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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ロスト・フライト

2024年09月13日 00時11分24秒 | 洋画2023年

 ◇ロスト・フライト(plane)

 

 良くも悪くも、ジェラルド・バトラーのひとり舞台の映画なんだけど、ちょっと地味だな。

 佳境、島の支配集団が攻撃してくる中、ホロ島の滑走路から故障機が飛び立っていくところなんか、キーハンターでギャングに追われたセスナが飛び上がっていくのとさして変わらないんじゃないかっておもえるくらいだった。それと、LCCの本社内の対策室だけど、なんだか秘密警察の基地みたいな感じで、もうすこし開放的なセットにできなかったんだろうか?

 まあ、武装蜂起集団がマニラの政府に対してどういう要求をしているのかとか、まるでそんなことはどうでもよく、ただ、フィリピンの政情不安なところを煽ってるだけっていう、なんともおおざっぱな脚本だったけどね。もうひとつ、LCCから派遣されてくる緊急部隊なんだけど、最初、こいつら、本社のトニー・グールドウィンの雇われた悪い奴らで、内緒の金を飛行機で運んでたもんだから、その金がばれちゃいけないってんで急遽、ホロ島に派遣されてきたのかとおもってたんだけど、まったくそんなことはなくて、純粋に航空会社に雇われた緊急対策部隊だったわ。

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生きる LIVING

2024年09月10日 19時09分25秒 | 洋画2022年

 ◎生きる LIVING(Living)

 

 黒澤のと何処がちがうんだ?単純に撮影と演技が進歩しただけで、本質は変わらず、オリバー・ハーマヌスの演出とカズオ・イシグロの脚本はほとんどそのまんま、画面の構図もおんなじ。観る価値を教えてくれ。

 ビル・ナイは道理のよくわかった紳士に見えちゃうし、トム・パークも羽目を外せない好人物に見えちゃう。それじゃダメで、もっと落ちぶれた市民課長も落ちぶれた作家じゃないと、人生の皮肉も残酷も空虚も伝わらない。

 なにより、スコットランド民謡のナナカマドの歌じゃだめなんだ。浜辺のストリップ小屋すらら格調高い。あかん。もっと不潔で猥雑で下品わじゃないと。

 ただ、エイミー・ルー・ウッドに、余命いくばくもないことを告白するところから面白くなってきたんだけど、やっぱり菟はクレーンゲームで取るのはあかんよ。おもちゃ工場で作ってて、こんなん作ってても楽しいよと生きる意味を無意識に示唆してあげないと。

 カズオ・イシグロ、下手だな。

 てゆーか、わかってないな。

 仕事し始めた途端に葬式って、いやまじ、そのまんまじゃん。真似乞食は、あかんだろ。おまえたちの『生きる』を撮れよ。

 アレックス・シャープと付き合うのと、手紙を遺したくらいが変わったところかな?まいったなあ。でもまあ最後はちょっとうるっとしたけど。

 黒澤明の凄さをいまさらながら感じるわ。

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二トラム

2024年09月09日 00時10分50秒 | 洋画2021年

 △二トラム(Nitram)

 

 1996年4月のポート・アーサー事件の犯人マーティン・ブライアント(※題名のニトラムは、Martinの逆さ読みの徒名)の話だという触れ込みで、観た。

 観たんだけど、最初の近所迷惑も考えない庭の花火と息子マーティン・ブライアントのわがままにつよくいえない父親と見くびられまいとする母親を観れば、こいつはおかしい奴だってことはわかるし、なんとなく知り合った白髪をそめた葱頭の中年の女優ヘレンとの馴れ初めを観ていれば、いよいよおかしくなるってことは予定調和で、驚きも緊張感もない物語だったなあ。

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デスパレート・ラン

2024年09月08日 00時33分18秒 | 洋画2021年

 ◇デスパレート・ラン(The Desperate Hour)

 

 ランニング中にスマホだけで学校占拠の非常事態を把握しようとするだけの物語っていう発想はわかるけど、ナオミ・ワッツが焦って走ってるだけなのはきつい。

 30分過ぎてから息子を疑う刑事から電話があって物語が進展し始めるが、これでは遅い。

 スマホで電話ばかりしてるんなら、ニュースの配信動画とかをもっと流さないとあかんだろ。亡くした夫の思い出とか、事故に遭ったときの息子のテレビ電話の録画とかより緊迫感が出るだろ。で、納税記録から特定して犯人に電話するとか、焦ってパニックってるにしちゃ迅速な対処だけど、よけいなことをするアホな母親になりさがっとるようにしか見えないのは、やっぱりだめなんじゃないか?

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ヒトラーのための虐殺会議

2024年09月05日 17時35分17秒 | 洋画2022年

 ◎ヒトラーのための虐殺会議(Die Wannseekonferenz)

 

 なるほど。1944年の時点ではユダヤ人の移住促進を建て前にした収容の結果、ヨーロッパには1100万人のユダヤ人がいた。ドイツ国内には13万人、フランスには100万人、ポーランド総督府には230万人、ソ連のウラル山脈より西つまり白ロシアやウクライナを含む地域には500万人、バルカン半島には160万人などだ。ドイツの生存権を守るというのは、東部にドイツ人が定住してゲルマン化を促進して、民族のごった煮を解消するのだと。欧州ゲルマン化、他の民族は奴隷化すると。元軍人もふくめて役人は懸念するが、百姓からすれば鍬を入れなければ農地は耕せないと。いやまあ、なんつうか、断種、強制離婚とかもおもいもよらない提案だけど、こんなふうにして決まっていったんだろうか?

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滝の殺人事件

2024年09月03日 18時27分29秒 | 洋画2016年

 滝の殺人事件(Landkrimi Drachenjung frau)

 

 オーストリア映画か。ピンツガウ地方のミスコンテストの準ミスの15歳が滝壺で遺体で発見されるという出だしは悪くない。左手に三角の石を握りしめてるってもいいが、準ミスとはおもえないような身体を普通のワンピースが包んでるのは興醒めだな。つか、なんでいきなり刑事がぎっくり腰に?

 なるほど、運命的な展開なのね。おばあちゃんから不安げな電話があり、事件現場が故郷の滝で、しかも殺された娘の母親がむかしの彼女って…。つか、幼馴染の巡査が大麻吸ってるけど、合法なのか?

 ロケーションはいい。滝が村のとなりにあって教会の尖塔なみに大きく見える。こんな村、よく見つけたな。

 ピンツガウ伝説?

 滝壺に落ちた女が龍になるとかっていうんだけど、主人公が昔落とされた思い出もそうだが、なんも繋がらない。

 てゆーか、自殺かよ。 

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古都

2024年09月02日 18時17分44秒 | 邦画1961~1970年

 ☆古都(1963)

 

 遠景ではたしかにコンクリート造りのビルも見られるけど、手前の中京のあたりはもう町家の屋根がびっしり。このタイトルバックだけでも中村登と成島東一郎の天才ぶりが味わえる。合成も上手にできてるし、実に落ち着いた画面になってた。ラスト、淡雪が降ってくる気配を感じるところがあるけれど、前編をとおして音もなく雪がふりつもるような印象だった。不安をかきたてる武満徹の現代音楽が妙に合ってたしね。

 いやあ、見事。

 岩下志麻、綺麗だったな。

 ちょっとうろ覚えだけど、これは、市川崑の『古都』とは格が違うな。市川崑のファンとしては、残念だけど。 

 

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