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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

オッペンハイマー

2025年01月06日 15時10分29秒 | 洋画2023年

 ◇オッペンハイマー(Oppenheimer)

 

 とんでもなく評価が高いけど、ちょっとふしぎだ。これまでのクリストファー・ノーランの作品の方がおもしろかった気がするんだけどなあ。

 まあ、公聴会にいたるまでの半生を描くのに、時間をこれでもかってくらいに交錯させるのはいつもどおりの構成なんだけどね。

 キエミリー・ブラントがリアン・マーフィと連れ立って遠乗りに出た先で、こんなふうに前の夫の話をする。

「彼はスペインへ」

「戦うため?」

「旅団に加わってね。そして塹壕から頭を出して撃たれた。思想のための犬死」

「意味はある」

「私たちの未来を犠牲にしてファシストの弾を一発止めた。無意味でしかない」

 端的だなあっておもった。

 ただ、アメリカ人にとって日本人はおまけなのか?って感じがした。

 ロスアラモスの理論部をひきいてほしいとキリアン・マーフィが頼んだとき、

「僕は無理だ。爆弾は善人も悪人も無差別に殺す。物理学300年の集大成が大量破壊兵器なのか」

「わからない、そんな兵器を僕らがあつかっていいのか。だがナチスではいけない。やるしかないんだ」

 つまり、かれらの対峙しているのは、白人なんだよね。

 ナチスを逃れてきたケネス・ブラナーは言う。

「私は助けに来たんじゃない。私など無用だ。君が送り出す強大なちからはナチスを駆逐する。だが世界には早い。政治家にわかるか。新型爆弾ではない、新世界だと。私もちからを尽くすつもりだが、君は米国のプロメテウスだ。人類にみずからを滅ぼすちからを与えた男。称賛されて、君の真の仕事が始まる」

 それで、ドイツが降伏したとき、オッペンハイマーはようやくこう言う。

「まだ日本がいる。我々は理論屋だ。我々は未来を想像し、その未来に恐怖を覚える。だが世界は実際に使い、理解するまで恐れない。世界が恐怖を知ったとき、我々の仕事は人類の平和を確実にする」

 そして原爆の使用の可否をめぐって、

「心理的な影響は過小評価できません。高さ3000メートルもの火柱、数キロ四方に中性子が飛散、たったひとつの装置でです。B29から密かに投下された原爆は、神のちからの恐るべき啓示となる」

 なんか、日本に落とすのが唐突なんだよなあ。躊躇もないし。とってつけたように京都を除外するだけだし。庶民はどうでもいいのかよ?

 足下に黒い消し炭になっちゃった死体のまぼろしや、女学生の肌がなんか綺麗なケロイドで剥けていくカットはあるけど、おざなりだ。

 オッペンハイマーが原爆投下の罪の意識に苛まれるには、ちょっと原爆の悲惨な映像が足りないんじゃないか?

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日本列島

2024年11月14日 18時50分01秒 | 洋画2023年

 ◎日本列島(1965)

 

  日本はアメリカに255の基地を提供している、ていうナレーションから始まる。これだけでも十分に衝撃的だ。

 物語は、CIDのリミット曹長が殺されたことから始まる。死体が、否も応もなくアメリカに運ばれる。これに対して日本の警察は憤るが、CIDもまた困惑する。この不可思議な事態について、宇野重吉はいう。

「米軍に圧力が掛かった事件ですね」

 では、圧力をかけたのは誰か。上層部か?

「いや。軍じゃないでしょうね。もっと強大な、おそらく…」

 捜査会議は揉める。刑事は歯嚙みする。

「被害者は日本国内で死んでるんだ、われわれにも調べる権利がある。占領下ではない。日本は独立国としてお互いに協定を結んでるんですからね。それを無視して…」

 宇野重吉の教え子のオンリーが死ぬんだけど、その蒲団の口許に包丁が置かれてる。小刀のかわりに包丁を置くしかないっていうことなんだろうけど、当時はみんなこういう風習を守っていたんだろうか?

 神奈川県稲田登戸の陸軍化学研究所が登場してくる。紙幣の贋造が為されているのは、ドイツの印刷機だと。ここで映されてるのは本物だろうか?

 黒幕は元キャノン機関の唐沢栄一郎。大滝秀治だ。悪党がよく似合うなあ。

 宇野重吉は芦川よしみにいう。

「戦後七年の間に、スパイ機関は大変な資金を稼いだんですね。それらの金は、イラン、イラク、ラオス、ベトナムなど東南アジアにまで流れていったらしい」「なんに使われたんでしょうか?」「経済攪乱による兵器、戦略物資の購入など。あの辺じゃ、内乱とかクーデタとか、いろんな事件がつぎつぎと起こったでしょう?日本でもなにが起こるかわからん。最近、どっからかまた大量の麻薬が日本に流れ込んできてる。それに、新しい偽ドルも。(略)さらにもうひとつ、極東ブランチというスパイ機関があってね、リミット事件もそこからの圧力で揉み消されたんじゃないかと(略)こうした世界中のスパイ組織が入り乱れ、絡み合って対立し、政治そのものにまでなってきているのが日本の現実です。だから怖いですよ。それが外からはなにひとつわからないんで」

 下山事件からスチュワーデス殺人事件につづく。これらがみんな一連の極東ブランチによる仕業だというのが熊井啓の主張するところなんだけど、松本清張をおもいだしたわ。

 

 

 

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ロスト・フライト

2024年09月13日 00時11分24秒 | 洋画2023年

 ◇ロスト・フライト(plane)

 

 良くも悪くも、ジェラルド・バトラーのひとり舞台の映画なんだけど、ちょっと地味だな。

 佳境、島の支配集団が攻撃してくる中、ホロ島の滑走路から故障機が飛び立っていくところなんか、キーハンターでギャングに追われたセスナが飛び上がっていくのとさして変わらないんじゃないかっておもえるくらいだった。それと、LCCの本社内の対策室だけど、なんだか秘密警察の基地みたいな感じで、もうすこし開放的なセットにできなかったんだろうか?

 まあ、武装蜂起集団がマニラの政府に対してどういう要求をしているのかとか、まるでそんなことはどうでもよく、ただ、フィリピンの政情不安なところを煽ってるだけっていう、なんともおおざっぱな脚本だったけどね。もうひとつ、LCCから派遣されてくる緊急部隊なんだけど、最初、こいつら、本社のトニー・グールドウィンの雇われた悪い奴らで、内緒の金を飛行機で運んでたもんだから、その金がばれちゃいけないってんで急遽、ホロ島に派遣されてきたのかとおもってたんだけど、まったくそんなことはなくて、純粋に航空会社に雇われた緊急対策部隊だったわ。

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ドント・ウォーリー・ダーリン

2024年08月21日 18時25分33秒 | 洋画2023年

 ◎ドント・ウォーリー・ダーリン()

 

 なんておしゃれな田舎暮らし。

 ビクトリー計画987日目の朝、セキュリティレベル黄色。なんじゃそれは。

 バレエのお仲間におどおどした可愛い子ちゃんが入った日、卵がすべて殻だけになってるとか、不安を募るなあ。知り合いの黒人がキチガイあつかいされるがちがう。幻想がつぎつぎに起こり、紅い服の男たちに引き戻される。つのるなあ。

 万華鏡のダンスがまた不安をつのらせるが、上手なシンクロナイズ。けど半分すぎても謎が解明されないのは、ちょっとなあ。おもわせぶりが長い。

 なるほど、クリス・パインのプログラムか。

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心と体

2024年08月19日 20時02分05秒 | 洋画2023年

 ◎心と体(appendage)

 

 人面瘡が外に飛びだしたっていう物語なんだけど、子供だましのホラーかとおもってれば、話が進んでいくにつれて、ちょっとおもしろくなってくる。

 ヒロインのハドリー・ロビンソンより、人面瘡の会で知り合うエミリー・ハンプシャーの方が綺麗だな。といっても悪役だけど。

 カウサール・モハメッドはおばかな同僚として登場するばかりか、彼氏の浮気相手というか本命だったことから嫌われながらも結局、人面瘡アペンテージを見破って、寄生して乗っ取ろうとしているもうひとりのハドリー・ロビンソンたちと対決してゆくんだから、なんだかこっちの方が主役におもえてくる。

 いやしかしほんと、人面瘡が身体から飛び出して暴力的な化け物に成長して、それをかなりの連中が経験してて、自宅に飼ってるとか、ありえない話なんだけど、徐々に違和感がなくなるんだよね。まあ、そいつらのサークルが宿主にとってかわって、さらなる宿主を探してゆくための拠点っていう設定なんだから、ありかな。

 ただラスト、宿主の復活と反対に赤ん坊に戻ってる人面瘡アペンテージを育てるってのはちょっと甘いぞ。

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アステロイド・シティ

2024年08月07日 21時49分28秒 | 洋画2023年

 ◇アステロイド・シティ(Asteroid City)

 

 文句なしのいびつなシンメトリックと、まったく文句なしのパステル調で出来上がった画面に、スカーレット・ヨハンソンやトム・ハンクスやティルダ・スウィントンやエイドリアン・ブロディが出てきて、これもまた文句なしで、未知との遭遇みたいな感じで隕石のクレーターに登場する異星人のCGのおしゃれさにもまったく文句なしなんだけど、なんで、脚本がつまんないんだ?

 ウェス・アンダーソンって画面や音楽や演技指導は天才的だとおもうけど、映画をおもしろくする才能はないのか?とさえおもっちゃうわ。

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誰も助けてくれない

2024年08月05日 15時31分11秒 | 洋画2023年

 △誰も助けてくれない(No One Will Save You)

 

 よくもまあこんなに単調な、セリフがたった5つしかない、自宅に侵入してきたエイリアンに追われるだけの映画を撮ったもんだ。

 むかしの自主制作映画『午前2時のシチリアーノ』とどこがちがうんだ?まあ、ケイトリン・デヴァーは可愛いからいいけど。

 要は、過去に親友となにかあって自分のせいで死んでしまったためにそのトラウマを抱えながら生きていて、それがエイリアンに姿を変えて押し潰されようとするんだけど、そこから脱却して新たな未来へむかって生きていこうとする田舎町の多感な女の子の物語でしかない。

 結局のところ、彼女が怖がる顔をずっと観ていたいためにブライアン・ダフィールドが撮ったっていうだけのほとんどプライベート・フィルムなんじゃないのか?

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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

2023年12月19日 23時30分06秒 | 洋画2023年

 ◎インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(Indiana Jones and the Dial of Destiny)

 

 カレン・アレンは最後に出てくるんだろうなあっておもってたら、そのとおりだった。うれしい。

 なるほど、タイム・スリップしてアルキメデスを登場させるのか、それで運命のダイヤルになるわけか。大陸移動が起こって緯度の設定が10度ことなってしまったために30年の時間遡行が2000年の時間遡行になっちゃうっていうのはちょっと強引すぎる気がしないでもないけど、圧倒的な映像の前ではもはやそのなケチをつけたところで些細なことになっちゃうんだろうなあって気はする。

 ただ、役の設定としてはフィービー・ウォーラー=ブリッジはいいんだけど、ヒロインってことになるとどうよって気はする。もともとインディー・ジョーンズのシリーズは、カレン・アレンが恋人っていう設定だからこれをいじっちゃうとだめで、魔宮の伝説みたいに時間を前に持ってこないと難しくなっちゃう。このシリーズのつらいところで、だからいつもヒロインは可憐な女性にはならない。そんなこともあってフィービー・ウォーラー=ブリッジになっちゃうってことなんだろうなあ。

 ナチスとの因縁が1969年になっても続いてて、結局はそれが2000前にまで戦いの対象になるってわけなんだけど、そのナチのマッドサイエンティスト役のマッツ・ミケルセンがちょっと物足りない。もうすこしやりがいのある役にしてあげたかった。

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