Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
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▽=☆

助太刀屋助六

2019年09月24日 13時05分42秒 | 邦画2002年

 ◇助太刀屋助六(2002年 日本 88分)

 監督・脚本/岡本喜八 音楽/山下洋輔

 出演/真田広之 鈴木京香 仲代達矢 村田雄浩 鶴見辰吾 本田博太郎 小林桂樹 岸田今日子

 

 ◇岡本喜八の遺作

 よほど、この作品にはこだわりがあって、自分でも好きな物語だったらしい。

 まあ、いかにも岡本喜八らしい展開と演出なんだけど、癖のある役者が並んでる分、ことさらに大仰な演技が目立つのはもはやどうしようもないとはいえ、ほかの監督だったら目も当てられない出来になってたかもしれないね。

 いや、実際のところ、大仰な演技はちょいと度を超してわざとらしいし、おもしろおかしくしようとしたもののなんとも気恥ずかしくなってしまい、結果、すべる。音楽もそうで、好きなジャズとか使われてるのはとってもよくわかるんだけど、いかんせん、狙い過ぎな印象が優ってくるかな。

 しゃれた中身にしようとすればするほど難しくなっちゃうんだよね。

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竜馬の妻とその夫と愛人

2017年10月24日 00時12分07秒 | 邦画2002年

 △竜馬の妻とその夫と愛人(2002年 日本 115分)

 監督 市川準

 出演 木梨憲武、中井貴一、鈴木京香、江口洋介、橋爪功、トータス松本、小林聡美、嶋田久作、梅津栄

 

 △明治13年夏、昼下がり

 もともと土佐勤皇党の志士で坂本竜馬とともに勝海舟の弟子になり、海援隊士でもあった菅野覚兵衛が、竜馬の13回忌に横須賀観念寺裏長屋に住まうおりょうを訪ねる話なんだけど、なんだかだらだらしてて、個人的にはちょっと辛かったな。まあぼくは元になってる舞台を観たわけじゃないから、この物語にとっかかりがないっていうのか、ちょっと戸惑ったりしたからかもしれないね。

 まあそれより菅野覚兵衛なんだけど、この人はほどなく福島県郡山に入植するんだね。竜馬の夢だった北の大地の開拓を実践しようとしたんだね。で、安積原野に挑むわけだけれども、明治26年に志半ばで斃れる。享年52。ちょっと辛いな。

 

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KT

2013年11月24日 20時55分00秒 | 邦画2002年

 ◇KT(2002年 日本、韓国 138分)

 staff 原作/中薗英助『拉致 知られざる金大中事件』

     監督/阪本順治 脚色/荒井晴彦 脚本協力/丸内敏治 西田直子

     撮影/笠松則通 美術/原田満生 装飾/大光寺康衣裳/岩崎文男

     音楽/布袋寅泰 主題歌/布袋寅泰『FROZEN MEMORIES』

 cast 佐藤浩市 原田芳雄 筒井道隆 香川照之 柄本明 光石研 麿赤兒 江波杏子

 

 ◇1973年8月8日、金大中事件

 そのとき、ぼくは中学生だった。

 なにがなんだかまるでわけがわからない事件で、

 愛知県の田舎に住んでいたから、

 ホテルグランドパレスっていうホテルがどこにあるのかもわからなかったし、

 KCIAこと韓国中央情報部なる組織があるなんてことは全然知らなかった。

 ただ、とんでもない事件が起きたってことだけはなんとなくわかった。

 でも、その後、ぷっつりと情報は途切れ、

 金大中という名前だけが、やけに印象深いまま、記憶に残った。

 その後、なんだかんだと見たり聞いたりしてる内に、

 おおまかに事件の概要はわかったけど、それが映画になるとはおもわなかった。

 もっとも、

 映画の中では、

 事件に関与した少なくない日本人をすべて出すわけにもいかなかったろうし、

 全体的にあいまいさも残したままエンドマークになってる。

 興味深く観たのは、筒井道隆だ。

 帰化して、母国の言葉も喋れずに過ごしてきた彼にとって、

 韓国の情勢は、知っていなくちゃいけないだろうけどよく知らない世界で、

 そんな若者が事件に巻き込まれるわけだから、

 できれば、この若者を中心に描いてほしかった気がしないでもない。

 そうすれば、

 事件をまるで知らない観客の目線と合致するわけで、

 おおまかなことは知っていても事件の核心や全貌が完全にはわかっていないという、

 駒のひとつにすぎない自衛官たちや新聞記者らの目線で描かれるよりも、

 ぼくみたいな素人にはわかりやすかったかもしれない。

 そうじゃないと、

 三島由紀夫のことが大好きで、その思想に傾倒していた自衛官が、

 なんでKCIAに協力するのかいまひとつ納得できないんだもん。

 ま、それはそれとして、

 布袋寅泰の主題曲『FROZEN MEMORIES』はよかった。

 短い主旋律が繰り返し奏でられるのは、

 その昔『渚の白い家』でかまやつひろしが音楽を担当したときみたいに、

 なんだか妙な酩酊状態になり、サスペンスの盛り上がりに共鳴できる。

 この音楽がないと、かなりきつかったかもしれないわ。

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ゴジラ×メカゴジラ

2012年11月08日 00時01分25秒 | 邦画2002年

 △ゴジラ×メカゴジラ(2002年 日本 88分)

 監督 手塚昌明

 出演 釈由美子、宅麻伸、森末慎二、萩尾みどり、六平直政、中原丈雄、上田耕一、水野久美、中尾彬

 

 △機龍

 初代ゴジラの骨からDNAを採取して機龍を作るという発想だけ良だ。

 けど、骨格を活かした訳ではないよね?どうやら、今回のゴジラの造形は悪辣な顔にしすぎて承認を得られなかったようだけれども、そんなことはもはやどうでもよくて、ここまでひっぱられるゴジラもかわいそうだ。ま、それはさておき、機龍がDNAの干渉を受けるなら、そもそも機龍自体、人類には味方しないのではないのかとおもうんだけど、そんなことはないんだろうか?

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ボーン・アイデンティティー

2011年06月26日 13時11分07秒 | 邦画2002年

 ◇ボーン・アイデンティティー

 

 なんともわくわく感を刺激させる筋立てだ。おれはだれだっていう設定は一作目にしかできないけど、自分探しの旅ほどわくわくさせるものはない。

 マット・デイモンもクライブ・オーエンも若いな。つか、フランカ・ポテンテって、そうか『ローラ・ラン・ローラ』のローラか。

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タイムマシン

2010年05月09日 01時22分17秒 | 邦画2002年

 ◇タイムマシン(The Time Machine)

 

 なんで今更、ウェルズの古典を原作にせなならんの?っていう疑問が湧く。

 恋愛で前編をとおしていくのかおもってれば、SF色を濃く出してる。とはいえ、80万年後の世界を唐突に出されても戸惑うし、時間跳躍の引きがねになっている恋人の死はどこかへ吹っ飛んじゃって、物語はあきらかに破綻する。SFも時代によって好みが変わるのかなあ?

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トリック劇場版

2008年03月23日 12時22分32秒 | 邦画2002年

 ◇トリック劇場版(2002年 日本 119分)

 監督/堤幸彦 音楽/辻陽

 出演/仲間由紀恵 阿部寛 生瀬勝久 山下真司 竹中直人 石橋蓮司 伊武雅刀 野際陽子

 

 ◇カムバック、前原一輝!

 やっぱり、刑事のコンビはこの最初の組が一番ではないかと。

 TV向きな話ってこともあるんだけど、でも、ユルイ世界観をきちんと残しているところとかは、きわめて満足だ。見るたびに新鮮さは失われちゃうけど、それはこういうマンネリを逆手にとった作品の宿命というしかないよね。

 実際『トリック』でおもしろかったのはテレビでもいちばん最初のシリーズで、あのとき、阿部寛にも仲間由紀恵にもある種の切迫感があって、それはまじにリアルな切迫感だった。それをまったくもって開き直った観がありありと観てとれて、それはそれでなんともすかっとした雰囲気だった。

 余裕が出てくると、マンネリを逆手に取った作品化しちゃって、それがかえって意識のマンネリっていうのか、思考のだらけ化っていうのか、本人が自覚したところでどうにもならないところに達してしまう。

 むつかしいところだけど、この劇場版第一作目はそうした切迫感が達成感になった清々しさみたいなものがあって、なんともいえない若々しさもあったりして、なんとなく、いい。

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突入せよ!「あさま山荘」事件

2008年03月17日 09時47分20秒 | 邦画2002年

 ◇突入せよ!あさま山荘事件(2002年 日本 130分)

 監督・脚本/原田眞人 音楽/村松崇継

 出演/役所広司 宇崎竜童 天海祐希 伊武雅刀 藤田まこと 天海祐希 串田和美 豊原功補

 

 ◇佐々淳行、当時指揮幕僚団

 この「あさま山荘事件」が起こったとき、ぼくはまだ小学生だった。

 でも、教師が授業なんてそっちのけで、教室に置かれてたテレビにかじりついていたもんだから、必然的にぼくたちも延々と観る羽目になり、気がついたら、6時間目まで全部、テレビ中継に終始してた。ところが、ちっとも画面に変化はないんだよ、これが。

 でも、ぼくたちはずっとテレビ中継を観てた。のんびりした時代だった。

 立脚点というか視点というか、撮り手の立場というのは、とっても難しい。原作が実際の担当官だから、突入側の視点になるのは否めない。でも、事件の背景や犯人側の心情もえぐってほしかった、という気分は捨てがたいものがある。

 だって、主題が「あさま山荘」なんだから。

 これを書き始めて、黒澤明の『暴走機関車』をおもいだした。ハリウッド版の脚本では、暴走する機関車にたまさか乗り込んでしまった人間たちの、それまでの過去が丁寧に語られていて、黒澤はそれが気に入らなかったらしい。活劇というのは、因縁話なんていらないんだっていう意見によるものだ。

 この「あさま山荘」については、どうだろう?

 突入する側の視点から描かれているから仕方がないんだけど、ぼくとしては「あさま山荘」にいる人間については知りたかったんだけど、突入する側の葛藤はその場での葛藤だけに留めてほしかった気もする。主役の家庭の話は裏話に留めておいてもよかったんじゃないかと。だって、観客は「あさま山荘」の攻防と真実が観たいし知りたいんだもん。

 ちなみに、物語の展開もやや緩慢な印象ではあるけれど、いやまあ、撮影は頑張ってました。

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海は見ていた

2007年06月29日 01時30分09秒 | 邦画2002年

 ◇海は見ていた(2002年 日本 119分)

 監督・脚本潤色/熊井啓 脚色/黒澤明 音楽/松村禎三 山本純之介

 出演/清水美砂 遠野凪子 永瀬正敏 吉岡秀隆 野川由美子 石橋蓮司 奥田瑛二

 

 ◇山本周五郎『なんの花か薫る』『つゆのひぬま』より

 追悼、熊井啓。

 黒澤明の遺稿を熊井啓が演出したっていうのが売りだったんだけど、じゃあどっちの映画なんだといえば、熊井啓の映画だろう。

 黒澤が『雨あがる』と『海は見ていた』のどちらを先に撮りたかったのか、ぼくにはわからないけれど、前者は川の氾濫、後者は岡場所の洪水と、どちらも豪雨を原因にする水が関係してる。

 なんで水だったんだろう?

 黒澤にとっての雨は昔から重要な要素だったけれども、最後までなんでそこまで水にこだわったんだろう?

 この水について、熊井啓はどう表現したかったんだろう?

 物語自体は他愛もない話で、問題になるのは最後の洪水だ。それをどうしたかったんだろうって、おもった。

 ただ、もともとのキャスティングは宮沢りえと原田美枝子だったらしい。このふたりが出演していれば、相当ちがった印象だったろう。

 悔やまれることといえばそれだけど、ま、いいか。

 ところで、熊井啓はおそらくとっても生真面目な人で、たしかに岡場所というか娼婦たちの生態や人生については、相当な憐憫や惻隠の情をもって見つめてきたにちがいない。

 当然、この登場人物たちにも思い入れはつよくなる。

 ただ、この映画は、黒澤の単純明解予定調和な物語をどれだけ艶っぽく出来るかというのが見所で、どこまでも粋に行かなくちゃいけなかったはずなのに、愛情の量が多すぎると、なんとなく垢抜けないものになりかねない。

 で、どうだったかっていうのは、見る人の考えることだわね。

 あとひとつ、CGが多用できないためか、それとも、大掛かりな水のセットを組めなかったためか、大水のカットが妙に浮いてしまうのはわかってたことだけど、残念だ。

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たそがれ清兵衛

2007年04月28日 00時52分07秒 | 邦画2002年

 ◎たそがれ清兵衛(2002年 日本 129分)

 監督/山田洋次 音楽/冨田勲 主題歌/井上陽水『決められたリズム』

 出演/真田広之 宮沢りえ 岸惠子 田中泯 丹波哲郎 中村梅雀 大杉漣 深浦加奈子

 

 ◎藤沢周平『たそがれ清兵衛』『竹光始末』『祝い人助八』より

 ひさびさに、丁寧な映画を観たような気がする。

 某シリーズを撮らずにいれば、山田洋次もこういう方面へと作品が向いていったのかもしれないけど、人の運命ってのは、ほんと、わからない。

 ずっと前、それも30年くらい前のことだけど、高倉健で山本周五郎の長屋物を撮るとか撮らないとか、そんな話があったような気もするんだけど、もう、うろおぼえだ。

 岸恵子の締括りがとっても好印象で、映画のイメージのすべてひっさらっていくような強さがあった。貫録というのは、こういうものなんだろか。

 以下、追記。

 2010年くらいだったか、信州の上田に行った。

 そしたら、町中を流れてる川のほとり、上田城の外堀のほとりといった方がもっと正確なのかもしれないけど、ともかくそこに行ったとき、その場所がこの作品のロケ現場だってことを知った。

(ああ、そういえばそうだわ)

 映画の情景がありありと浮かんで、なんだか、嬉しくなったもんだ。

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壬生義士伝

2007年04月08日 12時06分35秒 | 邦画2002年

 ◇壬生義士伝(2002年 日本 137分)

 監督/滝田洋二郎 音楽/久石譲

 出演/中井貴一 佐藤浩市 夏川結衣 中谷美紀 堺雅人 加瀬亮 伊藤英明 伊藤淳史

 

 ◇文久3年(1863年)8月、新撰組結成

 ぼくは、小学生のときから新撰組が好きだった。

 中学くらいまでは、かなり憧れてた。熱病のようなもので、結局、函館まで行き、五稜郭で土方におもいをいたし、最後の地まで足をのばした。

 当時はまだそれほど新撰組も一般的ではなくて、どちらかといえば、土方よりも近藤の方がドラマの主役になってた。なもので、板橋の処刑場址とか、聖地みたいなものになってて、ノートとかが置かれてた。なんで知ってるかといえば、ときおり、ぼくも行ってたからさ。

 そんなだから、おもわず感情移入しちゃったわ。

 とはいえ、ぼくがこんなことをいっては不遜なんだけど、いや、滝田さん、上手になりましたね。明治期のセットは少し首をかしげたくなるけど、ロケセットは見事。撮影がなかなか好いわ。絵作りをしっかり心得てるのが好印象。

 ただ、泣かせるための展開みたいな感じはちょっとね。

 ま、素朴な感想はそんなとこで。

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