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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

熊野から

2019年10月05日 00時48分19秒 | 邦画2014年

 ▽熊野から(2014年 日本 90分)

 監督/田中千世子

 出演/海部剛史 伊勢谷能宣 雨蘭咲木子 伊藤公一

 

 ▽三部作の第一部

 難しいな。

 もうすこし映像にこだわりのあるカメラマンが協力するか、また物語にこだわりのある脚本家が協力すればよかったのにね。どうしても自分だけの世界に入り込んでしまうから、それを客観的に観て、熊野とはなんなのか、なぜこの主人公は熊野に魅せられているのか、大逆事件が単に人間や場所の因果というだけでなく、主人公とどのように関わらざるを得なくなってしまったのかということを一緒に考えなくちゃね。

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るろうに剣心 伝説の最期編

2018年01月08日 00時50分30秒 | 邦画2014年

 ◇るろうに剣心 伝説の最期編(2014年 日本 135分)

 監督/大友啓史 音楽/佐藤直紀

 出演/佐藤健 武井咲 江口洋介 伊勢谷友介 神木隆之介 福山雅治 藤原竜也 土屋太鳳

 

 ◇飛天御剣流は焔霊(ほむらだま)を封じられるのか

 物語の展開はもう第二作であらかた出来上がってて、あとはどうやって佐藤健と藤原竜也が決着をつけるかってところに焦点が絞られるわけだけれども、いやしかし長いっていうかなかなか死なないんだこれが。

 というより、なんだか藤原竜也の舞台でも観に来たような気分になるのはなんでなんだろね。

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るろうに剣心 京都大火編

2018年01月07日 00時33分27秒 | 邦画2014年

 ◇るろうに剣心 京都大火編(2014年 日本 139分)

 監督/大友啓史 音楽/佐藤直紀

 出演/佐藤健 武井咲 江口洋介 伊勢谷友介 神木隆之介 福山雅治 藤原竜也 土屋太鳳

 

 ◇甲鉄艦「煉獄」

 つまりは、池田屋事件を明治版にして規模をとてつもなく大きくしたって感じなのかしらとおもってたら、なんだか昔の東映の海賊船物みたいな展開になってきてた。でも、やっぱり殺陣も流れも前作にひきつづいて斬新っていうか現代的で、役者も揃った観はあったんだけど、いや、藤原竜也の繃帯の怪物はなんだかどこかで観たような気がしたのはぼくだけなのかしら?

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リトル・フォレスト冬・春

2018年01月03日 23時46分23秒 | 邦画2014年

 ◇リトル・フォレスト冬・春(2014年 日本 120分)

 監督・脚本/森淳一 音楽/宮内優里

 出演/橋本愛 松岡美優 三浦貴大 温水洋一 桐島かれん

 

 ◇岩手県奥州市(旧衣川村)の冬と春

 まあ、たしかに前篇もそうだけど、とっても画面は綺麗で、ドキュメンタリーを観てるような気もするし、その一方で橋本愛のイメージビデオを観てるような気にもなる。まあそれはそれでいいし、田舎暮らしというのは変にうねりのある物語が始まったらかえってリアルさが欠如しちゃうかもしれないんだけど、でも、彼女たちの暮らしぶりそのものがどうしてもリアルに感じられないのはなんでなんだろう。いや、ほんと、撮影も音楽も好いっておもうんだけどね。

 語りようがないんだな、映画の内容について。ふしぎだ。

 なんだな、なんかぼんやりと観ている分にはちょうどいいし、たしかにこの後篇は物語がちょっぴり進んでいったしもするんだけど、それよりも前篇をふくめて料理のレシピとかも画面に出してくれればもっといいかもしれないな~とかいった気分で観てた。いや、実際、食べてみたくなるし、行ってみたくなるしね。

 そういうことからいえば、この映画は製作して正解だったかもしれないけどね。

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リトル・フォレスト夏・秋

2018年01月02日 23時25分36秒 | 邦画2014年

 ◇リトル・フォレスト夏・秋(2014年 日本 111分)

 監督・脚本/森淳一 音楽/宮内優里

 出演/橋本愛 松岡美優 三浦貴大 温水洋一 桐島かれん

 

 ◇岩手県奥州市(旧衣川村)の夏と秋

 ここに小森という村があるのかどうか僕は知らないんだけど、なんだったんだろう、この映画は。

 ドキュメントタッチで描いていこうっていう意図だったんだろうけど、登場人物たちはかなり綺麗で、なんだか村暮らしの厳しさよりも愉しさや美しさが前に出てて、現実味があるのかないのかよくわからない感じではあったな。田舎に対する主人公たちの本音のところがよく見えていないのに、妙に心地よさばかりが届いてくる。

 なにより、かれらには小森に住む、あるいは住もうとしている、さらには住まなくちゃならない、棲まなくちゃならないかもしれない、とかいった理由や背景がかなり不足しているような感じがしたんだけどな。いちばんわからないのは、桐島かれんかな。なんで小森にいて、なんで小森を棄てたんだろう。

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超高速!参勤交代

2017年11月18日 20時36分56秒 | 邦画2014年

 ◎超高速!参勤交代(2014年 日本 119分)

 監督 本木克英

 出演 佐々木蔵之介、深田恭子、西村雅彦、六角精児、伊原剛志、市川猿之助、寺脇康文、石橋蓮司

 

 ◎享保20年、陸奥国磐城、湯長谷藩

 藩主の内藤政醇は実在し、家督を継いだときに吉宗にお目見えしている。まあよくこの地味な藩主を主役にしたものだとおもうけど、その発想だけでも充分に物語として成立している。うまいな。筋立てそのものはまあそれなりとはいえ、発想についていえば、そうなる。

 ただまあ深キョンがいいわけで、彼女の不幸な生い立ちとそれにめげない土性っ骨がもうすこし上手に演じられたら、佳境の恋とやがて側室になるというシンデレラ物語もおもしろく観られたような気もするけどね。

 ちなみに藩主の政醇はきわめて優秀な人物だったようで「忠孝、倹約、扶助」の藩法をもって政にあたったようで、こうしたところ、改革派の吉宗の時代の人といえるし、こういう物語には向いてるんだろうね。さらにちなみに、この藩から採掘されたのは金ではなくて石炭で、これはかなりの埋蔵量だったらしい。

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相棒 劇場版III 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ

2017年11月08日 18時44分49秒 | 邦画2014年

 △相棒 劇場版III 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ(2014年 日本 114分)

 監督 和泉聖治

 出演 水谷豊、成宮寛貴、伊原剛志、釈由美子、風間トオル、及川光博、石坂浩二、鈴木杏樹、六角精児

 

 △地獄の特訓みたいだ

 あいかわらず長い題名だけど、これはもうどうにもならんのかな?

 で、なんだか無国籍な話だけど、このテレビシリーズはそもそも破天荒な感じなのかしら?

 テレビでヒットしているものを映画にしようとすると、なんでか知らないけど設定を大きくして役者を揃えて派手さを競おうみたいな感じになってくる。でも、そうじゃないんだよね。観客はテレビの視聴者で、たぶん小さな事件を緻密に解決できるちからをもちながらなんだか暢気にかまえてて家族的なわきあいあいながらも犬も食わないようなじゃれあいを愉しんでる警察内部の話を観たいんじゃないかしら?だとしたら、どこの国だよみたいなありえない設定のテロリスト養成島っていうか、なんだか企業の新入社員を派遣する地獄の特訓みたいな印象だったけど、こういう設定じゃない方がファンの皆さんとしては緊張しなくて済むんじゃかしら?っておもうのは余計なお世話だよね。

 ところで、ふとおもいだしたんだけど、この『相棒』のシリーズに成宮くんが加わったときだったかな、なんだか興味をひかれる回があった。スペシャル番組で、たしか『相棒スペシャル・アリス』とかいうとっても短い題名だったとおもう。早蕨村とかいう名前の村で、火事で燃えた家族のごひいきだったホテルの物語で、なんだかやけにリリカルな印象だった。あれはけっこうおもしろかった。こっちを映画にすればよかったのにな。

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紙の月

2017年09月11日 22時47分59秒 | 邦画2014年

 △紙の月(2014年 日本 126分)

 監督 吉田大八

 出演 宮沢りえ、小林聡美、大島優子、池松壮亮、田辺誠一、石橋蓮司

 

 △貢ぐのではなくて

 新聞やら雑誌のようなありきたりな褒め方はしたくない。

 お金を介在にしてしか恋愛ができない女っていうのが原作者の主題だったみたいだけど、この作品はそうではないんだよね。そうではなくて、鬱陶しくてたまらないくらいに抑圧された生活から開放されてゆく切っ掛けとなるための恋愛がたまたま横領だったという世界観だったんじゃないかと。銀行に勤めてるから預貯金の横領になっただけの話で主人公の置かれている状況が別なところだったらそれなりの事件が起こったはずなんだけど、あ、それじゃ貢げないか。ま、いずれにせよ、抑圧された状況からの解放っていう吉田大八の得意な世界が広がってるようにおもったよ。

 けど、おっそろしいことに、この映画、封切りで観てたらしい。

 いやまあ僕もあかんな。すっかり内容を忘れてて佳境にいたったとき、なにもかもおもいだしたわ。

 でもさ、なんだか『禁じられた遊び』のラストみたいな終わり方なんだけど、あのバンコクってのはつまりは自由だけれども混沌とした別な世界の入り口っていう捉え方でいいのかしら?

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ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

2017年08月27日 01時11分46秒 | 邦画2014年

 ◇ゲノムハザード ある天才科学者の5日間(2014年 日本、韓国 120分)

 監督・脚本 キム・ソンス

 出演 西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、伊武雅刀

 

 ◇韓国題は「無名人」

 原作を読んでないからわからないけど、なんで日本に限定した物語にしなかったんだろう?

 アルツハイマーの治療法としてウイルスによって記憶を移植できるというのはなるほどとおもわせるんだけど、一年しかその効果がないというのはご都合主義みたいな気がしないでもない。元の記憶に上塗りされるというのはわからないでもないけど、これは昔からある「魂」の物語の亜流なんじゃないかな。

 そんなことをその昔『天国から来たチャンピオン』でもおもった。

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サクラサク

2017年07月24日 01時36分06秒 | 邦画2014年

 △サクラサク(2014年 日本 107分)

 監督 田中光敏

 出演 藤竜也、緒方直人、南果歩、津田寛治、嶋田久作、大杉漣、佐々木すみ江

 

 △騙し舟は精霊舟に掛けてる?

 さだまさしの才能には脱帽する。

 けれど、ちょっとばかし予定調和すぎるのとおしつけがましいっていう言い方はよくないかもしれないけどいかにも感動させようっていう製作者側の魂胆が透けて見えるのがなんだかな~と。東映はその昔、千秋実の『花いちもんめ』を制作してるけど、この作品もそれとおなじように痴呆を扱ってはいるものの、う~ん、綺麗に収めすぎてるって気がするな。

 好い人しかいない世界ってのはこういう社会問題を扱うときに良好な場合もあるし、おもわぬ欠点を露呈しちゃう場合もある。感動の押し売りみたいな感じをちょっと受けちゃうのはこの物語は後者だったっていうことかもしれないね。

 ただ、痴呆の父親をかかえて心が一見ばらばらになってしまった家族が父親の幼い頃のたったひとつの家族の思い出の情景と場所を求めて旅をしてゆくことで絆が再生されていくっていう構図は好い。

 もちろん、突っ込むところがないわけじゃない。

 ことに佳境、藤竜也が乗ってっちゃったバスを緒方直人が追いかけるんだけど、田舎の対向車もないところでバスって止まってくれないものなんだろうかという疑問がなかば反射的に浮かぶ。それにも増して、もともと車を眼の前に停めてあるんだからそれに乗って追いかけれればいいじゃんっておもうし、さらにいえばバスに乗ってっちゃった藤竜也がバスを降りたらなんとびっくり緒方直人も南果歩も追いついてきただけでなく、どこにいたのか息子と娘までもがいきなり登場してくる始末だ。これはちょっとな~。

 もうちょっといおうか。

 ラスト、藤竜也が子供のときに見上げていたとおぼしき桜が伐られてしまっていたのではないかという場面で、南果歩が「桜の寿命は短いから伐っちゃったのかも」というんだけど、ちょっと待ってくれ。ソメイヨシノならいざ知らず、そのほかの桜の寿命は短くないぞ。それに、題名は『サクラサク』じゃないか。先代の桜がもしも伐られちゃったんならその遺伝子を受け継ぐ桜が芽生えてないとあかんじゃんか。

 まじ、大丈夫か?

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ねむれ思い子 空のしとねに

2016年09月06日 20時58分44秒 | 邦画2014年

 △ねむれ思い子 空のしとねに(2014年 日本 50分)

 監督・脚本 栗栖直也

 

 △ほぼひとりで作った3DCGアニメ

 という触れ込みには、素人ながら「へ~っ」て驚いた。

 けど、なんだろね、そもそもCGに気が入らない僕は、どうも死んだ母親が同年齢で登場したときの態度に妙な違和感を感じちゃったんだけど、そういうふうにおもったのは僕だけなんだろうか?母親の心が19年間の「死」の間にまるで変化ていうか成長していないのはわからないでもないんだけど、なんでこの母親が宇宙にいて魑魅魍魎的に蘇生する必要があったのか、そのあたりの追い込み方がどうもちょっとね。

 もちろん、これはど素人の個人的な感想だ。

 たぶん、ぼくはもう瑞々しい感性ってのがなくなってきてるのかもしれないね。

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祖谷物語 おくのひと

2016年03月10日 11時48分18秒 | 邦画2014年

 ◇祖谷物語 おくのひと(2014年 日本 169分)

 英題 The Tale of Iya

 監督 蔦哲一朗

 

 ◇半分でいいのではないか

 正直なところ、前半部分はかなり削った方が物語に感情が導入されやすいような気がするんだけど、おそらくぼくの勘違いなのかもしれないね。

 いや実際、ぼくは映画を観る目はないのかもしれない。だって、最初、事故で放り投げ出されたとおぼしき赤ん坊を田中泯が拾うとき、何の気なしに見てたんだけど、その成長した姿が武田梨奈につながらなかったんだから。それもそうだけど、大西信満がなんで祖谷に来たのかもわからず、外国人たちが棲んでいるのはわかるとしても道路やトンネルの敷設による自然破壊の反対とかを長々とやっているのがちょっとね。

 それと、35ミリで撮ろうという気持ちは痛いほどよくわかるし、昔だったらあたりまえだったことが注目されちゃう時代なんだな~という感慨もあるけれど、リアリズムなのかどうか同時録音された音がなんとなく河直美的だな~っておもってたら本人が大学の先生で登場してきた。

 まあ、いずれにせよ、長かったな~。

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思い出のマーニー

2016年03月04日 22時33分50秒 | 邦画2014年

 ◇思い出のマーニー(2014年 日本 103分)

 監督 米林宏昌

 

 ◇北海道リトル・オーバートン

 うまくまとめられた佳品っていう感じなんだけど、見ているとなんともいえない不思議な居心地になるのはたぶん原作の舞台がイギリスのノーフォーク州でそれがそのまま印象として残されているのと、人物の設定から類推される時代背景がどうしても日本のそれとはそぐわないことからなんだろう。

 もちろん、それは作品のおもしろさとかそういうこととはまったく無関係で、物語を楽しもうとする上においてそんなことは些細なことでどうでもいい感想なんだろうけど、ぼくは素朴にそんな印象を受けた。まあ、干潟のある入り江に立っている洋館になんでか知らないけど厳しいばあやに育てられている幽閉されたような青い眼の少女がいるとかいった、時代を超えて日本と英国とが融合してしまったかのような世界は、どうしてもそんな感覚を抱かせるんじゃないかっておもわないではないけどね。

 ちなみに、ぼくはスタジオ・ジブリから直線距離で200メートルくらいのところに住んでる。道がずどんと繋がってるわけじゃないから数十秒で到着はできないけど、でも散歩の途中で「ああ、今日も二馬力に灯が点ってるな」とかいうこともよくあったりする。で、東京郊外のその一角を眺めてると、なんとなくマーニーがいるような気もしないではない。なんかちょっと日本じゃない感じなのよ。

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トリック劇場版 ラストステージ

2015年10月29日 00時59分38秒 | 邦画2014年

 ◇トリック劇場版 ラストステージ(2014年 日本 114分)

 監督 堤幸彦

 

 ◇ラストなんだろう、たぶん

 まあ別にこの先続編が作られようが作られまいがどっちでもいいし、作られれば観るとおもう。

 で、そのたびごとになんとなく観て、ああ、阿部も年食ったな~とかいう感慨に浸るんだとおもう。

 いや実際のところ、このたびの作品は「トリック史上初の海外ロケなのだ」とかで、やっぱりずいぶんと画面の雰囲気がちがうのね的な感じはあった。そういうことからいえば徹底されたマンネリ世界がちょっとだけ崩れたような気がしないでもないんだけど、テレビシリーズの佳境のようなちょっぴりわくわくする感じはやはり劇場版では感じられない。

 とはいえ、赤道スンガイ共和国だの、呪術師ボノイズンミだの、ムッシュム・ラー村奥地のヤー村だの、シリーズの冒頭にリンクしているスンガイ=キンだのは、まあなんというか、そのときばかりはくすりとさせられる。させられるのだけれども、笑おうとか楽しもうとかそうした行為や気分に自分を持っていこうと努力している自分を発見してしまったとき、う~ん、やっぱりこのあたりで打ち止めの方がいいのかなあとおもわないでもなかった。

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小さいおうち

2015年10月24日 17時58分58秒 | 邦画2014年

 ◇小さいおうち(2014年 日本 137分)

 監督 山田洋次

 

 ◇こういう昭和もあったということで

 いつの時代も男と女がいて、そうである以上、不倫は決してなくならない。

 それは祖国が戦争をしていようがいまいが関係なく、なにかひとつきっかけがあれば男女は出会い、なにかひとつ引き鉄が引かれれば男女は抜き差しならない間柄になる。この物語の舞台は昭和10年に建てられた赤い屋根の小さな家だけれども、当時としてはかなりハイカラなものだったはずだ。当然、そこに棲んでいる家族はお金持ちで、だから住み込みの女中さんも雇える。息子が小児麻痺だったという理由はあるものの、でも、ブルジョワというくくりには入れられるだろう。当時、ここまでの家がいったいどれだけあったのかはわからないけど、それなりに裕福だったにちがいない。もちろん、人は裕福だから不倫をするわけではないし、どのような境遇にあっても機会が訪れてしまえばそうなる。だから、財産や地位はあんまり関係ないんだけど、たぶん、こういう設定の方が不倫に溺れてゆく人妻の姿は官能的になるんだろうね。

 ま、そんなことはいいんだけど、なんでかな、この頃の山田洋次の映画は一般的に見て裕福な家が描かれているような気がする。その理由についていろいろと考えてみたんだけど、結局、なんでなのかはわからない。でも、今の人達が映画を観るとき、かつて、そう昭和時代に撮られていた山田洋次作品の主人公たちの境遇はあまりにかけ離れているのかもしれないね。

 黒木華という女優さんはたしかに昭和的な顔をしていて、演技も淡々とした中での感情を上手に表現できる人だから、こういう役どころは似合ってるんだろね。なんていうか、バタ臭い顔をした主役級が多い中では異彩を放つといわれるのはよくわかる気もするわ~。

 

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