Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!

2021年10月30日 01時39分11秒 | 洋画1981~1990年

 ◇スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!

 

 どうやら、ぼくは『カーンの逆襲』と『スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!』を合わせて一本の映画のように記憶していたらしい。

 どうしてこんなことが起こったのかわからないけれども、ともかく、スポックがわが身を犠牲にして死んだところ、その棺が再生されてゆく惑星ジェネシスに投棄されてしまったことで赤ん坊として生まれ変わり、驚異的な速度でスポックに成長していくという一連の物語がひとつの作品で語られていないことと、カークの息子がいきなり大人になって登場してやがてその犠牲的な心を汲み取って結果的に父親が息子を殺してしまうことになるというあまりにも衝撃的な展開もまたひとつの作品として捉えていたらしいんだけど、問題はひとつあった。

 ここの悪役クリンゴンとカーンが同化してしまってたことだ。

 なるほど、ふたつの映画の悪役は当然べつべつになるんだよね、納得したわ。

コメント

テネット

2021年10月23日 01時16分21秒 | 洋画2020年

 ◎テネット

 まあ、しんぶんし、とか、トマト、みたいな言葉あそびだわね。

 でも日本語で「てねっと」と書いたところで回文にはならないんだよな~。

 それはそれとして、内容については、やがてこういう時の逆行をあつかったものに到達することになるだろうなってことはうすうすわかってたけど、ちょっと予測がはずれた。

というのも、ぼくはクリストファー・ノーランが『インセプション』で夢の多重構造を構築したり、『ダンケルク』で時の三重包含を作り出したりしたとき、きっと物語そのものを時の流れのそのままの部分と逆行する部分とそれを繋ぐ歪な部分との三つの時の流れの構造をもった映画ができるんだろうとおもってたんだけど、どうもこの作品はそこまで到達してなかった。

 ま、それはそれとして、エリザベス・デビッキ、背ぇ高いな~。美人なんだけど、脇腹の傷を見せるときにちょっとお腹がたるんでるような気がしたのは減点だなあ。とはおもったのと、どうしても水着の下が不格好な気がしたのと、彼女、泳げないのかしら?水中のカットがひとつもないんだよね。

 マイケル・ケインはあいかわらず英国紳士でこのあたりは実に見事な紳士ぶりだし、ケネス・プラナーもロシア人には見えないけどまあこれはこれでいいかなって気もする。

 ところで、エリザベス・デビッキが幼稚園へ迎えに行くところが二度も出てくる。この重複されて印象づけられるのは顔を見せない男の子なんだけど、これって成長したらロバート・パティンソンになって黒幕にして主人公のジョン・デヴィッド・ワシントンに巡り合って、過去に戻っておれを守ってくれっていう約束をすることになるのかしら?そうでないと、時の回転ドアにならないんじゃないかな?

おもしろいもんだなとおもったのは合言葉で、日本だと『やま』といったら『かわ』とかいったりするやつのことだけど、この作品はしちめんどくさい。なんたって『黄昏に生きる、We Live in a Twilight World』と『宵に友なし、There Are No Friends at Dusk』なんだから。かっこいいっていえばかっこいいんだけど、おぼえられないし、いいまちがえちゃうぞ、これは。

コメント

サークル

2021年10月22日 00時42分04秒 | 洋画2015年

 ◇サークル

 
 ワンセット物だけど、よく練られてる。
 
 排除っていうのか、抹殺っていうのか、なんともいえないけれど、要するに権高くわがままな意見を押し通そうとする人間が嫌われて排除されていくっていうのは社会の構図によく似てる。助かるためにならどんな嘘でも振りでもしようとするのは、社会がそうなっているからだ。
 
 つまり、この映画は社会そのものの象徴を真ん丸の空間で表していて、そこからはみ出しかける人間から排除されていくんだけど、そこに居る理由もなければ排除された後ていうか殺された後どこでどう始末されるのかもわからない。でも、人間の人生ってそんなものなのかもしれないね。
 
 人は、なんで生まれてきたのかもわからないし、死んだ後どうなるのかもわからない。結局、過去にどんな記憶や経歴があったところで、サークルの中に立たされてしまえば対等になってしまうわけで、最後のあがきにいろいろと知恵や反射を働かせようとするんだけど、そんなことはおかまいなしに他人や何者かによって最期を支配されてしまう。
 
 なんだか胸苦しい話だったなあ。
 
 このアーロン・ハイっていう監督はこういう癖のつよい映画を撮ってるんだろうか?
コメント

スター・トレック カーンの逆襲

2021年10月21日 19時03分53秒 | 洋画1981~1990年
◇スター・トレック カーンの逆襲



『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』みたいなもんで、当時、SF作品の2作目は『逆襲』ってつけるのが流行ったんだろうか?

それはさておきテレビのシリーズをすべて覚えてるわけじゃないから、リカルド・モンタルバンが出てきても、あ~こういう敵がいたのね~としかおもえないのがつらいね。

ていうか、恐ろしいことに僕の記憶ではカーンはクリンゴン人になってたくらいで、いかに封切りのときにいい加減に観てたかってことだけど、そもそも僕はトレッキーには人気のない第1作の方が好きだったから余計にこのニコラス・メイヤーの続篇は適当に観てたのかもしれない。

しかしそうか、ジェネシス計画っていう生命体を作り出して星まで造り上げちゃうってのは神の行為とおんなじになっちゃうのか~とかおもってたら、なるほど、スポックが自分の身を犠牲にすることで第3作の伏線になるってことか。
コメント

スター・トレック

2021年10月20日 19時05分00秒 | 洋画1971~1980年

 ◇スター・トレック

 
 
 
 種明かしになってしまうのを恐れずに書いておけば、ビジャーことボイジャーを知る者たちにはかなり興味をそそられる内容なのはほぼ間違いないかもしれない。
 
 でもこの作品が公開されたときは散々な目に遭わされた。まあクライマックスに戦闘のない『スター・トレック』とかあっていいとは当時誰もおもわなかったろう。特に映画化なんて夢のようなことだったし、前宣伝はすごかったし、なんといってもインド人のパーシス・カンバッタがあまりにも綺麗でなのに坊主頭にそれてるてなことがあったりして、そりゃもう大騒ぎさってくらいな勢いだった。
 
 それがところが戦闘のセの字もなく、当時の言葉でいえばハードSFだとかいわれて、蓋を開けりゃなんのこたない、宇宙の果てに消えてしまったはずのアナログの宇宙探査ロケットが帰還してくるんだけど、あまりにも年月が経ちすぎて音信不通になってしまっているために悲劇が起きてるなんて話だ。
 
 けど、それを延々されてもトレッキーたちは戸惑ったんじゃないかなあ。わざわざこんな哲学的な展開を観るために楽しみにして劇場に足を運ばれたのかおれは、みたいに。
 
 まあしかしこの映画をはじめて観たとき、まさか、ジェームズ・T・カークが90歳になる2021年に宇宙旅行をやってのけるとはおもわなかったな。
コメント

新選組

2021年10月19日 01時18分52秒 | 邦画1961~1970年

 ◇新選組

 

 まあ、三船敏郎命のぼくとしては、認めないわけにはいかないんだけど、大学の時に初めて観たときは「あ゛~っ」とがっくりしたものだが、今回はそれほどでもなかった。

 ていうか、稲垣浩が脚本にからんでいるせいか、いやまじな話、上手にまとめられてる。近藤勇の京都時代の話があらかたで、まあつまりこれまで擦り切れるくらい擦られた部分の映画化なんだけど、でも2時間でこれだけまとめるのはけっこう骨が折れたんじゃないかしらね。

 栗塚旭のところへ依頼が来たっていう話を、前に栗塚さんがしてたけど、でもこれは小林桂樹で良かったんじゃないかな。このキャストが並んでるところに栗塚さんが顔を出したらなんだか違和感がありありで、違う世界から迷い込んできたような感じになっちゃうっておもうんだけどな。

 ま、三國連太郎が芹沢鴨を演じてるんだけど、これ、大河ドラマの『新選組!』をおもいだしちゃうよね。父子で芹沢鴨ってのが、栗塚さんが佐藤彦五郎を演じたのや島田順司が登場したのとかをおもいだして、ちょっとなんだか好い感じだなっておもったわ。

 それと、勝海舟と近藤勇の軋轢はやっぱりあったのねって確信しちゃえるのも、好。

コメント

特捜部Q 檻の中の女

2021年10月14日 13時25分34秒 | 洋画2013年

 ◎特捜部Q 檻の中の女(2013年 デンマーク 97分)

 原題/Kvinden i buret 英題/The Keeper of Lost Causes

 監督/ミケル・ノルガード 音楽/ヨハン・セーデルクヴィスト

 出演/ニコライ・リー・カース ファレス・ファレス ソニア・リクター

 

 ◎ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q』

 好い絵だね。ことに、過去の事故の絵が凄い。

 ただ、上手な脚本だけど、5年間の監禁というのがなんとも嘘臭い。死んでるぞ、ふつう。そもそも、わざわざ監禁する必要はなく、小娘のおとなげない目隠しといういたずらで起こしてしまった事故の、両親と妹を亡くされてしまった過失の腹癒せなら、さっさも殺してしまえばいいともおもうけどな。

 でも、過去の事件を追ってゆく特捜部の地味さはなんともいい感じだね。

コメント

御法度

2021年10月12日 18時09分52秒 | 邦画1991~2000年
◇御法度



おもしろいのかおもしろくないのかようわからんのだけど『戦場のメリークリスマス』とよくにた匂いはするね。

まあしかし崔洋一はなんであんなに黒目を動かしてるのか不思議なんだけど、総じて浅野忠信を除いて他の役者たちの演技はうまくない。

大島渚にとっては演技よりも個性が優先されるんだろうけど、素人臭さも度を超すと厳しい。とはいえ、青山知可子は綺麗だったけど。

ただ、カメラと美術がいいからな~。なんとなく最後まで観ちゃうんだよなあ。
コメント

無法松の一生

2021年10月08日 00時55分09秒 | 邦画1941~1950年
◇無法松の一生 阪妻版



初めて観たのは大学生の時だった。この阪東妻三郎版から観たのか三船版から観たのか憶えてないんだけど、まあどちらが好みかはさておき、阪妻はどうしても上手にこなす分、芝居がいかにも芝居らしく見えちゃうんだよね。

まあこれは致し方のないところでそれを容認した上で作品を楽しむよりほかにない。

宮川一夫の画面はやはり際立って良く、人力車の車輪と俥引きの映像とが多重露光されてゆくくだりになると、ため息をつくくらい美しく見えてくるんだ。
コメント

アンタッチャブル

2021年10月07日 01時24分32秒 | 洋画1981~1990年
☆アンタッチャブル



いやもう、ブライアン・デ・パルマとはとてもおもえないほどまともな出来になってて、唯一、あ~やりたかったんだろうな~ってデ・パルマ節を堪能できるのが、エイゼンシュタインの『戦艦ポチョムキン』へのオマージュになってる階段のシーンだ。アンディ・ガルシア、かっこいいぜ。まだ若いし、痩せてるし。

しかしまあこれを観るたびに、ロバート・デ・ニーロの頭に目がいっちゃう。まじに抜いたんだろうか。痛くなかったんだろうか。たしかに抜いた方が生えてくるまでには時間が必要になるし、合理的なんだろうけど、でも痛いだろ。ちょんまげのときに月代を剃らずに抜いていたって話だけど、その痛さには耐えきれず泣いたとかいうじゃん。デ・ニーロ、泣かなかったとすれば、さすが役者馬鹿だ。根性がちがう。

ショーン・コネリーの復活とケビン・コスナーののしあがりがいっぺんになったっていう印象なんだけど、たとえそうでないにしても、デ・パルマよ、ちゃんとまともに撮れるじゃないか。

と、毎回、おもうんだよね。
コメント

ロスト・バケーション

2021年10月04日 13時13分42秒 | 洋画2016年
◎ロスト・バケーション



鮫に襲われる美女の映画とくれば真っ先に『ジョーズ』が浮かぶのは当たり前のことだし、大抵は『ジョーズ』を超えられない。たしかにそのとおりなんだけど、この作品はちょいとちがう。

ジャウム・コレット=セラの演出はきわめてリアルで、浅瀬に突き出した小岩が満潮時に沈んでしまうという設定と、老朽化した浅瀬を示す赤色灯のブイを小道具にして、巧みに筋を立てている。

ブレイク・ライブリーは美しいけどセクシーじゃない。それがまたリアルさを増すし、医学生と設定と鮫の顎にやられた傷の手当てに無理がなくなってる。

なにより、フラビオ・ラビアーノの絵が美しい。色彩はかなり調整されてる観はあるけど、でもうまく撮れてる。

拾い物だな、これは。
コメント

必殺仕掛人 春雪仕掛針

2021年10月03日 17時14分00秒 | 邦画1971~1980年
◇必殺仕掛人 春雪仕掛針



やけに込み入った話だけど、梅安が昔なじんだ岩下志麻が盗っ人のおじき花澤徳衛に育てられつつ、新手の盗っ人集団の親方になってるわけで、で、用心棒の竜崎勝や子分の夏八木勲や地井武男を仕掛けてゆくんだが、まあそのあたりの出はいりがなんとなく上手に転がってく。

貞永方久、さすがだな。

まるで野良犬みたいに。でも自分で拾った犬ですもの。忘れるわけがありませんわ。わたしってだめなんです。憎い憎いっておもいながらも今ここにその人があらわれたらまたちからになってあげたいなっておもってしまうんです。とかって梅安のなじみの女ひろみどりがいうんだが、ま、これが原作にあるかどうかは知らないけど、男の理想だね。

ちなみに地井ニィに請け出される女郎の相川圭子、いいなあ。ひし美ゆり子と『忘八武士道』に出てて、東映ではひろみどりとよく出てる日活ロマンポルノの準主役級だった女優さんなんだけど、かわいいんだよ、これが。
コメント

選挙の勝ち方教えます

2021年10月01日 16時51分00秒 | 洋画2015年
◇選挙の勝ち方教えます




原題は『看板は危機』ってなことなんだろうけど、それじゃわからないし、格好もつかない。看板ってのは僕の勝手な訳で、選挙の標語みたいなもんで、brandってのが原題だ。

で、佳境、サンドラ・ブロックの勝たせたジョアキム・デ・アルメイダが約束した国民投票の履行なんざどうでもいいってことになり、さあどうするってのがクライマックスなんだけど、これは伏線があって、サンドラ・ブロックは、デ・アルメイダに憧れる青年に、いつも名言を引用するのは知ってるがあなたの言葉はなんなんだ?と訊かれてとまどう。この回答が、選挙商売との訣別につながり、デモへの参加にもつながり、自分の本心を訊いてきた青年との邂逅と和解になっていくっていうわけだけど、このあたりは上手な筋立てが作ってある。

まあ邦題も売り方もまるで見当ちがいとしかいえないし、そもそも、大統領選の軟弱な売り方が見当ちがいだといいだして危機を売り物にしようとして勝ちに結びつけていくサンドラ・ブロックの物語なのに、その映画の売り方がなんか違ってるんじゃないかってのは、なんだかね~。
コメント