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マディソン郡の橋

2024年12月30日 03時03分35秒 | 洋画2024年

 ◎マディソン郡の橋(The Bridges of Madison County)

 

 つまり、4日間の濃密な恋の物語というだけで、とりたてて斬新な撮り方をしているわけでもなければ、ものめずらしい恋というわけでもない。

 いつイーストウッドが歯を噛みしめてマグナムをぶっぱなすんだろうとおもってたら、最後まで怒鳴ることすらなかったっていうのはくだらない冗句だけど、まあ、今回は監督だし、メリル・ストリープの目線だしってこともあって、イーストウッドは単なる相手役に終始してる。

 それにしても、メリル・ストリープは、イタリアで結婚適齢期までくすぶってて、ちょうど戦争で村へやってきたジム・ヘイニーにくっついてアメリカに渡るんだけど、摩天楼の都会を夢見てたのが、だたっぴろいだけのアイオワの片隅に住まわせられて、子どももふたりこしらえて、ただただ漫然と暮らしてたっていう設定で、まったく下品な言葉でいえば身体が夜泣きする状態つまり欲求不満のかたまりになってるところへ、まるで西部劇のカウボーイのように宿場から宿場へ放浪していくクリント・イーストウッドが登場するわけだから、こりゃもう大変で、欲情に火がついてもう4日間の愛欲に没頭しちゃうっていう物語なだけなんだけど、それがオブラートに包まれたような映像になっちゃってるもんだから、世の中の女の人は夢中になっちゃったんだろうか?

 まあしかし、これ『シェーン』でしょ?

 イーストウッドでいえば『ペイル・ライダー』か『荒野のストレンジャー』だわね。

 でもまあ、なんていうんだろう。世の中年や老年の人達にとって、家庭があっても好きな異性ができたらもう身も心もぞっこんになっちゃって、どこまでも溺れちゃいたいっていう願望はあるんだろうなあ。それでいて、結局、その相手と逃げちゃったら破局になるのが予感されちゃうし、美しい思い出にして死ぬまで取っておきたいっていう気持ちもあるんだろうなあ。だから、世の中の不倫騒ぎは、自分がしたくてもできないのを棚に上げて、とことん良識をふりかざして糾弾するのかなあ。なのに、こういう4日間のとくべつな時間には憧れちゃうんだなあ。なんだかなあ。

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ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

2024年12月26日 17時23分12秒 | 洋画2003年

 ◎ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(The Life of David Gale)

 

 性的異常者に味方することで有名とされる記者をケイト・ウィンスレットが演じてるんだけど、あいかわらず性格のきつそうな演技だ。

 これもまたあいかわらず露出をしぼった渋い画面。気持ちよく影が黒に潰されてる。いかにも、アラン・パーカー。ミシシッピー・バーニングをおもいださせる不気味な迫力だなあ。刑務所の中を案内されるとき、こんなふうに言われる。

「ここは日本庭園だ。コインを投げ込まないでくれよ」

 アメリカらしいなあ。

 ちなみに、ケビン・スペイシーは、ジャック・ラカンの言葉を引用して講義をしてる。

「夢想は非現実的でなければならない。実現するとたちまち興味が失せてしまう。生きるためには夢は決して叶えられてはならない。我々が欲するのは、それではなく、それの幻影。欲望が叶うはずのない狂おしい夢を育む」

 また、パスカルも引用する。

「人は将来の幸せを夢見る時だけ幸せである」

 そしてケビン・スペイシーはこんなふうに結論づける。

「夢を生きがいにすると決して幸せは得られない。知性と理想を持って生きるのが充実した人生。夢が叶うか叶わないかで人生の価値は決まらない」

 さらに死刑前日、ケビン・スペイシーはケイト・ウィンスレットにこんな謎かけをする。

「人は日々、死を遠ざけようとする。そのために食べ、工夫し、愛し、祈り、闘い、殺す。だが死の何を知ってる?そこから誰も戻らない場所?だが、ふと人は気づく。ある一瞬、人の心は欲望とか執念を、乗り越える。習性が、夢に勝つんだ。多くを失うと死は喜びだ」

 達観したよーな台詞だな~とかおもってると、なかなかそんなではなかったことが、結末のどんでん返しで見えてくる。ローラ・リニーが白血病だってことがわかると、いよいよ、謎めいた事件が明らかになってくる。死を宣告された女がどれだけ強いかってことになるんだけど、死刑を宣告されたようなもので、これはかならずやってくる死なんだけど、死刑は止めることができるというのが、ローラ・リニーの主張するところなんだろうね。それで、その主張のとおりに、マット・クライヴンとケビン・スペイシーが仕掛けてくるっていう寸法なんだけど、う~ん。

 つまり、ケイト・ウィンスレットは嵌められたことになるのは、わかるんだけどなあ。

 アラン・パーカーも、ラストについて、二重三重のどんでん返しを仕掛けるかどうしようかは迷ったんだろう。その上で、すべて、死ぬことも死刑になることもさらにこの事件のからくりが発見されるであろうことも仕組まれた上でのことという描き方が最善なんだろうと確信したにちがいない。う~ん、どうすればよかったんだろうね、筋立て。

 

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フローレス トラウマを抱えた女

2024年12月25日 20時51分46秒 | 洋画2024年

 ◇フローレス トラウマを抱えた女(His Fatal Fixation)

 

 ストーカーもここまでくると、めちゃくちゃだな。ストーカー被害に遭って、PTSDを発症したせいで幻想に苦しむのもよくわかる。感情の抑制が利かなくなって、他人に対して攻撃的になるのもほんとにわかる。

 けど、深い仲になった相手の妻に勘違いの怒りをたぎらせ、相手の家に乗り込んで花束をたたきつけて、ちからになれるとおもってたとか叫ぶのはちょっとなあって話だ。あの仕事が大好きなの、居場所がなくなると困るの、とか言うのも、この脚本、どうかとおもうな。

 それに、ストーカーになった男、そのときに殺された彼氏、あらたに出会って告白してくる男、妻と疎遠になってるのかどうか微妙な医院のオーナー医、最後につきあうことになるマンションの管理人。ちょっと相手が多すぎないか?

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海の淵

2024年12月24日 22時00分29秒 | 洋画2024年

 ◎海の淵(Landkrimi Tirol: Das Mädchen aus dem Bergsee)

 

 なんとなく感傷的なギターのメロディが好いなあっておもってたら、どんどんと人間関係の深みに嵌まっていく。そんな映画だった。

 ミリアム・ウンガーっていう監督も、パトリシア・アウリツキーという女優も、とにかく地味だ。ただ、物語は決して地味ではなくて、湖に重しを入れられたリュックを背負わされて沈められた売春婦の存在意義みたいなものを探っていくんだけど、この相関図がなんともいえない。相関関係は、サッカーの監督で、かつ、町の名士がいて、とうに離婚してるんだけど、こいつを父親に持った女刑事パトリシア・アウリツキーが捜査をする過程で徐々に知れてくる。むなくそが悪くなる関係で、どう書けばいちばんわかりやすいんだろう?

 パトリシアの実家には、母親がいる。12歳で、死んだ姉もいる。さて、この姉、死んだ理由がよくわからない。自殺らしい。なんで自殺したのかをつきとめてゆくんだけど、この謎を解こうとするうちに、パトリシアの家族が濃厚に絡んでくる。この展開があまりにも身近すぎて、どうかなあっておもっちゃう。

 つまるところ、パトリシアの父親のサッカーの監督は異常性欲の持ち主で、自分の長女に倒錯して、特別な女だといって執着し、性交渉を強要して妊娠させちゃう。娘は、女児を出産するんだけど、そのために気鬱になり、みずから命を絶つ。話はそれでは終わらなくて、生まれた女児は修道院に預けられるんだけど、働き始めても挫折し、ベルリンで売春屋に務め、それをつきとめたのか偶然なのかはわからないけれども、まあ、たぶんつきとめたんだろうけど、サッカーの監督つまり祖父が客になって現われるんだね。これまたいたたまれず、娼婦になっていた孫は逃げ出すんだけど、執拗に追われ、やがて性交渉を拒んだことで殺される。この因縁深い犯罪の真実を、父親とは離婚した母親と暮らしてきたパトリシアが偶然にも追いかけることになるんだけど、いやもう、この展開は偶然すぎないか?

 ちなみに、チロル地方の風景はとっても美しく撮られてるね。

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帰らざる日々

2024年12月24日 15時40分19秒 | 邦画1971~1980年

 ◇帰らざる日々(1978)

 

 懐かしい。

 たぶんそうなんだろうけど、藤田敏八の描いてきたこういう青春時代のやるせなさってのは、田舎の高校生とか地方出身の大学生には刺さるもんがあったんだろうなあ。

 それにしてもなんつーか、自主制作映画の35ミリ版っていうのがなによりしっくりくるかなあ。大掛かりな自主制作な感じ。ま、ともかく、飯田にデパートが進出して、中央高速が開通したばかりの時代。そうかあ、だから、あの頃、信州が舞台の映画が多かったのか。

 喫茶店に掛かるのは『旅の宿』だが江藤潤が不良に見えない。映画館は『日本侠客伝』で『唐獅子牡丹』が流れ、朝丘雪路の経営するスナックで掛かるのは『傷だらけの人生』だ。

 江藤潤の家、むかしの町家だなあ。向かって左の戸を開けると通り庭。入って右手が江藤潤の部屋。浅野真弓を手籠めにしようとしたとき、浴衣の足元から覗き込むようなアングルで下着を撮るんだけど、趣味の良くないカットながら白い下着ってのがなんとなく当時を匂わせる。

 しかし、当時の喫茶店はええね。特徴的な雰囲気は当時でしか味わえないなあ。

「太宰の斜陽の中に不良とは優しさのことではないかしらっていう一節があるよな」

 と、河原で友達にいうのは、5月生まれのタツオこと永島敏行で、その青春物語なんだけど、相手は竹田かおり。中学でて名古屋の美容学校に通って美容院にも勤めてたとかで、店主に強姦されて、だけど、かなり深入りしてたようで、見切りをつけて出直そうと飯田に帰ってきたんだが、だから、童貞の永島敏行が挿入しようとしたとき、ちがう、そこじゃないといわれちゃう。これは、めげるんだよなあ。

 そうか、飯田のパチンコはまだ手打ちだったのか。しかし竹田かおりを犯そうとした翌日に、江藤潤のたくらみで浅野真弓とデートするときの純情ぶりはなんだよって話だけど、まあ、それがばれて、竹田かおりが怒るのはいいとしても、母親の吉行和子が朝丘雪路と電話でお互いに店を知ってたりする話をしてるうしろではやくざの中村敦夫が大喧嘩したりと、まあ、そんなありがちの世界なんだが、まじ、田舎はそんなもんだ。

 とにかく、いろいろ懐かしいけど、いくらなんでも、アリスの『つむじ風』のかかるミュージックビデオみたいな画面で夢精するか?

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ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件

2024年12月23日 17時31分21秒 | 洋画2024年

 ◎ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件(Que Dios nos perdone)

 

 いやあ、かなり気を入れて見ちゃったわ。

 老女の強姦殺人とかって、心の底から見たくないし、あっちゃいけないものだし、もう、そんな映画とか見たくないはずなんだけど、見ちゃった。で、いやまあ、腕白小僧がそのまま刑事になったロベルト・アラモはまあありがちな人間で、奥さんと別居してるもんだから美人の娘マリア・バリェステロスとふたり暮らしなんだけど、この禿げオヤジが好い。で、どもりの相棒アントニオ・デ・ラ・トーレなんだけど、まじめだとおもってたら冷静スープを持ってきてくれた清掃係の女性が自分に気があると察するや、うしろから抱きすくめ、強姦まがいの姦淫をしかける。まじかよって話で、強姦殺人の物語で、犯人を追いかける刑事にそれはまずくないかっておもったりしつつも、結局、傷を負わせ、逃げ出される羽目になるんだけど、う~む、ロドリゴ・ソロゴイェン監督、これはありなのか?

 ま、それはさておき、女たちの集うカフェの聴取のあと、腕白刑事の推理はこうだ。

「アントニア・アルバレスが最初の被害者だ。ふたりは関係を持っていた。彼女に拒まれて殴ったら発作で倒れられ怖くなって強盗を装った。だがアロンソのおかげでニュースにならず安心した犯人は半年後また凶行に及んだ。ベルナルダ。今度は猫にミルクを与える余裕もあった。またニュースにならず人殺しなんて楽勝だと思った。だから3人目のコンチャには派手に暴行した。翌日、新聞にもネットにも何も載っていない。また、誰かが狙われる。誰のせいで?警察だ」

 さらに、心理分析がすすむ。もともと、分析官もたいしたことはなくて、老女の膣が潤滑液が枯渇しているところへもって巨大なペニスが乱暴に挿入されているために裂傷をひきおこしているってことから、巨大ないちもつをもった好色爺いの犯行だとかいってたんだけど、そんなはずもないわけで、

「犯人はまちがいなく30〜35歳の白人だ。都心を狙うが郊外に暮らし日常と犯罪を区別、強い存在の母親にトラウマを抱え、老女に愛憎を抱いている。暮らしぶりは中流上位、容姿に気を配る。短気で残虐、体を鍛えていて体力がある。ふだんは穏やかだが親密になると豹変、母親に見立てて老女を殺すが、母親に手はかけない」

 なんていう推測がされていって、カメラは、犯人を直接、捉えるようになっていく。

 ま、こういう、物語の途中から視点が変わるのもありかな?

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デビル

2024年12月22日 11時54分35秒 | 洋画2011年

 ◎デビル(Devil)

 

 おもしろかった。原案がナイト・シャマランだそうで、なるほど、エレベーターに罪を犯した5人の男女が乗り込んでて、実はその中に姿を変えた悪魔がいて、同乗してる連中をつぎつぎに斬殺していくっていう筋立てはそれだけでも充分におもしろいし、エレベーターのあるビルの上から自殺者が出ることでそれが悪魔を呼び寄せる儀式になってるっていう出だしもまたいい。

 この自殺者が実は他殺なんじゃないかって直感する刑事クリス・メッシーナもまた因縁めいてて、5年前に奥さんと子どもをひき逃げされてて、その犯人が実はエレベーターに乗ってるってのもいい。そう、ひき逃げが罪で、その贖罪をさせられるために悪魔に呼ばれたっていう感じになってるんだね。信心深い警備員ジェイコブ・バルカスが監視カメラからすべての出来事を見守ってて、おばあちゃんが言ったという「この世に悪魔がいるんなら、天使もいるんだから、罪を犯した者がそれを認めて改心しようとするなら天使はかならず手をさしのべる」っていうのは、うん、納得できた。

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ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実

2024年12月21日 12時35分20秒 | 洋画2019年

 ◇ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実(The Last Full Measure)

 

 懐かしい、ストリート・オブ・ファイヤーのお姉エイミー・マディガンじゃん。エド・ハリスと夫婦そろって出演してるのか。ま、キャストはいい。ピーター・フォンダの遺作らしいけど、そうか、かなりむくんでるもんね。クリストファー・プラマーもこれが実写の最後の作品だそうで、なんだかね。ただまあ、ウィリアム・ハートといい、サミュエル・L・ジャクソンといい、キャストはそろえてる。セバスチャン・スタンとアリソン・スドルの若夫婦を除けば、有名どころを揃えてきてるんだけど、惜しいかな、脚本が弱いね。

 アビリーン作戦の全容がまるでつかめない。だからおもしろくないんだな。ベトナム戦争も森の一隅だけで話は進んで、ここと交互に1999年の物語が進行するんだけど、どうも、謎が謎として上手に語られてない気がする。ウィリアム・H・ピッツェンバーガーが30年も名誉勲章を申請されていながら受賞に到らないのはなぜだってところで、その真実がなんか薄められた観があってどうもなあ。ま、ラストの表彰式のくだりあたりは好い感じだったけどね。

(以上、2022-10-14 23:04:03の感想)

 

 時代設定は1999年なんだけど、子供が父親の「クソ」という言葉に反応して「クソは罰金」という。なるほど、この頃なら、不適切な言葉づかいに目くじらが立てられるようになってきたのね。で、日本はそれから10年遅れで流行り出したわけか…なるほど。

 クリストファー・プラマーがいみじくもいう。

「年をとるのはつらくない。つらいのは起きていることだ」

 たしかにそのとおり。

 やっぱり、ラストの表彰式は好い。

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ハングマン

2024年12月20日 19時16分28秒 | 洋画2018年

 ◎ハングマン(Hangman)

 

 アル・パチーノの愛車ビュイック・リヴィエラがカッコいい。音楽もありきたりだけど不気味さが好い。

 連続殺人だとおもわせながら、実はアル・パチーノの過去の事件が絡んでるのが徐々に明らかにはなるものの、SMのレズビアンの片割れが殺されたり、教会で十字架に磔にされて豚の皮を被せられて窒息死させられたりと、あれこれ、派手なところに惑わされる。

 つまり、犯人に乗せられるわけだね。

 画面の中、道路や壁に時刻が表示されてるのはなぜかとおもってたら、そうか、犯人は毎晩11時に殺しをしてるから、その前後の時間だけ観客に報せてくれてるわけかってなことはわかるんだけど、これ、過去の事件とおなじ時刻だとかいう因縁が欲しかったな。

 途中までは、アル・パチーノとカール・アーバンとブリタニー・スノウの3人だけが動いてるから、このうちの誰かが犯人なのかなともおもったりするんだけどね。

 ただ、このハングマン単語ゲームは、英米では誰でも知ってる言葉遊びだからおもしろいのかもしれないけど、まるでなじみのない日本人としては、とまどうぞ。

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スフィア

2024年12月19日 18時03分40秒 | 洋画1998年

 ◇スフィア(Sphere)

 

 たしかにそのとおりだといってしまった。サミュエル・L・ジャクソンがダスティン・ホフマンにこう言う。

「考えてみれば妙だ。(将来造られるアメリカの宇宙船がブラックホールに突入して50年前の太平洋に突入したという)彼の説は、タイムトラベルだ。我々は帰還して話す。その方法や危険性についてな。ではなぜ50年後の宇宙船が未知の突入と言う?なぜ知らない?それは我々が話してないからで、話してないのは海上に戻ってないからだ。つまり、ここで死ぬんだ。引き算の理屈だよ。あの球体の中に入れたら」

 なるほど『アビス』と『2001年宇宙の旅』と『エイリアン』を足して割ったわけね。水の球体がモノリスで、ジュリーなるコンピュータの解読による宇宙人の言語がハルなのね。ま、サミュエル・L・ジャクソンの名前がハリーだし。

 しかしそうか、球体の中がからだろうと水だろうとあるいは自己の希望や想像という意思のかたまりだろうと、わからないままでもいいのか。主要な人物がみんな球体に入ってしまえばそれぞれが想像したことが現実化して混ざり合っちゃうのか。

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ザ・クリミナル 合衆国の陰謀

2024年12月18日 19時50分05秒 | 洋画2008年

 ◇ザ・クリミナル 合衆国の陰謀(Nothing But the Truth)

 

 ケイト・ベッキンセイル、好演してるけど、この役の記者は、ちょいと頑な過ぎて、身を入れて観るのはためらうなあ。

『君は譲れないものが多いな』

 そのとおりだ。囚人仲間とベッドのとりあいをして叩きのめされたときに弁護士アラン・アルダから言われるんだけど、つまり、面会室でセックスした夫デビッド・シュワイマーに付き合ってる女がいるのかと質し、ここでも揉み合い、抱いてくれてありがとうと吐き捨て、もうめちゃくちゃ殺伐としてきたときのベッドのとりあいなんだけど、まあ脚本の畳み掛けは上手いとはいえ、どうもねえ。

 なるほど、通学バスのシーンの中で息子が斜め後ろに居る場面は伏線だったのか。

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CHASE チェイス 猛追

2024年12月16日 20時41分52秒 | 洋画2022年

 ◇CHASE チェイス 猛追(Last Seen Alive)

 

 ガソリンスタンドでジェラルド・バトラーが給油中に、水を買いに行った妻ジェイミー・アレクサンダーが誘拐されたかもしれないっていう出だしなんだけど、それに気づいて行動し始めるまでの段取りが長くて…。

 それはいいとしても、冒頭の刑事ラッセル・ホーンズビーが容疑者らしき爺さんをちからづくで口を割らせようとするのをなんで前置きしたのかわからん。

 つか、後半、まるきり違う話じゃん。

 わけわからんヘロインの精製アジトみたいなところに潜入して、悪人としかおもえんやつだけどおもわず撃ち殺しちゃったりするって展開はどうよ?

 まあ半年前に浮気してたオトコがそこのボスだったてな展開だったはずなんだけど、その恨み辛みはなんも触れないまんま銃撃戦になって、死んだとかいわれて埋められてたはずの奥さんはどーなってんだいって話で、いやもう破綻してはいないけど、おもいもよらない展開で、いったいなんの映画だったんだろう。

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放課後

2024年12月13日 19時18分55秒 | 邦画1971~1980年

 ◇放課後(1973)

 

 知多東宝で宣材を配ってた。鮮明な記憶だ。

 この作品の価値は世田谷線の動画かなあ。あとは当たり前のことながら昭和58年の風物がそのまんま観られるってことくらいかなあ。

 それにしても、主人公はいったい誰なんだろうね。栗田ひろみはどうしても物足りないし、かといって地井武男と宮本信子の新婚家庭に喫茶店キャンディのママ宇津宮雅代が絡んだ4角関係っていってもなあ。

 ただ、後半残り30分で栗田ひろみが地井武男の上着のポケットにCANDYのマッチを入れるところから宮本信子と喧嘩して、宇津宮雅代とセックスしてしまうまで+篠ひろ子と宇津宮雅代が喧嘩するまでが妙に上手い。

 てなことを考えるだけの映画だったのかなあ。宣材をもらって、それをアルバムにまで貼って、いつか観られる日が来るのを愉しみにしてたんだけどなあ。50年待ったのになあ。

 あ、井上陽水の楽曲と、星勝の編曲はGOOD!

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ザ・ハント ナチスに狙われた男

2024年12月12日 18時03分56秒 | 洋画2017年

 ◎ザ・ハント ナチスに狙われた男(Den 12. mand)

 

 1940年4月9日、ナチス占領下のノルウェーに、ヒトラーがノルウェー要塞を築いたっていうクレジットから始まる。

 で、3年後の3月27日、トフテフィヨルドでイギリスから来た工作船が拿捕される。そこから1日刻みで展開していくんだけど、12人の地下活動家が追われて11人が捕まり、民間人に助けられた男トーマス・グルスタッドがイギリスに報告に行くためにスウェーデンまで逃げて行くっていう話だ。

 寒そ〜。

 けど、氷の海峡を脱走したトーマス・グルスタッドが生きていると信じて追いかける親衛隊の少佐ジョナサン・リース=マイヤーズが根性のかたまりで氷水に20分浸かってても死なないっことをみずから証明するくらいだ。すげえ信念。

『ドイツ軍はオーロラも盗んだかな?』

『そんなのむりよ。隠れるところはいっぱいある』

 地図好きな少女に励まされる場面が好い。

 けっこう人情物で漁師たちも服が水に濡れたら山越えの最中に凍死するとかいって、船から彼をかついで上陸させたり、今渡さなかったら一生後悔するとかいってスキーをやったり、村の友人がナチスに入ったりしてるのに逆らって匿ったりと、まあいろいろあって、それからも終わりのない悪夢にさいなまれたりするんだけど、そのあたり物語が動かなくて観るのが苦しくなってきたもする。

 手漕ぎボートに組み立て式のソリを仕込んでフィヨルドを渡って、隠れているサヴォイ・ホテルまで迎えに来たのは感心したけど。

 しかし、そもそもの工作内容か゚最後にならないとわからない。8トンの爆弾を積んだ船でナチスの戦略拠点を破壊することだったんだけど、寝返りによってナチスに知られて、失敗したらしい。つことは機密を知ってたわけでもないのに、なんでここまで追われたんだ?

 まあ、なににしても寒くてしみじみ暗い脱走劇だったなあ。

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シビル・ウォー アメリカ最後の日

2024年12月07日 18時38分54秒 | 洋画2024年

 ◇シビル・ウォー アメリカ最後の日(Civil War)

 

 物語に気持ちを入れるまで時間が掛かる。だってとっくに内戦が始まってるから。テキサスとカリフォルニアが西部同盟とか組んで叛乱を起こして、フロリダが与しかけてるのはテレビの大統領による投げ掛けでわかるが、それだけだ。

 音楽の扱い方がどうもしっくりこない。現実のポップスを流すことの効果はわかるけどどうもね。国連の支援団体の女の子がめちゃくちゃ綺麗だ。とかおもってたら、後半、ゆるい音楽とスローモーションが始まり、戦火の爪痕を点描するのを観て、わかった。

 これ『地獄の黙示録』なのね。

 狙撃兵に、相手は誰だ?と尋ねたとき、さあにと、やつらが狙ってくるからおれたちも狙うと答えてライフルをかまえたとき、確信したわ。

 でも、記者が戦場に立つときの心構えとして、ヘルメットをしないってことあるか?キルスティン・ダンストもケイリー・スピーニーもヘルメット無しってのは、どうにもいただけないぞ。それで、泣こうが飛び込もうがなんだかシラける。

 

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