◎ピンク・フロイド ザ・ウォール(1982年 イギリス 95分)
原題/Pink Floyd The Wall
監督/アラン・パーカー 音楽/ピンク・フロイド
◎アラン・パーカーの言葉「音楽に語らせろ」
やっぱり、アラン・パーカーは凄い。
製作時まで、壁は戦禍と冷戦の象徴だったけど、それを人格と精神にまで肥大させて、幼い日の父への追慕と教師や親からの疎外と、浮気する妻との冷戦による自己崩壊からニュルンベルグ裁判の幻想にまで押し上げる作りは、もはや凄いとしかいいようがない。
◎ピンク・フロイド ザ・ウォール(1982年 イギリス 95分)
原題/Pink Floyd The Wall
監督/アラン・パーカー 音楽/ピンク・フロイド
◎アラン・パーカーの言葉「音楽に語らせろ」
やっぱり、アラン・パーカーは凄い。
製作時まで、壁は戦禍と冷戦の象徴だったけど、それを人格と精神にまで肥大させて、幼い日の父への追慕と教師や親からの疎外と、浮気する妻との冷戦による自己崩壊からニュルンベルグ裁判の幻想にまで押し上げる作りは、もはや凄いとしかいいようがない。
◇パラサイト(1998年 アメリカ 104分)
原題/The Faculty
監督/ロバート・ロドリゲス 音楽/マルコ・ベルトラミ
出演/イライジャ・ウッド ジョシュ・ハートネット ジョーダナ・ブリュースター
◇主題歌がウォール!
いってみれば『盗まれた町』のジュブナイルなんだけど、小説や映画の話をしすぎかな。わかるんだけどね。
要するに、若くて旬の役者を揃えて、CG使って少しHな典型的B級作品を作っちゃおうてな感じで制作されたとしかおもえないんだけど、いくらなんでもカフェインだとかいって誤魔化しながらも麻薬の脱水作用で危機を逃れるとかいう展開でいいんだろうか?
◇誰も守ってくれない(2009年 日本 118分)
監督/君塚良一 音楽/村松崇継
出演/佐藤浩市 志田未来 柳葉敏郎 石田ゆり子 佐々木蔵之介 松田龍平 木村佳乃
◇ちょっと大仰な気も
宿の主人の中途半端な設定と心情の変化がなんともいただけない。
でも、それより、マスコミとネットの扱いが大仰すぎてちょっと引くわ。リアリティーを求めてるんだろうとおもうんだけど、それが行き過ぎちゃって、かえって現実から乖離したような感じになってる気がするんだよね。佐藤浩市が好意を寄せる対象が曖昧で、そのあたり嫌らしさもすこしあるかな。
◇暗殺者(1995年 アメリカ 133分)
原題/Assassins
監督/リチャード・ドナー 音楽/マーク・マンシーナ
出演/シルベスター・スタローン ジュリアン・ムーア アントニオ・バンデラス
◎廃墟の銃撃戦の迫力が…
佳境で目一杯アクションしないとなんか物足らない。濡れ場が足りないのはまあスタローン作品だからいいとしても、全体的な湿っぽさはなんだかね。
とはいえ、ウォシャオスキー兄弟の脚本はまずまずで、ドナーの演出も堂々としてる。でも、スタローンにとっては地味に見えちゃうのは、執拗にスタローンに対抗しようとするバンデラスとのむさくるしいやり取りに焦点が絞られてしまったためかなとも。
佳境、標的になっている銀行の前の廃墟の中での決闘はまあまあよかった。
◎ザ・ガードマン 東京用心棒(1965年 日本 85分)
監督/井上昭 音楽/小野崎孝輔
出演/宇津井健 藤巻潤 久保菜穂子 江波杏子 渚まゆみ 倉石功 中条静夫 稲葉義男 待田京介
◎お洒落な画作り
当時の流行かもしれないんだけど、セットやオープンでカメラを固定していかにもな画作りをしてる。
でも、これがなんだかお洒落なんだよね。多くはクラブで、白い檻の室内と外観なんだけど、構図も台詞も酒壜も決まってて一見の価値ありだ。撮影の渡辺公夫というより、これは美術の間野重雄のセンスが光ってるといった方がいいんだろうな、たぶん。
△ハウス・オブ・ザ・デッド(2003年 アメリカ、ドイツ、カナダ 90分)
原題/House of the Dead
監督/ウーヴェ・ボル 音楽/ラインハルト・ベッサー ピーター・リーズ
出演/オナ・グローアー ソーニャ・サロマ エヌーカ・オークマ ジョナサン・チェリー
△死の島
ゲームの映画化だそうだけど、誰でも考えられる筋とかっていったらいけないだろうか?
陳腐とくくっちゃったらかわいそうだし、お金もそれなりに懸ってるし、最初は悲鳴を上げて逃げ回っている内にゾンビをがんがん倒せる程経験値が上がってゆくお姉ちゃんとお兄ちゃんの美しい肢体を織り交ぜた成長譚と捉えて楽しむよりほかにないだろ。
△スリ(2000年 日本 112分)
監督/黒木和雄 音楽/松村禎三
出演/原田芳雄 風吹ジュン 香川照之 伊佐山ひろ子 石橋蓮司 平田満 すまけい 真野きりな
△いつの時代の物語なんだ?
高度成長期の話かとおもったわ。
原田芳雄は格好いいし、風吹ジュンも可愛いし、黒木和雄だからそれなりに期待したのに…。
おいぼれたスリが可愛がってた弟子に指を潰され、ふたたびアル中になりかける彼女を抱いて、刑事に見られながらもはやできそうにないスリの業に挑戦するとかって、いや、これ、現代の話とはちょっとおもえない気がするんだけど、どうしちゃったの?
◇アタメ(1990年 スペイン 111分)
原題/¡Átame!
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル 音楽/エンニオ・モリコーネ
出演/ビクトリア・アブリル アントニオ・バンデラス フランシスコ・ラバル
◇私を縛って
という日本語訳がビデオ・パッケージの副題だったんだけど『完全なる飼育』のスペイン版(こちらの方が先)としかおもえない。
なんだかな~っていう、消化不良な中身で、精神病院を出た異常性愛者という設定のアントニオバンデラスのコミカルさを味わうくらいなもので、タイトルから想像される中身は浦戸宏だったら烈火のごとく怒りそうな話だったわ。
◇天使と悪魔(2009年 アメリカ 138分/146分)
原題/Angels & Demons
監督/ロン・ハワード 音楽/ハンス・ジマー
出演/トム・ハンクス アイェレット・ゾラー ユアン・マクレガー ステラン・スカルスガルド
◇ローマの休日サスペンス版
京や奈良が舞台だったらどうなるのかな。バチカンでローマ教皇が殺されてつぎつぎに枢機卿が狙われてゆくように、とある宗教の大僧正が殺され、その跡継ぎ候補が順に殺されていくって物語になるのかしら?
それはまず無理だろう。ていうか、日本では凄い抗議が殺到しそうだ。
欧米は娯楽と伝統を冷静に分けてるからできるんだろうけど、まあそれはともあれ、ローマの名所めぐりみたいな感じになっちゃうのは仕方ないことなのかもしれないけど、殺される前に着けよってな話だわね。
◇4分間のピアニスト(2007年 ドイツ 111分)
原題/Vier Minuten
監督・脚本/クリス・クラウス 音楽/アネッテ・フォックス
出演/モニカ・ブライプトロイ ハンナー・ヘルツシュプルング スヴェン・ピッピッヒ
◇あしたのジョー・ピアノ版
といっては身も蓋もないけど、ピアノの才ある囚人とレズの相手をナチに密告して死なせてしまった80歳の女教師との交流だけならまだしも、自分を犯して身籠らせた養父との不和や無実の殺人罪での服役や看守の嫉妬といったいろんな挿話は筋を複雑にするだけな気がするんだけどな。
せっかく、トラウデ・クリューガーという実在の人物を扱ってるんだから、実話を紹介してほしかった気もする。
◇大地の子守歌(1976年 日本 111分)
監督/増村保造 音楽/竹村次郎
出演/原田美枝子 佐藤祐介 岡田栄次 梶芽衣子 田中絹代 賀原夏子 灰地順 木村元
◇広島県呉市大崎下島御手洗の売春茶屋
生命力はすごく感じた。
邦画がまだ日本の泥臭い風土を描いていた時代、登場人物も嘘臭いほどの生命力があった。主役のおりんもだ。当時は折檻されてたわわな乳房が零れる場面ばかり宣伝されてたけど、それもまた時代というものなんだろう。まあ、文化芸術ってのはキワモノすれすれのところで描かれてるってことの証明みたいなものだけど、当時、高校生だったぼくもそれに乗せられたひとりでしかない。
とはいえ、原田美枝子の過剰なほどの演技は衝撃的ですらあったけどね。
まあ、いかにも増村保造らしい作品っていえるんだろう。
◇HERO(2007年 日本 130分)
監督/鈴木雅之 音楽/服部隆之
出演/木村拓哉 松たか子 阿部寛 綾瀬はるか 香川照之 中井貴一 児玉清 松本幸四郎
◇大掛かりなテレビドラマ
イビョンホンの登場と絡み方は、往年の邦画のゲスト出演のやり方そっくりだった。受け継いでほしくない伝統だけどね。
ただまあ、主役男女の幼稚園ごっこは食傷気味かな。ヒーロー讃歌のための筋立てにおもえちゃってね。もうすこし映画らしさってなにかなと考えてほしいとかっておもったりいったりするから時代遅れって烙印をおされちゃうのかもしれないけどさ。
でも、あいかわらず服部隆之の音楽は上手だなっておもうわ。
◇ハッピーフライト(2008年 日本 103分)
監督・脚本/矢口史靖 音楽/ミッキー吉野
出演/田辺誠一 時任三郎 綾瀬はるか 吹石一恵 寺島しのぶ 田畑智子 岸部一徳
◇空でも間延びした時間
過去の『ウォーターボーイズ』とか『スウィングガールズ』とか前半があまりに冗漫で耐えきれなかったんだけど、多少そうした傾向はあるものの、なんとかまだ耐えられた。
でも、もう少し刈り込んだ方が嬉しい。
空港の仕事はよく取材してるように感じられて、そうした映画作りの姿勢はとても好感が持てる。
◎ボルベール 帰郷(2006年 スペイン 120分)
原題/Volver
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル 音楽/アルベルト・イグレスアス
出演/ペネロペ・クルス カルメン・マウラ ロラ・ドゥエニャス ヨアナ・コボ
◎主題は母の愛として
舞台はラ・マンチャ。娘が刺殺してしまった夫の死骸を片づける母、火事で行方を眩ますことができたのに娘が心配で戻る母、姪の見を案じる叔母。
家族が縦糸だけど、現実にはありえない「生きていた母」の話がやけにリアルに描かれてるわ。
◇四日間の奇蹟(2005年 日本 118分)
監督/佐々部清 音楽/加羽沢美濃
出演/吉岡秀隆 石田ゆり子 西田敏行 中越典子 松坂慶子 西村和彦 石橋蓮司 平田満
◇サヴァン症候群による救済
ヒロインの人生は何だったのかよくわからないまま、いたずらに感動させようと物語を展開させてる感じを受けて、ちょいとつらかった。
自分を助けてくれた介護士の魂にサヴァンの子が体を貸して想いを語らせる訳だけど、旦那との愛情がないがしろになってるような気もする。
ちなみに一般的な疑問、初恋と結婚相手、女性はどっちを選ぶんだろうね?