◇Dearダニー 君へのうた(2015年 アメリカ 107分)
原題 Danny Collins
監督・脚本 ダン・フォーゲルマン
◇アル・パチーノ、75歳
こんなこともあるんだねっていうのは、この作品のもとになった実話のことだ。
スティーヴ・ティルストンっていうフォーク歌手が若い頃に雑誌のインタビューを受けたんだけど、そのとき、お金がいっぱい儲かったら贅沢しちゃうんじゃないかとかっていうちょいと調子にのった心配をしたらしく、それを読んだジョン・レノンから「お金はいっぱいあってもそんなことは大したことじゃなくて物事は本質が大切なんだ」みたいな手紙が送られたらしい。ところがその手紙が雑誌社に届いたもんだから、ティルストンの手に届かず、以来43年っていうとんでもない年月が経ち、ていうかよくその手紙が残ってたもんだけど、ともかくつい最近になって手紙の事実が判明した。しかもその手紙にはジョン・レノンの電話番号まであったらしい。ティルストンにしてみれば「なんなんだよ、好い加減にしてくれよ、その手紙を読んでたらおれの人生変わってたぜ」てな話だ。雑誌社、罪深いぜ。ていうか、出版社なんて大なり小なりそんなもんだ。
で、この話からまあいろいろと親子の関係だの、多動症だの、白血病だの、老いた者同士の恋だのとあれこれ満載されてできたのがこの映画らしいんだけど、いやまあ、なんといってもアル・パチーノもアネット・ベニングも上手だから、もう観ちゃうんだよ、これが。でもさ、何年ぶりかにアル・パチーノを見たんだけど、涙袋が小さくなってない?
年を取るっていうのは、こういうことなんだろうけど、75歳にしてこの恰好はさすがだ。