◇悪い種子
なにがあかんかったかって、子役のパティ・マコーマックがやけに大人びた顔をし過ぎてて、ちっとも可愛くないことだ。可憐な顔の女の子が恐ろしいことをおもいつき、それをそのまま引き起こしてるんじゃないかってのがミソなのに、これはちょっとな。
それと、ブロードウェイの脚本そのままなのか映画的な興奮がないのも辛い。マービン・ルロイはどうしてもっと自由自在な場面設定に変えなかったんだろ?
まあ母親ナンシー・ケリーの自分の遺伝子のために、わが子が窃盗と殺人をしでかす異常者として生まれ育ってしまったんじゃないかって悩み苦しむのが主題だから家の中だけですべてが展開する舞台劇のままでもいいんだって開き直ったのかもしれないけど、やっぱりつらいな。
好かったのは舞台でもアパートの清掃員役をやってたヘンリー・ジョーンズで、思慮と学歴は足りないけど小ずるい行動と悪だくみをいかにもしそうで、死んだ男の子をぶったたいた靴が焼却炉にあるとかまをかけて、ほんとに見つけちゃうっていう、なんともちょっと出過ぎたことをしでかしたために火をつけられる羽目になるっていう役回りを好演してた。
まあ、こういう子供にも天罰がふりかかるかどうかは疑問だが、結末はつけようがないかもしれないよね。