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ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実

2024年12月21日 12時35分20秒 | 洋画2019年

 ◇ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実(The Last Full Measure)

 

 懐かしい、ストリート・オブ・ファイヤーのお姉エイミー・マディガンじゃん。エド・ハリスと夫婦そろって出演してるのか。ま、キャストはいい。ピーター・フォンダの遺作らしいけど、そうか、かなりむくんでるもんね。クリストファー・プラマーもこれが実写の最後の作品だそうで、なんだかね。ただまあ、ウィリアム・ハートといい、サミュエル・L・ジャクソンといい、キャストはそろえてる。セバスチャン・スタンとアリソン・スドルの若夫婦を除けば、有名どころを揃えてきてるんだけど、惜しいかな、脚本が弱いね。

 アビリーン作戦の全容がまるでつかめない。だからおもしろくないんだな。ベトナム戦争も森の一隅だけで話は進んで、ここと交互に1999年の物語が進行するんだけど、どうも、謎が謎として上手に語られてない気がする。ウィリアム・H・ピッツェンバーガーが30年も名誉勲章を申請されていながら受賞に到らないのはなぜだってところで、その真実がなんか薄められた観があってどうもなあ。ま、ラストの表彰式のくだりあたりは好い感じだったけどね。

(以上、2022-10-14 23:04:03の感想)

 

 時代設定は1999年なんだけど、子供が父親の「クソ」という言葉に反応して「クソは罰金」という。なるほど、この頃なら、不適切な言葉づかいに目くじらが立てられるようになってきたのね。で、日本はそれから10年遅れで流行り出したわけか…なるほど。

 クリストファー・プラマーがいみじくもいう。

「年をとるのはつらくない。つらいのは起きていることだ」

 たしかにそのとおり。

 やっぱり、ラストの表彰式は好い。

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私の知らないわたしの素顔

2023年11月04日 13時44分11秒 | 洋画2019年

 ◎私の知らないわたしの素顔(Celle que vous croyez)

 

 まあ僕はジュリエット・ビノシュのファンだからどうしても贔屓目になる。

 で、この、あかん世界のあかん映画だが、おもしろい。見事。

 でもそういいきれるのは前半までで、ようするに五十路になったビノシュがとちくるっておもわず25歳といつわってSNSを始めてしまったことで、自分から奈落に墜ちちゃうって話なんだけどね。後半が、あかん。若い男ギヨーム・グイにふられたことで、そのルームメイトのフランソワ・シヴィルをたぶらかそうとしたのは、まあいいだろう。ふたりがSNS上で本気になっちゃって逢いたいとかってなるほもまあいい。で、もちろん、逢える勇気もなく、幻の若い女(自分を捨てていった元夫の結婚相手の名前なんだけど)を行方不明にさせて、自分から接近してつきあうようになるのも、まあそんなところだろう。で、こういうだまくらかしのつきあいはどこかで破綻するもので、あんのじょう、そうなるわけだが、このあとがあかん。

 ギヨーム・グイが心理療法士ニコール・ガルシアに嘘をついてフランソワ・シヴィルが自殺したことにして、その罪の意識からビノシュが小説風の告白を残して精神病になって9か月入院したのもまあゆるそう。けど、そのあと、またもや、結婚してふたりの子をなしたフランソワ・シヴィルに若い女といつわって連絡しようとするっていう展開はありか?

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秘密への招待状

2023年07月04日 00時37分04秒 | 洋画2019年

 ◇秘密への招待状(After the Wedding)

 

 デンマーク映画のリメイクなのか。

 元の作品とは男女を入れ替えてるらしいんだけど、そりゃそうだわね、監督のバート・フレインドリッチはジュリアン・ムーアのなんだから。でも、なるほど、だからあんまりおもしろくないのか。とにかくジュリアン・ムーアが好い人で、不治の病をわずらうからなおさら好い人に見えたりして、もうすこし硬派な映画かとおもったら、それどころか、かなりお涙ちょうだいって物語があり、父親の出る幕はないんだな~って感じだ。

 インドで赤字の孤児院を経営しているミッシェル・ウィリアムは、理想主義的なところを見せて、つきあってまもなく妊娠したんだけど、理想をおいもとめるあまり子供を棄てたという設定で、これは好い感じだったし、似合ってた。

 ただまあ全体的に予定調和な感じがあって、ラストをうまく収めるための不治の病っていうのが見えすぎてて、こういう病気の使い方ってのはちょっとなあっておもわないでもない。

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パリの調香師 しあわせの香りを探して

2023年02月22日 00時04分43秒 | 洋画2019年

 ◎パリの調香師 しあわせの香りを探して(Les Parfums)

 

 ディオールとエルメスが協力した調香師の物語とか、もはやそれだけで観るだろって話だけど、いやかなり淡々とした盛り上がりもほぼなく予定調和ながらもなんとなく観ちゃう不思議な映画としかいいようがない。

 鼻を悪くして香りを感じられなくなった調香師エマニュエル・ドゥヴォスも、離婚したせいでワンルームマンションで娘と住むことを禁じられたばかりか速度違反で運転免許を取り上げられそうになっている運転手グレゴリー・モンテルの物語なんだけど、こういう設定は嫌いじゃない。ことに気難しくて優しさを表現することの下手な女と短気だけれども他者へのいたわりを失わない男の組み合わせは悪くない。

 ただ、スーパーで安物の芳香剤をつぎつぎに開けて匂わないと動揺し、ポップコーンを開けて嗅いでも匂わないとその場に捨てて行ったのを運転手が集めてどうしたかといえば品物の間に突っ込んで隠す場面があるけど、これはいかんな。あきらかな減点だぞ。

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WASP ネットワーク

2022年12月18日 22時54分26秒 | 洋画2019年

 △WASP ネットワーク(Wasp Network)

 

 観てるのが途中でつらくなってきた。つまらんかったっていうか、よくわからん。

 なんでこんなにごちゃごちゃな展開になってるんだろう?亡命した軍人が実はキューバの二重スパイだっていう解釈でいいんだろうか?そんな映画つくらないよね?じゃあそうじゃないのか~ってな具合に、観てる側の頭が混乱する。ペネロペ・クロスがなんだか生活に疲れてるっていうよりいやいや出てる観があり、アナ・デ・アルマスもなんでもいいから出ちゃおかなっていう観があり、いったい、誰かこの原作をおもしろいとおもって絶対作ろうって意気込んでた人間はいたんだろうかっていうくらい気持ちの入ってない映画だったわ。

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炎の裁き 疑惑の炎

2022年12月17日 22時14分28秒 | 洋画2019年

 △炎の裁き 疑惑の炎(Trial by Fire)

 

 あまりにも、後味が悪い。

 エドワード・ズウィックがローラ・ダーンとジャック・オコンネルを起用して、これはないだろう。

 あ~観なきゃよかった。

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ザ・ランドロマット パナマ文書流出

2022年12月10日 00時31分39秒 | 洋画2019年

 △ザ・ランドロマット パナマ文書流出(The Laundromat)

 

 スティーヴン・ソダーバーグは引退してた方が良かったんじゃないか?

 というくらい、つまらない映画だった。ていうか、完全にキャストと宣伝にしてやられた。これは、メリル・ストリープを起用したことと、邦題の勝利としかおもえない。狂言回しにゲイリー・オールドマンとアントニオ・バンデラスを使っているのがなんといっても贅沢で、ぴちぴち服の不動産屋になったシャロン・ストーンもそうだけど、もはや、観客をだまくらかして金儲けをしたとしか考えられない。まあ、詐欺まがいの節税とかで太平洋の島のどこかにトンネル会社を作って儲ける連中の映画だから、それでいいのか。

 ともあれ、なんにしても、ソダーバーグ、脚本が完全に間違ってる。実際に起きた事件がもとになってるならなおさら、ニューヨーク州ジョージ湖の観光船の転覆事故の和解金うんぬんの話から始めるよりも、実際に巨大違法取引が明るみになっていく過程を追いかけた方が明らかにおもしろかったろう。

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ウルフ・アワー

2022年12月09日 00時15分14秒 | 洋画2019年

 △ウルフ・アワー(The Wolf Hour)

 

 題名の意味がよくわからない。狼の時間ってなんだ?ラジオ番組の名前ってだけじゃないよね?

 デビッド・バーコウィッツこと「サムの息子」事件が絡んでるのかとおもいきや、まるで関係ない。つか、熱さとスラムの暴力沙汰と喧騒にノイローゼになってる女流作家ナオミ・ワッツのスランプと欲求不満の自慰と宅配セックスと復活っていう一連の日常を描いてるだけで、作家だったら誰もが経験する日々でしかないっておもうんだよなあ。

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クイーンズ・オブ・フィールド

2022年11月19日 20時09分38秒 | 洋画2019年

 ◇クイーンズ・オブ・フィールド(Une belle equipe)

 

 観始めておもったのは、フランスって女子サッカーの草リーグはないのかなってことだ。

 男のサッカー・チームが喧嘩が理由で出場停止になり、そのせいで解散の憂き目に遭わされそうになるのはいい。でも、その最後の3試合をこなせばもしかしたらリーグに残れるかもしれないってことで、奥さんたちが選手になって奮闘するってのはなんだかおもしろそうな筋立てではあるんだけど、女子サッカーのリーグがあったらだめなんじゃないのって誰でもおもう。

 だとしたら、そもそも設定に無理があるんじゃないのかな?

 それが納得いけばまあおもしろい映画ではあったんだけど、最後になってリーグを仕切ってる協会から女が男の代わりに出場するのは公式には認められないからその3試合は無効だとかいってくるのはどうよ?ってことだ。で、奮闘は無駄だったねってことになるわけで、なんだか意気消沈しちゃわないかね。

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ジェーンの秘密

2022年11月01日 18時40分26秒 | 洋画2019年

 ◇ジェーンの秘密(Red Joan)

 

 脚本があきらかに間違ってる。ていうか、戦時中から1972年までソ連共産党のスパイとして情報を流しつづけたメリタ・ノーウッドが1999年まで謎のままで、人生のぎりぎりになって暴落されるまでイギリスの諜報部は知らなかったというすごい話が、なんでこんなにありきたりな物語になっちゃったのか、わからない。せっかくジュディ・デンチとソフィー・クックソンを起用しながら、なんでも現在と過去をかったるく並行させてるだけなのか、撮り手を疑うわ。

 イギリスの原爆開発計画チューブ・アロイズをソ連に密告するくだりも、アメリカが広島と長崎に原爆を投下したことの悲劇をくりかえしてはならないとかっていう理由をつけてるんだけど、そんなことは欺瞞だって誰でもわかる。要は、上司との不倫よりもかつての恋人の囁きの方が強かったってことになってるわけで。

 ただなあ、どうせだったら、上司のマックス・デイヴィス教授はスティーヴン・キャンベル・ムーアよりも冷酷な印象の知識の塊のような役者にしてほしかったし、恋人の共産党員レオ・ガーリチもトム・ヒューズより甘ったるい理想主義者にしてほしかった。

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ぶあいそうな手紙

2022年10月12日 01時44分18秒 | 洋画2019年

 ◇ぶあいそうな手紙(Aos Olhos de Ernesto)

 

 舞台は、ブラジル南部の街ポルトアレグレ。

 ある種、期待するわけよ。78歳の失明しかけているウルグアイから移民してきた爺さんホルヘ・ボラーニが、23歳の孫のような娘ガブリエラ・ポエステルと添い遂げるんじゃないかって。ところが、あにはからんや、至極まともな結末に向かっていくんだな。これが現実なんだろうし、でもまあ、かつての三角関係の恋焦がれていた彼女とやっぱり結ばれちゃうわけだから、ちょっとの夢だったのかもしれないねって話になるんだけど、でもなあ、なんとなく物足りなさを感じちゃうのはぼくだけなんだろうか?実際、ブエノスアイレスへひきとられていく隣人ホルヘ・デリアもそうおもったにちがいない。

 手紙の代読と代書っていうのは、いいきっかけだ。これはいい。また、にわかに知り合いになった娘がやけに好い子で、その裏にはなにかあるんじゃないかって、こいつはくわせものだぜっておもいながらも、老人のゆとりを見せて小さな窃盗はやめさせ、更生させようとしていくんだけど、でもこの女優くずれは男運が悪く、これまで人を好きになったことがないとかっていうわりには男に騙され、脅され、尽くしてるわけで、それがやがて独り立ちしていくっていう筋書きなんだけど、もうすこし、ひとひねりできなかったんだろうかって気にもなる。せっかく、行くところがなくて、アパートの息子ジュリオ・アンドラーヂの部屋をあてがってやるんだから。

 やっぱりこのあたりがアナ・ルイーザ・アゼヴェードのまじめな演出なんだろうな。

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ブレグジットEU離脱

2022年10月07日 16時06分00秒 | 洋画2019年

 ◇ブレグジットEU離脱(Brexit : The Uncivil War)

 

 ここにいうプレグジットってのは、2020年1月31日にイギリスがEU欧州連合から離脱したことをいうんだけど、これをするかどうかを決めたのが、2016年6月23日の国民投票だね。

 で、この作品は、その顛末を描いてる。で、この政策を煽り立ててついに国民投票でもがんがん推進していったドミニク・カミングスっていう我が儘放題で強烈な男を、ベネディクト・カンバーバッチが演じてる。

 頭が薄く、ほとんどヒゲオヤジのような禿になりつつある小柄で顔の長い、とてものこと好い顔とはいえない役柄を演じても、その強烈な個性と頭の良さを見せつけてくると、どれだけ強引なやり口をしても、やっぱりカンバーバッチなんだよなあって気にさせるところはさすがとしかいいようがない。

 もっともこの投票の結果は誰もが知ってるわけで、なるほど、こうやってカミングスは選挙を勝たせたかのかってことがわかるんだけど、これがイギリスにとってよかったのかどうかはまだわからないわけで、四半世紀後に続編ができるのかもしれないね。

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ハンナ

2022年10月04日 17時01分18秒 | 洋画2019年

 ◇ハンナ(Hanna)

 

 結局のところ、国家の陰謀のもとに産まれた子ってことはわかるんだけど、こうなると、ハンナことシアーシャ・ローナンの立脚点が無くなってしまって、これからこの子はどうやって生きていくんだろうって感じにしかならない。だから、テレビシリーズが作られ始めたんだろうけど、なるほど、活劇としてはいうことないわね。

 エリック・バナ、ケイト・ブランシェット、オリヴィア・ウィリアムズ。ふむ、てがたいキャストだ。

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燃ゆる女の肖像

2022年09月27日 01時32分51秒 | 洋画2019年

 ◎燃ゆる女の肖像(Portrait de la jeune fille en feu)

 

 なんてまあ綺麗な絵柄だこと。

 ビバルディの『四季』の『夏』がとっても効果的で、最後の場面、コンサートホールでノエミ・メルランがアデル・エネルを最後に観たという場面だけれども、そこでこの音楽がクレジットタイトルと共に掛かる。実に効果的でいいね。それにしてもノエミ・メルランのリスのような眼と小さな顔といったらないし、アデル・エネルの腋毛のもうもうとした中に媚薬を塗るところは凄味すらあるね。

 でもまあ、予算が乏しいのか、場面と構図が決まり切ったものになってるのが苦しい。ただその分、とっても落ち着いた静かさが醸されてはいるんだけどね。とはいえ、予告編を観たときの衝撃の方が本編よりも優ってて、観る前にこの映画が凄いんじゃないかって期待しちゃった分、ちょいと気が殺がれた。

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フラッシュバック

2022年09月14日 22時45分41秒 | 洋画2019年

 ◇フラッシュバック(Awake)

 

 おれは誰だ?で始まる映画のなんと多いことか。

 しかも目覚めたときに病院で、手錠をはめられ、連続殺人の容疑者にされ、ひと目でこの人は犯人じゃないと直感する看護婦と逃走してっていう、なにもかも予定調和で、さらにそれを追いかける刑事と、そいつがいちばん信頼してる保安官の息子が実は犯人だったとかっていう、もはや、これ以上ないってくらいの定番の物語なんだけど、なんで作ったんだ?っていうより、なんで観ちゃったんだ?と自問するべきだね。

 とってつけたような父親とのいさかいの思い出からあんたを犯人じゃないっておもったんだよねっていうノーブラでTシャツを着ちゃうダイナマイトボディのヒロインはフランチェスカ・イーストウッド。まあ、目許がそっくりね。

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