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☆=☆☆☆☆☆
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▽=☆

ミス・シェパードをお手本に

2023年03月20日 19時25分48秒 | 洋画2015年

 ◎ミス・シェパードをお手本に(The Lady in the Van)

 

 優しさはあらゆる徳の中で最も自分本位なものだ。ハズリッドの引用。

 原作者アラン・ベネットの体験談だって話だけど、なるほど、でも、ラストが淋しいな。

 夢の中でもいいから修道院のピアノをマギー・スミスに弾かせてやりたいし、それがコンサートになって喝采を浴びるところで目が覚め、夢かと絶望するんだがワゴンから出たときに町の連中がピアノを用意してコンサートをしかけるんだがそこで倒れる。そういう感じにしてほしかったわ。

 ジョージ・フェントンの音楽がいいね。

 作家の二重人格をそのまま映像にしているのは、なかなかよかった。

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ロング・トレイル!

2023年03月07日 01時09分07秒 | 洋画2015年

 ◇ロング・トレイル!(A Walk in the Woods)

 

 さすがにロバート・レッドフォード、老けたな。

 ニック・ノルティもそうだけど、まだこっちは太ってる分、老け方が小さい気がする。エマ・トンプソンはあいかわらず物分かりのいい柔和な主婦を演じてるけど、老け方はほぼ感じられない。ただまあ、ふたりのしょってるリュックがあまりにも軽そうで、もうすこし重さを出してくれないといかにも演技してますって感じになっちゃうのは辛い。

 とはいえ、まあ、紀行作家ビル・ブライソンなる実在の人物の話だし、強烈な挿話も作りにくかったんだろう。モーテルの3代目メアリー・スティーンバージェンとの恋になりそうでならないくらいが精一杯のところだったのかなあ。

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凍った湖

2022年12月23日 20時02分16秒 | 洋画2015年

 △凍った湖(Der Tote am Teich)

 

 これだけつまらん映画もめずらしい。

 資産家が遺言書に隠し子に相続させると書いたために、その娘たちが共謀してその遺言書を破り捨て、異母兄をおもわず殺すっていうだけのどうにもならない話。監督のニコラウス・ライトナーとしては、オーストリアの山の中のド田舎の因習深さみたいなものを撮りたかったのかもしれないんだけど、まあできれば『犬神家の一族』でもを観て勉強した方がいいね。

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アデライン、100年目の恋

2022年12月11日 00時44分23秒 | 洋画2015年

 ◎アデライン、100年目の恋(The Age of Adaline)

 

 ずうっと前からどうしてもこのブレイク・ライヴリーのポスターが気になってて、そのためにいつか観なくちゃいけないっておもいながらなんとなく観るのをためらってたんだけど、うん、まあやっぱりぼくの好みの映画だったかな。たしかに、父親ハリソン・フォードが過去につきあってた子が、100年間も老化が止まってるブレイク・ライヴリーで、それがばれるのが木の枝に手を怪我し、それの応急処置で縫ってやった痕を観たことでわかっちゃうんだけど、親子でそんな偶然ってあるかよって話だし、あまりにもご都合的な展開だってのも納得できる。

 でもまあ、おとぎ話ってのはこんなもんでいいんじゃないかしらね。

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マイ・インターン

2022年11月22日 01時53分25秒 | 洋画2015年

 ◇マイ・インターン(The Intern)

 

 ロバート・デ・ニーロが好い人になってるとかって信じられないんだけど、こういう時が来ちゃったんだなあって、しみじみおもっちゃう。アン・ハサウェイのための映画としかおもえず、でもなんとなく現代的な男女交替が主題のようにおもえちゃうけど、じつは熟練の番頭さんが若女将を助けるっていう、昔ながらの物語なんだよね。

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ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

2022年11月10日 22時20分56秒 | 洋画2015年

 ◎ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出(A Royal Night Out)

 

 エリザベスとマーガレットの姉妹をサラ・ガドンとベル・パウリーが演じてるんだけど、なんともまあよく似せたもんだ。こういうところ、洋画の徹底さを感じるね。邦画は役者ありきで、こういうときはまるで似てない。

 うそかほんとか『ローマの休日』はマーガレットがモデルだっていう話だけど、もしもこの英王室の王女ふたりが、のちにエリザベス女王がふと漏らしたとおり「市民と戦勝を祝った」のだとしたら、エリザベスがモデルだったといってもおかしくなくなる。どちらにせよ、観てて「なんだ、やっぱりローマの休日じゃん」っておもったら、まあ本家がえりってことか、とおもうしかないわね。

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アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち

2022年11月08日 22時36分21秒 | 洋画2015年

 ◇アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち(The Eichmann Show)

 

 アドルフ・アイヒマンが捕まってイスラエルで行われた裁判を撮影したテレビ番組チームの物語なんだけど、そうか、こういうアプローチもあったかっておもった。でも、最初におもったそれだけがすべての感想になるくらい平坦な物語だったわ。

 ヘビースモーカーの番組のディレクターをアンソニー・ラパーリア、ナチスの残党に撮影中止を脅迫されるプロデューサーをマーティン・フリーマンが演じてるんだけど、まあこれはアンソニー・ラパーリアが主役だわね。おもしろかったのは、当時、ボストーク1号に乗り込んだユーリィ・ガガーリンの「地球は青かった」と、キューバ危機とがあいついで起こり、このアイヒマン裁判もほぼ同時期だったってことだ。いわれてみればそうだなあ。

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生き写しのプリマ

2022年11月03日 18時57分57秒 | 洋画2015年

 ◇生き写しのプリマ(Die abhandene Welt)

 

 導入から唐突な展開。

 これあかんわ。脚本が悪い。カッチャ・リーマンがふりまわされるだけの物語って感じだ。

 設定はいいけど、こじつけだらけの筋立てとしか感じられん。

 死んだ母親とうりふたつのオペラ歌手バルバラ・スコバがいる。ドイツじゃなくてニューヨークだ。父親は金持ちなんだけど怒鳴ってばかりでなんの魅力もない。しかもなにもかも想像がついてて娘に事情を探らせてるだけって、なんだこの父親は。って感じなのは、結局、父親の兄の子だったって話を正当化させるための伏線なんだけど、叔父がいかにも物優しげで、これだったら母親もほだされて不倫して、のちにオペラ歌手になる子を産んで、友達にあずけちゃうかもしれないなあ。とかって、なんだよ、まじ。めちゃくちゃじゃん。

 

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シンデレラ

2022年10月17日 01時19分43秒 | 洋画2015年

 ◇シンデレラ(Cinderella)

 

 ま、シンデレラですわね。誰もが知ってる物語で、実写が撮られてなかったのが不思議だし、ミュージカルにするには絶好の題材だとおもうんだけどね。でも、ケネス・プラナーがどうして監督したのかがわからんし、リリー・ジェームズはなんか印象がちがうな~とおもって観てた。でもまあいいのか、ケイト・ブランシェットもヘレナ・ボナム=カーターも楽しんでるみたいだし。

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アンジェリカの微笑み

2022年09月07日 22時00分54秒 | 洋画2015年

 △アンジェリカの微笑み(O Estranho Caso de Angelica)

 

 ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58: 第3楽章: Largo  マリア・ジョアン・ピレシュで始まる。雰囲気よろし。

 リカルド・トレパが若くして死んだ新妻の写真を撮ってくれと頼まれて撮りにいくと、ファインダーの中で彼女アンジェリカことピラール・ロペス・デ・アジャラが微笑むっていう出だしなんだけど、まあそれがふたりの恋の始まりで、結局、牡丹燈籠みたいに訪ねてきて、霊界へ連れて行かれちゃうって物語だ。

 まあ、マノエル・ド・オリベイラ監督101歳の記念作品ってことなら、これはこれで微笑ましいっておもうしかない。

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ライ麦畑で出会ったら

2022年09月03日 22時26分17秒 | 洋画2015年

 ◎ライ麦畑で出会ったら(Coming Through the Rye)

 

 クリス・クーパーのサリンジャーがいかにも気難しい作家を醸し出してて、それはいいとおもったけれども、結局は、これもまた家族の再生と初恋(アレックス・ウルフとステファニア・ラヴィー・オーウェンのね)と自己肯定の軌跡の物語で、もうすこし上手に展開できてたらよかったのにな~とおもったりする。予告編の期待値を上回ることはなかったな。ま、ジェームズ・スティーヴン・サドウィズにとっては好い処女作だったとおもうけどな。

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村の秘密

2022年07月31日 22時52分04秒 | 洋画2015年

 ◇村の秘密(Wenn du wusstest, wie schon es hier ist)

 

 ロケーション抜群の村ヒュッテンベルクがこの舞台なんだけど、ま、田舎の村は洋の東西を問わないってことだね。

 閉鎖的で、秘密がいっぱいあるくせに、みんな家族とかっていってる。で、そんなところで警官になるなんてのは、よほどみんなから相手にされてないかばかにされてるかなわけで、なんかあってもなんにもないっていうことにさせてしまえるやつが警官としての職務をまっとうできるってことだね。

 ま、そんな警官ゲアハート・リーブマンが主人公だと知った瞬間、ああラストは村を出ていくしかないじゃんっておもったらやっぱりそうだった。あまりにも予定調和な結末ながら、この親父の信仰してるのはどこの仏教なんだろう?っていう疑問はさておき、1/3までもたもたしてる。ようやく村の掟をよく知ってて、その暗黙の決まりをひきさいて調査をしたがる警部の要請で司法解剖して殺人事件になるんだけど、ここまでが遅すぎる。

 それにしても、単調な映画だった。アンドレアス・プロハスカっていう人はこういうのんびりした演出が好みなんだろうか。

 あ、青少年の生育施設って、なんか、日本の若い衆蔵みたいなものなんだなって気がしたわ。

 で、殺された村でいちばんの美人の彼氏は、実はまったくの見せかけで、ほんとはその彼氏は彼女の母親と出来てて、父親は製材所の従業員とホモの関係にあって、ところが、この父親の彼氏が美人の娘とカーセックスしちゃってその動画を観た父親が怒り狂って娘をぶんなぐったときに過失傷害致死に至らしめてしまったことがすべての発端になってるっていう、簡単にいえばそういうことなんだけど、できれば、この複雑な事態を村人はみんな知ってたっていう設定にしてほしかったな。

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ブリッジ・オブ・ヘル 独ソポーランド東部戦線

2022年07月09日 23時46分28秒 | 洋画2015年

 ◇ブリッジ・オブ・ヘル 独ソポーランド東部戦線(Edinichka)

 

 しかし、橋がチンケだな~。

 歩いても渡れそうな川にかかったこんな小さな橋をめぐる激戦とかいわれてもなあ。

 ところで、第二次世界大戦についてドイツは国をあげたかのような調査と反省が繰り返され、まあ逆な宣撫工作といわれても仕方ないかもしれないけど、とにかくナチスを糾弾するような映画が作り続けられているのに対し、旧ソ連のロシアはソ連のしでかしたことへの回顧はあっても反省はないのだろうかっていう気がしないでもない。

 監督のキリル・ベルビッチとしてはなんとなくハリウッドの人間愛と正義と義憤のただよう局地戦にして、教会なのか保育園なのかよくわからないけどともかくそこに匿われている子供たちの命を救うことに重点が置かれ、そこへ容赦なく攻撃してくる無慈悲なドイツ軍を邀撃するのを描こうとしているんだけど、なんかなあ、これだったらコンバットとどこがちがうんだろうっておもったりするのだよ。

 とにかく、いちばんの問題は主人公が誰だかよくわからんってことかな。

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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

2022年06月18日 00時49分18秒 | 洋画2015年

 ◇雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(Demolition)

 

 アメリカの郵便事情は知らないし地区によって違うかもしれないが、ジェイク・ギレンホールはチャンピオン社に出す苦情の手紙を郵便受けに入れて付属してる赤い標示版を上げた。なるほど、これで郵便配達が来た時には持っていってくれるのか。配達が来ないとずっと郵送されずにいるんかな?

 しかし急ぎの手紙じゃなければ、これはこれで便利だ。

 けど、ふしぎな映画だな。ものごとに無関心で妻が目の前で事故死しても心を動かすこともなかった男がチョコレートの出てこない自販機の顧客係ナオミ・ワッツの常軌を逸したような接近の仕方に引っ掛けられるっていう、まるで現実感のない筋立てだわね。

 ジャン=マルク・ヴァレの演出上の狙いかどうかはわからないけど。

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アンリミテッド

2022年06月12日 00時41分38秒 | 洋画2015年

 △アンリミテッド(Tracers)

 

 パルクールの宣伝映画にしか見えん。

 しかしまあ、こういう新しい運動を使った映画ってのは、どんなものでも結局はひとりで戦いを挑んでる孤独な青年か女の子みたいな存在をもってきて、それが異常に才能があって、そのちからがめざめていくのと共に、仲間を増やしていって、巨大な敵と戦うことになるっていう筋書きで、国を問わず、そうしかならないんじゃないかって気がするわ。

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