◎クーデター(2015年 アメリカ 103分)
原題 No Escape
監督・脚本 ジョン・エリック・ドゥードル
◎東南アジア某国といっても
ベトナムへ難を逃れるわけだから、タイかラオスかカンボジアが舞台とされてるわけだけれども、まあ、空港から降りてすぐに白タクがやってきて交渉が始まるのはなんとも昔懐かしのタイの風物だ。今はどうなんだろう。それはわからないけど、結局のところ、アメリカをはじめとする他国の企業が入り込んでくるのを好しとしない国民の一部が、暴徒と化して外国人を襲い始めるという筋立てで、これはどちらかといえばクーデターというよりも騒乱に近いような気がするんだけど。
とはいえ、作品中の緊迫感はただものじゃない。どこまでも追われ続けるオーウェン・ウィルソンとレイク・ベルの家族とそれを救けようとするCIAもどきのピアース・ブロスナンというだけの映画なんだけど、よくもまあこれだけ次から次へとピンチを作ってこられたもんだと、ちょっとばかり感心する。ただ、なんていうのかなあ、いくら東南アジアが政情不安になったとしても、これだけアナーキーな連中が町ぐるみでゾンビみたいに襲いかかってくるもんだろか?
いや、ピアース・ブロスナンが実生活でもかなり筋金入りの正義感だってことはなんとなくわかるんだけど、なんだか、ちょっと東南アジアに対して偏見とかないのかしらって気にもほんの少しだけなった。これがたとえば東ヨーロッパとかアフリカとか中南米だったらどうだったんだろね?