者のふたりが逃げ込んだ民間人の家で、いきなりの不法侵入をかけてしまったことで、そこの家人と戦う羽目になり、父親を撃ち、その息子を殺し、さらには祖父までも殺してしまった医師がみずからも深手を負い、友人の医師によって自分が撃ってしまったことで死に行こうとしている父親からの輸血を受け、それで生きながらえてしまったことへの罪滅ぼしとも、正義の公表ともいえるような作品だった。

 自分は意識を失ってしまったとはいえ、その間にこの殺人を目撃してしまった家族と親類と近在の住人を、駈けつけた米軍がひとり残らず惨殺してしまったところを友人の医師がコンデジに録画しており、そのコンデジを抱えたまま逃げ、これをスペイン政府の派遣した秘密警察が公表されるのを食い止めるために友人の医師を殺し、さらにカーチェイスまで繰り広げて、穀物工場まで追い詰めてゆくという活劇になっているわけだけれども、そのコピーがテレビ局に送信されていて、寸でのところで公表されるであろうことは途中から予測は立つわけで、そういう予定調和な部分もあるにはあるけど、いや、スピーディだし、絵作りは練れてたし、それなりに楽しめたんじゃないかな。

 ちなみに、インマ・クエスタは知的な雰囲気も備えた美人で、とってもぼく好みなんだけど、華奢な分、こういう切羽詰まった母親役にはぴったりだったわ。

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タイピスト!

2014年10月06日 00時04分44秒 | 洋画2012年

 ☆ タイピスト!(2012年 フランス 111分)

 原題 Populaire

 staff 監督/レジス・ロワンサル 撮影/ギヨーム・シフマン

    脚本/レジス・ロワンサル、ダニエル・プレスリー、ロマン・コンパン

    美術/シルヴィー・オリヴェ 音楽/ロブ、エマニュエル・ドーランド

 cast デボラ・フランソワ ロマン・デュリス ベレニス・ベジョ ミュウ・ミュウ

 

 ☆今でもタイプの大会ってあるの?

 日本語のタイプライターすなわち和文タイプの大会とかあったら凄そう、

 とかおもいつつ観てたんだけど、

 1958~59年のフランスに舞台を持ってきたってのがいいよね。

 ラストの台詞「アメリカ人はビジネスを、フランス人は恋を」てのが効いてる。

 ただまあ、最初から最後までシンデレラ物語に徹してるわけで、

 そうじゃなかったら、

 保険で設けた成金の御曹司が家を継いだものの性格の優しさが仇になって、

 つねに自分は2番でいいとおもい、好きな人間の志や夢を優先してしまうロマン・デュリスに、

 これまた田舎育ちで天然ボケながらオードリー・ヘップバーンのファンで、

 くわえてなかなか負けん気のつよいデボラ・フランソワが恋をして、

 まあ、ロマン・デュリスは親友の嫁さんが昔の恋人だったり、

 デボラ・フランソワの方はタイプライター屋の御曹司に言い寄られたり、

 パリの初日にはヘップバーンのコスプレまがいな衣装を着たりと、

 きわめてありがちな展開を経た後、

 栄冠と結婚を勝ち取っていくっていうフレンチ・ドリームにはならないものね。

 ただ、

 いまどき、これだけものすごい勢いでタイプを打つ女の人たちがいるってのも凄い。

 もっとも、相当な練習をしてたそうだし、

 実際、デボラ・フランソワは父親の古いタイプで練習してから撮影に臨んだみたいだし、

 カメラワークでかなり上手にあしらってるしで、

 なんだか凄まじい音の饗宴にもなるタイピスト大会は、

 それなりに圧巻の仕上がりになってるわ。

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