◎ザリガニの鳴くところ(Where the Crawdads Sing)
結局、ザリガニってのは、なにかの象徴だったんだろうか。母親が「ザリガニの鳴くところへ逃げろ」といったんなら湿地じゃないはずなんだけど、これってほんとは小屋のあるところが湿地に点在している沼で、ザリガニの棲息しているのは湿地ってことなのかもしれないけど、どうにもザリガニを獲っていた小学生の頃をおもいだすと反対のような気がしてならないんだけどね。
でも、なかなか見ごたえはあった。なるほど、とんでもない父親がいなくなったあとひとりで暮らさざるを得なくなったデイジー・エドガー=ジョーンズのたったひとつの恋の相手テイラー・ジョン・スミスに棄てられたとおもったあと、処女を奪い、さらにイキ癖までつけられ、イクときは目が光るくらいすごいことになるとかって噂まで流されて自分はさっさと名家の娘を婚約者にして、それでもまだ性欲の処理のためだけの道具にしようとするハリス・ディキンソンを見晴台から突き落として殺したのは誰かっていう単純な話なんだけど、いやあ、見ごたえあったわ。
みんな、あやしい。引退したのに急に弁護を買って出るデヴィッド・ストラザーン、湿地の雑貨店のあるじスターリング・メイサー・Jr、その妻マイケル・ハイアット、怪しい。これが後になって登場してくる行方不明になっていた兄貴もそのひとりになるようにしてあれば、もっとおもしろかったのに、残念だわ。
それにしても、絵がいい。テイラー・スウィフトの劇中歌「Carolina」もいい。