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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

クリムゾン・タイド

2024年03月20日 02時33分42秒 | 洋画1995年

 ◎クリムゾン・タイド

 

 君はハーバード出か。趣味は乗馬か。わしは、乗りこなせんよ。老馬がせいぜいだ。馬には感心するよ。頭は悪いが勘は鋭い。女子高生に似ている。男のスケベ心だけはすぐ見抜く。教養は不要だってことだ。わかるようなわからんようなジーン・ハックマンの台詞だ。が、この馬の話が最後まで尾をひくんだ。

 スピニッツァー種がスペイン生まれで最初は黒毛だが大人になると白毛になるというデンゼル・ワシントンと、ポルトガル生まれで最初から白毛だというハックマンだが、最後にわたしがまちがっていたといい、潜水艦の指揮をあやまるのかとおもえば観客をいなしてスピニッツァーはスペイン生まれだと嗤う。

 たいしたもんだ、リドリー・スコット。

(2021-12-22 13:08:24)

 

 チェチェン紛争にからんで核ミサイルが日米に向けて撃ち込まれるんじゃないかっていう危機が、潜水艦アラバマの出撃のひきがねになってるんだけど、この映画ではそんなロシア方面の情勢は背景以外の何物でもない。ハンス・ジマーの傑作曲に乗って描かれるものは、たたきあげで傲慢な白人と、知的な訓練をおこなってきた冷静な黒人の相容れない感情がどのような危機を経れば互いに歩み寄ることができるかという考察だ。それが、実際はトリエステ近郊スロベニアの馬ながら、ふたりおのおの、スペイン生まれとポルトガル生まれというまちがった主張を展開するふたりという構図で説明される。でも、構図を描きたいのなら文章ひとつで十分なわけで、これを背景にした緊迫劇がトニー・スコットの描きたかったものなのは疑いない。潜水艦という密閉された舞台空間がその緊張感をますます駆り立てる。うまい映画だ。

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キャスパー

2022年02月11日 00時32分07秒 | 洋画1995年

 △キャスパー(Casper)

 

 ダン・エイクロイドの突然の登場はうけた。つか、イーストウッドもメル・ギブソンも。

 幽霊研究の親父とおとなびた娘の指切りげんまんがあるんだけど、もともとアメリカのものなのかな?

 でも、映画はつまんないな。

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アンダーグラウンド

2021年09月02日 16時47分25秒 | 洋画1995年
◇アンダーグラウンド


まあとにかく騒々しい映画だったわ。エミール・クストリッツァがなにかいいたいんだかよくわからないんだけど、とにかくコメディといえばコメディだけどね~。

反ナチスの地下組織の親友同士がナチの将校に尻をふってる女優をとりあったことからその片割れを地下に封じ込め、横流しの武器を作らせてしこたまもうけてゆくっていうのは、わからないでもないけど、けっこうちからづくな展開でだんだん苦しくなってくる

ぎりぎりのところでむりやりこの筋立てのために地下に入れてあった戦車がぶっぱなして新たな展開になるんだけど、ここまで長過ぎないかなあ。

ラザフ・リストフスキーの息子が河で溺れたとき、井戸に身を投げた嫁の幽霊と出会い、河の彼方へ消えていくときのタンゴ調の曲はよかった。全体を包んでるリリー・マルレーンを除けばだけど。

まあ、ミリャナ・ヤコヴィッチの濡れ場と演技はよかったけどね。第三章戦争の劇的な展開の中で、車椅子に乗ったまま弟に殴り殺されたミキ・マノイロヴィッチとまとめて殺され、灯油ごと燃やされた際、逆に磔りつけられたキリスト像のまわりを永遠に回り続けることになるんだけど、そこへユーゴ内戦の小隊長になってるラザフ・リストフスキーと巡り合うくだりは、最後の流れてゆく小さな土地の上での幻想の結婚式と同じくらい良い撮影だった。
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アメリカン・プレジデント

2021年04月19日 11時54分07秒 | 洋画1995年

 ◇アメリカン・プレジデント

 

 いかにも合衆国の恋愛劇って感じに仕上げたいような印象なんだけど、べつに大統領との恋愛でなくてもいいんじゃないかな~。守衛のトム・バリーに対して、あいかわらず綺麗なアネット・ベニングが『この人にキャプラの話をしてもわからないから失礼よ』というようなことを口にすると、トムはにこにこと『映画監督ですよね』といって蘊蓄を手短に話すんだけど、こんなとってつけたような場面をわざわざいれなくちゃいけないのは、どういうちからが働いたんだろね?

 そんなことはさておき、マイケル・ダグラスはこんな恋愛劇は似合わないな。もっとエグミのある話じゃないと、灰汁の強さが活かされないよ。

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誘う女

2017年11月24日 23時21分55秒 | 洋画1995年

 ◇誘う女(1995年 アメリカ 106分)

 原題/To Die For

 監督/ガス・ヴァン・サント 音楽/ダニー・エルフマン

 出演/ニコール・キッドマン マット・ディロン ホアキン・フェニックス ケイシー・アフレック

 

 ◇1990年、パメラ・スマート事件

 ニコール・キッドマン、このころがいちばんきれいかもしれない。

 土手の上の木に下でたちまんをするときの足まで綺麗だ。ま、この股間ぎりぎりのミニスカートから伸びてときどき組み替えたりする脚がいろいろと問題をひきおこすように演出されてるわけだけど、とにかく、鼻持ちならないコーマン女がマット・ディロンをひっかけて結婚して殺したかどうかという物語にはぴったりかもしれないね。

 ただ、ガス・バンサントがうまいのはキッドマンの演じる色気まるだしファッキン・デンジャレス・ウーマンが実は綺麗なだけで自分のことを知的で優秀だと大きく勘違いしてそのせいで周りを辟易させてしまっていることに気がつかないほど哀れだというのを事細かく演出していることで、つまりは男にファックしたいとおもわれるだけの勘違い女がどんどん哀れになっていくように作られてる。

 けど、この自己中女の点描だけで物語が成立するはずもなく、筋立てはマット・ディロンが殺されてキッドマンが逮捕されたところから始まるわけで、その事件に関係してる連中のアトランダムな事情聴取で構成せれてなかったからもたなかったかもしれないね。

 あ、でも、この物語の元ネタになってる「パメラ・スマート」についてはよくわからないし、どれだけ事実に即して物語が構築されているのかもわからないんだけどさ。

 とはいえ、結婚一周年の夜、天気予報中という絶対的なアリバイをつくり、グッナイハニーの挨拶で一連の仕業を終えるあたりはうまいね。ていうか終局、凍った川面を透かしてキッドマンの顔を観た瞬間、前に観たのをおもいだした。なんてこった。

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アポロ13

2016年03月15日 21時15分55秒 | 洋画1995年

 ◎アポロ13(1995年 アメリカ 140分)

 原題 Apollo 13

 監督 ロン・ハワード

 

 ◎1970年4月11日、アポロ13号発射

 ぼくたちのいちばん懐かしいアポロはもちろん11号だ。当時、小学生だったぼくはアポロの月面着陸はものすごく昂揚したもののひとつだったけど、残念なことにこの栄光ある失敗といわれたアポロ13号の記憶はない。ていうか、ぼくの知識と情報と雑学はほんとうにひどいもので、この映画がなければアポロ13号の事故については知らないままだったろう。それほど乏しいアポロの知識でも観ることができたのは、ロン・ハワードの上手さなんだろね。

 実際、この映画のセットは凄かったらしい。無重力の撮影をするためにNASAが無重力訓練用に改造したKC-135A空中給油機を600回もフライトさせて1回につき25秒間の撮影をしていったっていうんだから半端じゃない。邦画じゃ絶対にできないことをしているわけで、それだけの費用とやる気を見せてくれる映画はなかなかない。

 凄い。

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恋人までの距離(ディスタンス)

2014年10月29日 01時53分37秒 | 洋画1995年

 ◎恋人までの距離(ディスタンス)(1995年 アメリカ 105分)

 原題 Before Sunrise

 staff 監督/リチャード・リンクレイター

    脚本/リチャード・リンクレイター、キム・クリザン

    撮影/リー・ダニエル 音楽/フレッド・フリス

 cast イーサン・ホーク ジュリー・デルピー エミー・マンゴールド、ドミニク・キャステル

 

 ◎半年後、ウィーンのこのホームで

 ブダペストからウィーンまでの列車は昔はコンパートメントだった。

 というより、ヨーロッパはおおよその列車がみんなコンパートメントで、その6人がけの個室で顔を合わせれば、もうそこで友達になれた。ことに日本人同士が同乗してたりしたら、駅を一緒に出たときにはもう一緒に町もめぐることになってた。ヨーロッパの旅っていうのは、そういうもんだった。

 ぼくがヨーロッパを放浪してたのは80年代だから、この映画の登場人物たちとはひと世代ちがう。でも、人間ってそんなに変わんないものなんだね。ウィーンの駅で待ち合せたら逢えるものなんだろかと、映画を観終わったとき誰もがおもうことだ。ところが、これが逢えちゃうんだよね、ちゃんと行けば。ただまあ、行くか行かないかは、その夜の甘美な思い出によるものではなく、実をいうと、どれだけ約束に対して真摯な考え方ができるかどうかって話だ。

 実際、ぼくはこの映画のように半年後ではなく2か月後だったけど、

「4月1日の正午、パリの凱旋門の下で会おう」

 といって、2月の頭に友達とロンドンで別れたことがある。

 で、会えた。

 ただ、実はその相手は数人の男どもだったから、あんまり嬉しくもない話なんだけどさ。

 でも、異国の空気っていうのは、生まれ育った国の空気とまるでちがって、そこで芽生えた恋はなかなか忘れられるものじゃないし、もちろん相手によるんだろうけど、生涯ついて回るものなのかもしれない。それだけ、瑞々しい時代の異国の恋ってのは甘美で運命的なものだ。

 ウィーンのプラターの大観覧車はいまでもよく覚えてて、早春の灰色の空の下をゆっくりと上がっていった。ほんとにでっかい観覧車だった。なんだか、散漫な文章になるけど、どういうわけか学生時代のヨーロッパの旅ってやつは、行く先々の町や村で、いろんな人間と知りあり、中でも知り合った現地の学生たちは演劇なんぞをやってて、ちょっと仲良くなるとやっぱりかならず舞台に誘われたりするし、街角の占い師には普通なら観てもらわないのにそうじゃなかったりする。河原に出れば寝そべるし、橋の欄干に頬杖ついて流れを眺めたりもする。もう、ほんと、こんなような旅だ。こんなようなっていう表現は、つまり、こんな映画のようにはいかないもののこれに近いようなって意味だ。

 とにかく、涙がちょちょぎれるくらい懐かしさに彩られた映画だったわ。

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ニック・オブ・タイム

2014年07月01日 02時42分38秒 | 洋画1995年

 ◎ニック・オブ・タイム(1995年 アメリカ 90分)

 原題 Nick of Time

 staff 製作・監督/ジョン・バダム 脚本/パトリック・シェーン・ダンカン

     撮影/ロイ・H・ワグナー 美術/フィリップ・ハリソン

     衣装デザイン/メアリー・ヴォクト 音楽/アーサー・B・ルービンスタイン

 cast ジョニー・デップ クリストファー・ウォーケン マーシャ・メイソン グロリア・ルーベン

 

 ◎ロサンゼルス、正午

 もしかしたらジョン・バダムの作品の中でも佳作なんじゃないか?

 てなことをおもわせるくらいの臨場感はあった。

 まあ、オン・タイムっていうのか、映画の上映時間90分が、ほとんどそのまま映画の中の時間経過になってるわけで、こういう設定の映画はこれまでになかったわけじゃないけど、まあ、なんていうか、それなりに楽しめるし、こういう挑戦は、ぼくは好みだ。

 娘を人質に取られて、90分以内に大統領を暗殺しろとかいわれても、人間、なかなかできるもんじゃない。それが、ぐんぐんと動いていくんだから、時間はリアルなのに、行動はけっこうリアルじゃないのよ。ま、それが映画なんだから、ぜんぜん問題ないんだけどさ。チャールズ・S・ダットンが靴磨きで登場してきたとき、事件を収束させていく役目なんだろな~とはおもうものの、それがどんなふうに収束するのかが今度は気になる。ま、それだけ、愉しめたってことになるんだろね。

 それにしても、こういう謎めいた神経質な悪人をやらせたら、ほんと、クリストファー・ウォーケンはうまい。ていうか、手慣れた演技って感じかしらね。

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暗殺者

2010年02月25日 20時12分40秒 | 洋画1995年

 ◇暗殺者(1995年 アメリカ 133分)

 原題/Assassins

 監督/リチャード・ドナー 音楽/マーク・マンシーナ

 出演/シルベスター・スタローン ジュリアン・ムーア アントニオ・バンデラス

 

 ◎廃墟の銃撃戦の迫力が…

 佳境で目一杯アクションしないとなんか物足らない。濡れ場が足りないのはまあスタローン作品だからいいとしても、全体的な湿っぽさはなんだかね。

 とはいえ、ウォシャオスキー兄弟の脚本はまずまずで、ドナーの演出も堂々としてる。でも、スタローンにとっては地味に見えちゃうのは、執拗にスタローンに対抗しようとするバンデラスとのむさくるしいやり取りに焦点が絞られてしまったためかなとも。

 佳境、標的になっている銀行の前の廃墟の中での決闘はまあまあよかった。

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黙秘

2009年07月23日 00時39分02秒 | 洋画1995年

 ◎黙秘(1995年 アメリカ 132分)

 原題/Dolores Claiborne

 監督/テイラー・ハックフォード 音楽/ダニ・エルフマン

 出演 キャシー・ベイツ ジェニファー・ジェイソン・リー クリストファー・プラマー

 

 ◎2009年7月22日11時12分

 この日、ぼくは井の頭公園で日蝕を仰いでたんだけど、それはさておき、原作ほどの傍若無人さはなく妙に上品になってしまったキャシーベイツがやけに上手すぎるのと、過去との場面展開の鮮やかさには脱帽するしかない。色調も特殊効果も良だ。

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誘惑のアフロディーテ

2008年12月02日 11時21分35秒 | 洋画1995年

 ◎誘惑のアフロディーテ(1995年 アメリカ 95分)

 原題/Mighty Aphrodite

 監督・脚本/ウディ・アレン 撮影/カルロ・ディ・パルマ

 美術/サント・ロカスト 衣装デザイン/ジェフリー・カーランド

 音楽監修・オリジナル演奏/ディック・ハイマン

 ミュージカル・ナンバー『When You're Smiling』

 出演/ウディ・アレン ヘレナ・ボナム=カーター ミラ・ソルヴィーノ クレア・ブルーム

 

 ◎劇は心の映像化?

 さすが、ウディ・アレン、というべきなんだろう。

 けど、本作ばかりは、さすがアカデミー助演女優ミラ・ソルヴィーノ、といいかえた方がいいかも。『ミミック』の時の彼女と見比べると弾んでるわ~。

 ギリシャ悲劇をカットバックにする試みは、私的に好み。ま、このカットバックは心象風景であるのと同時に、狂言回しでもあるわけだけど、ここまで大々的にパラレルワールド化させちゃうのは、たぶん、初めての経験だ。

 やっぱり、さすが、ウディ・アレンだわ。

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夜半歌聲 逢いたくて、逢えなくて

2007年06月17日 00時54分36秒 | 洋画1995年

 ◇夜半歌聲 逢いたくて、逢えなくて(1995年 香港 98分)

 原題/夜半歌聲 The Phantom Lover

 監督/干仁泰(ロニー・ユー) 製作/張國榮(レスリー・チャン)

 音楽/鮑比達

 出演/張國榮 呉倩蓮 黄磊 司徒卓漢 劉琳 張正元 周正

 

 ◇オペラ座のレスリー・チャン

 1937年に製作された馬徐維邦の『夜半歌聲』をリメイクしたものらしいけど、そのまたさらに元は、いわずとしれたガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』だ。

 ルルーの偉大さにいまさらながら感心するけど、戦前の上海映画に『オペラ座の怪人』が作られてたってのは、むろん、共同租界があったからだろね。

 もっともハリウッドの『オペラ座の怪人』とはかなり違ってて、より切ない恋愛物に仕上がってる。元ネタありと言われるのが可哀相なくらいだ。

 まあ、そんなこともあって、レスリーが映画化を望んで、みずからプロデューサーを買って出たんだろうけどね。

 実際、かっこよかったし。

 ちなみに、この映画は、北京語と広東語のバージョンがあるらしい。ぼくは知らなかったんだけど、最初からふたつの版をつくるのは香港では珍しいことなんだそうだ。

 まあ、それほど、この物語が中国中に浸透してるって証なんだろうけど、ちょっと日本では考えられない話だわ。

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レ・ミゼラブル(1995)

2007年04月19日 23時21分45秒 | 洋画1995年

 ◎レ・ミゼラブル(1995年 フランス 175分)

 原題/Les Misérables

 製作・監督・脚本/クロード・ルルーシュ

 音楽/ディディエ・バルベリヴィエン エリック・ベルショー

    フランシス・レイ ミシェル・ルグラン フィリップ・サーヴェイン

 出演/アニー・ジラルド ミシュリーヌ・プレール アレサンドラ・マルティネス ジャン・マレー

 

 ◎輝く光の中で

 1899年の大晦日に物語は始まる。

 つまりこの作品はヴィクトル・ユゴー作の『レ・ミゼラブル』ではなくて、それに着想を得たまったく別な『レ・ミゼラブル』ってことになる。

 伯爵殺害の嫌疑を受けて逮捕されるのがその運転手をつとめていたジャン=ポール・ベルモンドってわけで、投獄されて後に始める仕事が運送屋で、時あたかも第二次世界大戦ということになってる。

 それと、ユゴーの世界の中も筋に組み込まれているからそこではベルモンドがジャン・ヴァルジャンも演じるから、このあたり複層してるんだね。

 まあ、それはともかく、この映画はクロード・ルルーシュにとってもジャン=ポール・ベルモンドにとっても代表作のひとつといっていいだろうし、それだけの超大作なんだけど、どうもあまり知られてない。なんでかな?

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8月のメモワール

2007年02月09日 12時12分34秒 | 洋画1995年

 ◇8月のメモワール(1995年 アメリカ 126分)

 原題/The War

 監督/ジョン・アヴネット 音楽/トーマス・ニューマン

 出演/ケヴィン・コスナー イライジャ・ウッド レキシー・ランドール メア・ウィニンガム

 

 ◇1970年夏

 スタンドバイミー親子版。

 ただ、なんとなく不思議な感じだった。

 ベトナム帰還兵の父親がPTSDに悩まされているのはわかる。病院で治療を受けていることがばれて小学校の職を失くされるのもまあわかる。貧乏でトレーラーハウスに住んでるけど、姉は賢く、双子の弟は正義感は強いんだけどひ弱でやっぱり半人前ってのもいいし、そんな家族をなんとか支えようとしている母親の覚悟もわかれば、当然のように登場してくる悪ガキ連中とその父親のいけすかなさもいいだろう。

 けど、良い役者と良い素材と良い舞台を手に入れながら、なんだか感動的にならないどころか、不安の方が大きくのしかかる展開にしているのは、なぜなんだろう?

 父親と子どもの未来を見据えて涙させるはずの映画なのに、ふしぎなことに、すべてのものが絡まっているようで絡まらせずにいるのは、いったい、どんな狙いがあったんだろう?

 たぶん、ぼくとおなじような疑問をおぼえる鑑賞者もいるんだろうけど、なんとも惜しい気がして仕方ないんだよね~。

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コンゴ

2007年02月02日 11時49分56秒 | 洋画1995年

 ◇コンゴ(1995年 アメリカ 109分)

 原題/Congo

 監督/フランク・マーシャル 音楽/ジェリー・ゴールドスミス

 出演/ディラン・ウォルシュ ローラ・リニー アーニー・ハドソン ティム・カリー

 

 ◇スピリット・オブ・アフリカ

 唐突ながら、コンゴの美人の条件はお尻らしい。ヒップの大きな女性ほど美人だとされているんだそうで、かの地の女の人たちはみんな、必死になってお尻に肉をつけようとしてるとか。生命の根源的なちからを現代でもなお崇拝しているということになるんだろう。それだけ、アフリカはまだまだ活力があるって話かもしれないし、原始の息吹を伝えてくれてるのかもしれない。

 で、この映画だ。

『地獄の黙示録』をちゃっちくしたようなセットで、すさまじいB級大作であることは世界的な認識かもしれないけど、もしかしたら、現代のCGで撮り直し、デジタルサウンドの大画面で観れば、それなりにおもしろい映画になるかもしれない。ただ、ゴールドスミスの音楽は意外に好いから、そのまま使ってほしいけど。

 ま、この原作が書かれたのは40年も前で、日本でも、超古代史がちょっとずつ知れ渡るようになっていて、同時に、漫画とかでも、ニューギニアとかボルネオの奥地に未開の集落があって、さらに奥地には超古代の遺跡があって、そこには遺跡を守っている民がいて、神として崇めている動物もいて、訪れた探検隊は歴史と自然の荘厳さに驚き、地球愛にめざめた主人公はなぜか野性味のある色男で、探検隊でいちばん美しい学者だったりする女性と恋中になって、いつまでも現代文明と経済をひきずってる悪賢い野郎を、原住民の肩をもって追い払うかやっつけて神的動物と涙の別れをするってな話が雨後のタケノコのように乱立してた。マイケル・クライトンの原作はたぶんもう少し面白いんだろうけど、どうなんだろう?

 それにしても、こうした映画は、邦画ではとうの昔に製作されてる。

 そう、『キングコング対ゴジラ』って、ちがうか(笑)

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