Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
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◇=☆☆☆
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▽=☆

日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里

2007年05月31日 01時04分46秒 | 邦画1951~1960年

 ◇日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里(1957年 日本 86分)

 監督/森一生 音楽/鈴木静一

 出演/菅原謙二 高松英郎 根上淳 品川隆二 川崎敬三 船越英二 伊達三郎

 

 ◇山中峯太郎『敵中横断三百里』より

 

 建川美次を知っている日本人は、現在、どれくらいいるんだろう?

 日露戦争の最中、明治38年1月。

 建川はその戦功により、明治38年2月、第2軍司令官の奥保鞏から感状を受けて一躍有名になり、これを山中峯太郎が小説化し、昭和37年に映画化されたのが、この作品ってことになる。

 だから、日露戦争について知ってる人間しか、たぶん、観ないんだろう。

 まあ、なんもわからんっていう人にもわかるように、始まって10分は、当時の事情について事細かに語ってくれてるんだけど、実をいうと、これが余分だ。黒澤明と小国英雄が共作している脚本とはおもえないような冗漫さで、建川美次がいきなり児玉源太郎に呼び出されるところから始まればいいのにね。

 あ、ちなみに、この筋立てが『隠し砦の三悪人』に昇華してるわけだから、そういうことからいえば『スター・ウォーズ』の原点ってことにもなる。

 それにしても、柳永二郎の大山巌は似過ぎだろ!って叫んじゃうくらい、よく似てる。似てるといえば、中村伸郎の児玉源太郎も、うん、よく似てる。

 それと、ロケ地は北海道だと想われるんだけど、鉄道といい、ロケセットといい、馬の群れといい、なにからなにまで予算が掛かってる。どこから見ても、超大作だ。

 問題は、良い役者が揃っているのに、さっき書いたふたりの他には、主役の菅原謙二と高松英郎しか見分けられないことだ。

 そのあたり、時代が違うのを痛感しちゃうわ~。

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ポネット

2007年05月30日 01時20分57秒 | 洋画1996年

 ◇ポネット(1996年 フランス 99分)

 原題/Ponette

 監督・脚本/ジャック・ドワイヨン 音楽/フィリップ・サルド

 出演/ヴィクトワール・ティヴィソル マリー・トランティニャン デルフィン・シュルツ

 

 ◇ほかに手のない締め括り

 撮影はどうやったんだろう?この子たちの演出はどうしたんだろう?っておもうくらい、子供たちはごく自然なやりとりをしている。まるでドキュメンタリを観ているような錯覚すら、受ける。どうやら、粗筋だけ用意して、台詞は撮影前に子供達の話から拾い集めたらしい。

 これって、すごくない?

 いや、まじめに凄いんだけど、母親の死を受け入れられない幼児性を、どうやったら克服させられるんだろうという主題になる点で、幻想とも奇蹟ともつかぬ曖昧さを持ってくるしかなかったのも、もう、こればかりはどうしようもなく、よくわかる。

 にしても、4歳で母親を失うという事実に直面したとき、いったい、現実に、4歳の子はどんなふうに受け止めるんだろう。かわいそうすぎて想像するちからすら失せてしまうんだけど、実際にそういう子供たちはたくさんいるんだもんね。

 ひたすら、その気持ちだけを見つめる映画ってのは、あるようでないよな~と、おもった。

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ダイヤルM

2007年05月29日 01時05分42秒 | 洋画1998年

 ◇ダイヤルM(1998年 アメリカ 108分)

 原題/A Perfect Muder

 監督/アンドリュー・デイヴィス 音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード

 出演/マイケル・ダグラス グウィネス・パルトロウ ヴィゴ・モーテンセン ノヴェラ・ネルソン

 

 ◇リメイクというリスク

 元作を上回らねばというのがリメイクの枷なんだけど、とってもよく健闘してる。

 マイケル・ダグラスというおじさんを、ぼくはとっても好きだ。

 下品なのか上品なのかよくわからないけど、もうとにかく野獣が上等な洋服を着てるっていう感じがあって、いっぱいお金を持ってるくせにいつも崖っぷちにいて、ちょっと足を滑らせれば一文無しになっちゃいそうな危うさがある。

 まさしくこの映画の主人公なんだけど、奥さんのグウィネス・パルトロウが浮気してるってのを知れば、その遺産目当てに殺しちゃえばいいじゃんみたいな発想になるのも、いかにもマイケル・ダグラスらしい。

 グウィネス・パルトロウって人は、なんだか知らないけど、欧米人に人気がある。

 白人ってのは、セクシーな女の子が大好きなくせに、同時に、ちょっと痩せぎすで、知的で上品な雰囲気に憧れるらしく、こういう女優のひとりが彼女だとされるんだろうけど、今回は、もう少し知的さと上品さが欲しかったような気もしないではない。ともかく、こういうご婦人が不倫をするってのが、世の中年たちにはたまらない魅力なわけよね。

 不倫相手が無名の画家ってのもまた定番といえば定番だけど、どうしても貧乏の代名詞といえば、芸術家か文士だ。

 それに、上流階級のご婦人は、たいてい、こういう野郎に溺れる。マイケル・ダグラス物にしては外連味が乏しいもしないではないけど、この奥さんを殺してくれたら50万ドルやるって画家に持ちかけるのは、いやまあ、いかにもマイケル・ダグラスらしくていい。

 そういう意味では、ヒッチコックのオリジナル(原案フレデリック・ノット)をよく消化してるんじゃないかしら。

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青春の蹉跌

2007年05月28日 01時21分27秒 | 邦画1971~1980年

 ◇青春の蹉跌(1974年 日本 85分)

 監督/神代辰巳 音楽/井上堯之

 出演/萩原健一 桃井かおり 壇ふみ 赤座美代子 中島葵 芹明香 森本レオ

 

 ◇石川達三『青春の蹉跌』より

 えんや~とっと。

 高校時代のぼくと、いまのぼくとの差ってのがあって、昔、この映画を見たときは、よくわからない世界なんだけど、なんだか忘れ難い映画になって、この映画を観たことで、すこしばり大人になったような気にもなってた。

 つまり、わからないなりに全面的に支持しちゃったわけだけど、どうも年をとってから観ると、そうでもない自分がいる。場違いな歌を口誦んで怒りを抑えるというのがなんだかとってもわざとらしく見えて、それが繰り返されるとどんどん鼻についてくるのは、もしかしたら、神代辰巳の演出効果なんだろうか?

 この台詞を吐くのは、実は怒りを堪えるんじゃなくて、そういう自分になかば自己陶酔してるわけで、そうでなくちゃ「えんやとっと」はないだろうと、妙に冷めた目になっちゃう自分がいた。

 でも、こういう感想を抱いてしまうように仕向けてるとしたら、神代辰巳、さすがにたいしたもんだ。

 それと、演出なのかそれともそういう演技の質なのか、桃井かおりのもちもちとまとわりつくような濡れ場は、凄い。何十年経って観直しても、妙なリアリティがある。

 神代の演出力もあるんだろうけど、青春ってやつはいつの時代も濃厚なものなんだね。

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ハスラー2

2007年05月27日 13時35分11秒 | 洋画1981~1990年

 ◇ハスラー2(1986年 アメリカ )

 原題/the Color of Money

 監督/マーティン・スコセッシ 音楽/ロビー・ロバートソン

 出演/ポール・ニューマン トム・クルーズ メアリー・エリザベス・マストラントニオ

 

 ◇ウォルター・テヴィス『the Color of Money』より

 ポール・ニューマン、引退。

 人生いつかは引退の日が来るわけで、ニューマンもかと想うと寂しくもある。

 叩きつけるような演出と、カーチェイスのようなビリヤードの画像は、ちからがあった。

 このあたり、さすがにスコセッシって感じがするんだけど、どうしても数年経って、とくにバブリーな印象のビリヤードのブームが去って、プールバーとかまだあるんだろかってな感じになっちゃってくると、映画そのものが派手で、トム・クルーズのちょっと足りないおちゃらけぶりが鼻についたりして、やけに古くさい印象になっちゃってるんだな~とかおもっちゃうのは、ぼくだけなんだろうか。

 時代ってのは、その時代が特徴的であればあるほど、色褪せるのも早いのかもしれないね。

 でも、ポール・ニューマン、まだまだいけそうなのに、作中の台詞のようにはいかないんだろうか?

 カムバック!

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ブルジョワジーの秘かな愉しみ

2007年05月26日 01時24分23秒 | 洋画1971~1980年

 ◇ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年 フランス 102分)

 原題/Le Charme discret de la bourgeoisie

 監督/ルイス・ブニュエル

 出演/フェルナンド・レイ デルフィーヌ・セイリグ ジャン=ピエール・カッセル

 

 ◇オスカーがとれるとおもうか?

 という記者の質問に、ブニュエルは、

「大丈夫。むこうのいってきた金はちゃんと払った」

 騒然とした後、外国語映画賞を受賞して、

「アメリカ人はちゃんと約束を守ってくれる」

 と、どこまでも人を煙に巻いた。

 けど、映画そのものがまったくそのとおりの難物になってる。

 ぼくのまわりにはブルジョワがほとんど存在していない分、実感として把握できかねる。

 ま、そもそも、ラテン・アメリカの新興国ミランダ共和国の、在パリ大使館に集うブルジョワっていう、なんだかよくわからない人達の話なんだけど、人間なんてものは、虚飾と虚栄の仮面を剥がしてしまえば、そこには食欲と性欲と殺戮欲が渦巻いてて、不倫しない人間の方がおかしいんだと欲望に正直に行動しながらも、自分が劇中の人間になったり、とかいった悪夢を見たりしてる呑気さを持ちながら、麻薬の密売にも手を染めるような守銭奴で、食事してるとなりで葬式が出される幻覚を観てしまうほど死に恐怖し、まるで舞台に立っているように常に誰かに見られてるっていう虚栄心に包まれ、いきなり革命に巻き込まれて銃殺されたりするような罪の意識に苛まれながらも、実は毎日、呑気に浮気ゲームにあくせくしてるのがブルジョワなんだっていう、まったく人を食ったような皮肉な世界が展開する。

 難解が良いとはかぎらないんで、頭の悪いぼくにはこの映画を手放しでは褒められないんだけど、でも、すべてがブニュエルらしさに溢れてるのは、たしかだ。

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日本の熱い日々 謀殺・下山事件

2007年05月25日 00時35分59秒 | 邦画1981~1990年

 ◎日本の熱い日々 謀殺・下山事件(1981年 日本)

 監督/熊井啓 音楽/佐藤勝

 出演/仲代達矢 山本圭 井川比佐志 平幹二朗 浅茅陽子 中谷一郎 岩崎加根子

 

 ◎追悼・熊井啓

 活字嫌いのぼくにはまったく珍しいことなんだけど、この原作本、矢田喜美雄『謀殺 下山事件』がいまだに本棚にある。

 大学時代に読んだんだよね。でも、活字が頭に入ってこないぼくは、読むのにずいぶんと苦労した。そんな記憶しかない。

 記憶といえば、たしか、渋谷東映がまだ二階建てで、映画館だけだった頃、地下の「渋谷東映地下」で、この作品を観たような覚えがある。それと、当時、なにかの仕事で知り合いになった女性が、脚本を書いた菊島隆三の教え子だかなんだかで、ちょうどぼくがこの映画を観たばかりだったものだから、

「あれはおもしろかったね~」

 っていう話をしたような気がする。

 でも、それが記憶のすべてで、どこでどんなふうに話したのかも覚えていない。

 人の記憶ってのはそんなもんで、国鉄の下山総裁の事件に関係した人間やそれを調べてた人間もまた、肝心なところは忘れないにしても前後の記憶は曖昧になっていくものだ。

 昭和、それも戦後の混沌期は、いろんな事件がほうぼうであった。そのさまざまな事件について、記憶や記録を持っている人間は、やっぱり早い内に文章にしておいた方がいいんじゃないのかな。

 まあ、それはそれとして、スタッフもそうなんだけど、役者の人達もみんな若くて、ぎらぎらしてる。好い時代だな~とかっておもうわ。

 狙いの白黒画面は、異様な迫力があるしね。

 ただ、ちょっとばかり、おもな登場人物の皆さんは、自己陶酔した雰囲気がありすぎな気もしないではない。

 それと、他殺説をとる演出が社会派すぎるきらいもあるかな~。

 ま、どちらも持ち味なんだから、ぼくがなんかいう立場でもないか。

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お吟さま(1978)

2007年05月24日 01時09分26秒 | 邦画1971~1980年

 ◇お吟さま(1978年 日本 154分)

 監督/熊井啓 音楽/伊福部昭

 出演/志村喬 三船敏郎 中野良子 中村吉右衛門 中村敦夫 岡田英次 遥くらら

 

 ◇今東光『お吟さま』より

 天正18年2月28日、利休切腹。

 ちょっとばかし意外なことに、熊井啓の時代劇はこの作品が初めてらしい。

 いったい熊井さんが茶の湯が好きだったのかどうか知らないけど『千利休 本覚坊遺文』も熊井演出だってことをおもうとかなり入れ込んだ主題だったのかもしれないね。

 どちらにも出ているのは三船敏郎で、本作では秀吉を、後者では利休を演じてるのが、とっても興味深い。

 興味深いといえば、この映画は、三船・志村の日本映画史上最高コンビの最後の作品だ。それも『祇園祭』と『黒部の太陽』以来、10年ぶりの共演になる。邦画界もなんとまあ大きな損失をしでかしたてたんだろうね。

 誰も、ふたりを共演させようとはおもわなかったのかな。寂しい話だ。

 まあ、それは仕方ないとして、演出は抑え過ぎなくらい抑えてる。理由はわからないんだけど、その中で、三船さんはひとり気を吐いてる。もっとも、熊井啓の作品に出てくる三船さんは非常に良い演技をする。

 小芝居が絶妙に早く、いたずらに武張っているだけじゃない。昔、三船敏郎を大根役者だっていうお門違いな批評はよくあったけど、それは三船さんを演出できない監督の作品に出た場合の話で、熊井啓の作品で下手だなとおもったことは一度もない。

 くわえて、志村喬の利休は見事だ。見事っていうより、本人が生き返ってんじゃないかってくらい、よく似てる。中野良子はお得意の髪の毛掻き揚げ演技はできなかったけど、泣けそうで泣けない頬肉目尻小刻み演技はここでもしっかりなされてる。まあ、良子さんのフアンはそれを観たいんだからいいんだ。

 役者さんの話はともかく、ふしぎなのはこの映画の企画をした大和新社株式会社。これ一作だけを作るために設立されたんじゃないかってくらい、後にも先にも映画史には登場しない。京都で活躍した松本常保や大志万恭子の各氏が、のちの製作委員会みたいなものを立ち上げたんだろうか。

 素人のぼくには、なんにもわからないけど、とっても興味深い。

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依頼人

2007年05月23日 01時21分01秒 | 洋画1994年

 ◇依頼人(1994年 アメリカ 119分)

 原題/The Client

 監督/ジョエル・シュマッカー 音楽/ハワード・ショア

 出演/スーザン・サランドン トミー・リー・ジョーンズ メアリー・ルイーズ・パーカー

 

 ◇ジョン・グリシャム『The Client』より

 家族の喪失と復活の物語。

 ちょっと期待しすぎたもしれない。だって、発想が魅力的だったんだもん。

 父親のDVによって母親と弟と隠れるように暮らしてる少年が、上院議員殺害の真相を知る弁護士の自殺を目撃したことから話は始まる。

 弁護士はマフィアが殺した議員の遺体のありかを知ってて、それを少年が弁護士が自殺する直前に聞いてしまったことからマフィアに命を狙われる羽目になるんだけど、身の安全をはかるために1ドルで弁護士スーザン・サランドンを雇い、最初はサランドンと張り合う敏腕検事トミー・リー・ジョーンズも手を貸して、事件の鍵を握る死体を捜しに行くという筋立てなんだけど、前半の尋常でない面白さが後半で失速し始める。

 たしかに証人保護プログラムを適用されて旅立ちを迎えるラストは好いけど、それまでのすったもんだがじれったい。

 少年が1ドルで弁護士を雇う、という発想が最初にあったことはわかる。それと同時に、アメリカの抱えてる家庭内暴力と夫の裏切りによる離婚など、つまり、家庭の崩壊が描かれてることもよくわかる。さらには、崩壊した家族の一員、つまり少年と弁護士が、疑似母子のようになり、検事という疑似父親が登場することで、まぼろしのような家族の成立と結束と行動が語られていこうとしているのも、うん、よくわかる。

 それだけに、後半の失速が惜しい気がするんだよな~。

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花の影

2007年05月22日 11時54分40秒 | 洋画1996年

 ☆花の影(1996年 香港 128分)

 原題/風月

 監督/チェン・カイコー 音楽/チャオ・チーピン

 出演/レスリー・チャン コン・リー ケビン・リン シェ・ティエン チョウ・チェ

 

 ☆1920年代、上海

 流石な映像。クリストファー・ドイルのカメラは、まじ、凄い。

 まあ、映像にばかり見とれてると、わかりづらい物語がなおさらわからなくなっちゃう危険もあるんだけどね。舞台が20年代の上海と江南だから尚更だし。でも、幼い頃の提灯の中での追いかけっことか、美しすぎる。

 それにしても、血族を守らねばならないっていう凄さはさすがに中国で、日本の比じゃない。

 でも、どうなんだろう、国共内戦の後、こういう血族主義は残ったんだろうか?そのあたりはよくわからないけど、上海のオープンといい、セットはどこもかしこも見事な出来栄えだ。蘇州の大邸宅にいたっては、どこまでがセットかもよくわからない。これもおそらく、ドイルの映像技術のたまものなんだろうけど、

 ただ、チェン・カイコーは、どういう気分でこの映画を作ったんだろう?

 もしかしたら中国史を順番に映像化していくつもりで、その一環として制作したんだろうか?

 1911年に辛亥革命が起こって、それまでの血族主義の中国が揺るぎ始め、上海にマフィアが横行し、その渦の中に、かつて名家に仕えながらもそこからはみ出した連中が飛び込み、今度は自分を使っていた名家を牛耳るようになっていく時代、つまり、秩序が大いに乱れていった時代を描きたかったんだろうか?

 それを、ひとつの恋愛で、名家の子女と召使と成り上がり者という三角関係ながら、時代の象徴として描いていこうとしたんだろうか?

 現代との対比がないから、日本人のぼくには感覚的に今ひとつわからないんだけど、とにかく映像には圧倒されちゃうよね。

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グース

2007年05月21日 01時22分07秒 | 洋画1996年

 ☆グース(1996年 アメリカ 107分)

 原題/Fly Away Home

 監督/キャロル・バラード 音楽/マーク・アイシャム

 出演/ジェフ・ダニエルズ アンナ・パキン ダナ・デラニー  ジェレミー・ラッチフォード

 

 ☆ビル・リッシュマン『FLY AWAY HOME』より

 実際の話では、娘はいなかった?

 ずいぶん前のことなんだけど、ニュースでこのもとになった映像を観たような記憶がある。

 けど、そんなことはどうでもよくて、いや、ほんと、よく撮ってるわ~。

 母親を亡くしたアンナ・パキンが、10年ぶりに再会する父親の棲んでいるカナダのオンタリオ州にニュージーランドからやってくるんだけど、森の中でたまたま卵の孵化を目撃し、雛の刷り込みで自分が母親だとおもいこまれたことから、親を亡くした16羽のグース(カナダ雁)の母代りになって、彫刻家の父親ジェフ・ダニエルズと、その恋人ダナ・デラニーたちに助けられながら、越冬地のアメリカのノース・カロラライナ州まで、父親と自分の操縦するエンジン付きグライダーで飛ぼうとする。

 だけど、途中で、パパ・グース号が故障しちゃったためにママ・グース号だけで先導して、1羽も欠けることなく越冬地まで飛んでしまうなんて、ほんと、夢のような実話じゃないか。

 もちろん、特撮はあるにせよ、かなりの尺を実写でこなしているみたいで、記録映画なんじゃない?と錯覚しそうなだった。

 いや、まじに感心した。好きだなあ、こういう作品は。

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Undo

2007年05月20日 01時04分35秒 | 邦画1991~2000年

 ▽Undo(1994年 日本 47分)

 原作・脚本・監督/岩井俊二 音楽/REMEDIOS

 出演/山口智子 豊川悦司 田口トモロヲ

 

 ▽強迫性緊縛症候群

 そんな病気があるのかどうか知らないけど、もしも、Mっ気の強い人間、あるいは緊縛願望を持っている人間がいれば、まあ、そうなる。

 ただ、亀を縛ったり、本を縛ったり、家中の本を縛ったりする行為は、まぎれもなく、緊縛したくてもできずに悶々としている人間の病症だろう。

 ところが、山口智子は、夫の豊川悦司に対して、

「わたしを縛って」

 といってくる。

 これはつまり、

「夫に日常生活の何から何まで拘束されたい」

 という願望が爆裂したものと解釈でき、結果、夫は妻を縛る。

 となると、だ。

 この場合の山口智子は、緊縛されたい人間の病症を発露されたことになり、あきらかに、緊縛したいのではなく緊縛されたい人間ということになる。つまり、精神科医の田口トモロヲの診断はちょっと間違ってるわけだよね。

 だとしたら、物語の根本を勘違いしてることにならないかしら?

 妻は夫の前から消えちゃうけど、その後、どうなったんだろう?

 彼女の病気が、夫にだけ縛られたいのか、誰でもいいから自分を縛ってほしいのか、ということで変わってくるかもしれないけど、もしも前者だとすれば失踪する理由がなくなっちゃうから、おそらく後者ではないかと考えれば、彼女はSM映画に出るか、SM倶樂部に入るか、その気のある男を探すか、そういう行動に走ってゆくとしか考えられない。

 ただな~、強迫緊縛症ってのはいかにもありそうでなさそうな病気で、とくに、そこに性衝動が介在してない分、なんだか嘘っぽい。これだったら、SMポルノの方が数倍、人間の情念や物狂いを語っているような気がしちゃうのは、ぼくだけ?

 少なくとも、この映画の緊縛に美しさは感じられないし、狂気の度合いも小さな感じがするし、はっきりいって物足りないし、要するにつまないんだけど、どうなんだろね。

 一度、浦戸宏師匠にでも聞いてみたいもんだわ。

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逆境ナイン

2007年05月19日 01時17分54秒 | 邦画2005年

 ◎逆境ナイン(2005年 日本 115分)

 監督/羽住英一郎 音楽/佐藤直紀

 出演/玉山鉄二 堀北真希 田中直樹 藤岡弘 柴田将士 寺内優作 青木崇高

 

 ◎島本和彦『逆境ナイン』より

 なんというアホ臭さ。

 前から島本和彦の炎の漫画は好きで、なんていう熱血的な漫画を描く人だろうとはおもってきた。けれど、それをまさか、大真面目に映画化する人達がいるとは、夢にもおもわなかった。

 けど、文句なしに笑った。

 面白い。

 つきぬけるアホ臭さというのは理屈を超越しているもので、ことに、藤岡弘。の凄さといったらない。田中直樹も「それはそれ、これはこれ」で好い味を出してるし、なんといっても、自分を捨てて張り切ってる玉山鉄二がものすごく好い。

 役者というのはほんとに大変な職業で、身を削るどころか、プライドも削らないといけないところがある。もちろん、日本の役者の場合、他の国の役者から見習わなければならない面は多々あるけれど、この映画のタマテツは、非常に好感が持てた。

 ま、ぼくに好感をもたれても仕方ないんだけどね。

 そんなことはさておき、映像も好かった。一所懸命さが滲み出てるもん。特撮も含めて、こういう絵作りを陳腐だといってしまう人もいるだろうし、漫画みたいなことしてんじゃないよって眉をしかめる人もいるだろう。

 でも、そんな意見に耳を傾ける必要はない。

 だって、おもしろいんだから。

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ある日どこかで

2007年05月18日 11時39分23秒 | 洋画1971~1980年

 ☆ある日どこかで(1980年 アメリカ 103分)

 原題/Somewhere in Time

 監督・制作/ヤノット・シュワルツ 音楽/ジョン・バリー

 出演/クリストファー・リーブ ジェーン・シーモア クリストファー・プラマー

 

 ☆リチャード・マシスン『Somewhere in Time』より

 1912年、ミシガン州グランド・ホテル。

 映画はどんどんと進化して、筋立てもどんどん多岐にわたってきた。でも、この作品は、基本がいかに大切かってことを、あらためて思い起こさせてくれる。いってみれば、古典的な時間跳躍恋物語なんだけど、こういう世界は、たぶん、好きな人は少なくないんだろう。

 この作品の良い面は、人物配置から恋の発端と邪魔と成就と破綻まで、セオリー通りにきちんと組まれている事で、予定調和ながら見事な出来映えだっていえる。もちろん、予定調和ってことは、誰にでも結末が予測でき、その予測どおりしっかり終わるってことだけど、それ以外の結末だったら怒るっていうくらい、この映画の場合、がちがちに作られていて、しかも、観客の期待を裏切らない。

 いってみれば、奇跡のようなタイムスリップ物だ。

 邦画だと『時をかける少女』になるのかもしれないけど、こちらの場合、いろんなアレンジが可能だ。けど、この映画は、これでもういいし、アレンジする必要はまったくない。

 物語についてふれるのはやめよう。こんなブログで読まなくても、大勢いるファンがホームページを作ってくれてる。ぼくがつまらないあらすじを書いたりすれば、この映画を大切にしている人に失礼になるもんね。

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エクソシスト2

2007年05月17日 14時05分27秒 | 洋画1971~1980年

 △エクソシスト2(1977年 アメリカ 118分)

 原題/Exorcist II : The Heretic

 監督/ジョン・ブアマン 音楽/エンニオ・モリコーネ

 出演/リンダ・ブレア リチャード・バートン マックス・フォン・シドー ルイーズ・フレッチャー

 

 △ウィリアム・ピーター・ブラッティ『エクソシスト』より

 悪霊パズズ?

 なんじゃい、イナゴの化け物かい!?

 てな話なんだけど、いつのまに、古代メソポタミアの悪魔から変わったんだろ?

 いや、作るべきじゃなかったのかどうか、一観客のぼくにはわからないけど、すくなくとも、エクソシストとは登場人物が同じなだけで、まるで別な世界の話といわざるをえないんじゃないかしら。

 まあ、他の作品もそうだけど、ブアマンっていう監督は、原住民系というか米国以外のそれも発展途上国が好きなんなのねってことが頭に浮かんでくる。

 ですも、続編物なのに、わざわざ設定をアフリカにして、イナゴの悪魔まで唐突に登場させてしまうのは、申し訳ないけど、まじ、観る気を萎えさせますな。

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