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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ぷりてぃ・ウーマン

2014年07月18日 21時14分33秒 | 邦画2003年

 △ぷりてぃ・ウーマン(2003年 日本 111分)

 staff 監督/渡邊孝好 脚色/高橋美幸、真崎慎

     撮影/安田圭、橋本桂二、鈴木慎二、北村峰晴

     美術/金田克美 衣裳/岩崎文男、須賀美波 音楽/佐橋俊彦

 cast 淡路恵子 西田尚美 風見章子 風吹ジュン 高橋ひとみ 竹井みどり

 

 △おばあちゃんたちの劇団

 その創設の物語なんだけど、

 どうやらこの劇団は静岡県に実在するらしい。

 世の中、これだけ高齢化社会になってくると、

 じーさんばーさんがそこらじゅうにいて、

 悠々自適な人は幸せだけど、そうじゃない人もたくさんいる。

 ここではいろんな境遇の人がいて、

 たいがいは高齢者のデイ・サービスっていうか、

 公営の介護福祉施設に集ってるおばあちゃんたちが物語をひっぱる。

 まあ、こういう人達はいろいろあるものの、

 幸せな老後なんだろな~とおもったりする。

 でもさ、

 ぼくはおもうんだけど、ただ愉しいからいろんなことをするってだけじゃ、

 この先の日本は辛くなってくような気がしないでもない。

 この国のボランティア流行りは実はぼくは好きじゃなくて、

 有償ボランティアが増えていかないといけないとおもうし、

 たとえば、彼女たちのように劇団を旗揚げしたんだったら、

 やっぱり、それでちょっとはお金を稼ぐように持っていきたいところだ。

 なんだか、そんな気がするんだけどね。

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沙羅双樹

2013年04月03日 15時31分24秒 | 邦画2003年

 ◇沙羅双樹(2003年 日本 99分)

 staff 監督・脚本/河瀬直美 撮影/山崎裕 音楽/UA

 cast 福永幸平 兵頭祐香 河瀬直美 生瀬勝久 樋口可南子

 

 ◇1997年夏、神隠し

 好きな映画のひとつに『萌の朱雀』がある。

 ずいぶん前に観たんだけど、観たとき、なんか懐かしいな~と感じた。

 同時に「これ、好きだわ~」とも感じた。

 映画っていうのは、たぶん、そんな感想が出れば充分に成功なんだろう。

 出来がいいとか、不出来だったとか、技術がどうのとか、演技がどうたらとか、

 そんなことは、もしかしたら、二の次なのかもしれない。

 で、この映画の場合、透明感のある雰囲気がとても好かった。

 ぼくはめんどくさがり屋なので、映画を観る前に情報を得ることはまずない。

 監督や俳優に取材したものも見ないし読まないし、あらすじも聞かない。

 だから、なんとなく面白そうかどうか、というだけで判断する。

 沙羅双樹、ええ題名やんかとおもえば、もう観たくなる。

 けど、どうしても内容や批評とかいった情報は入ってくるもので、

 双子の片方が神隠しに遭う話らしいと知ったとき、

 あ、だから、沙羅双樹なのね、とおもってしまったし、

 奈良町でロケしてるんだし、なんとなく線香臭い死生観が語られて、

 もしかしたら転生輪廻の話とかに持っていくのかな、とちょっぴり期待してた。

 で、

 冒頭のややハイキー気味の長回しが始まったとき、

 双子の少年の声が聞こえてきた。

 おお、はやくも双樹かとおもってから、ずっと長回しの連続に眼を凝らした。

 身代わり猿、地蔵盆、町家、土間、坪庭、百万遍(数珠回し)と、どれも好きなアイテムだ。

 ふむふむとおもいつつ、UAの音楽とアドリブ(もしかしたら、書の陰光も?)を聞き、

 同時録音で入ってくる町の音と、あとで付け足されたのか、特有の効果音を聞き、

『萌の朱雀』では風を感じたけど、こっちでは空気と時間を感じるな~とかおもい、

 健康的な性のおとずれを感じさせる自転車ふたり乗りの長回しは、

 もしも、風のいたずらによってスカートが捲れあがるのでなく、演出だったとしたら、

 すげ~何度も撮り直したんだろうな~とかおもったり、

 なにより、

 河瀬直美の異様に上手な腹ぼてで立ち上がるところとか出産シーンとかに感心し、

 ラストは、どんなふうにするんだろう、ということだけに関心を向けてた。

 主題については、たぶん、映画が始まる前から自分なりに想像してた。

 墨職人の父親は、等身大の兄弟の絵を描き続ける息子に、淡々とこう語る。

「忘れていいことと、忘れたらあかんことと、ほれから忘れなあかんこと」

 それが、たぶん、主題なんだろう。

 家族にとって、周りの人々にとって、町にとっての思い出のことだろう。

 最後の長回しは見事だった。

 出産の場からカメラを引き、冒頭の失踪現場まで移動するんだけど、

 途中、双子の会話がすうっと囁かれる。

 あとは、昇天。

 やっぱり、自主製作映画のようでいて、玄人でしか撮れない映画だよね。

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ペイチェック 消された記憶

2012年03月24日 00時07分48秒 | 邦画2003年

 ◎ペイチェック 消された記憶(Paycheck)

 

 フィリップ・K・ディックは大学時代に愛読していた。理解していたかどうかってことすら、よく憶えていない。

 3年間の消された記憶を追い掛ける際に障害となるものを、未来を覗いてしまった記憶喪失前の自分が、未来の自分の為に用意した19個のアイテムを駆使する事で通過してゆく、という発想は見事だ。こういう鍵になる言葉を残しておけば、憶えてたかもしれないけど。

 まあそれはともかく、いろいろと示唆されたような気分になる映画だったことはたしかだ。過去の自分と未来の自分という括りでいえば、未来の自分は実は過去の自分が未来にいったときにすでに事実を体験している自分ということで、その体験をもとにして19の鍵になる品物を残しているんだけど、なにもこんなまだるっこしいことをしなくても詳細な手紙を残しておけばいいんじゃないかって気もするんだけど、まあ、そういうあたりは映画だからね~。

 イワナ・ミルセヴィッチは雰囲気があるし、キャスリン・モリスはユマ・サーマンと配役を入れ替えた方が良かったんじゃないかって気がする。

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ザ・キーパー 監禁

2010年07月04日 23時24分45秒 | 邦画2003年

 △ザ・キーパー 監禁(The Keeper)

 

 デニス・ホッパーが人形劇のボランティアをするような警官なはずもなく、なるほど、ストリッパー(ダリオ・アルジェントの娘のアーシア・アルジェント)を監禁して腐敗した人生を矯正させる正義の変態野郎だったっていう設定は好い。ただ、このつかみがいいだけで、なにかやらかすだろうって期待すれば、もうまるでなんにもなくて、偏執狂のおばさんに追われて部下に露見し、ストリッパーに銃撃されるっていうだけの陳腐さだった。

 なんてこった……。

 アーシア・アルジェントが綺麗なだけの映画か……。

 晩年に、駄作は悲しい。

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ほたるの星

2009年06月07日 02時43分10秒 | 邦画2003年

 ◇ほたるの星(2003年 日本 101分)

 監督・脚本/菅原浩志 音楽/中西長谷雄

 出演/小澤征悦 菅谷梨沙子 山本未來 絵沢萠子 役所広司 余貴美子 佐藤允

 

 ◇昔の日活児童映画みたい

 両親的な映画だったわ。

 筋立ても演技も絵作りもどことなく古色蒼然とした印象なのはなんでなんだろう?

 世界観なんだろうか、脚本なんだろうか、作り手の姿勢なんだろうか?

 ま、それはそれで調和は保たれてるからいいんだろうけど、なんていうか、ちばてつやの『蛍水名子』をおもいだした。

 それと「星」って地球の事なんだね。こういう解釈というか意味づけが古色蒼然とした印象を漂わせてるのかもしれないね。

 ところで、ほたるって霊を呼ぶっていうんだけど、ほんとうにそうなんだろうか?

 会いたい人に会えるなら、もう、ほたるをつかまえておもいきり掌合わせて頼み込むんだけどな~。

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自殺マニュアル

2009年06月05日 01時48分21秒 | 邦画2003年

 △自殺マニュアル(2003年 日本 83分)

 監督/福谷修 音楽/西村麻聡

 出演/森下千里 中村優子 安藤希 三坂知絵子 藤真美穂 祖父江唯 英由佳 高橋里奈

 

 △安易に作った感がありあり

 期待していなかった分救われたというのが偽らざる感想だわ。

 筋立てらしいのは自殺を本気で志願する者には黒いディスクが送られてくるという部分だけで、後はかろうじて音楽が聴けるという感じで非常に後味が悪い。というくらいしか感想を書けないというのはなんとも悲しい。

 ちなみに、出演している森下千里や中村優子や安藤希はそれなりに活躍してるのにね。

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着信アリ

2009年03月27日 02時05分09秒 | 邦画2003年

 ◇着信アリ(2004年 日本 112分)

 監督/三池崇史 音楽/遠藤浩二

 出演/柴咲コウ 堤真一 吹石一恵 石橋蓮司 永田杏奈 筒井真理子 松重豊 竹花梓

 

 ◇死を予告する携帯電話

 見ると死んじゃうビデオテープってのがあったじゃん、あれの携帯電話版ってこと?

 とおもって観たんだけどね、誰もが一度は考えて仲間と雑談したものがそのまま物語になってるって感じなのは、いかにも現代的な感じがしていいとはおもうんだけどさ。

 ただ、なんていうのかな、過去の悲劇による恨みと現在の犠牲者たちの因果関係がまるでないんだよね。だとしたら携帯に電話が掛ってくる人間は特定できない筈だし、一か所の集団に集中するってのがよくわかんない。

 まあ、そういうことをいいだしたらいろいろ出てきちゃうんだけど、なににしても、どうにもチグハグな印象を受けた。演出の問題だろうな。

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踊る大捜査線 THE MOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ!

2008年04月04日 23時17分57秒 | 邦画2003年

 ◇踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003年 日本 138分)

 監督/本広克行 音楽/松本晃彦

 出演/織田裕二 柳葉敏郎 深津絵里 水野美紀 小西真奈美 岡村隆史 真矢みき 甲本雅裕

 

 ◇いかりや長介、最期の出演

 ブリッジが封鎖しているのはほんとはなにか?

 てな暗喩が籠められてると期待したいんだけど、どうなんだろね?

 それと、日本人が閉鎖的かつ排他的な民族だと感じてしまうのは「踊る」の世界を知らない人にはなんのおもしろさも感じてもらえないおそれがあるのに、まったくそんな事を考えないイケイケ上に作品を構築してしまう事かなと、ふとおもってしまった。

 まあ、それだけこの作品はばかあたりしたわけで、その証拠に、ひと昔どころかふた昔前の作品であるにもかかわらず、いまだにレインボーブリッジの話になると、封鎖しろとかできないとかいった冗談が漏れてくる。

 それについては、ほんとに、この作品の波及度は強い。

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黄泉がえり

2007年08月31日 14時41分09秒 | 邦画2003年

 ◎黄泉がえり(2003年 日本 126分)

 原作/梶尾真治『黄泉がえり』

 監督/塩田明彦 脚本/犬童一心 斉藤ひろし 塩田明彦

 撮影/喜久村徳章 美術/新田隆之 スタイリスト/宇都宮いく子 小倉久乃

 特殊効果/浅野秀二 3DCG/中島征隆 CGI/横石淳 音楽/千住明

 主題歌/RUI(柴咲コウ)『月のしずく』作詞Satomi 作曲松本良喜

 出演/草なぎ剛 竹内結子 石田ゆり子 伊東美咲 忍足亜希子 長澤まさみ 田中邦衛

 

 ◎熊本県阿蘇地方

 まあ、いろんな理由はあるんだけど、ぼくはこの映画が好きだ。

 なぜか、ひとつだけ、理由をいおう。自主製作映画の匂いがするからだ。塩田明彦という監督は立教大学のパロディアス・ユニティーの出身らしく、早稲田大学の映画制作グループひぐらし出身の山口貴義の『恋のたそがれ』や『ヤマトナデシコ』の撮影や照明を担当したりしつつ『月光の囁き』でデビューしたんだけど、ちょっとふしぎな映画を撮ったりする。

 で、この映画だ。

 柴咲コウの『月のしずく』もとってもいいし、出演者たちの瑞々しさも好感がもてる。

 なにより、良質なリアルさとでもいうんだろうか、ファンタジーはどれだけ人物の感情を抑えるかに懸かっている面があって、ことに、邦画で死人が蘇るという妙な感激による悲劇を描こうとすれば、必然的に感情は昂ぶるものなんだけど、それを最低限に抑えている演出には好感が持てる。

 ふとおもいだしたときに観たくなる映画はあんまりないけど、これはそういう貴重な1本かもしれないね。

 あ、ぼくにとって。

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座頭市

2007年03月26日 12時53分10秒 | 邦画2003年

 ◇座頭市(2003年 日本 115分)

 監督・脚本/北野武 音楽/鈴木慶一

 出演/ビートたけし 夏川結衣 浅野忠信 大楠道代 ガダルカナル・タカ 岸部一徳

 

 ◇1948年、子母沢寛により『座頭市物語』誕生

 ふしぎな映画で、これまでの勝新太郎の『座頭市』のシリーズとはまるで印象が異なり、まあ、座頭市へのオマージュだとおもえば、すんなり入る。銀髪の座頭市は、勝新のような生臭さもないし、たぶん、観客の好感度も高かったんじゃないかと。

 映画はたぶん時代を背負っているもので、勝新が座頭市を演じたときは、生臭さはリアリズムとして受け取られた。ほんとは、勝新が創り上げた人物像でしかないんだけど、座頭市というのはなんだか野卑で、薄汚くて、強情っぱりな人間だと、ぼくなんか、ずっとおもってきた。

 それをさっぱり洗い流してくれたことからいえば、たいしたもんだ。

 たいしたもんといえば、農具や工具と音楽を同調させた演出は見事だった。

 タップまで仕出かしてしまうのを見ると、なるほど、娯楽映画ってのは「観客もノッて騒いでね」っていうメッセージが必要が入ってるものもあるのねと、妙に納得しちゃったわ。

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