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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

暗くなるまで待って

2021年08月27日 20時44分33秒 | 洋画1961~1970年
◎暗くなるまで待って


けっこうなかなかどきどきする。
気になるところはないことはないけど重箱の隅をつついたところで仕方がない。
たしかに舞台の映画化はどうしてもひと幕物になっちゃうから人物の出入りを観てると舞台の袖が浮かんではくるけどね。
ヘプバーンはこれで最優秀主演女優賞をとりたかったんだろうなっておもうけど、ま、それは時の運てやつかしらね。
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日本沈没

2021年08月26日 00時08分33秒 | 邦画1971~1980年

 ◇日本沈没

 

 藤岡弘の同僚としてゲスト出演する小松左京のこの原作だけど、当時、うちの父親の本棚にも入ってた。あんまり本に興味のないぼくだったけど、これはなんとなく開いてた。まあ、無意味にいきなり海岸でまぐあう主人公のふたりの挿し絵を見返していたっていった方がいいかもしれないけど。

 映画でもこの場面はサービスカットになってる。天城山が爆発するのを目撃するだけなら、なにもいしだあゆみが黒のビキニでいる必要もないし、お見合いをしたばかりの藤岡弘の腕の中で「ねえ、抱いて」とかいう、なんとも奔放な台詞をいってしまうんだから、サービス以外のなにものでもない。

 それにしても橋本忍は地球から始まるのが好きなんだな。途中でも、マントル対流の説明があって、これを小松左京は「半熟のゆで卵」と表現するんだけど、当時のぼくにとって衝撃的な台詞は「個体が流れる」という丹波さんの台詞だった。説明するだけの場面なんだけど、当時のSF映画には必須のことだったんだろう。

 しかし、橋本忍にしてはなんというか薄っぺらで中途半端な人間描写な気がしないでもない。群像が多すぎるからかもしれないけど、ちょっと類型的すぎるんじゃないかな。ま、リメイクよりも断然おもしろいのはいうまでもないが。

 おもしろさの重要な因子は、もちろん、役者だ。みんな若くて、張り切ってる。丹波さんも、藤岡弘も、小林桂樹も、いちばん好い顔だった時代だろうなあ。だからいいってわけじゃないけど、なんかみんながみんな切羽詰まった感じを漂わせてるのは演技なのか時代なのかはよくわからない。

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ラン・オールナイト

2021年08月24日 13時33分37秒 | 洋画2015年

 ◇ランオールナイト

 

 走り出すまでが、だらだらと長い。

 リーアム・ニーソンは、ほんと、元殺し屋っていう設定が多いなあ。

 とはいえ、自分を軽蔑する息子が殺しを目撃したために犯人に命を狙われ、それを助けるために殺した犯人が自分の親友にして元ボスにしてたったひとりの理解者エド・ハリスの息子だったもんだから、警察もふくめて町中すべてに親御ともども狙われるという設定は初めてだったわ。

 それにしても小さくなったな、ニック・ノルティ。エド・ハリスも皺が深くなったし、老いるというのはこういうことか。ニーソンだけが小さくならないのか、それともまだ若いのかはわからないけど。

 ま、それはさておき、ジャウム・コレット=セラだ。リーアム・ニーソンのサスペンスは演出しやすいのか、それとも肌が合ってるのか、飛行機だの、列車だの、小さな町だのと限定された空間で凝縮された時間を設定した活劇が好きなのかしら?

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必殺仕掛人 梅安蟻地獄

2021年08月21日 01時42分37秒 | 邦画1971~1980年
◇必殺仕掛人 梅安蟻地獄



タイトルの意味がどうも不似合いな気がしてたんだけど、ようやく合点がいった。ていうか、たぶん、観るたびに『あ、ここか』とおもってたんだろうけど、メモしてないと忘れちゃうわ。

で、どこかといえば梅安の家で、小池朝雄の用心棒どもが、帰宅してくる梅安と林与一をねらってあらかじめ忍び込み、それぞれ持ち場を与えられて身を隠し、待ち伏せする。するとそのとき、いかにもわざとらしく『やつらはまるで蟻地獄に入ったようなものよ』とか嘯くんだけど、これかよ!と。たしかに、小池朝雄が逃げた先を教えて、それでも結局殺されちゃうっていうなんとも間抜けな用心棒は出てくるから大切な見せ場にはちがいないけど。

ところが、これは途中の単なる襲撃で佳境にも至らない。緒形拳が餅投げをしている佐藤慶を仕留めるところも関係なければ、甲府に向かう小池朝雄を林与一が襲撃して滝壺に叩き落とすのはそれからのことだ。

なんだかな~って感じはあるけど、松尾嘉代、この頃からお色気たっぷりだな~。
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麗しのサブリナ

2021年08月18日 17時05分13秒 | 洋画1951~1960年
◇麗しのサブリナ



そりゃまあ玉の輿に乗りたいってのは東西の別なく共通の願い事なのかもしれないけど、ハンフリー・ボガードとウィリアム・ホールデンが兄弟っていう、すごい違和感のある厳ついふたりのおしゃれな喜劇ってはなんだかな~ておもうけど、ま、いいか。

それにしても、シャンパンのグラスにオリーブの瓶、まったく、ビリー・ワイルダーは小道具を上手に使うわ。

しかし、なんでなんだろ、オードリー・ヘプバーンはかなりの確率で年上の中年と恋に落ちる。たぶん映画好きはみんな自明のことなんだろうけど、ぼくはかなりあとまで気づかすにいた。

それともうひとつ、ヘプバーンは多くの物語で、処女じゃないってことだ。この作品や『ローマの休日』は珍しいかもしれない。

まあそれはさておき、ハンフリー・ボガードは渋いことは渋いんだけど、あいかわらず顔が大きくてちんちくりんだ。これで格好いい男の代名詞みたいにされてた時代があったんだから、いやほんと、時代はうつりかわるな。
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トレーニング デイ

2021年08月14日 23時22分29秒 | 洋画2001年
△トレーニング デイ


この映画で、デンゼル・ワシントンがアカデミー最優秀主演男優賞を受賞したそうな。わからないことはないけど、ほかの映画でもっと受賞に値する演技はあったろうに。

品のないヤクザ映画よりはましかもしれないけど、観ていて決して気持ちのいいものではないし、イーサン・ホークの気の弱そうなまじめっぷりがなんかそぐわない気もしたりする。

刑事に憧れて相棒になった腕っこきの先輩がどうしようもなく摩れた奴で、犯罪撲滅のためには汚いことは平気でやり、そのついでに自分もしこたま儲けてるのが結局はゆるせない真面目な新米刑事の話という、なんとも一直線な映画だったわ。
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市民ケーン

2021年08月03日 15時46分51秒 | 洋画1941~1950年
◇市民ケーン



冒頭掲げられる『中央日報』の見出しは『新聞王ケーン死す』で、小見出しは『世界最大は新聞チェイン建設者、大衆数萬の哀悼裡にねむる!』で、本文は『紐育・世界最大の出版業者として知られたチャールズ・フォスター・ケーン氏は壮麗なるザナデウ邸宅に於て昨夜死去した。同氏は過去数ヶ月間、専門医も匙を投げた大病のため静かに息を引き取った。ケーン氏の創立した大新聞王国は今後も依然として活躍を続くべくも、未来の経営方針の詳細は未だ発表されてゐない。』とある。

だからなんなんだって話なんだけど、新聞王にのぼりつめてゆく男の悔悟と懺悔みたいもんだなとしか受け止められず、とてもじゃないけど、名作中の名作のように扱われるのはちょっと合点がいかない。
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ボウリング・フォー・コロンバイン

2021年08月02日 14時05分19秒 | 洋画2002年
◎ボウリング・フォー・コロンバイン


いかにもマイケル・ムーアらしい突撃取材と編集の妙で構成されてるんだけど、もちろん、これは彼の主張であって賛同するかどうかは鑑賞者の自由だ。

ただまあ、1999年4月20日はアメリカがコソボに最大規模の爆撃を敢行したときで、それについての自己弁護のようなクリントンの会見のわずか1時間後、デンバーのリトルトンのコロンバイン高校で銃乱射事件が起こり、ボウリングをしてきたばかりのふたりの若者によって15人がセミオートマシンガンで撃ち殺され、24人が負傷した。

これはまちがいないことで、ここから、マイケル・ムーアは彼なりの構成によってアメリカのワスプに対して痛烈な批判をかましてる。

なるほど~と納得もできるし、こじつけてないかって首をひねりたいところもないではない。たしかに皮肉が過ぎるような気もするけど、でも主題歌に『この素晴らしき世界』を使いたくなるのはわかる。

チャールトン・ヘストンはいかにも往年の戦う名優で地位も名誉も築いてしまった彼が銃社会の象徴のようにあつかわれてしまうのもそうで、ちからづくの編集で追い込んでるのはちょっとどうかなとおもわないではない。

ただ、アメリカがシャツはズボンに入れろっていうのは、銃を隠すのをさまたげるためなのかっておもわせられたとき、ライフルまでズボンに隠してるのはジョークとしても、ほおなるほどねとはおもった。
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