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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

二トラム

2024年09月09日 00時10分50秒 | 洋画2021年

 △二トラム(Nitram)

 

 1996年4月のポート・アーサー事件の犯人マーティン・ブライアント(※題名のニトラムは、Martinの逆さ読みの徒名)の話だという触れ込みで、観た。

 観たんだけど、最初の近所迷惑も考えない庭の花火と息子マーティン・ブライアントのわがままにつよくいえない父親と見くびられまいとする母親を観れば、こいつはおかしい奴だってことはわかるし、なんとなく知り合った白髪をそめた葱頭の中年の女優ヘレンとの馴れ初めを観ていれば、いよいよおかしくなるってことは予定調和で、驚きも緊張感もない物語だったなあ。

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デスパレート・ラン

2024年09月08日 00時33分18秒 | 洋画2021年

 ◇デスパレート・ラン(The Desperate Hour)

 

 ランニング中にスマホだけで学校占拠の非常事態を把握しようとするだけの物語っていう発想はわかるけど、ナオミ・ワッツが焦って走ってるだけなのはきつい。

 30分過ぎてから息子を疑う刑事から電話があって物語が進展し始めるが、これでは遅い。

 スマホで電話ばかりしてるんなら、ニュースの配信動画とかをもっと流さないとあかんだろ。亡くした夫の思い出とか、事故に遭ったときの息子のテレビ電話の録画とかより緊迫感が出るだろ。で、納税記録から特定して犯人に電話するとか、焦ってパニックってるにしちゃ迅速な対処だけど、よけいなことをするアホな母親になりさがっとるようにしか見えないのは、やっぱりだめなんじゃないか?

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オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体

2023年12月20日 22時29分26秒 | 洋画2021年

 ◎オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体(Operation Mincemeat)

 

 コリン・ファースの妻子が米国に疎開するまでが長い。チャーチルの登場からでいいんじゃないか?っていう意見は、この物語が戦争スリラーなのかそれとも戦争ロマンスなのかってところで、ちがってくる。後者なんだから、もうすこし短めながらももうすこし夫婦の仲をつきつめた場面があってもいいような気がしないでもない。

 シチリア上陸のトロイの木馬作戦とかって捏造書類を持った死体を漂着させてヒットラーをあざむくっていうのは、ほんとにあったことで、そうかシチリア上陸の裏話だったのかあと納得はするんだけど、その作戦を発案する瞬間が描かれてないのはちょっともの足りない。とはいえ、作戦があらかじめ出来てないとケリー・マクドナルドやマシュー・マクファディンとの三角関係やら死体の出所やらの細かいところが描けないし、物語の展開がうまい分、これ以上話を足すのは難しいかなあ。

 ただ、M、Q、腕時計の秘密兵器、ジョニー・フリン演じるイアン・フレミングの小説、このあたりはまあ面白いとしよう。

 スパイはなにもスペインだけにいるとはかぎらないし、弟マーク・ゲイティスがソ連のスパイかもしれんとか、英国大使感付き武官ニコラス・ロウが二重スパイなのか三重スパイなのかはわからんけどナチスのスパイ武官のちんちんをズボンの上からでも手玉に取れる手技を見せたりとすごいが、そうか、客のあらかたを知ってるバーテンダーまでスパイなのか。これは、おもしろい。

 途中で「あ、でも、バーテンダーが彼女パムのいつわりの写真を手に入れてるんだけど、その事実をわざわざいいに来るというのも変だ、たとえ一部でもおかしいところがあればその情報はすべて否定すればいいだけのことで内情をたしかめる必要はない。なるほど」と気づかされるのが、この脚本のうまいところだね。ところで、このパムなんだけど、実際に当時の作戦で使用された写真を見ると、ケリー・マクドナルドにまじで似てる。これはすごいわ。

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最後の決闘裁判

2023年11月01日 14時10分39秒 | 洋画2021年

 ◎最後の決闘裁判(The Last Duel)

 

 1386年のフランス王国のパリでほんとうにあった決闘裁判ってのがすごいんだけど、でも複雑。物語を理解するまでは戸惑う。

 なるほど、まさしく羅生門だ。

 しかしこれはなんか脚本がおかしい。アダム・ドライバーの証言のくだりだが、これは強姦に近く見える。もっと妻の方から誘うようにしないとあかん。どうしようもなく引きずり込まれてゆくようにせなあかん。マット・ディモンに対して妻がなよなよと告白せなあかんだろ。せっかくリドリー・スコットが演出してるんだから、もうすこし脚本を練ってからにするべきだったんじゃないか?

 ジョディ・カマーが微妙な分、ベン・アフレックはよくやったとおもうんだけど、そうじゃないのかなあ。

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モンタナの目撃者

2023年10月28日 14時59分38秒 | 洋画2021年

 ◇モンタナの目撃者(Those Who Wish Me Dead)

 

 定番っていうか、ハリウッドの定石っていったらいいのか、とにかく、セオリーどおりの物語の作り方で、殺人を目撃してしまった少年をその母親代わりになるような女性が守り抜いて戦うっていう話の規模が、モンタナの山火事の中に為される分、大作に仕上がってるのねって感じだ。なににせよ『グロリア』であるのは疑いないわけで、そうか、アンジェリーナ・ジョリーもこういう設定になるのかって納得しちゃうわ。

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テーラー 人生の仕立て屋

2023年03月21日 18時16分14秒 | 洋画2021年

 ◇テーラー 人生の仕立て屋(Tallor)

 

 地味ながら、ちょっと現実離れしつつも、現実の余韻をただよわせる作品を、監督のソニア・リザ・ケンターマンはめざしたんだろうけど、老舗の仕立て屋として生きてきた父親が倒れたことで店を継いでひとりだちしなくちゃいけなくなったディミトリス・イメロスの物語というのであれば、それに徹するべきだったんじゃないかな。

 隣に住んでるタクシー運転手の娘(小学生)が彼を応援したいっていうんなら、その絆を臍にした、運転手とのほのぼのした友情物語っていう筋立てもあったはずなんだけど、その妻タミラ・クリエヴァが仕立てを手伝ったことで恋が生まれちゃうっていう展開はかなり抜き差しならないもので、後味を悪くする。

 屋台のテーラーっていう発想はおもしろいし、それをひいていくのがスズキのバイクっていうのもいいし、まあラストはベンツかなんかのワゴンになるんだけど、そういう段階を経た感じもいいんだけど、差し押さえになった店の中が荒らされ、殴りつけられたような跡があるのはあきらかに運転手の夫の仕業で、このあたり、きわめてばつのわるい妻の心がつらいし、どうもね~。

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カオス・ウォーキング

2023年03月18日 13時27分50秒 | 洋画2021年

 ◇カオス・ウォーキング(Chaos Walking)

 

 やけに哲学的な邦題だなとおもってたら、なんのこたない、原題そのままかよと。

 ただ、どこも歩いてなくない?走ってはいたけど、馬にも乗ってたし。

 2257年の惑星入植者の物語なんだけど、男しかいない集落ってのがあって、そこへ新たな入植船の母船から発進してた探査船が壊れて墜落し、ひとりだけ生き残ったデイジー・リドリーが女だってだけで追いかけ回され、彼女にひと目惚れしたトム・ホランドが守りながら、シンシア・エリヴォのファーブランチまで行きつくんだけど、元居た集落の女たちを虐殺したマッツ・ミケルセンが追いかけてきて、母船が救けに来る前に決着をつけようとするっていう展開だ。

 よくある話で、肝心なのはどうして女たちを虐殺しなければいけなかったのかってことと、原住民と戦ってきたっていうんだけど、実は戦う気がたぶんない片手の原住民の真実が見えないっていうことで、これが物語の要になってるはずが、まるで語られないままに終わるって、どうよ、これ?

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愛と闇の物語

2023年02月21日 00時00分10秒 | 洋画2021年

 ◇愛と闇の物語(A Tale of Love and Darkness)

 

 ジャーナリストのアモス・オズの伝記を映画化したもので、このナタリー・ポートマン演じる母親は、ロヴノという町で生まれて育ったという。ロヴノというのは、戦前はポーランド領、今はウクライナ領の都市で、リウネという。ポーランドをソ連が分割併合したとき、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の都市とされた。が、ナチス・ドイツに占領され、終戦前夜にソ連が奪還した。そんな都市からパレスチナへ逃れてきたんだけど、そのきっかけになったのが、ソセンキの森の大虐殺で、ドイツ人とウクライナ人とリトアニア人が2万3000人のユダヤ人を殺したらしい。

 まるで知らなかった。

 そんな森があるのも知らなければ、当然、この大虐殺についても知らなかった。

 それにしても、陰々滅々とした詩的な映画だな。

 ポートマンは、こんな話をおさない主人公に話して聞かせる。ふたりの僧が旅をしていて川で溺れている女を目にした。ひとりの僧が飛び込み、女に触れてはいけないという戒律を破って助けた。半年後、もうひとりの僧に尋ねた。女を背負ったのは罪だとおもうか?相棒は答えた。なぜ訊く、まだ背負っているのか?これ、よく知られた話だけど、ユダヤ教の僧ってことかしら?

 音楽は、ドビュッシーのベルガマスク組曲月の光。なかなか効果的でよろしい。

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ミュンヘン 戦火燃ゆる前に

2023年02月12日 22時49分21秒 | 洋画2021年

 ◎ミュンヘン 戦火燃ゆる前に(Munich : The Edge of War)

 

 緊張感ありあり。ぴりぴりする。

 女性の事務官を演じたアンジリ・モヒンドラがいい感じだね。どちらかといえば優柔不断で、つねに焦って緊張しつづけるジョージ・マッケイをそれとなく好きで応援してるっていう控え目な感じにくすぐられるわ。

 そのジョージ・マッケイとヤニス・ニーヴーナーの友情が、イギリスとドイツの狭間に翻弄されるのが主題なんだけど、煙草、1本くれといわれ、一緒に吸おうと答え、火をつけつつも紫煙を吐くのを待ち、一緒に吐く。金打みたいでかっこええ。ヤニス・ニーヴーナーの台詞がまたいい。ぼくたちは生きる時代を選べないが、どう生きるかは選べる。かっこええ。

 ただまあ、ジェレミー・アイアンズがどれだけ演技しても物分かりのいい聡明なチェンバレンっていう演出がどうにも納得しにくい。チェンバレンがいたことによってイギリスが参戦までの時間を稼げたとはいうものの、そのためにチェコスロバキアが併合されているわけで、これをよしとしてしまったら、あまりにもイギリス寄りな弁解映画に見えちゃわないか?

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ノマドランド

2023年01月31日 23時40分21秒 | 洋画2021年

 ◎ノマドランド(Nomadland)

 

 批評家たちや映画祭など、世界中から絶賛されてるんだけど、そこまで凄いか?

 なるほど、立ち小便から始まるとはおもわなんだ。象徴的だなっておもったけど、この冒頭部分がいちばんおもしろかったかもしれない。炊き出しを頼るキャンピングカーの集落が、なんとも遊牧民をおもいださせるし、放浪の民ノマドってのもよくわかる。同時に、映画中でもいってるように、これもアメリカなんだなともおもう。フランシス・マクドーマンドが製作総指揮と主演を兼ねたいと切望して、アカデミー賞で作品賞と主演女優賞を取っちゃうのもわかる。

 けど、だれる。

 単調な車上生活の点描に疲れる。

 そのかわり、音楽がいい。

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ベルファスト

2023年01月05日 23時46分38秒 | 洋画2021年

 ◇ベルファスト(Belfast)

 

 ケネス・ブラナーはこの作品でアカデミー賞の脚本賞を獲ったらしいんだけど、そうかなあって感じだ。なんだか少年時代に『小さな恋のメロディ』でも観たんじゃないかってくらい、おんなじような構図の情景が重なる。平和なロンドンの下町と、アイルランド紛争の勃発するベルファストの下町の差はあるけどね。

 アイルランドの問題が地球のまるで裏側に住んでいると、いまひとつ切実感がなくて、この当時のベルファストの雰囲気も想像しにくい。この少年ジュード・ヒルはケネス・ブラナーの幼い日なんだろうけど、なるほど、成績の良い内気な子供だったのねってことしかわからない。

 おもしろかったのは、カンバーバッチの親戚としかおもえないコリン・モーガンの煽る暴動で、ジュード・ヒルがスーパーから洗剤を盗むところで、お母さんカトリーナ・バルフに「なんで洗剤を盗んだの?!」とド叱られたとき、その答えが「環境に優しいから」って答えたところで、舞台だったらここで笑いをとるんだろうなっておもった。舞台の発想になったのは、このベルファストの下町のオープンがたったひとつだけで撮られていることで、なんだか舞台みたいだな~って最初からおもって観てた。

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クライ・マッチョ

2022年12月29日 12時36分39秒 | 洋画2021年

 ◎クライ・マッチョ(Cry Macho)

 

 かっこいいぞ、91歳。

 メキシコに入ったとき、馬の群れと並走する。かっこいい。つくづくイーストウッドは映画をわかってるんだな~っておもう。で、そうか、マッチョって闘鶏の鶏の名前なのか。自分を託した弱っちいけど心の優しい親に見放されたとおもって落ち込み続けて逃げ続けてる少年を再生させて連れて帰ることで、ロデオの全米チャンピオンだったのが落馬とともに人生が変わり妻子も死んで生きる屍のようになっていた男もまた再起していくっていう物語なんだけど、うん、鶏がよく調教されてるね。3人ならんで歩いてくし、悪人に飛びかかってイーストウッドを救ってくれるし。

 イーストウッドは91歳で濡れ場があるのかとおもいきや、淫乱性の母親の誘いを断りながら、国境ちかくの寒村で夫と息子夫婦を亡くして4人の孫を育ててる気の強い世話焼きの女性に出会って、結局、そこで新たな人生を作ろうとするんだけど、いや、たいしたもんだわ。なんとなく『マディソン郡の橋』をおもいだした。

 
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アイス・ロード

2022年12月15日 01時11分31秒 | 洋画2021年

 ◇アイス・ロード(The Ice Road)

 

 氷上の『恐怖の報酬』だわね。まあ、それに附属するとすれば、陰謀がらみの鉱山の崩落事故で30人の鉱夫が酸欠で死ぬまで30時間っていうリミットがあるくらいなもので、これがあるために、リーアム・ニーソンとローレンス・フィッシュバーンの運んでいく抗口装置(ウェルヘッド)が届かないようにするんだけど、この装置が3つも用意されてて、予備の予備まで運んでいくっていう時点で、ああ、これは2つはウィニペグ湖に沈むな~とおもってたら、案の定、そうなった。スー族のアンバー・ミッドサンダーがぷりんぷりんで可愛らしかったってくらいなほかは、まあいつものリーアム・ニーソン活劇に終始してたわ。でも、おもしろかったよ。リーアム・ニーソンに残念作は少ないね。

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OSLO オスロ

2022年12月13日 23時48分00秒 | 洋画2021年

 ◇OSLO オスロ(Oslo)

 

 なんでわざわざ原題のアルファベットを大文字に変えてまでして邦題にしているのか、わからん。

 そして、予告編で充分な感じがするくらいのちょっと怠惰な出来栄えだったわ。舞台がいいんじゃないかな。

 オスロ合意については、ぼくにはちょっと遠い。イスラエルとパレスチナの問題についてあれこれいえるほど知識があるわけでもないし、もともとのイギリスの二枚舌外交の招いた悲劇なんだからイギリスが和平については責任をもって対処するべきだろうとおもってるだけだ。だから、なんで、このテリエ・ロード=ラーセンっていう社会学者とモナ・ユールっていうノルウェーの外交官の夫婦が仲介に乗り出して、ついに合意にまで到らせるのかがよくわからない。なんとなく彼女の体験をフラッシュ・バックさせてるんだけど、イスラエルの若年兵とPLOの義勇兵の小僧とが殺し合いの寸前になってるのを見せられたって、そんな体験は多くの人達がしてるわけで、この夫婦が特別だったという背景や理由にはならない。つまり、動機がちゃんと描かれてない。これは、つらいね。

 やっぱり、スピルバークが製作総指揮じゃなくて、監督した方がよかったんじゃないか?バートレット・シャーって舞台の監督だったんでしょ?どうも舞台から離れきれないんだよね。これは、あかん。まあ、ヒロインを演じたルース・ウィルソンはよかったけど、旦那役のアンドリュー・スコットはどうもなあ、いまだに『シャーロック』をひきずっちゃってるんだよね、ぼくは。困ったもんだ。

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ゴジラvsコング

2022年11月07日 00時08分55秒 | 洋画2021年

 △ゴジラvsコング(Godzilla vs. Kong)

 

 くそのような始まりに観たのを後悔した瞬間、コング収容ドームだとわかり観続けることにした。しかし、観る内に最初の直感が正解だったのを確信したわ。はっきりゆうたる。つまらん。つ、ま、ら、な、い。

 
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