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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

L.A.コンフィデンシャル

2022年09月17日 00時43分06秒 | 洋画1997年

 ◎L.A.コンフィデンシャル(L.A.Confidential)

 

 カーティス・ハンソンの監督作品の中では群を抜いておもしろいとおもっちゃうのは僕だけだろうか?

 ケビン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアーズ、キム・ベイシンガー、ジェームズ・クロムウェル、ダニー・デビート、デビッド・ストラザーン、ロン・リフキンと渋い連中をよくもここまでそろえたもんだっていうくらい渋すぎるキャスティングにも感心したし、なんといってもジェリー・ゴールドスミスの音楽がよかった。

 なんだか、ふとした拍子に奇蹟が起こっちゃったっていう感じだ。

 女優のヴェロニカ・レイクに似せて整形した娼婦として登場するキム・ベイシンガーの綺麗なことといったらないし、この相手役になった、母親が父親に虐殺されるのを目撃したという幼い頃の忌まわしい記憶から正義感の塊になってしまったラッセル・クロウとの恋愛劇が好い感じにからんでるわ。

 ちょっと驚いちゃうのが、この作品はジェームズ・エルロイのL.A.シリーズの第3部なんだけど、第1部が『ブラック・ダリア』だってことだ。ええっ、そうなの!?って感じで、映画を観比べるとまるでちがってて、とてものこと一連のシリーズの一作ずつとはおもえない。

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コレクター 1997

2022年03月22日 18時20分38秒 | 洋画1997年

 ◇コレクター(Kiss the Girl)

 

 まったく邦題のつけ方もいいかげんにしてくれって感じで、1965年のウィリアム・ワイラーの監督作品がヒットしたからかもしれないけど、この先、2012年にもモーガン・オニールの監督作が出てくる。で、こいつは、ゲイリー・フレダーの演出作で、3作ともみんな別な話だ。ほんと、やめてほしいわ。まったくおんなじ題名をつけられても混乱するだけだってことがわからないんだろうか?

 そんな文句はつけたところで仕方ないんだけど、それはそれとして、モーガン・フリーマン、若いときがあったんだな。最初から笠智衆みたいな感じかっておもっちゃうわ。それにひきかえ、アシュレイ・ジャッド、まだかわいい時代だね。

 しかし、犯人を共犯にしてしまった分、ひとりだけの孤独な異常さがなくなっちゃって、ただの活劇になっちゃった感じだな。これはまったく残念だ。

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スパニッシュ・プリズナー

2022年03月04日 23時41分42秒 | 洋画1997年

 ◇スパニッシュ・プリズナー(The Spanish Prisoner)

 

 じっくり観たらおもしろいんだろうけど、デヴィッド・マメット、テンポが鈍いのと外連味が足りないぞ。

 時代なんだろうね。

 キャンベル・スコットが詐欺に引っ掛かっていく課程が長くて、慕ってくると見せかけてる秘書レベッカ・ピジョンのマンションを訪ねるのがなんだか自分が追い込まれてからとにかく助けてほしいって感じで、まあレベッカ・ピジョンの気持ちを利用するように見えるのも墓穴を掘る見本みたいになるのはわかるんだけど、最後の最後まで騙された続けてどんでん返しになるってのもね、なんだかね。

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アサインメント

2022年01月08日 00時39分02秒 | 洋画1997年

 ◇アサインメント(The Assignment)

 

 煙草の火をわざわざ吹いて大きくする演出はなんだよっておもってたけど、なるほど、蜘蛛を焼き殺すかどうかってことなのね。けど、それならドナルド・サザーランドまでおんなじことをする必要もないんじゃないかっておもうけどな。

 エイダン・クインのテロリストのなりすましから始まり、本人による本人の証人保護プログラムの芝居なわけか、なるほど。

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メイド・イン・ホンコン

2018年09月25日 00時01分52秒 | 洋画1997年

 ◇メイド・イン・ホンコン(1997年 香港 108分)

 原題/香港製造 Made in Hong Kong

 監督/フルーツ・チャン 音楽/ラム・ワーチュン

 出演/サム・リー ネイキー・イム ウェンダース・リー エイミー・タム

 

 ◇1997年香港返還

 その日、ぼくは香港にいた。

 前後一週間、香港に滞在して返還されていくときの空気を肌で感じてた。でも、たしかにいろんな催事はあったし、町はざわついていたけど、いつもの香港だった。お祭りがあったっていうくらいにしか、観光客である僕には感じられなかった。

 まあそれが正直なところなんだけど、当時、ぼくは毎年のように香港に通ってて、このときは新界から深圳に、さらには蛇口まで足をのばして、そこから水中翼船で九龍半島まで帰ってきた。そんなこんなで、だから、予想していた緊張はさほどなかった。

 ここの登場人物たちもそうな気がする。

 返還の「へ」の字もなく、かれらはいつものとおりの香港に暮らし、閉塞と焦燥のごちゃまぜになった生活に喘いでいる。でもな~お墓の上にのぼって抱き合ったり飛び石のように渡っていくってのはちょっとな~って気がしたんだけど、そんなことないのかな?

 物語の構成は嫌いじゃない。突っ放したような物語ではあった。

 と同時に、自殺した女の子と主人公とはなんの関係もないはずなのに、妙な因果で結ばれちゃった感じで、しかも、その亡くなった女の子の夢を見て、毎晩のように夢精しちゃうというもう爆裂しそうな青春の設定はどうだろう、たいしたものかもしれない。いや、なかなか考えられない気はするよね。

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ぼくのバラ色の人生

2017年08月08日 22時41分44秒 | 洋画1997年

 ◇ぼくのバラ色の人生(1997年 フランス、ベルギー、イギリス 88分)

 原題 Ma vie en rose

 監督 アラン・ベルリネール

 出演 ミシェール・ラロック、ジャン=フィリップ・エコフェ

 

 ◇MtFトランスジェンダーについて

 わかってるようでわかってないというのが、ぼくのほんとうのところなんだろう。

 MtFトランスジェンダーの子とその家族の葛藤と脱皮について真正面から見つめるのはなかなかむつかしいのかもしれないし、邦画では滅多に見られない。そういうところ、やっぱり日本の映画界はまだまだ遅れを取ってるのかもしれないね。

 それはさておき、ここに出てくる主人公のように、小さいときに自分は男に生まれてはいるけどほんとは女の子でいつか女になる日が来るかもしれないと純真におもうことはなかったけれど、なんとなく女性の肌着や衣服を着てみたいとおもったことはあるな。たまたまそれがどきどきしながらも単なる興味で、結局、そういう癖にはならなかっただけのことで、誰もが異性へ憧れる前夜にちょっとした興味を持つことはあるんじゃないかな。

 この子の家族はおとなの目線でものを考えるから自分の子供ながらも恥と捉え、世間の目を逃れるように引っ越してしまうけれども、引っ越した先でかれらは同じような子供をまのあたりにし、かつまわりの大人たちの理解のもとですくすく育っているのを見たとき、ほんとうに恥じ入るわけだけれども、さて、現実社会はどうなんだろうね。

 

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フル・モンティ

2016年05月21日 20時23分00秒 | 洋画1997年

 ☆フル・モンティ(1997年 イギリス 91分)

 原題 The Full Monty

 監督 ピーター・カッタネオ

 

 ☆シェフィールドのストリップ

 90年代のある時期、イギリス映画はなんだかすごくおもしろくなった気がする。小粒なんだけど気の利いた作品が矢継ぎ早に封切られてたような。この作品もそのときに初めて観たんだけど、いや~おもしろかった。ロバート・カーライルを知ったのもこのときで、うだつのあがらない父親像にはぴったりの役者におもえた。それだけ演技が嵌まってたんだろね。

 イギリスの場合、炭鉱町の不況はよく映画になる。まあそれは日本でも同じなんだけど、古くは『幸せの黄色いハンカチ』がそうだったし、近頃では『信さん 炭鉱町のセレナーデ』もそうだ。やっぱり人間が町ぐるみで苦境に立たされてしまうっていうのはもの悲しい物語性を帯びてくるんだろうけど、それを撥ね返してしまうのがイギリスで、たとえば『ブラス!』なんかもそうだ。この作品ももちろんそうした系列で、不況によって沈滞していく町の人々がいて、せめて心だけでも蘇生させて未来への活力を得たいっていうその一瞬を描くのは、いや、ほんとにイギリスは上手だ。

 

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レインメーカー

2014年05月16日 02時45分21秒 | 洋画1997年

 ◇レインメーカー(1997年 アメリカ 135分)

 原題 The Rainmaker

 監督 フランシス・フォード・コッポラ

 

 ◇原告側弁護人

 ジョン・グレシャムにフランシス・フォード・コッポラとくれば、これはもう期待大で観るしかない。

 なんてことをいうのは、ぼくには似合わない。

 だって、ジョン・グレシャムの本を読んだことがないんだから。

 だから、正確にいえば、グレシャム原作の映画といわないといけない。活字嫌いのぼくは、よほどおもしろい映画に出会っても、なかなか原作には手がのびない。でも、あれこれと映画を見てる内に「これ意外におもしろいかも」とかおもうのは、グレシャムの原作だったりすることがある。そこへもって、コッポラはぼくの贔屓の監督だから、期待大になるわけだ。

 いたって予定調和な裁判劇ではあったけど、弁護士という職業についてどうしてもつきまとう胡散臭さと巨大なものに戦いを挑むドンキホーテ的な正義感とが上手に組み合わさっているのは感じられた。タイトルの「レインメーカー」ってのがよくわからなかったんだけど、どうやら「金を雨に例え、雨が降るように大金を稼ぐ弁護士」のことらしい。あ、なるほどね、とおもった。

 ダニー・デビートが実にうまく、法廷という職場における老練さを軽く演じてる。マット・デイモンが青二才の分、パラリーガルとしての立場をよくわきまえながらも、ちゃんと仕事をこなしてる。なんで、これだけ裏情報にも精通したおっさんが司法試験を6回もすべってるのかよくわからないところもあるんだけど、やっぱりどこか抜けてるんだよね、たぶん。そんなふうにおもわせるところが、うまい。

 まあ、マット・デイモンもまたさほど優秀でないロー・スクール出の若造で、こういう野心はあっても優しさが仇になっっちゃうかもしれない危うさをもった人間には、ちょうどうまく嵌まるようにパラリーガル役として作られてる。そういうちょっとしたところがうまいのは、原作なのかそれとも演出なのかはわからないけどね。

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イングリッシュ・ペイシェント

2013年07月27日 23時36分37秒 | 洋画1997年

 ☆ングリッシュ・ペイシェント(1997年 アメリカ 162分)

 原題 The English Patient

 staff 原作/マイケル・オンダーチェ『イギリス人の患者』

     監督・脚本/アンソニー・ミンゲラ

     撮影/ジョン・シール レミ・アデファラシン

     美術/スチュアート・クレイグ ステファニー・マクミラン ジョン・ブッシュ

     衣裳デザイン/アン・ロス ゲイリー・ジョーンズ 音楽/ガブリエル・ヤーレ 

 cast レイフ・ファインズ クリスティン・スコット・トーマス ジュリエット・ビノシュ

 

 ☆ふたつの壁画

 レイフ・ファインズの演じた、ラズロ・アルマシーっていうハンガリー系の貴族の末裔だけど、どうやら、オーストリアはブルゲンラント州のベルンシュタイン城に生まれたらしい。ベルンシュタイン城は、五角形の城壁をもち、ひとつの塔を備えた簡素な城で、いまは売却されてしまい、ホテルになってるそうだ。ともかく、そこで育ち、飛行士の免許も取得して、オーストリア=ハンガリー帝国の空軍に所属して、欧州大戦に出征したらしい。エジプトに出かけたのはその後で、目的は探検だったようで、パトロンになってたのが英国人のロバート・クレイトン卿だったようだ。クレイトン卿にはドロシーっていう奥さんがいるけど、彼女が探検に参加したのは、クレイトン卿が砂漠で病死してからみたいね。で、ドロシーが飛行機の墜落事故で死んだのはイギリスに戻ってからで、このあたりのことは戦前の話らしい。探検の後、アルマシーは砂漠で飛行機の操縦を教えてたんだけど、ハンガリーがドイツに併合されてしまったことからドイツ空軍に所属したみたいだ。けど、戦争の形勢が悪くなったあたりに、祖国ハンガリーがドイツに抵抗し始めると、アルマシーもイギリス諜報部と連絡をとるようになり、情報を提供してたんだと。で、アルマシーがいつ死んだかといえば、戦後の1951年、ハンガリーに戻ってからで、病死らしい。

 だから、映画の中身と事実とはかなり違ってることがわかるんだけど、かれらが見てた「泳者の洞窟」は、実際にある。エジプトの南西、Wadi Sora ってところで、the cave of swimmersっていう。つまり「泳者の洞窟」だけど、この映画は、壁画がふたつの恋愛劇を結び付けるときの象徴にもなってる。恋人と親友を失ったジュリエット・ビノシュが、あらたな恋の相手になったシーク兵の中尉がロープで吊って、中世の壁画を眺めていく場面は、なんとも美しい。恋は儚く、人間の死と共に終わりを告げてしまうんだけど、絵画はそれが風化して消え去ってしまうまで残り、後の恋人たちを結びつける。そんなことをいってるように感じちゃう。現代だったら、美術館なのかな?

 でもな~、やっぱり、足を延ばして描かれたままの状態で残ってる絵を見ないと、燃え上がる恋にはならないのかもしれないね。日本だと、何処にあるんだろ?

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女優マルキーズ

2013年06月13日 00時51分54秒 | 洋画1997年

 ◇女優マルキーズ(1997年 フランス、イタリア、スペイン 120分)

 原題 Marquise

 staff 監督/ヴェラ・ベルモン

     製作/ヴェラ・ベルモン マルセル・ボーリュー

     脚本/ジャン=フランソワ・ジョスラン ヴェラ・ベルモン

     潤色・台詞/ヴェラ・ベルモン ジェラール・モルディヤ

     撮影/ジャン=マリー・ドルージュ 美術/ジャンニ・クワランタ

     衣装デザイン/オルガ・ベルルーティ 音楽/ジョルディ・サヴァール

 cast ソフィ・マルソー ベルナール・ジロドー ランベール・ウィルソン

 

 ◇マルキーズ・デュ・ パルクの生涯

 17世紀、喜劇作家モリエールと悲劇作家ラシーヌに愛され、もともとは一座の看板役者グロ・ ルネに見出された女優がいたなんてのは、もうそれだけで伝説になっちゃうくらいなんだろうけど、日本でいえば、ちょうど歌舞伎が成立するくらいな時代なんだろうか。やっぱり、そのあたりから、洋の東西を問わず、大衆演劇の歴史が始まるんだね。

 マルキーズは踊りのちからはあっても演技が素人だったから、最初はどうしてもその美貌や肢体に目がいくし、それで人気が出るのは仕方のないことだ。けど、世の中、どこにどんな機会が巡ってくるのかわからないもので、マルキーズを見出したのは、時のルイ14世だったってんだから、正に伝説だ。なんだか出雲の阿国をおもいだしちゃうよね。

 ただ、同時に、ぼくはソフィ・マルソー自身のこともおもっちゃう。

 ソフィーは、ぼくのお気に入りのひとりなんだけど、『ラ・ブーム』でデビューしたとき、誰が『狂気の愛』とかに出るとおもっただろう。可愛いだけの女の子が、豊満な肉体を惜しげもなく晒して、つぎつぎに濡れ場を演じていく女優になるとおもっただろう。それがやがて、マルキーズを演じるまでになるんだから、もはや、堂々たるもんだ。

 ただ、どうなんだろう。女優のプライドってのは、どれだけ男たちから愛されていながらも、付き人風情が自分の代役に立ってしまうことに、耐えられないように出来てるんだろか?でも、毒入りのチョコレートを呷るなんてのが、やっぱり女優だよね。

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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

2013年04月06日 00時08分44秒 | 洋画1997年

 ☆グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年 アメリカ 127分)

 原題 Good Will Hunting

 staff 監督/ガス・ヴァン・サント 脚本/マット・デイモン、ベン・アフレック

     撮影/ジャン・イヴ・エスコフィエ 美術/ミッシー・スチュワート

     音楽/ダニー・エルフマン 音楽監修/ジェフリー・キンボール

 cast マット・デイモン ロビン・ウィリアムズ ベン・アフレック ステラン・スカルスゲールド

 

 ☆誰にでも一度はある旅立ちのとき

 ぼくにもあった。もうずいぶんと昔のことになるけど、田舎から上京したときが、たぶん、旅立ちだったんだろう。布団一式と押入箪笥、それと当面の着替えを運送会社に託して、身ひとつで上京した。当時は宅配便とか引っ越し屋とか聞いたこともなかったし、たぶん、なかったんだろう。だから、運輸会社に荷物を取りに来てもらい、縄で縛って運んでもらった。

 映画の中でマット・デイモンは、自分の下宿をひきはらうとき、荷物は処分した。そして、真っ赤なんだけど、ところどころシミのついた車一台で、さっそうと旅立っていった。けど、おもってみれば、人間が生きていくには、それだけの荷物でいいんだよね。おそらく、軽自動車に積み込めるくらいの量、一間の押入にきっちり収まる量、それくらいの荷物で、人間は生きていけるんだろう。

 上京してから色んな物が増えたけど、そのほとんどは余分なものなのかもしれない。

 映画の中で、なにが好いって、労働者階級の親友ベン・アフレックだ。100年にひとりの天才マットが、幼いころに両親と死に別れ、養父に虐待されながらも、勉学への志を持ち、本という本を読み漁り、そこらの大学教授よりも知識と応用に長けているのを、ベンは、ずっと見てきた。マットが、大学に金銭的な事情から入りたくても入れないことも知ってたし、でも、大学の清掃員をしながら、大学の空気に触れているのもよく知ってた。だから、マットが、その才能を生かそうとせずに、ビルの壊し屋をやって生きていけりゃいいんだよとうそぶいたとき、こんなふうに、いう。

「おれは、あほうだ。20年後も、この町でこうしてビルを壊してるだろう。だがな、もしも、おまえが20年経ってもここにいたら、おれはおまえをぶっ殺す。おまえは、おれたちとはちがうんだ。おまえは、その手に、当たりくじを持ってんだ。誰にもできねえような未来をつかむことができるんだ。だから、行け。さっさと、旅立て。このくそばかやろう」

 泣けるぜ、ベン。

 旅立つときのマットの車は、ベンが悪ガキ仲間と金を出し合って、プレゼントしてくれたポンコツ車だ。

「おれはな、いつもスリルを味わってる。朝、おれが、おまえを迎えに行くとき、おまえがいなくなってるんじゃねえかってな。だけど、おれは、待ってんだ。おまえの部屋が空っぽになって、おまえがいなくなってる日が来るのを」

 これも泣けるぜ、ちくしょう。 ちなみに、この映画の成立過程で常に語られることだけど、無名時代のマット・デイモンが、ハーバード大学に在学しているとき書いた短編を、幼馴染のベン・アフレックとふたりで書き直し、それが回りに回って映画化されたって話がある。マット・デイモン27歳、遅咲きの旅立ちって感じになるんだろうけど、ぼくは、かれがこの映画の4年前に出演した『ジェロニモ』はけっこう気に入ってる。ジェロニモを護送する青年少尉の役だったけど、話をひっぱるモノローグはかれの役目で、ある意味、主役のひとりだった。だから、この『グッド・ウィル・ハンティング』の時期、かれはもはや無名ではなく、とうに旅立ってたってことだよね。

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地球は女で回ってる

2013年01月29日 02時28分50秒 | 洋画1997年

 ◎地球は女で回ってる(1997年 アメリカ 96分)

 原題 Deconstructing Harry

 監督・脚本 ウディ・アレン

 出演 ウディ・アレン、エリザベス・シュー、ビリー・クリスタル、ロビン・ウィリアムズ、デミ・ムーア

 

 ◎アレン版81/2

 女の事しか頭にない神経症の作家がスランプに陥ったらやっぱりピンぼけロビンみたいな作中人物が現実に飛び出して説教とかしちゃうものなのだろうか?

 それにしてもピンボケになってしまった男とかって発想がなんで浮かんでくるのか。天才ってのはそういう発想のできる人間なのかもしれないね。ただまあ「君の想像する宇宙は、現実より素晴らしいよ」とかっていうよく意味の分からない台詞が素敵とおもえるのかどうかは別な話だけれども。

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ゲーム

2010年06月13日 23時33分52秒 | 洋画1997年

 ◇ゲーム(The Game)

 

 なるほどゲームなんだからといわれれば、こういう世界もありかと思えるけど、ラストの判ってしまった映画をまた見たいかといえば疑問だ。

 だとすると、CRSという巨大な組織がありそれに小さな男が戦いを挑んだ方がたとえ敵わないにしても格好いいような気もする。

 デビッド・フィンチャーとマイケル・ダグラスでもこういう映画になっちゃうのかなあ。

 まあそれはさておき、マイケル・ダグラスが父親の享年に自分が達したとき、なんとなく死についておもいをはせるようになるのは、よくわかる。けっこう、父親の死の年齢というのは、息子にとっては気になるものなんだよね。だから、その年齢になったとき、ここを越えることができれば、自分は父親よりも一歩上を行けるようになったとおもうのかな。

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フィフス・エレメント

2007年06月16日 00時49分19秒 | 洋画1997年

 △フィフス・エレメント(1997年 フランス 126分)

 仏題/Le Cinquieme element

 英題/The Fifth Element

 原作・監督/リュック・ベッソン 音楽/エリック・セラ

 出演/ブルース・ウィリス ミラ・ジョヴォヴィッチ ゲイリー・オールドマン イアン・ホルム

 声/ジャン・レノ

 

 △ダイハード宇宙版

 100億円もかけたの?!まじ?!って、ちょっとびっくりしちゃうわ。

 おバカ映画、と決めつけてしまうのはちょっと抵抗はあるけど、すくなくとも、ぼくの趣味かどうかはむつかしいところだ。

 ブレードランナーとアルマゲドンとトータルリコールのパロディ?とかおもわず想っちゃったくらいだから、いったいどこに根本からの独創があったんだろうとも感じるし。

 聞くところによれば、この物語は、リュック・ベッソンが16歳のときにおもいついたそうだ。でも、映画にかぎらず、物語を作りたいな~とかおもってる少年は、多かれ少なかれ、こんな話を中学や高校のときには考えるもんじゃない?

 ただ『レオン』の大成功によって資金ができたってのが大きかったんだろね。なんだか、いきなりお金を儲けちゃったことで気が大きくなって、どでかい屋敷を建てちゃう人間の気分に似てるような気もするわ。

 まあ、イスラム調の楽曲はなんか良かったけど、最初に虫系異星人の登場からして見る気がちょっと削がれる。発想はわかるんだけどね~。

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ポストマン

2007年06月09日 01時00分53秒 | 洋画1997年

 ◇ポストマン(1997年 アメリカ 176分)

 原題/The Postman

 監督/ケビン・コスナー 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード

 出演/ケビン・コスナー ウィル・パットン ラレンツ・テイル オリヴィア・ウィリアムズ

 

 ◇2013年、世界崩壊

 あらま、もう、その時代になっちゃってるね。

 世界がぶっつぶれた後、ゴールドラッシュの時代に遡ったようなアメリカが舞台なんだけど、なんか、主役の設定に違和感があるんだよね。

 神格化された流れ者が、やがて奮起して、国家再興の英雄になっていく過程を描くには、舞台役者という設定があんまり好いとはいえないし、嘘から出た誠にはちょっと成りにくいんじゃなかって気がした。シェイクスピアって呼ばれてるところからして、そうなの~?っていう反発が聞こえてきそうだし。

 やっぱり、根っからの郵便配達夫っていう物語にした方が好かったような気がするんだけどな。

 それと、目をつけた男の顔を忘れる独裁者もまぬけだし、性交の理由づけも共感しがたかったりするし、要するに、ケビン・コスナーをいかにして英雄に仕立て上げるかってのが前提なもんだから、ちょっとしたところにほころびができてちゃったって感じなのかもしれないね。

 それにしても、全尺176分。ケビン・コスナーが監督すると、どうしていつも長尺物になるんだろ?

 迫力はそれなりにあったけどね。

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