◎理想の女(2004年 スペイン、イギリス、イタリア、ルクセンブルク、アメリカ 93分)
原題 A Good Woman
監督 マイク・バーカー
出演 ヘレン・ハント、スカーレット・ヨハンソン、トム・ウィルキンソン
◎1930年、アマルフィ
オスカー・ワイルドの戯曲『ウィンダミア卿夫人の扇』をもとにしてて、舞台をロンドンからアマルフィに変えたってことなんだけど、なにしろいつものように不勉強な僕はその戯曲を読んだことがないから違いがわからない。でも、アマルフィで好かったんじゃないかって気がする。浮名を流し続けるヘレン・ハントがニューヨークからアマルフィへ流れてくるってのがなんとなく退廃的でいいじゃないか。
まあ、スカーレット・ヨハンソンの印象として貞淑な新妻というのがどうしてもしっくりこないのは僕だけなんだろうか。ハリウッドではずいぶんと可愛がられてるっていう印象があるんだけど、どうしても肉感的なくちびると姿態だから、なんか貞淑な人妻って気がしない。とはいえ、だからこそ、今回のような不倫を汚らわしいとおもうがゆえに夫が裏切っているとおもいこんで夫の親友と不倫に走りかけてしまうという不安定な貞淑を演じたのかもしれないね。
20年前にスカーレット・ヨハンソンを産み落としながらもその場を去り社交界を流れていたヘレン・ハントの最後の相手になるトム・ウィルキンソンは、あいかわらず好い演技だ。おしころした感情を上手に表現できるし、好い役者だな。ゴシップ好きな有閑マダムどもの興味の対象になる二度の離婚を経験した財産家ってのがいいね。
ちなみに、アマルフィを舞台にした邦画とはまるで別な町のようにしっとりと撮られているのは、やっぱり作り手の感性の差なんだろな。あ、邦題の『理想の女』は『りそうのひと』と読ませるらしい。もうちょっとほかにないんかいな?