Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

火天の城

2014年07月10日 19時12分41秒 | 邦画2009年

 ◇火天の城(2009年 日本 139分)

 staff 原作/山本兼一『火天の城』

     監督/田中光敏 脚本/横田与志

     撮影/浜田毅 美術監督/西岡善信 美術/吉田孝

     音楽/岩代太郎 主題歌/中孝介『空が空』

 cast 西田敏行 椎名桔平 大竹しのぶ 夏八木勲 福田沙紀 渡辺いっけい 笹野高史

 

 ◇天正四年、安土

 尾張熱田の宮大工、岡部又右衛門がいかにして安土城を築いたか、

 という話なんだけど、安土城についてはいまもってよくわかっていない。

 5層7重の天主を築いたというんだけど、

 その形がどんなものだったのかってことも研究者の意見は分かれてる。

 でもまあ、それはそれとして、

 原作がどうなってるのかは知らないけど、

 この映画では天主の各階はぶちぬきになってない。

 なんでかっていうと、西田敏行も懇々と説明してるとおり、

 これまでの有力な説のとおりだと、煙突状になってしまって、

 火炎のまわりが早いからだっていう。

 ぼくの意見はさておき、それはそれでいい。

 だって、映画は監督のものなんだから。

 ただ、木曾から伐り出してくる檜については、

 もっと信じられないような凄まじいものであってほしかった気もしないではない。

 とはいえ、てがたくまとめた物語にはなってたな~っていうのが印象だ。

 ちなみに、築城の棟梁だった人物の名前はなかなか残らない。

 総大匠司の位と日本総天主棟梁っていう称号まで、

 信長から与えられてる岡部又右衛門のような例は、

 きわめて少ないんじゃないかっておもうんだけど、

 実際はどうなんだろう?

 さらにいうと、岡部又右衛門は本能寺の変で、死んでる。

 信長に同宿していたのが災いしてたらしいんだけど、

 これは、ほんとにそうだったんだろうか?

 ぼくだったらちょっと違う物語を想像しちゃうんだけどな~。

 ま、それは映画とはまるで関係ないことだから、書かない。

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重力ピエロ

2014年05月25日 13時05分00秒 | 邦画2009年

 ◎重力ピエロ(2009年 日本)

 意外な拾い物が落ちてきたっていう印象だわ。

 ぼくは世間の流れに疎くて、

 どんな小説が流行ってるのかまるで知らないし、興味もない。

 それは役者にしても歌手にしてもおんなじことで、

 そういう意味からすれば、まったく社会から取り残されてる。

 だからといって生きていけないわけじゃなく、

 ほら、こうしてなんとか棲息してる。

 で、この映画なんだけど、

 人間って、いろんなふうに生息していっちゃうんだな~って気がした。

 ま、それは最後にふりかえってみたときの感想なんだけど、

 途中まではきわめて興味深いサスペンスを見てるような感覚だった。

 自分がかつての連続暴行魔によって犯された母親から生まれたという事実、

 父親の出所はつまり自分たち家族の崩壊を予兆させるのではという不安、

 父親に対する殺意故のかつての暴行現場への放火と、

 遺伝子の配列を暗号化したことでの自分なりの告白、

 そうした弟の過激な行動に気づき、弟を救おうとする兄の兄弟愛、

 そうした兄弟をじっと見つめながら癌を受け入れる父の家族愛、

 家族以外の他人からは理解されないと苦悩する弟へ向けられる、

 全身を整形してでも愛されたいと渇望する後輩の恋慕、

 そんなことどもが一緒くたになって推理劇になってるわけで、

 原作がおもしろいのか脚本がうまくまとめているのか、

 ぼくにはよくわからんのだけど、

 でも、出来のいい邦画だったな~って感じだ。

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トロッコ

2014年05月10日 18時35分05秒 | 邦画2009年

 ◎トロッコ(Rail Truck 2009年 日本)

 よく作ったなあってのが、いつわらざる印象だ。

 台湾の花蓮県に行きたいっておもわせるんだから、ほんとによくできてる。

 あらすじはさておき、

 なんといっても梅芳がうまい。

 ほかの役者さんもそうだけど、

 いかにも、むかし、日本人に習った日本語を喋ってる感じがよく出てて、

 この台詞を書いた人はたいしたもんだっておもえた。

 カメラも音楽もともにしみじみしてて、全体の統一感がよく取れてる。

 花蓮県の港まで軌道が通じているっていうのを、

 もうすこし出してほしかったのと、

 写真を小道具にしているわりには、それについての挿話がなかったのと、

 子供ふたりが初めてのところに来ているんだから、

「帰り道はわかるのか」と質問して、

 子供を連れてきた張本人が追いかけていかないのはないだろっていうことと、

 尾野真千子が「台湾で子供を育てたい」といえるまでになる挿話がなかったのと、

 どうして祖父母が別々に暮らしていたのかっていう台湾の一家の説明が、

 いまひとつ不十分におもえたことなど、

 絵つくりやその場その場の演出が好いだけに、

 ところどころの疑問符が残ってしまうのが惜しい。

 でも、よかったわ。

 ええ映画やったわ。

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風が強く吹いている

2014年05月05日 14時17分56秒 | 邦画2009年

 ◇風が強く吹いている(2009年 日本)

 なんだか、

 時代設定がいつなんだろって、おもいながら観てた。

 たぶん、昭和50~60年代なんだろうけど、

 そういうところからいえば、

 おんぼろアパートに下宿する学生たちの雰囲気も、

 時代を感じさせるあだ名のつけ方も、

 おたがいの感情が交差していくあたりも、

 さらにいえば、登場人物たちのそれまでの話も、

 なんとなくすんなりわかる。

 ぼくもその時代に生きてたしね。

 でもな~、

 ぼくはマラソンとか得意じゃないし、

 箱根駅伝とかもわざわざ観に行くほどのファンでもないから、

 めったなことはいえないんだけど、

 こういう青春もあったんだろな~って気がした。

 ただ、なんていうのかな、

 人物の設定と描き方が、

 往年の少年漫画や少女漫画を足して割ったみたいな印象で、

 ぼくの住んでるみみっちい現実とは、

 ちょっとばかり懸け離れた観はあったかなあ。

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大洗にも星はふるなり

2013年12月23日 14時41分10秒 | 邦画2009年

 △大洗にも星はふるなり(2009年 日本 103分)

 staff 原案舞台/ブラボー・カンパニー『大洗にも星はふるなり』

     監督・脚本/福田雄一 撮影監督/中山光一

     撮影/高野稔弘 美術/小泉博康 ヘアメイク/池田真希

     タイトルバック/本郷信明 主題歌/メロライド『ココニアル』

     オープニングテーマ/スケルト・エイト・バンビーノ『I'll be waiting』

     劇中歌/Mountain Mocha Kilimanjaro+Nello『Just A Rambiling Man』

 cast 山田孝之 戸田恵梨香 山本裕典 ムロツヨシ 佐藤二朗 安田顕 小柳友 白石隼也

 

 △クリスマスイヴってなんだろ?

 日本だけがこんなことになってるんだろか?

 こんなことってのは、要するに惚れた腫れたっていう話だが、

「メリークリスマス」

 とかいって乾杯したり贈り物したりご馳走食べたりエッチしたり、

 幸せだな~っておもう恋人や家族がいる一方で、

 不幸せさを噛み締めてる孤独な者もいたりするし、

 さらに「そんなもん、どーでもええわ」とおもってる奴もいる。

 人は、それぞれだ。

 ところが、この映画は登場人物のベクトルがおんなじで、

 ただひたすら戸田恵梨香のことを好きな連中が大洗に呼び出される。

 もちろん、勘違いしてるわけなんだけど、それぞれに個性はあるものの、

 結局のところ、戸田恵梨香に翻弄されてる哀れな男どもでしかない。

 さらには、クリスマスイブの海の家に呼び出したのは、

 戸田恵梨香じゃないっていう最初からわかりきってる話に展開するんだけど、

 とにもかくにも、舞台が元になってるものだから、台詞がめったやたらに長い。

 さらにいえば、映画的な手法は取らずに、

 ひたすら舞台を思い出させる感じの固定キャメラと長回しで進んでく。

 好い悪いはこれもまた人それぞれだけど、

 舞台的な撮り方をしてるものだからか、大仰な芝居で包まれてるのには、

 いや、たしかにみんな一所懸命だし、

 練習も積んできたんだろうな~って感じは、

 ひしひしと伝わってはくるんだけど、

 ちょっとだけ「ん?」っておもわざるをえない。

 だって、

 舞台を元にしてても映画は映画なんだから映画的な撮り方でいいし、

 芝居も同じことだ。

 舞台を映画にするのであれば、舞台そのものを撮ってもいいんだし、

 そういうことからいうと、

 なんだか映画なのか舞台なのか微妙な感じもあって、

 どっちつかずな印象をちょっとだけ持っちゃったかな~って感じだ。

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旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

2013年12月18日 14時34分11秒 | 邦画2009年

 ◎旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ(2009年 日本 112分)

 staff 監督/マキノ雅彦(津川雅彦) 脚本/興水泰弘

     原案/小菅正夫『旭山動物園 革命-夢を実現した復活プロジェクト』

     撮影監督/加藤雄大 動物撮影/今津秀邦

     動物実景/植原雄太(秋田市大森山動物園、アフリカゾウ)

             進藤慧太(日立市かみね動物園、ゴリラ)

     美術/小澤秀高 壁画/あべ弘士

     ゴリラスーツ製作/江川悦子 梅沢壮一 チンパンジー造形/若狭新一

     音楽/宇崎竜童 中西長谷雄 主題歌/谷村新司『夢になりたい』

 cast 西田敏行 中村靖日 前田愛 笹野高史 長門裕之 岸部一徳 柄本明 六平直政

 

 ◎1967年7月1日、旭川市旭山動物園、開園

 動物園って、もう何年行ってないんだろう?

 ぼくの田舎には丘の上に公園があって、その一角に動物の檻がいくつかある。

 鹿の柵、猿の檻、水鳥を含めた鳥類の檻、その他小動物の檻が5つくらいかな。

 ともかく、動物園とはいえない代物なんだけど、もう半世紀以上も飼育されてる。

 昔から疑問があって、

 あの施設はいったい誰が管理してるんだろうってことだ。

 以前は、檻の近くの展望台の下に売店があって、そこで食べ物も買えた。

 いったい誰が営業してたのかわからないんだけど、

 市の委託を受けた家族とかが管理営業していたんだろうか。

 もうこれは何十年来の謎で、

 小さいときからよく遊びにいった公園に、こんな謎が残されてるのも妙な話だ。

 いや、実際のところ、春の桜の季節のほかには誰も来なくなった公園に、

 いまだに鹿や猿が飼育されているのかどうかすら市民は知らないだろうし、

 閑散とした公園の端にある動物の檻の前で、動物を観ることほど淋しいものはない。

 まあ、これは車で1時間も行けば名古屋の東山動植物園があるからで、

 全国で3本の指に入る巨大な施設にあれば、みんな、そこに行っちゃう。

 なんだか淋しい話だけど、そういうもんだ。

 で、おそらく、

 旭山動物園も、ある時期にはぼくの田舎の公園みたいになってたんじゃない?

 というようなことをおもったんだけど、どうやら違うらしい。

 今では東山動植物園と全国2位を争う巨大施設は、

 当初からかなりの期待を込めて建設されたものみたいだ。

 そりゃそうだろう、北緯43度46分4.9秒、東経142度28分47.2秒っていう、

 日本のいちばん北にある動物園を作ろうってんだから、期待しない方がおかしい。

 けど、人口30万の旭川市では維持しきれないほどの赤字に追い込まれた。

 この映画は、開園のくだりはなく、廃園の危機に追い込まれたあたりから始まる。

 ま、あらすじのあらかたは、実際の年譜にあるとおりだ。

『1972年、飼育員がアジアゾウに襲われ死亡する。あべ弘士、入園。

 1988年、飼育員達が行動展示の夢を語り合い、あべ弘士が絵として残す。

 1994年、ニシローランドゴリラとワオキツネザルがエキノコックス症で死亡、途中閉園。

 1995年、小菅正夫が園長就任。

 1996年、1984年から減少していた年間入園者数が最低の26万人まで落ち込む。

 1997年、行動展示施設の建設開始。ととりの村が完成。あべ弘士、退園して絵本作家に。

 2000年9月、ぺんぎん館が完成。

 2001年8月、オランウータンの空中運動場が完成。

 2002年9月、ほっきょくぐま館が完成。

 2004年6月、あざらし館が完成。行動展示をめざした水槽が入園者数激増の要因となる。

 2004年7月・8月、初めて月間入園者数が恩賜上野動物園を抜き日本一になる。

 2007年12月、レッサーパンダの吊り橋が完成。

 2009年4月、坂東元が園長就任』

 時系列的にはこうなってるんだけど、

 これらをたった数年の時間軸に組み込んでるわけだから、

 当然、エピソードは盛り沢山になるよね。

 くわえて狂言回しになる新人の飼育員と、

 市政とのカットバックをスムーズにするための市長の姪とを設定し、

 そのふたりのほのかなやりとりから、

 新人飼育員の幼少時の虐めによる昆虫採集への逃避とそこからの再生について、

 さらには、実際には行われていない市長選挙による市長の交代劇まで、

 もう、これでもかってくらいに、詰め込まれてる。

 さすが「マキノ」というべきなのか、ともかく、よく物語になってるってくらい上手だ。

 まあ、それについては達者な役者たちの演技もあるんだろうけどね。

 なにより拍手したいのは、監督の実兄長門裕之の演技だ。

 晩年はどうしても大物の役が多く、動かない役回りだったのが、

 この映画ではおもいきり爆ぜてる。

 弟がマキノを名乗って監督しているし、

 恥ずかしい演技はできないっておもったんだろうね。

 飛び回り、叫び回り、哀愁を籠め、頑固に振る舞い、照れてみせる。

 長門裕之の演技の集大成になってるっていってもいいくらいだ。

 そういうことでいえば、出演者はびっくりするくらい豪華なんだけど、

 映画となればこの役者とかっていう人達が出てきてないのがまた好ましい。

 ただ、なににも増して好いのは、動物の撮影だ。

 実景班は、役者の撮影に入る半年も前からカメラを回してるみたいで、

 まあ、そうでなくちゃ、

 象の交尾とか、象の雪だるま投げとか、ゴリラのドラミングとか、撮れないよね。

 西田敏行が退職して去っていくとき、動物たちはいっせいに鳴き、

 ペンギンにいたっては「おつかれさまでした」といってでもいるように頭を下げる。

 もう、凄い。

 一般の映画の実働日数では絶対に撮れない映像だった。

 ちなみに、ぼくは動物が好きだ。

 小学校の頃、動物のフィギュアを集めることに没頭してた。

 集めていたのはイギリスのブリテン社のもので、

 まがいものの香港製品とかとは比べ物にならないくらい精巧なフィギュアだった。

 その後、アメリカのサファリ社やドイツのシュライヒ社とかが隆盛を極めて、

 ブリテン社はなくなってしまったんだけど、

 ぼくにはどうも顔が妙に愛らしくなってしまったサファリやシュライヒは苦手で、

 母親の買い物について名古屋へ行くたびに、ブリテンの動物を買ってもらった。

 何百体になったのかわからないけど、いまでも200体くらいはあるんじゃないかしら。

 当時、動物フィギュアは名古屋でも松坂屋でしか取り扱ってなくて、

 それも、ほんのちょっとショーウィンドウの中に陳列されてるだけで、

 象やキリンやライオンやゴリラはいつもあるんだけど、

 カモノハシやオカピやチンパンジーはめったに入ってこなかった。

 もっとも、いまでは、フランスのパポ社もくわわり、

 Schleich(シュライヒ)、PAPO(パポ)、Safari(サファリ)といって三つ巴の競争で、

 どこも大量の種類を出して、どんどん精巧になってる。

 動物園の売店とかに行っても、見かけるようになったのは、

 20年くらい前だったような気がするけど、ともかくその頃からフィギュアは変わった。

 そんなぼくにとって、旭山動物園の話はなんとなく身近な感じがして、

 ついつい見方も肩入れしたものになっちゃう傾向にはある。

 ま、仕方ないよね。

 ただな~、こういう映画を観ると、

 どうしても、また、フィギュアを集めたくなっちゃうし、旭川にも名古屋にも行きたくなる。

 でも、そんな予算も時間もないから、

 とりあえずは、恩賜上野動物園にでも行ってみようか。

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クヒオ大佐

2013年10月16日 01時11分11秒 | 邦画2009年

 △クヒオ大佐(2009年 日本 112分)

 staff 原作/吉田和正『結婚詐欺師クヒオ大佐』

     監督/吉田大八 脚本/吉田大八 香川まさひと 撮影/阿藤正一

     美術/原田恭明 装飾/沢下和好 特殊メイク/小西修 音楽/近藤達郎

 cast 堺雅人 松雪泰子 満島ひかり 中村優子 新井浩文 安藤サクラ 内野聖陽

 

 △1984年、クヒオ大佐、逮捕

 容疑、詐欺罪。

 1989年、出所。

 ちなみに、この信じられないような詐欺事件は、おぼえてる。

 大学を出て、社会人になってた。

 当時、写真週刊誌があいついで創刊されてて、

 たしか、このクヒオ大佐も掲載されていたんじゃなかったかな。

 信じられなかったのは、バイアグラを常用してたっていうくらい、

 つぎつぎに女性をだまくらかしてたってことだ。

 どっから観ても日本人の中年だし、軍服はレプリカだし、

 カタコトながらも正確な日本語だったろうし、英語も喋れなかっただろうし、

 なにからなにまでちぐはぐで、偽将校だってことはありありとわかるはずなのに、

 都合1億円くらい、荒稼ぎしてたなんて、到底、ぼくには信じれなかった。

「なんでだろ?」

 わからなかった。

 が、さすがに吉田大八は、そのぼくの疑問に答えてくれてる。

 松雪泰子の台詞がそれだ。

「わたしは、あなたがアメリカ人だろうとなかろうと、軍人だろうとなろうと、

 そんなことは、どうでもいいの。

 あなたの職業や肩書が好きなわけじゃなくて、あなたが好きなんだから」

 とかいうような台詞だったとおもうんだけど、

 世の女性は、たぶん、こういう台詞に憧れちゃうんじゃないかしら?

 こんなふうな台詞そのものに恋して、自己陶酔しちゃうんじゃないかしら?

 けど、

 この松雪泰子は、仕事はしっかりしてるんだけど、男には免疫がなく、

 こと恋愛に関してはかなりの奥手で、要するにおばかちゃんだ。

 ちょっと足りないから、男についつい騙くらかされてしまう。

 吉田大八の演出でよかったのが、彼女をマッサージしてやるところだ。

 手をあげてなさいといわれた彼女は、

 横になって愛撫を受けているのに尚、なんの疑問もなく、手を上げ続けている。

 あほな女だな~とはおもうんだけど、こうされるとどうしても憎めない。

 大八演出は、冴えてる。

 ただ、松雪さん、こつこつとお弁当屋さんを営んでて、苦労してる。

 そういう健気なところを見てると、

 世の中を知ったような態度で人に接する、金持ち自慢の高慢ちきな女とかよりも、

 よっぽど好いようにおもえるんだけど、

 なんだか、どことなく哀れなんだよね。

 こういう純朴な女性を騙していたとすれば、

 それが、どれだけ悲惨な半生を送ってきたにせよ、罪に伏してもらわないといけない。

 っていうか、堺雅人演じるクヒオには共感できないし、哀れともおもえない。

 このあたりが、この作品の辛いところで、コメディになりきれないんだよね。

 もちろん、コメディとして撮られたかどうかはぼくは知らないから、

 いいかげんなことはいってはいけないんだけど、

 内野聖陽の登場するすべての場面と本編とが、妙にちぐはぐな感じもあって、

 いったい、この映画はコメディなんだろうか、それとも悲劇なんだろうか。

 たぶん、本来の意味でいう悲喜劇(コメディ)なのかもしれないね。

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不惑のアダージョ

2013年04月15日 02時08分40秒 | 邦画2009年

 △不惑のアダージョ(2009年 日本 70分)

 staff 監督・脚本・編集/井上都紀

     撮影/大森洋介 美術/増田佳恵 音楽/柴草玲

 cast 柴草玲 千葉ペイトン 渋谷拓生 橘るみ 西島千博

 

 △このアンバランスな感覚はなんだろう?

 主題はいたってシンプルだ。

 処女のまま不惑を迎えてしまった修道女が抱える不安、焦慮、葛藤、そして性の目覚め。

 これがそのまま素直にあらすじになり、

 植木職人、ストーカー、バレーダンサーとかいった一般的な会社員ではない男とふれあい、

 初潮を迎えた女の子と、赤飯を媒介にして繋がり、それぞれの将来をことほぐ。

 季節と人生の秋がいたるところに見え隠れする、静かで上品な映画だ。

 ただ、主人公の女性はやけにリアルなんだけど、

 どうにもこうにも、絡んでくる男たちがみんなリアルじゃないのは、

 いったいどんな狙いがあるんだろう?

 いちばんわからないのは、

 自転車に乗った彼女を、無数の男どもが追い掛けてくる場面で、

 あれは、脳内幻想なんだろうか?

 女性が、性衝動と性行為、

 それも、不惑となってから恋と性の目覚めを一気に体験するなんていう映画を撮る。

 そうした挑戦には、しっかりと拍手したい。

 でも、これって、観念的っていったら誤解を招いてしまうかもしれないんだけど、

 不惑を迎えてない女性が未知の女性を想像したものじゃない?

 てなことを、女性のことなんかなんにもわかっていない僕はおもってしまった。

 うまくいえないんだけど、女性が更年期にさしかかるときってのは、

 この映画以上に淡々としたものなんじゃないのかな~とかね。

 映画がアンバランスっていうのは、

 空気がなんとなく自主映画じみてて、

 主人公の演技が非常に自然で、とても好感がもてる反面、

 話の展開がドキュメンタリとは対照的に、やけに作り物めいていることかもしれない。

 植木鋏をぞんざいに扱う植木職人に始まり、男たちがやけにカリカチュアされていて、

 なんていうか、現実味が感じられないような演出をしていることなんで、

 いったいどこまでが計算されたもので、どこまでが偶然の演出なんだろう?

 とかいうことをおもわず感じちゃったってことだ。

 観客の女性の立場に立てば、

 彼女が拭いてあげる百合のめしべがすべてを物語ってない?…てのに始まり、

 早すぎる閉経ってほんとに不安だし、誰にでも訪れるのに誰もが不安なんだよ…とか、

 男の人には絶対にわからない女性のひとつの分岐点がリアルに描かれてて…とか、

 これまでの映画は男性目線だから性衝動とか描かれてもみんなオーバーで…とか、

 なるほどそうだよねっていう意見になるんだろうし、ぼくもそうおもいます。

 でも、それなのに、

「どうして、男たちは、設定がどれも濃いのに、透明な印象だけ残してしまうの?」

 っていう疑問がわだかまってしまう。

 なんとも不思議な映画でした。

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20世紀少年 最終章 ぼくらの旗

2013年03月05日 20時10分03秒 | 邦画2009年

 △本格科学冒険映画 20世紀少年 最終章 ぼくらの旗(2009年 日本 155分)

 英題 Twentieth Century Boys 3: Redemption

 staff 原作/浦沢直樹 監督/堤幸彦 脚本/長崎尚志、浦沢直樹 脚本協力/渡辺雄介

     撮影/唐沢悟 美術/相馬直樹 主題歌/T・レックス「20th Century Boy」

     音楽/白井良明、長谷部徹、Audio Highs、浦沢直樹

 cast 唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 香川照之 佐々木蔵之介 平愛梨 宮迫博之 黒木瞳

 

 △一六、三八、四九、五十

 いちろく、さんぱち、しく、ごっとう、というのは、朝市の出る日の数え方だ。

 ぼくの故郷では、

 4つの路地に野菜を中心にした朝市が出、それぞれの市が立つ日は決まっている。

 月の内、一と六の日、三と八の日とかいって、それぞれ、いちろく、とか、さんぱちとか、いう。

 二九(にっく)は、市がお休みの日なんだけど、

 日曜だけ休んで、後は年がら年中、常設されている市もあった。

 雑貨や洋服をあつかっている市場で、戦後の闇市がそのまま残ったものだ。

 といっても、こちらの雑貨市は昭和40年代の前半くらいまでしかなかった。

 神社とお寺の隣り合った小路が、ひと筋そのまま市場になっていて、

 お寺の門前には団子屋が、薬師堂の前にはおでん屋があった。

 洋服屋や電機屋もあり、どれもみんな戸板を立てたようなバラック建てか、

 三島屋のように幔幕を張り巡らせただけのものもあった。

 ただ、簡易式の屋根だけはどの店にもあったから、

 若造時代の万丈目がフクベエ達を相手にしていたような露天商というわけでもなかった。

 アポロ11号が月面着陸したとき、酔っ払いが「あれは嘘だ」とくだを巻いていたのも、

 この市場の入り口になっている辻に立つ串専門の屋台で、

 やけに顔立ちのいい、白髪の退役軍人さんがトン串を焼き、ドテを煮てたっけ。

 原作で、昭和のテーマパークを「ともだち」が造ったとき、

 下町の匂いまでそのままになっているというユキジの台詞があったけど、

 たしかに市場は特有の匂いがあった。

 懐かしく、離れがたい匂いだ。

 くれよんシンちゃんではヒロシの靴下の匂いがその懐かしい匂いに勝つんだけど、

 たしかに、市場の匂いは懐かしさに満ちた昭和の象徴なのかもしれない。

 それはさておき、

 原作と映画が異なるのは当たり前のことで、

 それぞれ別個な作品とおもった方が気が楽だ。

 だから、この最終章もそういう気持ちで見ればいいんだけど、

 なんていうのか、ちょっぴり違和感みたいなものも感じてしまった。

 原作うんぬんの話ではなく、独立した映画作品としての話だ。

 たとえば、

 北海道でコンチと13号が出会い、ヘリで飛び立ってゆくとき、

 ぼくらの旗を掲げた蛙帝国のトラックとがほぼ一緒に旅立ったんで、

 あ~これは途中でトラックが立ち往生してヘリが助けて一緒に行くんだな~、

 だって、別れ別れになった友達が旗の下にひとりずつ戻ってくるのが主題でしょ、

 とおもってたら、あにはからんや、まるで並行移動だった、

 とか、

 円盤が飛来するのは、実は万博のコンサート会場で、

 しかも、ようやく駆けつけたケンヂが歌を歌おうとしたときで、

 さらに、細菌の雨が降る中、ヘリが駆けつけて、

 仲間がちからをあわせてワクチンを打ってくんだろな、

 だって、そのために12時間の潜伏期間を設定したんでしょ?

 で、ここに細菌をまき散らすから二足歩行ロボットに乗って撃墜するんだろな~、

 主人公たちが「ともだち」は万博会場を破壊しないと信じているのに、

 それがおもいもよらない形で裏切られるのが映画の醍醐味だもんね、

 とおもっていたら、2015年のウッドストックとロボットとの対決はまるで別場所だった、

 とか、

 フクベエの正体はかなり早い時期にわかって、

 鮒の解剖の前日に死んじゃったカツマタ君の疑惑が徐々に出てきて、

 その正体を暴くのは昭和のテーマパークの中か、コンサート会場になるんだろな~、

 「ともだち」との対決はやっぱり万博会場で、ラストは昭和の秘密基地でなくっちゃな~、

 とおもっていたら、一連のクライマックスが終わってから野っ原にフクベエの登場で、

 しかも、いまさら本格サスペンスまがいのヨシツネ犯人説とか展開しちゃうわけ~?

 とか、

 「ぼくらの旗」っていう副題にしてるんだから、

 ひとりひとりの再会を丁寧に描いていって、

 みんなで揃って戦いに挑んで、やがてコンサート会場に翻るんだろな~、

 そのときはボブ・レノンを40万人が大合唱しないとケツが締められないでしょ、

 とおもっていたら、旗の話なんて途中でどっかにいっちゃって、

 なんだか小さなロックコンサートのスタッフみたいになってるだけの仲間達なんだね、

 とか、

 中学の放送室占拠の日が、

 ケンヂとカツマタ君の終わりのやりとりで、それが新しい始まりになるんだろうけど、

 そのときまで「ごめんなさい」はいえずにいるんだろうな~、

 とおもってたら、なんのことはない、駄菓子屋ジジババの店先でやっちゃうんだ~、

 とかね。

 ともかく、途中から期待してた展開がことごとく裏切られるとは、

 まるでおもってなかったわ、まじで。

 つまり、原作は置いといた上での話だけど、

 脚本の流れが途中でぶつぶつと途切れて、

 クライマックスが2度あるのは仕方ないとしても、

 最初の対ロボットのクライマックスに収束していかないのは、

 なんだか燃焼不良なまま、だらだら続いている観があったし、

 CGが見せ場になるよりも秘密基地の仲間の友情の復活と、

 世界の憎しみの対象になってゆく旗の復権が見せ場になった方がよくない?

 とおもわず口に出てしまいそうだったわ。

 とはいえ、

 おかげで懐かしい風景をおもいだすことができただけでも見た甲斐はあったのかも。

 ちなみに実家のちかくの旧闇市(常設市場)が無くなったのと、

 大阪万博expo70が開催されるのと、ほぼ同時期だった。

 そうしたことからすると、大阪万博(一般博)ってほんとに時代の変わり目だったんだね。

 万国博覧会は、その後、

 沖縄海洋博(特別博)、つくば万博(同)、大阪花博(同)、愛知万博(登録博)とか、

 4回あったけど、どれもいまいち盛り上がらなかった。

 愛・地球博はちょっぴり期待したけど、

 もう「人類の進歩と調和」なんて綺麗事を信じられるような時代じゃないのかな。

 映画では、東京万博は2015年に開催されるんだけど、

 やっぱり、半世紀ぶりの2020年に大阪で開催されないかな~、

 もちろん、認定博覧会(旧特別博)じゃなくて登録博覧会(旧一般博)ね。

 てなことを夢想してしまうのでした。

 おしまい。

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20世紀少年 第2章 最後の希望

2013年03月04日 00時36分59秒 | 邦画2009年

 ◇本格科学冒険映画 20世紀少年 第2章 最後の希望(2009年 日本 139分)

 英題 Twentieth Century Boys 2: The Last Hope

 staff 原作/浦沢直樹 監督/堤幸彦 脚本/長崎尚志、渡辺雄介 脚本監修/浦沢直樹

     撮影/唐沢悟 美術/相馬直樹 主題歌/T・レックス「20th Century Boy」

     音楽/白井良明、長谷部徹、Audio Highs、浦沢直樹

 cast 唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 香川照之 宇梶剛士 小日向文世 木南晴夏 黒木瞳

 

 ◇秘密基地。

 なんて魅惑的な言葉なんだろう。

 幼稚園のとき、運河沿いの地蔵堂の床下は、ぼくらの秘密基地だった。

 土壁に囲まれて、多少のカビ臭さはあったけど、夏は涼しく、冬は暖かな秘密の場所だった。

 基地を作るという技術のなかったぼくらは、小学校になると薬師堂の堂内に集まった。

 夏、お盆の頃になると六双の地獄絵が架けられ、それはそれは不気味な空間だった。

 高学年になり、万博を経験した後、秘密基地はいよいよ本格的なものになった。

 白木の瓶箱を積み上げても、電話線のドラムで囲っても不満だったぼくらは、

 ついにトタン板を空き地に持ち込み、穴を掘って掘立小屋を作り、

 やがては土を背丈よりも深く掘り、その上にトタンを張って、秘密の地下基地を作った。

 アルコールランプはなかったから、蝋燭を持ち込んで灯かりにした。

 基地はできるまでが愉しく、完成するとその魅力は半減したけれども、

 やっぱり空き地が駐車場になってしまったときには、いうにいわれぬ悲しさに包まれた。

 基地を作るのは、駄菓子屋でお菓子を買うまでに似た高揚感がある。

 駄菓子も買うまでが愉しく、選んでいるときのどきどき感はたまらない。

 当時、壱文菓子屋は何軒かあったけど、いちばん通ったのは屋台の三島屋だった。

 6年生のあるとき、クラスで仲の良かったやつの家に遊びにいったとき、

 土間に「三島屋」と染められた暖簾の掛かった屋台が置かれていて、

「お、なんだ、こいつのばーちゃんだったのか」

 と、気がついたときにはちょっとびっくりしたもんだけど、ともかく、

 そのばーちゃんが門前まで屋台を引いてきて、幔幕で囲み、日がな一日、そこで商いしてた。

 いちばん安いのは一個一円の三角菓子で、高い籤引きになると30円はしたっけ。

 塾へ通う道すがらに買うのは揚げたてのコロッケで、それは小学生の貴重な活力源だった。

 コロッケを買って食べたのは道端か公園だったけど、駄菓子は薬師堂でよく食べた。

 その内にお小遣いの使い道はプラモデルに、旅行先では三角ペナントに移っていった。

 ラジコンカーとプラモデルもやがて興味が失せ、雑誌は買わずに漫画の単行本を買った。

 漫画好きに共通しているのは「折るな、汚すな」で、開くときは45度を厳守した。

 教科書はぐりぐり折り目をつけて開くのに、漫画だけはそうはしなかった。

 ぼくたち田舎の少年には、東京タワーも都電もなかったから、漫画だけが心の支えだった。

 おかげで、いまもぼくの帯付き初版単行本のあらかたは、ぴんぴんのまま保管されている。

 オタクという言葉はなかったし、マニアなんていう単語がかろうじて生まれる頃の話だ。

 ところで。

 第1章に比べると、第2章はかなり原作とは異なっている。

 理科室の件が上手にまとめられ、あらすじに変化は生じているものの、

 複雑な話が判り易く展開している。

 にしても、いったい、どんな科学技術を使うと、脳内にあんな過去が創出できるんだろう?

 ま、そんなことはいいとして、鮒の解剖の前日に突然死んじゃったカツマタ君、

 そろそろ謎解きに絡んでくるのかな~とおもっていたら、

 その象徴になってる忍者ハットリ君の首吊りと、首吊り坂のてるてる坊主の首括りだけだった。

 けど。

 ケンヂたちが自分たちを正義の味方と信じ、友民党が悪の教団と断定される「よげんの書」が、

 救世主の立ち上がりと暗殺にいたる「しんよげんの書」に移っていくに連れて、

 ケンヂたちがスケープゴートとして悪の教団にすり替えられてしまう筋立ての巧みさは、

 さすがに浦沢直樹の話運びの上手さというべきなんだろうか。

 いじめ、仲間はずれ、カツアゲ、ばい菌、無視、絶交、プライドの崩壊。

 少年特有の無邪気な残酷さと決して消えない心の傷、そして同時に、罪の意識。

 おそらく子供だった頃には、大小の差こそあれ、誰もが感じてきただろう辛い記憶の欠片。

 それが、浦沢直樹の筆によってまのあたりにされてきたし、またこのたびの映像化でも、

 少年の日々は決してきらきら輝いていただけじゃないと改めて自覚された。

 昔の日々を蘇らせてくれただけでも、ありがたいことだ。

 ちなみに。

 木南晴夏は、すごかった。

 小泉響子という女子高生を、まるで原作から抜け出したかのように演じてみせる技量は、

 これ、並大抵なものじゃないっす。

 たしかに子役のキャスティングも見事だったし、美術もまた好かったけど、彼女には及ばない。

 ただ、これから他の作品で演じてゆくのは苦労するだろうな~ともおもっちゃうんだけどね。

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トランスフォーマー/リベンジ

2010年12月10日 00時54分41秒 | 邦画2009年
 ◇トランスフォーマー/リベンジ


 散漫だなあ。

 ていうか、ちょっと設定が強引すぎるだろ。

 ピラミッドの中に惑星破壊装置が保存されてるとか、ペトラ遺跡の奥がかつてのプライムたちの墓だったとか、まあ、子供向けの冒険自動車活劇とおもえばいいんだけどね。でも、工事用の車輪が合体するデバスデーターは凄かった。それにしてもまあCGの細かなことといったらない。すごいな。

 スティーヴ・ジャブロンスキーの音楽は、このシリーズは印象に残るんだけど、ほかの映画はどうもいまひとつで、なにがちがうんだろうね。

 ちなみに、舌がびよーんと伸びてくるイザベル・ルーカスは妙に綺麗だったぞ。
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ゼロの焦点

2010年07月20日 23時29分42秒 | 邦画2009年

 ◇ゼロの焦点(2009年 日本 132分)

 監督 犬童一心

 出演 広末涼子、中谷美紀、木村多江

 

 ◇やはり橋本忍には敵わない

 能登金剛の全景にタイトルなんだから、もう少し舞台にして欲しいところなんだけど、物語を追い掛けるのに精一杯な印象はぬぐえない。パンパンであった過去を否定する必死さが伝わらないのは辛いし、なにより戦争や戦後をほとんどひきずってない感じがある。

 演技もまた前作に及ばないのもまた辛いところだ。赤いコートとサングラスで、中谷美紀と木村多江との入れ替わりというか錯覚を与えようっていう演出はわからないでもないけれど、ちょいと外連味がありすぎだね。蔦井孝洋のカメラがかっちりしている分、辛さが目立つな。

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キラー・ヴァージンロード

2010年05月06日 23時25分28秒 | 邦画2009年

 △キラー・ヴァージンロード

 

 上野樹里のすべて超越したような惚けぶりがないと成立しない古典的な設定と展開だね。

 岸谷五朗の演出は頑張ってはいるんだけど、ギャグは空回りだし、ドタバタはいかにもつらい。

 福山雅治の主題歌もだけど、役者の印象も薄く悲しい気分にしかならないな。

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おっぱいバレー

2010年04月13日 23時47分39秒 | 邦画2009年

 ◇おっぱいバレー

 

 昭和三十年代生まれには、なんともいえない懐かしげな話だ。

 数人の男子が年上の女性に憧れて悶え苦しむ青春物はいつの時代もあるけど、嫌味でない程度に音楽が時代を語ってるね。

 でもm元彼とホテルでしそうになった時の台詞と態度はあかんな。

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NINE

2010年04月11日 17時31分26秒 | 邦画2009年

 ◎NINE(Nine)

 

 幻の母と現実の妻に救いを求めつつも愛人に走るダメ男の甘えっぷりと再生という話はさておき、ぺネロぺの妖艶な事!

 貞淑な妻の幻想にだけ他人の男が肌に触れるという演出も納得。『8 1/2』なんだけど『オール・ザット・ジャズ』を色濃く思い出す。

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